金剛山(金剛登山口〜タカハタ谷〜頂上広場〜文殊東尾根〜金剛山ロープウェイ前)
- GPS
- 05:25
- 距離
- 9.1km
- 登り
- 827m
- 下り
- 691m
コースタイム
【ダイトレを歩く人のためのサイトを立ち上げました!】
●ダイトレ Solo Walking Guide http://kupi-fw.com/wp/daitore/
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09:33 金剛登山口バス停
09:51 車止め
10:00 タカハタ谷分岐
10:25 越折滝
11:15 水場
12:21 国見城跡(昼食) 13:11
13:35 文殊尾根分岐
13:57 文殊東尾根分岐
14:35 念仏坂出合い
14:53 百ヶ辻
14:58 金剛山ロープウェイ前バス停
※自分の体力もさることながら、いろいろと撮影したり、メモをとったりしながら歩いていますので、コースタイムはあまり参考にしないでください
天候 | 曇り時々晴れ |
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過去天気図(気象庁) | 2012年06月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
【帰】金剛山ロープウェイ前(15:02発)→河内長野駅(南海バス) |
コース状況/ 危険箇所等 |
【タカハタ谷】 ルート前半の谷筋の岩場は滑り易いので注意が必要です。トラロープが張っていますので、ロープを使えば問題なく通れます。 ツツジオ谷との分岐地点には丸太橋がかかっていますが道標はありません。タカハタ谷方面は直進です。ツツジオ谷方面は右の橋を渡ります。 その後もいくつか分岐がありますが、道標はありませんので注意してください。 【文殊東尾根】 文殊尾根ルートには、東尾根、中尾根、西尾根の3ルートがあるらしい。山と高原の地図に載っている一番メジャーなルートが中尾根ルートで、東尾根ルートはかなりハードなルートとの事。(西尾根ルートはよくわからない) 文殊東尾根の下りは、急な斜面で足場が悪く、段差も大きいので、木に掴まりながら、一歩、一歩、足場を確実に固めてから下りる、というような感じでした。 |
写真
感想
「金剛山の真髄を見た」と言ったら大袈裟であろうか。タカハタ谷はやはり噂に違わぬ好ルートであった。
【プロローグ】
3週間振りの山歩きである。それまではGW明けからほぼ毎週のように山に行っていたので山歩きに順応したカラダが出来ていたのだが、3週間の間で再びドロンとした肉体に戻ってしまった。
さて、3週間ぶりの山歩きはどこに行こう。とりあえずの目標であったダイトレ全走破も達成してしまったし、ここはやはり金剛山かな、という気持ちになる。
最近、俺の中で急速に芽生えてきた想いは、(腰を落ち着けてじっくりと金剛山と付き合ってみたい)ということである。早速、地図を広げてルートを眺めてみた。気になるルートがいくつかある。水越側のガンドガコバ、モミジ谷、太尾道、青崩道、千早側のタカハタ谷、カトラ谷、妙見谷などだ。(奈良側は今はまだ興味がない)
(さて、どこにしようか・・・)PCの電源を入れ、金剛山のブログをパラパラと捲っていた俺の目に飛び込んできたのは、鮮やかな真紅の前掛けとそれを羽織った六体のお地蔵さんである。
「このお地蔵さんたちに会いにいくのだ!」
ルートは決まった、タカハタ谷だ。
(明日行くわ。待っといてな)小さく呟いて、ブラウザを閉じた。
【タカハタ谷ルート】
河内長野駅9時丁度発のバスに乗る。この時間帯は15分置きに金剛山行きのバスが出るので、座れそうになかったら一本やり過ごして次のバスに乗るほうが良いかもしれない。金剛登山口で下車、マツマサ下のトイレに入り、靴紐などを締め直していたら、同じバスから降りた人達は、あっという間に消えてしまった。
