北股岳・大日岳・飯豊山(東赤谷―北股岳―大日岳―飯豊山―川入鉱泉)

記録ID: 155069

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無雪期ピークハント／縦走

飯豊山

北股岳・大日岳・飯豊山(東赤谷―北股岳―大日岳―飯豊山―川入鉱泉)

2003年09月09日(火) ～ 2003年09月12日(金)

山形県福島県新潟県

tanno1967 その他1人

GPS: 80:00
距離: 59.4km
登り: 3,419m
下り: 3,308m

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コースタイム

1日目:東赤谷13:25―17:45湯ノ平小屋(泊)
2日目:湯ノ平小屋6:20―7:00鳥居峰7:15―10:251650m10:50―11:50北股岳12:00―16:00御西小屋(泊)
3日目:御西小屋5:40―6:35大日岳6:45―9:10飯豊本山9:20―11:00切合小屋11:40―13:00三国岳13:20―16:45川入鉱泉(泊)
4日目:川入鉱泉7:50―9:40一ノ木

天候	9/9―11の午前までは曇り・霧。 9/10午後は雨 9/11午後から12日は晴れ。
過去天気図（気象庁）	2003年09月の天気図
アクセス	利用交通機関：電車バス往路は羽越本線新発田駅からバスで東赤谷へ。復路は一ノ木からバスで磐越西線山都駅へ。アクセスを調べる my出発地登録
コース状況／危険箇所等	飯豊山はアプローチが長い。東赤谷からのルートは、飯豊川(加治川)に沿った15㎞ほどの林道歩きから始まる。私が通った時には、崩落の危険性があるということで車両は通行止めになっていた。途中車両一台とすれ違ったが、その他の人には合わなかった。林道が終わると加治川沿いの歩道になり、1時間ほどで湯ノ平温泉に到着した。湯ノ平温泉は秘湯中の秘湯として人気が高く、秋口には芋煮会などで大賑わいのこともあると聞いていたが、この日の宿泊者は我々二人だけだった。管理人はおらず、協力金一人1000円を支払った。小屋の先の河原にも源泉があり、ぬるい湯だまりにつかることができたが、もっとよく整備された浴槽が小屋から少し下流にあり、温度もちょうどよく最高の湯だった。湯ノ平温泉から北股岳への登りは標高差があって道も必ずしも良いとは言えず、楽ではない。まず鳥居峰までは相当急な登りで、その後しばらく細かい上下が続く。北股岳から御西岳への縦走路は二重山稜があったり、残雪が残っていたりで、霧雨の中では迷いやすい個所があり、磁石に頼って進んだ。御西小屋にはこのとき管理人はいなかったが、素泊まり料金確か2000円を支払うシステムになっていたと思う。払うには払ったが、御西小屋の内部は雨漏りがするのか一部濡れていたりして、それほど快適ではなかった記憶がある。御西小屋から大日岳を往復し、飯豊本山を経由して下っていく道はわかりやすく、問題個所は特になかった。御秘所、三国小屋の手前には若干の鎖場などがあるが問題はなかった。

