山行記録: 秋田県大館市：「薄市山の家」、十ノ瀬山

記録ID: 1569118

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ハイキング

東北

秋田県大館市：「薄市山の家」、十ノ瀬山

2018年07月05日(木) [日帰り]

秋田県

kmbiketrek

GPS: --:--
距離: 13.7km
登り: 625m
下り: 625m

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コースタイム

（薄市沢山の家）
07:17大館市街地出発
08:09坂地入口右折
08:35岩野目通過
08:58上荒沢への分岐点通過
09:10仲谷地の未舗装車道へ
09:17森の中へ
09:25分岐点右折〜あれこれ寄り道
10:29「薄市山の家」
10:49「山の家」出発
11:14分岐点通過
11:20森を抜ける
11:23舗装路へ
11:28上荒沢への分岐点通過
11:48岩野目「ハンググライダー公園」看板の路地

（十ノ瀬山）
11:49十ノ瀬山登山口
11:56登山開始
12:27分岐点（標高約250m）通過
13:37最初の崩落箇所で熊2頭と遭遇
13:11起点から4,900m地点通過
13:51山頂
13:57ハンググライダー公園
14:17下山開始
14:52起点から4,900m地点通過
15:30荒れた山道から普通の砂利道に戻る
15:47起点から1,800m地点（標高191m）で熊の親子と遭遇
16:15下山終了
16:30坂地入口左折〜大館市街地へ

