真昼山地南部縦走 (女神山〜真昼岳〜風鞍)
- GPS
- --:--
- 距離
- 26.6km
- 登り
- 1,927m
- 下り
- 1,813m
コースタイム
22日〜 5:00 小屋出発、すずみ長根へ-7:40 小屋へ戻る-8:00出発-9:55 関根公園-10:10 自転車で入山口へ向かう-11:07 善知鳥公民館前に自転車を置いて歩く-11:37 車を停めた入山口に着く
天候 | 曇り後晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2012年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
自転車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
善知鳥口〜松阪口・・・沢沿いのルート。道ははっきりしているが、何度か渡渉がある。長靴のほうが良いが、増水していなければ登山靴でも渡れる。 松阪口〜兎平分岐〜女神山ピストン〜真昼岳・・・快適な道。 真昼岳〜音動岳〜峰越林道・・・赤倉口への分岐を過ぎると、急に藪が深くなる。高山植物帯。足元が見えにくいが、踏み跡ははっきりしている。 峰越林道〜川口県境・・・林道を越えて間もなく、姥捨山の下りは急。藪で足元が見えない上に、踏み跡も心もとない。樹林帯に入ると藪は少なくなって、足元はほとんど見える。 川口県境〜南風鞍〜風鞍・・・南風鞍山頂を過ぎると、笹薮が深くなる。風鞍への登りは明瞭。 風鞍〜七瀬林道・・・ブナ林の快適な道。尾根から林道へ下る道は藪があるが、小沢状になっていて明瞭。ただ標識などはない。 今年のG.Wには、nomoshinさんが北の羽後朝日岳から和賀岳を経て南の女神山まで大縦走をされている。そのすばらしい山旅 http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-187031.html 自然観察指導員、倉田陽一さんのブログ www.obako.or.jp/kurasan/yamagaido1index.html |
写真
感想
仙北平野から東の方角に、奥羽山脈の長い稜線の連なりが見える。北は和賀岳・白岩岳から南は真昼岳そして女神山に延びるこの長い稜線に登山道があると知ったのは、ごく最近、1年前程のことだった。ヤマケイアルパインガイド「東北の山」に、コラムで紹介されている。以来、一度は通して歩きたいなと思い続けてきた。
和賀・薬師岳や真昼岳には何度か登っているが、他は歩いたことがない。倉田陽一さんのブログを拝見しながら、薬師岳〜大甲〜甲分岐の周回、川口渓谷から水無沢分岐〜鹿ノ子山分岐〜川口県境分岐の周回、善知鳥口から向沢を経て松阪の急坂途中までピストン、そして黒森山からの風鞍往復と、下見に歩いてきた。
そんな中で思ったのは、「軽い荷物で歩きたい」ということだった。もちろん体力・体調面の理由からだが、それだけではない。これらのコースは近年刈り払いがされているとはいえ、藪をかき分けたり、木の下をしゃがんで通り抜けたりといった場面が多い。加えて、道はあまり踏み込まれておらず、落葉が積もっていて滑りやすい。スパイク付長靴を履き、両手をフリーにして軽快に歩ける状態がいいと思ったのだ。
軽い荷物、つまり日帰りでは、歩ける範囲が限られてくる。ヤマレコ上では超人的な記録を時々拝見するが、私は普通の登山愛好者、どうしても二日はかかる。一つ考えたのは、真昼岳の山頂神社まで水を背負って泊まり、翌日に荷物を置いて一気に歩き通す方法だ。そして置いた荷物は後日回収すればよい。
丸々二日間の休みがとれるなら、その方法が良いだろう。今回は二日目お昼まで帰宅する必要があったため、その方法はとれなかった。それでも、真木林道奥の休憩小屋に予め泊まる荷物を置いて、一日目で目一杯歩き、下山後の移動は二日目に回すという方法をとった。
標高の高い、北の和賀岳から南下するというのが一般的かもしれないが、そうなると車ないしはテントを下山口に置いておく必要があり、車を置いてしまうと一日目の入山が遅くなってしまう。女神山・真昼岳から北上する形なら、一日目で縦走して小屋に泊まり、二日目は移動に使うだけだからお昼までには帰宅できる。もちろん、タクシーを手配したり、あるいは近くの温泉に宿泊することにして送迎を依頼するなら簡単だ。
