茅ヶ岳 お気楽モード一転、新雪ハードモードに


- GPS
- --:--
- 距離
- 7.1km
- 登り
- 915m
- 下り
- 820m
コースタイム
- 山行
- 5:15
- 休憩
- 1:10
- 合計
- 6:25
天候 | 快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2018年03月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス タクシー
|
コース状況/ 危険箇所等 |
雪が無ければ、多分とても整備されたコース |
写真
感想
「百の頂に百の喜びあり」
さる3月21日は『日本百名山』の深田久弥氏の命日でした。1971年の茅ヶ岳登山中に亡くなられたのです。数週間前にそれを思い出し、それならその頃合で茅ヶ岳に行こうと思い立ったのが運の尽き。春も間近で(先週の皆さんの山行記録では雪はすでに消えていたのです!)のんびりとした追悼登山になるはずが、今週の悪天候で山はまさかの雪化粧。しかも不慣れな新雪歩きとなってしまい、文字通り悪戦苦闘した山行となりました。
快晴の朝、韮崎駅からタクシーで深田記念公園へ。途中、白い鳳凰山や甲斐駒ヶ岳が綺麗に見えて気分も上がるが、高度が上がるにつれ、周りの民家や畑に白いものがチラホラと。公園の駐車場に着くと、なんと一台の車も無く、一抹の不安がよぎる。
とりあえず気を取り直して、まずは毎年4月に深田祭が開かれるという公園へ。つつましい敷地に冒頭の言葉の石碑と説明板があり、まずは最初の追悼をする。
いよいよ登山口へ。いきなり真っ直ぐな雪道が始まり、もちろん踏み跡は無し。山頂までの目安が2時間半なので何とかなるか、という全くもって根拠のない自信で不安を乗り越え、意を決して進む。ザクザクザク、表面が少し固くなっている。最初のうちは積雪数センチの緩やかな坂道。しかし、しばらくすると5センチほどまで増えてきて、足の運びの勝手が違ってくる。一歩一歩新雪を踏みしめて行くので、ジワジワと体力を使い、自ずとペースも落ちていく。女岩に近づく頃には更に積雪は深くなってくる。
登山口から1時間20分で女岩に到着。目安1時間の区間だが、やはり時間がかかっている。50メートル先の女岩を眺めながら補給休憩する。
女岩の脇から急登が始まる。しっかり踏み込むことを意識して登っていくが、やはり足場が見えないので時々バランスが悪くなったりする。今日は、まさかピッケルはないし、いつも携帯しているはずのストックも実は運悪く無い状態。手ごろな枝を拾って代用する。(この後山行終了までの相棒となる)姿勢が安定し、かなり楽に登れるようになる。さらに九十九折の道が続き、積雪も増え、吹き溜まりでは30センチほどにもなる。登る体力に加え、雪を踏みわける体力を使い、数分ごとに自然に立ち止まって一息ついてしまう。
ずいぶんと時間がかかりながら、やっと尾根まで上がる。目の前が抜けて、白い金峰山が姿が現れる。もう少し先に進むと、雪に半分埋もれた深田久弥先生終焉之地の石碑を発見する。雪を取り払い、手を合わせて感慨にふける。
目標まではもう少し。ほぼ無風なのが何よりの幸い。女岩から目安30分オーバーで誰にも踏まれていない雪の山頂に到着。快晴の空の下360度の展望が広がる。眼下には韮崎の街から甲府盆地まで望め、周りには白い山々。南に富士山、西に南アルプス、北に八ヶ岳、東に奥秩父山塊。とても気持ちいい。苦労して登ってきたのが報われる。これだから山登りはやめられないのである。深田先生ありがとう。十分過ぎるほど眺望を堪能しながら昼食休憩をする。
このまま下りようかと一瞬考えだが、目の前に見えているので、予定通り金ヶ岳まで進むことにする。まずはズボズボと足を飲み込まれながら斜面を下っていく。ゲイターも捲れまくる。映画『八甲田山』の場面を思い出しながら、何度か上り下りを繰り返していく。途中で奇景の石門も通過。
雪まみれになりながら金ヶ岳山頂に到着。眺望は先ほどに劣るが、富士山と茅ヶ岳が直線上に重なって見えるのが良い。
下山を開始。今日一番の危険地帯の細い尾根を慎重に下って行く。岩場も丁寧過ぎるくらいに気をつかう。尾根を下ると道も広くなり、積雪も徐々に減っていく。しかし今日最も足を滑らせたのはこれから先。落ち葉の上にのった雪がとにかく動きやすく、岩なんかより厄介だと思い知る。やっとの思いで登山口にゴール。思わず「疲れた〜」と呟いてしまう。
ここからの帰りは、須玉町江草のバス停まで1時間半ほど歩いていく。もっと近い場所もあるのだが、どうしても獅子吼城という武田氏の狼煙台もあった城址が見たくて、そこまで歩く。途中に遺跡なんかもあり、丁度良いクールダウンになった感じ。
今回の山行はまさかの雪山ハイク。風もなく天気も良かったので泣かされるほど酷くはなかったですが、過去に数回しか経験がない新雪歩きの中でも一番に厳しいものでした。でも、深田先生終焉之地に想いを馳せ、その労苦も含め、見合う喜びも得られたことに感慨もひとしおだった山行となりました。
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