天候	曇り時折小雨
過去天気図（気象庁）	2018年07月の天気図
アクセス	利用交通機関：自転車（「薄市山の家」）　この日は予報では時々小雨。出掛けるのは中止にしても良いが、寧ろ条件の悪い雨の日に自転車でどの程度走れるかを知る良い機会だとも云える。出掛けることにした。この日は登らないが、田代岳薄市沢コースや田代三山縦走コースを登る際に使用する「薄市山の家」までの下見をすることにする。昼過ぎには雨も止むかも知れないので、その頃に合わせて十ノ瀬山の山頂に着けるよう、わざと遅目に出発する。　大館市街地から国道7号線を西進。この日は最初は目を完全に覆う防塵ゴーグルを試してみたのだが、非常に曇り易いので、何時ものオープン型のオーバーサングラスに変更。山田橋を過ぎた時点で川口の分岐で左折し、800m程の砂利道を抜けて、平坦な早口の街を抜ける。早口川を渡って直ぐ、坂地入口の分岐からひたすら北上。岩野目の「ハンググライダー公園」の看板前を通過し、田代岳上荒沢登山口へと分かれる分岐点を通過し、仲谷地集落へ。この方面最後のバス停を過ぎ、道なりに左折し、未舗装車道のT字路で右折。轍に水の流れる悪路を通って森の中へ。間も無く突き当たる分岐は右折だが、看板が出ているので迷うことは無いだろう。砂防ダムをひとつ過ぎた辺りで薄市沢の右岸から左岸へ。その先も砂防ダムは多く、雨の日でなければお目に掛かれなかったであろう、増水した薄市沢が岩々を砕いて荒れ狂う光景には高揚感を覚える。堤のひとつに寄り道している際にサングラスを紛失する。　徐々に傾斜がきつくなって来ると路面状態も非常に悪くなり（陣内林道より多少マシな程度）、落石や雨裂が多くなるので、自転車を下りて押して歩く。路面状態が更に酷くなって来た所で橋の手前に看板が。田代岳薄市沢コースはここから右へ分岐するらしい。「山の家」が何処に有るのかこの時点では不明だったので、一旦橋を渡って道なりに右手に曲がった所で駐輪。その先は徒歩で様子を窺うと、数十m先の左手に「山の家」が見える。未舗装車道をその儘直進すると森の中へ入るが、伐採用の作業道か何かだろうか。「山の家」は施錠されていないので一先ず雨宿りして休憩。登山道看板の脇に狭い踏み跡が見えるが、水が流れていて臨時の沢と化している。（「薄市山の家」〜十ノ瀬山）　今来たルートを逆走して南下し、岩野目の「ハンググライダー公園」の看板の立っている路地に入る。1分も行けば進入禁止の看板が立っているのでその近くに駐輪。「関係者以外立入禁止」と書いてあるのにいいのかなと思いつつも、まぁ『大館トレイルガイド』で紹介している位だからこれは「山に入って何か起こっても責任は負いかねます」と云う位の意味だろうと解釈し、予定通り登ることにする。アクセスを調べる my出発地登録
コース状況／危険箇所等	（十ノ瀬山）　登山道は元々車道だったそうで、最初は未舗装の砂利道だが傾斜もきつくなく、「この程度なら自転車を押して来ても良かったのでは？」と思っていたのだが、3km程先の地点からいきなり路面状態が悪くなる。まるきり岩場の山道。その先も所々舗装路が混じったり、側面の崖がコンクリートで固められたりと、現代文明の痕跡が残っているので、尚更その落差が際立つ。普通のカーヴかと思いきや、よく見ると崩落した箇所を巻いていて、崖下には落ちたカーヴミラーがその儘放置されていたりする。慎重に渡れば然程危険は無いが、とにかく荒廃振りが目を惹く。雑草はまだ道の全てを覆っている訳ではないが、所々非常に見通しが悪く、足元には注意が必要。また舗装路の箇所は流石に水はけが非常に悪く、道全体が臨時の沢と化している箇所も少なくない。まるっきり沢登りだ。普通のトレッキングシューズではびしょ濡れ必至。起点からの距離を示した標識が一定の間隔で道端に立っていて参考になるが、消失しているものも多い様だ。　十ノ瀬山は山頂の3本の鉄塔のお陰で判別し易い山だが、山頂部へ辿り着いても3本目の鉄塔と策に囲まれているばかりで眺望ゼロで閉塞感を覚える。1本目の鉄塔まで戻って脇の道へ入って行くと、右手に半ば沼と化した駐車場が。更にその先へ行くとハンググライダー公園。意外と整備状況は良い様で、今でも手入れがされている様な雰囲気。ベンチと東屋も問題無く使用可能。ひょっとしてここにハンググライダーを担いで登って来る人がまだ居るのだろうか。この日は雲に覆われて眺望ゼロだったが、結構開けているので晴れてればそれなりに眺望は得られる気がする。次回、晴天の日にまたチャレンジしてみたい。（十ノ瀬山の熊）　この日は延べ5頭の熊と遭遇した。幸いにも被害は全く無かったが、熊対策の基本はとにかく先ず遭遇しないことなので、大失敗だ。小雨に加えて時折風も強く、①②に関しては崩落箇所の落水地点の近くだったので、熊鈴やこちらの出す物音が聞こえ難かったのだろう。雨の日のトレッキングのリスクとしてこれは盲点だった。今後の課題としたい。　①最初の崩落地点を巻くカーヴを曲がり切ったところでふと振り返ると、私がたった今通過して来た所、直線距離にして20m程、コンクリートで固めた崖を巨大な黒い芋虫が這っている。それが1m弱大の熊だと気付くのに数瞬を要した。多少の凹凸は有るだろうが表面は恐らく雨で濡れて滑るであろう斜面、傾斜は70〜80度は有るであろう崖を、掴まるものも何も無いのに、何でもないことであるかの様にヒョイヒョイと軽々登って行く。改めて熊の身体能力に仰天する。ボルダリング大会に熊が出場すれば、恐らく優勝出来るのではないだろうか。凝っと見守っていると7〜8m程だろうか、崖の上の茂みの中に消えた。　②①の熊が消えたことを確認し、気を取り直して再度進み始める。が、20mも行かない内に、左側の、これもコンクリートで固めてある斜面の表面で、同様の大きな黒い毛むくじゃらの物体がもぞめいているのに気が付いた。1m強の熊だ。直線距離にして私の居る場所から7〜8m程度、さっさと上の茂みに消えてくれれば良いものを、こちらは斜面の途中に生えている低木の掴まって一度体勢を整え、こちらを見下ろすではないか。私が最初の熊を見ていた間、この熊は私を背後から見ていたのだろうか。まさか最初のが子熊で、こちらのが親熊だったら………などと想像して背筋が寒くなるが、感慨に耽ってもいられない、出来るだけ目を合わせないようにして、早々に立ち去る。　先述した様に熊鈴が余り役に立たない様なので、この後は要所要所でホイッスルを吹き鳴らしつつ進んだ。茂みで周囲の状況が見えない箇所も多く、何時また熊が飛び出して来るかも知れないと、気が気ではなかった。今のこの山では、私は招かれざる闖入者以外の何物でもない。　③下山時、可成り標高が下がり、道が普通の砂利道に戻ってから、後で確認したところでは「（起点より）1,800m／標高191m」の標識の立っている辺りで、またしても熊と遭遇。前方30m程に熊の親子。体長50〜60cm程の子熊2頭と、1m弱の親熊が道を横切っていた。右手は斜面で塞がれており、左手は森、その先で下へ下る斜面になっている。子熊達は私の存在に気が付くと慌てて木に駆け寄ったが、上手く登れないのか、木にしがみつくだけ。親熊は、私を威嚇しようとしたのか子熊達に警告しようとしたのか、グオッと低く唸ると、当然乍ら子熊達の傍を離れずにこちらを見ている。あらら、これはマズいパターンだ。一応道幅は広いので、端の方を通れば熊達から2m程離れた地点を通り過ぎることは物理的には可能だ。が、そんなことをすれば親熊を刺激してしまうことは判り切っている。親熊は子供を守る為に余裕が無い。だとすればこちらが退くべきだろう。一旦ひとつ前の曲がり角の向こうまで戻って姿を消し、たっぷり5分、間を置いてから、派手にホイッスルを吹き鳴らし乍らゆっくりと再度前進。幸いなことに熊の親子の姿は何処にも見えなかった。この時は終点が近くなって油断していたのだろう、遭遇する前は数分以上、ホイッスルを鳴らしていなかった。完全に私のミスだ。あの親子には気の毒なことをした。

