遊楽部(ユーラップ)岳の見市川。河原で深夜の燻製つくり
- GPS
- 56:00
- 距離
- 18.8km
- 登り
- 1,703m
- 下り
- 1,697m
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
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写真
感想
木陰に入った暗い淵。すぐ下の明るい浅瀬から、深みに向かって2 尾、3尾とイワナが走ります。淵の一番上手の水の落ち際をねらい、 山野君がロッドを振りました。しなりながら伸びるライン。フライがパシ ッと水面に落ちると、深みから飛び出た魚がすぐに食ってきました。ひ きよせると28センチほどのイワナです。今日は燻製づくりが目的。こ の型はやや大きすぎ、燻製で干しあげるのに手間がかかるので、放流です。
◆最初の日は燻製サイズをねらう
フライで釣りあがる北海道在住(当時)の山野和弘君は、まったくの自然体 で、イワナを引き寄せては、放流するの繰り返し。「尺物がくれば、キ ープするから」といいますが、そこまでの型は、この上の沢ではなかな か出ません。
私は、須藤秋吉さん(札幌、当時)と少し上流をルアーで釣り上がりまし た。22センチから25センチくらいの、燻製サイズをキープするのが 目的で、すでにかなりの尾数を確保しています。ポリ袋がいっばい になると、河原を掘った天然の冷蔵庫に袋ごと埋めておき、帰りに 回収するという方式です。
◆追いは活発。浅瀬に乗り上げるイワナも
「ルアーを水面に落とすと、まだリールを巻かないうちに食ってく る」状態です。岸までルアーを引いてきたら、追ってきたイワナが 勢い余って砂地の水際に乗り上げてしまい、手づかみにされたものもい ました。
コケの少ない、澄んだ水。やや減水気味で水温は高め。イワナ は瀬にも出ていて、追いも食いも活発です。いいポイントだと、た て続けに4尾も5尾も出ます。私たちは小さなポイントは対象にせ ず、大きなポイントでも1〜2匹でやめる、という「間引き」のルー ルで釣り上がりました.
◆ヒグマと深い函が遡行をはばむ
北海道南部、遊楽部(ユーラップ)岳から日本海に流れ落ちる見 市川(けんにちがわ)。エゾイワナ(アメマス)やオショロコマの多い 北海道の渓流も、各地で魚の数が減少しています。いまだに魚影 が濃い渓流は、沢の遡行が困難な渓流や、アプローチに時間が かかるところ、そしてヒグマが釣り人を恫喝しているところなどに 限られてきました。
見市川の場合、ヒグマだけでなく、イワナの聖地への入り口に ある廊下帯、とくに長さ30〜40メートルほどの大きく、深い函 が、釣り人の遡行を阻んできました。
東京から久しぶりで合流した私を加えた3人は、札幌から2泊3日ののんびりした日程で、この 川に挑みました。
8月7日朝7時過ぎに札幌をたち、八雲町を経由して、見市川 砂防ダムのすぐ上の車置き場に着いたのは正午すぎ。日本海 に面した熊石町は、もう目の下です。そこから小沢をたどって一 直線に見市川へ下降し、遡行を開始しました。
広い河原歩きが続いたあと、右手から岩魚沢が合流すると、 いよいよ廊下帯です。前方には例の大函が暗い淵をのぞかせ ています。私たちは、時間はかかっても泳ぐよりは安心というこ とで、右岸を大きく高まくことにしました。
前半は急登、後半はクマザサのヤブこぎ。枝沢の滝の上部を 越え、トラバースを続けて、30分余りかかって廊下帯の上流へ 出ました。
幕営地は熊追沢との二股に。ここまで遡行開始から2時間で す。夕飯のおかず用にと、この目の前のトロ場で竿を振って、6 匹ほどを釣り上げました。山野君は、学生時代(函館の水産学 部)からこの川に何度か入ってきましたが、「どうも型が小さくな ったみたいだ」といいます。
◆やぐらを組み、巨大なフキの葉で覆い、煙でいぶす
そして、翌日(8日)は、朝から、本流の上の沢を遡行し、冒頭 にのべた釣りを堪能しました。
燻製用のイワナが十分に確保できたところで、上の沢を下降 して幕営地点へもどり、昼過ぎから河原で燻製つくりにかかり ました。まず、イワナは腹を裂いて塩水に漬けておきます。つい で、燻製のやぐら作り。手ごろな太さの枝で三角錐の形のやぐ らを組み立て、これをおき火の上に置きます。そのやぐらに、塩 水で十分に体がしまってきたイワナを、枝で目刺しにして、つる し、並べました。
やぐら全体をフキの葉で覆って、あとはひたすら下から煙でい ぶします。「温燻」です。おき火の温度を抑え目にして、イワナが 十分に乾いて、身が締まってくるまでは、あまり温度を上げない ことが、コツです。温度を上げると「焼ける」状態になって、魚の頭 部がやわらかくなり、魚がおき火に落下してしまいます。
夜8時ごろ、イワナの体表が褐色に変わりはじめました。シッ ポが焼けこげないよう火加減を注意。美しい星空、沢の水音 だけの真っ暗な河原で、交代で火の管理です。
夜11時すぎ、体表がアメ色に変わり、身も十分締まって、よう やくでき上がりました。独特の香り、軟らかい身。なかなかので きです。大きめのイワナは腹開きにして燻製にしましたが、こち らもいい色に仕上がりました。
◆熊追沢には型の良いイワナが
最終日(9日)の朝は、山野君一人が熊追沢をルアーで釣り 上がりました。この沢は入り口に、首までつかって越える淵が あります。そのすぐ上の小滝で、40センチ近い大きいのが追 ってきたものの、すれているのか食ってこなかったとのこと。そ れでも、40分ほどで11尾(うち7尾放流)が釣れ、持って帰っ た4匹はみな30センチ前後と型がそろいました。
ずっしり重い燻製をかかえ、見市川温泉での一風呂を楽し みにして、私たちは沢を下りました。
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