写真

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湯ノ平温泉の小屋。無人だったが立派な小屋だ。

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湯ノ平温泉の小屋。無人だったが立派な小屋だ。

北股岳への尾根を登る。

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北股岳への尾根を登る。

霧の中の御西小屋。あまり快適な小屋ではなかった。

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霧の中の御西小屋。あまり快適な小屋ではなかった。

御西小屋から大日岳へ向かう。

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御西小屋から大日岳へ向かう。

大日岳頂上にて。

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大日岳頂上にて。

下山口の御沢キャンプ場近くの杉の大木。

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下山口の御沢キャンプ場近くの杉の大木。

川入鉱泉では民宿高見屋に宿泊した。

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川入鉱泉では民宿高見屋に宿泊した。

一ノ木の飯豊山神社。石碑は立派だが、社殿は大きくない。

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一ノ木の飯豊山神社。石碑は立派だが、社殿は大きくない。

感想

tanno1967

2003年9月、飯豊山に登った時の記録です

9月、シーズンを過ぎた山に人は少なく、林道ですれ違った車一台を除けば、東赤谷を出てから切合小屋まで、人には全く会いませんでした。

色々と思い出の多い山行でしたが、山上では霧と雨にやられたせいか、一番印象に残っているのは湯ノ平温泉です。温泉について最初に向かったのが河原の源泉でしたが、ぬるめのたまり湯で、あまり快適でも清潔にも思えず、せっかくの温泉なのに残念に思って小屋に戻り、夕食を終えてゆっくりしていると、しばらくして突然小屋に光がさしてきました。ちょうど仲秋の名月のころで、満月に近い月が上り、小屋にも月光が差し込んできたのです。あんなに月が明るかったことは、後にも先にも記憶にありません。

友人と私は、月の光に誘われるように小屋を出て、もっとちゃんとした温泉があるはずだ、と探しに行くと、小屋のすぐ下流側に分かれ道があって、きちんと浴槽がしつらえられた、快適な風呂を探し当てることができたのです。

翌朝起きて、小屋の裏手の水場のあたりをよく見ると、寂しげな石碑が一つ立っていました。登山者の遭難碑かと思いましたがそうではなく、新発田あたりにかつていた遊女が物見遊山かこの山奥の温泉までやってきて、道から足を滑らせて川に転落して溺死してしまったことを哀れむ碑でした。この遊女のことは、新発田から東赤谷へ行くバスで一緒になった地元のおばさんからも聞いていました。それを見て何か、前日小屋に差してきたあの明るい月光が、哀れな遊女の霊のように思えてきたものでした。因みにこの慰霊碑、この小屋の小屋番が、夜な夜な聞こえる女性の声に悩まされて建立を決意したのだとか。
http://www5e.biglobe.ne.jp/~yamazinn/20091009iide/20091009iide.htm

もう一つ印象深かったのは、帰りに泊まった川入鉱泉の確か高見台という民宿でした。もともと川入からはバスがあるものと思っていたので予約はしておらず、バスが10㎞先の一ノ木まで行かねばないことを知って、飛び込みで泊まらせていただいたのですが、「営業している」というよりも、普通の民家に泊めていただく、本来の「民宿」という感じが最高でした。ちょうど「田舎に泊まろう」という番組に出てくる感じでしょうか。宿のご主人は開け放した部屋に横になって、うちわを使いながら相撲観戦に余念がなく、案内していただいたお風呂は、ご家族の方が使われている風呂なのかな、という感じでしたし、食事も裏の畑で採れた野菜の天ぷらなど、素朴で家庭的なものでした。古い民家らしく柱や梁は立派で、地元の行政区長や森林組合、遭難救助やら何やらの感謝状が所狭しと掛かった部屋が印象に残っています。

最終日は車道を10㎞ほども歩き、さびれた飯豊山神社に参拝したのち、一ノ木からバスで山都駅に出ましたが、現在ではこのバスも廃止された由(2011.1より)。山行には公共交通機関を使うのが好きですが、段々廃止されていくのはさびしい限りです。

バスの中では運転手さんと話しましたが、運転手氏の話によると、戦時中航空機を量産するためアルミ精錬が重視されたが、アルミ精錬には電気がいるので、阿賀野川水系の豊かな電力を活用すべく、昭和電工の工場ができ、ダム建設が進んだ。そのため朝鮮人のほか中国人労働力が動員され、彼らのうち戦後付近にいついた人がラーメンを始めたのが喜多方ラーメンのもとになったというお話でした。確かに地図を見ると、喜多方駅のすぐ南に昭和電工の工場があり、また阿賀野川に沿っては小さなダムが階段状に作られています。全国的に有名になった喜多方ラーメンですが、その裏にはこうした苦難の歴史があったことは覚えておいていいでしょう。