魔境へ:雨の飛生川遡行
- GPS
- 06:43
- 距離
- 19.9km
- 登り
- 1,010m
- 下り
- 1,012m
コースタイム
- 山行
- 6:43
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 6:43
天候 | 小雨 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2019年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
写真
感想
1週間前に念願の飛生川を遡行したが,どうにもやり残した感があり,なんとかもう一度行きたいと思っていた.翌日は,全身バキバキだったので,さすがに二日連続飛生川は無理.今シーズン中に行きたいと妻に振ってみたが,引っ張り上げる力がないから,二人では難しいとあまり乗り気ではない.一人で無理なところは高巻きしてでも最後の「天国への廊下」に辿り着き,そこだけでも登りたいなどと思案.連休初日,あまり天気はよくない.色々計画(湯内川,珊内川などなど)を立てたけれど,一人で行くとしたら少しでも危険がある沢は避けた方がよいから,あまり選択肢がない.確保しなければ怪我をする可能性のある沢は問題外だが,落ちてボイルされて抜け出せなくなり溺れるリスクのある釜持ち滝がある沢もパートナーがロープを持っていてくれないと少し心配.夏休み中の息子に連絡したら,「行く!」って.よし!
夜はずっと雨だった.向かう途中も何度も激しく降っていた.増水して濁流になっていたら転進しようと考えながら向かう.6時林道ゲート.今回はゲートが閉まっていた.それほど増水してない.よし,行ける.今回は橋を越えて,破線の林道の終点のスペースに駐車.藪漕ぎして沢へ.6時50分.
堰堤のような滝は,右岸をアブミで越える.ここで登り損ねて滑り落ちるというまさかの展開.先週の疲れがまだ抜けていない.
そして,いよいよ魔境へ.
最初の難関.大岩のワレ滝.先週より水量が多い.万が一落ちると滝壺でボイルされ抜け出せなくなるのでまずロープを結ぶ.トライしてみたが,右からは全く太刀打ちできない.前回同様に水流をくぐり岩の間に入る.支えた流木を利用しながら背中に乗せて真ん中の岩の左側から上にショルダー.その後,強引に引っ張り上げてもらった.雨に濡れた岩の苔が滑るので安全を期して右岸側にいったん降りる.滑るのでお尻をついて.流木を越えて脱出.
小雨が降る中を進む.次から次へと出現する小滝を超えていく.可能な限り体力と体温を温存.それでも次第にふるえが強くなる.
ふたつめの難所.前回,水流で近寄れず, 右岸をへつって通過した場所.まずは息子.耐えきれずに滑り落ちるが,すぐに躊躇せず泳ぎに切り替え一気に水流の弱い岩の左側へ泳ぎ渡る.見事に一発で通過.判断力,決断力,瞬発力が素晴らしい!!! お見事!
自分は2度へつりに失敗してから,頑張って泳ぎきり,最後はブリッジに持ち込んで突破.
前回は泳いだところ.水流は強い.今回は,なんとかく不安定な草付きをへつりきろうとしたが,結局,最後は滑り落ちた.でも,深いところはパスできた.もう少し低い位置でへつって深みが終わってから川に戻るようにするのがきっといい.
側壁からすだれのように水が流れ落ちる区間が一番水温が低い.ふるえが止まらなくなってくる.
3つめの難所.大きな淵をもつ手がかりのない小滝も息子が一気に泳ぎ切って突破.
4つめの難所.滝の落口に足場の岩はあるが,手がかりがないためひとりでは身体を持ち上げるのは困難なショルダーの滝.まず息子をショルダーで上げる.ショルダーで上げることはできても,そこから引っ張り上げてもらうのが極めて困難なのがこの滝の特徴.水流があまりにも強くて引っ張ってもらっても全く抵抗できないので,結局,岩の左側から登りましたが,引っ張り上げる方も上げられる方も相当に腕力がいる.つっぱりで上がるといいのかな.それにはかなりの腕力がいりそう.ここは次への課題を残しました.
そしてこの後すぐにラスボス「天国への廊下」.明らかに前回より水量が多く,沢の中に威圧的な轟音が響く.滝手前に足場があるのはわかっているが,水流で押し流され,そこまで辿り着けない.息子に前を行かせ,後ろから泳ぐ足を押すようにして前に送り込み,足場に到達.その後,ロープで引っ張ってもらう.
滝下の足場を確保し,まずは息子が挑戦.途中までは突っ張りブリッジ.こういう時の彼は極めて慎重.絶対に無理をしない.じわじわと上に上がっていく.そして一気にブリッジから体勢を変えて開脚へ.成功! ここで失敗するとそのまま流れ落ちてくるからほんとに難しい.お見事!
次は自分.手の力がないので,ブリッジに持っていくのが難しい.まずは開脚で突っ張るが,苔のついた抉れた壁の部分で何度やっても足が滑って落ちてしまい,先に進めない.手の力で突っ張れないのでヘルメットをかぶった頭を壁に押しつけて途中までじわじわと登ったが,駄目だった.アックスで登ってみようとしたが,いい位置に溝がなく,アックスが固定できない.挙げ句の果てに,何度も挑戦してふらふらになって足場から落ちて流されるしまつ.このままでは力を使い尽くしてしまう.開脚からブリッジに持っていき,安定するところまでなんとか身体を持ち上げるしか方法はない.気持ちを強く持って,迷いを捨てて,全てのパワーを全開にする.開脚からなんとか頭を使ってブリッジに持ち込み肩をねじ込むようにハングした部分を越えたような気がするけれど記憶が曖昧.そこを越えればあとは慎重に身体をねじ上げていくだけ.最終的に時間として20分くらいだった.父親は,こうなったらどんなことがあっても,どんなに無理そうでも,決して諦めないと言うことをよくわかっている息子は,辛抱強く待っていてくれました.ついに目標達成!濁流でした.
その後の,天国のナメも今日は天気も悪く流れが強く,あまり楽園感がない.もうふらふらで,なんということもない場所で,なんども突っ伏すように転倒してしまう.
220分岐以降,登れない滝がふたつあるが,おそらく今の能力では不可能なので高巻きする.
滝の音が聞こえて,ついにゴール!12時.スタートから5時間10分.(前回は8時間40分)ここでお昼御飯.息子は滝に打たれていました.無茶苦茶冷たかったらしい.
林道を帰るのは憂鬱なので,沢を下ろうとも思っていたのですが,ただの河原でも転ぶような惨状ではとても無理.なので林道から帰還.走ったり歩いたり.
13時26分,帰還.6時間40分.遡行は,5時間10分.
コメント
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前回の記事にラスボス厳しいですよねとコメントしましたが、突破できたのですね。素晴らしい。時間と体力が必要そうですね^^
参考になりました。ありがとうございます。
もしよろしければ、参考写真として「天国への廊下」突破の写真を私のブログに掲載させていただけないでしょうか。
今回の飛生川遡行にあたって「山のマコちゃん」さんのブログやYouTubeをとても参考にさせていただいたので,写真を掲載していただいても構いません.また,ヤマレコの記事の引用も必要ならばしてください.
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