感想

kmbiketrek

（薄市山の家）
　田代岳薄市沢コース、田代三山縦走コースを登る時に利用する薄市沢登山口だが、やはりアクセスは悪い。大広手・荒沢コースを登る時には山瀬ダムから状態の悪い未舗装路を12〜13kmも登らねばならないが（登山口に着いた時点で標高600mを超えている）、薄市沢登山口の方も仲谷地からの距離は4km程度と大分短いものの（こちらは標高450m位か？）、路面状態は相当悪いので、徒歩でもスタスタとは進めない。バス停が近いのがせめてもの利点だが、路線バスは自転車の持ち込みは基本的に禁止なので、徒歩のみの場合にしか使えない。不便な山だ。

（十ノ瀬山）
　とにかく元はそこそこ整備されていた車道であった所が崩落等によって荒廃の一途を辿っている所なので、山と云うより巨大な廃墟の趣が有る。この日は小雨が降っていて日の光も弱々しく、立て続けに熊に遭遇したショックの影響も有るだろうが、何やら終始心理的な寒気が肌に纏わり付いて離れなかった。人類文明が崩壊した後に徐々に自然が侵入し、人間の活動の痕跡がひとつひとつ侵蝕され消し去られて行く様はあんな感じなのだろうか。全体的に山に登ったと云うよりも、巨大な廃墟の中を延々と彷徨って来たと云う印象が残っている。舗装路の上に草木が垂れ込めている見通しの悪い所など特に不気味で、その辺から熊ではなく何か過去の亡霊が立ち上って来そうな気配がした。公園で食べた食事も、気色が悪くて全く食べた気がしなかった。ここは亡霊の国だ。よく晴れた日にでも再度訪れて、また違う印象が得られるのかどうか試してみたい。
　十ノ瀬山は山頂の3本鉄塔のお陰で、大山や三哲山と同様、初心者にも判別が容易だ（北側からだと見えない様だが）。しかも割と山容が堂々としているが標高が低く街に近い所為か、田代岳が雲に遮られて見えない日でも、十ノ瀬山ははっきり見えていたりする。後であちこち走り回って気付いたが、鷹巣方面からでもよく見える。近場の山の中では最も存在感の大きな山のひとつだ。

　尚、この日は余裕が有れば茂屋方山にも行ってみる積もりだったのだが、薄市沢で結構時間を食ってしまい余裕が無くなったので中止にした。

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