実は今回の山行きは、できるだけ正確に分岐地点や危険個所を記録しておこうと思い、パワポで自家製のルート記録票というものを作って持ってきたのだ。ポイントにさしかかったら、GPSロガーで経緯度を確認し、分岐箇所や危険個所の様子を記録票に書き込み、同時にその場で撮影する、という按配だ。だが、果たして最後まで続けることができるのだろうか。自分で作っておいて何なのだが、どうも途中で投げ出してしまいそうな気がしてならない。
GPSロガーの記録設定も変えてみた。俺のGPSロガーは「旅レコ」というヤツで、今までは距離(50mごと)で記録するような設定だったのだが、これを時間(1秒ごと)で記録するように変更してみたのだ。どのような軌跡が取れるのであろうか。これも帰ってからのお楽しみである。
黒栂谷との分岐地点、車止めゲートを右に折れ、貯水場の脇を抜けると左手に何やら怪しい小屋が見える。トイレのようにも見えるし、ただの物置小屋のようにも見える。まさか人は出てこないだろうな、などとそちらの方ばかりを気にしていたら、肝心のタカハタ谷への入り口を見過ごしてしまった。
後ろを振り返ると、登山者が先程の小屋の対面にある森の中に吸い込まれて行くのが見える。慌てて戻ると、ガードレールのところにマジックで「→金剛山タカハタ」と書かれていた。ここが入口なのだ。さっそく胸ポケットから記録票を取り出し、ポイントBの行に「時間9:57、経度34度25分19.88秒、緯度135度39分15.85秒」と書き込み、「分岐」に丸をして、「右側の山道に入る」と記入する。地味だが結構メンドクサイ作業だ。
入口を入ると直ぐに、人一人がやっと通れるぐらいの狭い崖道が出現する。左手は川だ。仮に落ちても死にはしないが、落ちるのはやっぱり嫌だ。右手の岩にはトラロープが張ってある。これを掴めば危ないことはない。俺もそのロープを掴み、身体を右の岩に寄せた。ゴツッとにぶい音がする。左肩からたすき掛けにしていたデジ一が岩にぶつかったのだ。とりあえず崖道を渡りきりカメラを確認する。シャーシはなんともないようだが、問題は中のメカのほうだ。ハーフシャッターにしてオートフォーカスを確認、レンズがスライドしピントが合う。そのままシャッターを切って、液晶画面で再生確認、問題ないようだ。(ヤレヤレ、まったく・・・)冷や汗をかいた。
タカハタ谷ルートはその前半部分と後半部分で全く違う顔を見せる。谷筋を歩く前半部分は真ん中を流れる川を踏み石や倒木を頼りにしてエイヤッと跨ぎながら、川に沿って右岸と左岸を交互に歩く。
ロープや鎖が設置された岩場は、慎重かつ大胆な行動が必要だ。あまりロープや鎖を頼りにすると、足元がおろそかになってズルッといってしまうかもしれない。「基本自力で、ロープや鎖は念の為」ぐらいに考えていたほうが良いだろう。
谷筋の登山道を20分程歩いていると、いきなり大きな滝に出合う。腰折滝というらしい。せっかくなので登山道から滝つぼの辺りまで下りる、といっても10メートル程だ。何枚か写真を撮って登山道に戻る。
半分腐りかけた橋を渡り、ロープが張られた岩場をクリアすると、丸太橋が架かっている分岐に出る。
(橋を渡るのか、渡らないのか・・・)道標などは見当たらない、本日始めての「迷い分岐」である。地図を取り出して調べていると、橋を渡ってこちらにくる方がいた。その方曰く、「この橋を渡るとツツジオ谷、タカハタ谷は橋を渡らず直進や。ここからのタカハタ谷はしんどいだけだが、ツツジオ谷のほうは変化があっておもろいで」とのこと。そこまで言われてタカハタ谷に向うのも気が引けるのであるが、丁寧に礼を言って、そのまま直進した。
その後も小さな谷筋を歩いていく。川の真ん中に梯子が掛けられているところは、一旦、川まで下りて川の左側を歩いたほうがよい。(最初はなんとなく右側の砂地のようなところを歩いたのだが、ズルズルと滑りそうな感じがしたのですぐに戻った)
少し行くと左手にボロボロの丸太階段が出現する。段数は10段ぐらいか。階段にはロープが張ってあるのでそれを掴んで階段を登る。
そこを登ってすぐのところにまたもや分岐。案の定、道標のようなものは無い。右の道の方が踏み固められているので、そちらに行こうとしたのだが、丁度俺の行く手を阻むように木が倒れている。地図を取り出そうと視点を変えた瞬間、俺の目の中に飛び込んできたのは一輪のササユリである。
こんな山の中にたった一人で咲く純白の花。そこにあるのは、凛とした美しさ、ただそれだけである。