早朝、まず真木林道奥、和賀・薬師岳入山口にある休憩小屋に、泊まるための荷物を置く。朝の林道を戻る際は対向車との擦れ違いが心配だが、幸い一台もなかった。次に林道入口にある関根公園に自転車を置く。そして入山口の善知鳥へ。
予定より遅い出発となったが、先は長いので焦らずゆっくり歩き出す。向沢を何度か渡渉する。登山靴でも渡れないことはないが、長靴だから楽だ。沢が二股になっている、その間の尾根(松阪口)を登る。この道は深い溝状になっていて、昔はよく歩かれていたと思われる。
今日は風が強い。オホーツク海の冷たい高気圧が東風を吹かすこんな日は、太平洋側は雲に覆われているが、日本海側はカラッとした好天だ。奥羽山脈が雲をせき止めているのがよくわかる。鳥海山が雲の上に姿を見せている。風があって気温が低め、雲が多いのは、バテずに縦走する上で助かった。展望が得られないのは残念だが、それはまたの日の楽しみにしよう。
稜線上の兎平分岐からは、気持ちのいい笹原が続いている。ブナ林を経て初めての女神山だったが、ガスの中。ここからは北へ向かって縦走だ。
真昼岳山頂の神社では、年配のご夫婦が休んでいた。パンを食べているといろいろと話しかけてくる。Oさんとおっしゃる地元の方で、75歳、この夏は野口五郎岳や甲斐駒に登る予定だという。医者にガンで余命5年と言われたが、好きなことをして過ごそうと決め、今4年過ぎたとのこと。すばらしい!! 「私もガンですよ」と言って詳しい話も伺いたかったが、奥様が先に出発したのでOさんも後を追って出発した。私も食べ終えて出発したが、前方に姿が見えない。すごい健脚だ。赤倉口への分岐手前でやっと追いついて、握手を交わした。力強く、エネルギーを感じた。
赤倉分岐から先は、急に藪が深くなる。背の高い花々をかき分けて進む。音動岳に上がったあたりから雲が切れて、展望がきくようになってきた。峰越林道までの道を歩くのも私は初めて。北の又岳の姿はなかなかだし、小規模ながら高山的な景観が広がって、気持ちのいい縦走路だ。林道は現在通行止めだが、開通したらまた登山道は刈り払いがなされ、人気を呼ぶだろう。
峰越林道を越え、姥捨山の下りは急斜面だった。nomoshinさんのレコやそれに対するbtgrt180さんのコメントを読んで、今回の核心部になるかも・・と思っていたが、やはりそうだった。背の高い草で足元が見えない上に踏み跡もはっきりしない。晴れていて進行方向がわかるから良かったが、ガスっていたらかなり難儀しただろう。下りだからまだいいが、これを登るのは大変だ。この急斜面に関しては北上の形にして正解だったと言える。
樹林帯に入ると刈り払いがされた跡があるので迷う心配はない。水無沢分岐からは左へ向かうとエスケープルートとして川口渓谷に出られる。昨年秋に、車は入口で通行止めの川口渓谷を歩いて入山したことがあったが、この水無沢分岐へ登るルートは踏み込まれておらず、ややわかり辛かった。急斜面もあり、初心者の方にはお勧めできないと感じた。
道は鹿ノ子山で北西に向きを変える。川口県境は赤土の出ている広い峠だ。ここで大休止。筋疲労で膝の外側が痛くなってきているが、ここからが頑張り所だ。
再びブナ林の中に入る。南風鞍・風鞍を越えて中ノ沢岳まで行くぞという意志は持っているが、刺激の少ない地味な世界の中で言語をつかさどる脳は休眠しているかのようだ。(元々たいして働いていないけれど) 目が自動的に進行方向を追い、足がそれに向かって前に出る繰り返し。時々ふと、愛犬の名前だけが声に出る。身体がこの森に違和感なく同化してしまったかのようだ。
南風鞍山頂から風鞍に向かう道はまた藪が深い。樹林帯よりも日当りが良くて藪の生育が活発になるせいだろう。南風鞍からの下りで右足の膝外側の痛みが強くなってきた。目指す中ノ沢岳まではまだ遠い。
下りに予定していたすずみ長根は歩き易いので、暗くなっても中ノ沢岳までは行きたいと思っていたが、残念ながら諦めて風鞍から下山することに決めた。遠く霞む真昼岳・女神山からの山の重なりを振り返っても意外と感慨はなく、むしろ辿り着けなかった堂々とした姿の中ノ沢岳への稜線が目に残り、後ろ髪ひかれる思いで下りに移る。
美しいブナ林を通って黒森山への登りに入る手前で右へ折れる。深い草をかき分けて七瀬林道に出た。砂利道の長い林道歩きで足裏も痛い。痛みを抱えて歩くのは一緒だから中ノ沢岳まで行けば良かったかなと思ったりもする。