通せんぼをしている倒木を掴んで土の斜面をよじ登り、左側面からササユリを撮る。ファインダー越しに覗くその花は、動じる気配など微塵も見せない。被写体に負けそうになる瞬間である。花弁にピントを合わせて静かにシャッターを切った。
少し行くとまたもや岩場。左側には例のトラロープ。但し、ここは前方にも道がある。
(ロープが張られている以上、正規のルートはこの岩場なのだろう)と勝手に想像し、ロープを掴んで岩場をガシガシと登ったら道らしきところに出た。少し先には水場が見える。
この辺りから谷筋と別れて尾根筋になる。タカハタ谷ルート後半部分の始まりである。蛸の足のように縦横無尽に張り巡らされた木の根の間をヒイヒイ言いながら登っていく。ガッツリとした登り、3週間分の贅肉がそぎ落とされていく感じだ。
タカハタ谷のルート案内では必ず載っているという例の有名な巨石、この巨石は尾根筋の丁度中間辺りにあるという。
(ウーム、まだ半分もあるのか・・・)と思ったのだが、そこから少し登ると開けたところに出て、急登はその辺りで終わりである。馬の背のような平坦なところを歩き、斜面を切り崩して作ったような丸太階段を登ると頂上はすぐそこだ。
【山頂広場】
俺の行く手に6体の小さなお地蔵さんが見える。赤い服と帽子を纏ったお地蔵さんたちは綺麗に整列し、俺を優しく出迎えた。俺も「コンチワ」と小さく挨拶。やっと君たちに会えたのだ。タカハタ谷ルート、噂に違わぬ好ルートである。きっとこれから何度も登るだろう。(これからも宜しくお願いします)ペコンと頭を下げて山頂広場へ向った。
国見城跡で飯を食う。湯を入れたカップヌードル、昆布とシーチキンのコンビニにぎり、よく冷えた缶ビール、これらを石のベンチに無造作に置いて、適当に食べ始める。
目の前の広場では、グループ、アベック、家族連れなどが、思い思いのスタイルでくつろいでいる。少し離れたところでは、結構な装備をした2、30名近くの若い女性達がシートを広げて飯の支度を始めるようとしている。どこかの女子大の山岳部だと思うのだが、半端ないザックのボリュームと、全員ロールマットを備え付けているところを見ると、テン泊なのかもしれない。あまり見ているのも失礼だと思ったので、俺はすぐにその場から離れたのだが、結構、印象に残る光景であった。
その後、売店に寄って金剛登山回数券を買う。500円を払うと本日の登頂分が既に押されているカードとバッチがもらえる。俺は今まで3回ほど来ているので、その分も押してもらいたいところだが、まあ、これはあきらめるしかない。
下山は前回下りようとして下り損なった文殊尾根である。
【文殊東尾根】
「ロープウェイ(近道)」と書かれた標識に従って歩いていくと、ロープウェイと岩屋文殊との分岐地点に出る。文殊尾根ルートはこの岩屋文殊のすぐ手前から下りるので、ここは右の岩屋文殊のほうに行く。
岩屋文殊でお参りをして、文殊尾根に下りる。と言ってもここには「文殊尾根ルート」などと書かれた道標は無い。なんとなく道があり、なんとなく人が行き来しているだけである。
文殊尾根ルートは小さな分岐がいくつかあるが、基本的にはひとつの尾根を下っているので、結局、また同じところに出る、と思っていた。実際、頂上近くの道はそのような感じであった。
ところが、途中で東尾根と中尾根とに大きく分かれる分岐地点があったのだ。今思えば、それは多分丸太のベンチが置いてあったところだろう、と思う。というのも、俺の先を行く男性は、そこを右に曲がっていったのだが、俺は(どうせ後でまた合流するのだろう)と思い、その男性とは逆の方向に進んでいったのだが、最後までその道は合流せず、先程の男性にも全く出会わなかったからである。
その分岐から先は勾配の激しい岩道であった。余りにも急なところは岩に尻を付けて座るようにして下りる。道らしき跡はあるので迷うことは無いのだが、いかんせん、下り難い。
最後はズルズルと滑るように斜面を下りてくると、そこにまた分岐があった。下山とは別方向、左手の山を巻くような形でしっかりした道が付いている。看板のようなものが落ちていたので表面を見てみたのだが、何も書いてはいなかった。