甘露水まで行って水を補給してから休憩小屋に入ると、三人パーティの方々が食事を楽しんでいた。首都圏から和賀岳のニッコウキスゲを楽しみに角館でレンタカーを借り、今日は真昼岳を登ってきたとのこと。今日の和賀岳は終日雲の中だった。明日は晴れてくれたら良いが。
翌朝も膝に痛みを感じたので無理はせず、8時までに戻ることにして、ゆっくりと甲山へのすずみ長根を登る。登山者は皆、薬師・和賀岳に向かうから、こちらは私一人だ。
今日も稜線には雲がかかり、秋田側へ流れて消えている。急登にかかる手前で引き返すことにした。座って薬師岳を眺め、目を閉じると、フッと眠くなる。魂が癒される、そんな言葉が浮かんだ。
小屋に戻ると、駐車スペースは20台程の車でいっぱいだった。大小のザックを前後に担いで林道を歩き出してからも次々と車がやってくる。この時期の和賀岳はすごい人気だ。長い林道歩きはやっぱり足裏が痛かったが、虫がほとんどいないので助かった。
真木林道入口の関根公園からは自転車漕ぎ。向かい風が強い。このレコに拍手を入れて下さる方がいるとすれば、それは50過ぎのオヤジが懸命にママチャリを漕いでいる姿を想像してのものに違いない(笑)。
善知鳥会館に自転車を置いて、今回のシメは入山口に置いた車に向かっての歩きだ。善知鳥口には他に1台の車があった。帰路、自転車とザックを回収して家路についた。
地味ながら豊かな森の連なり。峰越林道〜川口県境〜風鞍間は今後も入山者は少ないだろう。魂が癒しを求めていると感じたら、この森をただ歩いてみるのが良いかもしれない。
コメント
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もなかなかいいけど、愛犬の名を呼ぶkamadamさんもジーンとくるね。でもなんで愛犬なんだろう
本当にいい記録、読み応えありました。この日和賀に向かわれた方沢山おられたけど、そっちじゃなくて、こっちなんですね、kamadamさんの美学としては。
tooleさんの記録と合わせて、(私的には)東北ヤマレコがちょっと輝いた一日でした
kiyoshiさんとご一緒させていただいた時は愛犬の名は口に出ませんでしたが 一人でボーとしている時は出たりするんです
美学はないけどただ歩き通したかっただけで・・涼しくて助かりましたが、足が持ちませんでした
雰囲気としては大東の裏側と似ているかもしれません。藪がうるさいのは、この山域では当り前と考えた方がいいのかなと思ったりしました。踏み込まれていない道はこれから貴重になるかもしれませんね・・
kamadamさんが分水嶺の夏道を照らしてくれた
今ならもれなくkamadamさんの踏み跡がついているからチャンスですね
でも暑さに弱い僕はもう少し涼しくなってから歩いてみようかと思います
それにしても和賀岳の人気ぶりには驚かされますね。
僕も先日歩いていてその予兆は感じ取っていましたが。
和賀岳まで行って、さらに白岩岳まで延ばす大縦走を見せてくれるでしょう その時は私も車を出しますよ
低山だから秋はいいでしょうね〜
川口渓谷から入った秋の山歩きも雰囲気ありましたよ。
tooleさんもきっと気にいると思います
26キロ歩いた翌日に、真木林道を2時間掛けて下り、自転車で帰るとは…、言葉もありません。
甘露水の小屋、せっかくいい小屋なので、うまく利用したいです。
2日目も評価していただいて、ありがとうございます(笑)オヤジがんばりました
btgrt180さんは、あの姥捨山の急斜面を登られたのですね 背丈を越える草、足場もはっきりしない急斜面、大変だったろうなと拝察します。
甘露水の小屋、私は二階に寝たのですが、1〜2人用のいいスペースでした。布団もありましたよ。
kamadamさん、ごぶさたしています。
一日で凄い移動距離ですね。ママチャリ活用は、実は私も隠れ愛好家です。
東北山レコ、目が離せません!!
いやいや、nomoshinさんの3日目でしたか、峰越林道に幕営した日の距離と困難度を考えると、お恥ずかしい限り 姥捨山は岩盤になってもおかしくないような急斜面、よくあそこを登られましたね。
nomoshinさんのママチャリ活用レコ、拝見しましたよ。
ママチャリも下りだけだと最高ですがね・・
今回は林道も走れるようなやつが欲しくなりました
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