この辺りからすさまじい川音と念仏坂を歩く人達の姿が見える。板で作られた階段を下りていくと念仏坂の水場のすぐ横に出た。
山と高原の地図に実線で描かれている文殊尾根ルートは水場よりもかなり下のところへ出て来るようになっている。やはり俺が下りてきたルートは、ちょっと違うルートのようだ。
そのままダラダラと念仏坂のセメント道を歩く。思ったより多くの人が、この念仏坂を使って頂上から下りてきているようだ。確かに安全な道だとは思うが、自分には合わないな、と思う。この道を使うのは登山中に何かヤバイことがあった時だけだろうな、と思うのだ。
金剛山ロープウェイ前バス停に到着。少し早いが15時過ぎのバスに乗る。車内にいる人達の顔が、皆、幸せそうな顔に見える。多分、俺と同じように、次の山行きの事を考えているのだろう。
ゴトンと音がして、帰りのバスがゆっくりと動き出した。
【エピローグ】
他と比較できるほど、金剛山に登っている訳では無いのだが、タカハタ谷は今のところ、俺の中での「マイベストルート」である。前半のアドベンチックな谷筋ルートから、後半はガッツリとした山登りが堪能できる尾根ルートまで、1本で2度おいしいルートなのである。
下山の文殊尾根ルートに関しては、この感想を書いている途中に、dyunさんからコメントを頂いた。同じ日にdyunさんも文殊尾根を歩いておられたようだ。dyunさんのレポを読ませて頂くと、心に引っかかったルートは、自分の目と足を使って、しっかりと確認しておられるようだ。
自分の山行きの軸足を少し金剛山側に傾けようと思っているので、dyunさん始め、いろいろな方のレポを今後も参考にさせていただこう、と思っています。
こんにちは。
下りで念仏坂へ出られた場所は一般には寺谷ルートへの取り付きですね。
この辺り、やたらと分岐が多いわりに道標はないし、自分も同じ日に分岐を確認しながら歩きました。
レコの一部を参考にさせて頂きました。
はじめまして、コメントありがとうございます。
山行記録、拝見させて頂きました。同じ日に文殊尾根を歩かれていたのですね。当日のレポはとても参考になりました。
本当なら文殊中尾根を下りる予定が、dyunさんがおっしゃるように、けっこう分岐があるにもかかわらず道標が無いので、ほとんどヤマカンで下りました。dyunさんのレポにも書かれている通り、丸太ベンチのあるところが中尾根と東尾根の分岐だったようですね。自分は左に行ってしまいました。
文殊東尾根下山中、階段手前、もうすぐで念仏坂というところに、左に抜ける分岐がありました。なんか看板のようなものが倒れていましたが、もしかしたらあそこが寺谷ルートなのでしょうか?
今度また自分の目で確かめてみよう、と思います。
中尾根というのは知らなくて、Paperbackさんのレコを参考に追記させて頂いたのです。
中尾根を下りたら念仏坂のどこに出るんでしょうかね・・・気になります(笑
寺谷は短いルートですがなかなか楽しいですよ。是非。
正式なルート名は、あまり知らず・・・
キバラー氏が書かれている「ザ・金剛登山」というブログを参考に中尾根と書きました。文殊中尾根ルートというのが文殊尾根ルートの中でも一番メジャーなルートとのことで、これは、多分、山と高原の地図に実線で載っているルートのことではないか、と思っています。
寺谷ルート、気になりますね。じっくりと金剛山と付き合ってやろう、と思っているので、寺谷ルートは楽しみです。
昨日タカハタ谷ルートで金剛山に登ってきました。
Paperbackのレコ、参考にさせていただきました。
とてもわかりやすくて、道に迷ったり危ない目にあった
りすることもなく楽しく登ることができました。
すばらしいレコ、ありがとうございました。
お返事遅くなってすみません。
コメントありがとうございます。
拙いレコですが、参考にしていただき、感激です。
タカハタ谷は変化に富んだ良いルートですよね。
特にタコの足のように張り巡らされた木々の間のガッツリとした登り・・・
何度も立ち止まってまだかまだかと上を見上げました。
今後も宜しくお願いいたします。
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