高縄山☆斎灘を望む絶好の望海山へ
愛媛県
山猫
体力度について
- GPS
- 02:42
- 距離
- 10.1km
- 登り
- 911m
- 下り
- 909m
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| 天候 | 快晴 |
|---|---|
| 過去天気図（気象庁） | 2019年12月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関：
電車 タクシー
|
| コース状況／ 危険箇所等 |
良好に整備された登山道 |
写真
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感想
松山出張の最終日、松山城からの眺める朝陽を期待して天守のある本丸広場に登るが、石鎚や東温アルプスのある東のあたりは厚く雲がかかっており、朝の太陽が雲の上に顔を出したのは7時半近くであった。しかし、朝のうちにみるみるうちに青空が広がるようになり、絶好の登山日和になりそうだ。朝から出掛けたいところではあるが昼前まで市内で用事があったので、限られた午後の時間で登山出来る山を考え、高縄山を選ぶことにした。
愛媛県は今治のあたりで瀬戸内海に大きく突き出すのだが、この半島が高縄半島と呼ばれることは果たして愛媛県以外の人にはあまり知られていないのだろうか。高縄山は云うまでもなく、この半島の由来となった山であり、半島の大部分を占める高縄山地の主峰である。
伊予北条の駅には12時少し前に到着する。駅前には真新しい居酒屋が一件あるばかりの殺風景なところであった。タクシーを予約していたので、運転手が駅前で待っていてくれる。院内の高縄山登山口と告げると運転手はすぐに了解したようだった。いくつかの大きな荷物があったのだが、有難いことに下山までタクシー会社で預かってくれることになった。
小さな神社の脇から竹林を抜けて登山道に入る。すぐにも真新しい馬頭観音の祠がある。中を覗いてみると均整のとれた馬頭観音の石仏が鎮座しておられた。
登山道には石仏の地蔵が現れる。丁石、すなわち一丁（およそ109m）おきに路傍に立てて道程の指標としたものらしい。登山道は深く削られた掘割式の古道であり、踝まで埋まる程に落ち葉が堆積している。落ち葉のほとんどはクヌギである。見上げると周囲はクヌギの大樹が目に付く。
二次林の中にはまだ紅葉がかなり残っている。愛媛県が温暖なせいかと思ったが、それとも異常ともいえる十二月に入ってからの温暖な日々のせいだろうか。桜の樹々の下にベンチが設けられた展望地からは斎（いつき）灘に浮かぶ睦月島、中島のなどの忽那（くつな）諸島の島影を大きく望む。
木漏れ日の中をのんびりと歩くつもりであったが、傾斜が全般的に緩いせいもあり、薄暗い檜の植林地に入るとついつい足が進む。最初は程よく暖かであったのだが、少し汗ばんでくると汗冷えが気になるようになる。
この山は山頂部の山毛欅の自然林の林相が綺麗だと紹介されていたのだが、山頂のかなり近くまで檜の植林が続く。やがて電波塔のある山頂手前の小ピークが近づいたあたりでようやく自然林の林が広がるようになる。登山道はこのピークの北側をトラバースしていく。
陽当たりの悪い北側斜面に入ると風も強くなり、急に寒さを感じるようになる。登山道は山頂の北側を回り込み、東側で石ヶ峠から登ってくる舗装路と合流する。まずは東側の高縄寺を訪ねてみる。山の陰に入った寺はすでに薄暗く、ひと気のない境内には寂寥とした雰囲気が漂う。境内には「cafeたかなわ」と書かれた茶店があるが、店内は真っ暗である。
高縄山の山頂に至る舗装路とは別に山毛欅の樹林の中へと続く踏み跡が目に入る。冬枯れの樹林の中を歩くと山頂直下で再び舗装路に合流する。山頂の物々しい大きな電波塔はNTTのものらしい。電波塔の西側にも小さな鉄塔があり、その前に自転車が一台、停められている。小さな鉄塔は上部まで登ることが出来るのだが、自転車の主と思しき男性は鉄塔の下でスマホを操作されているようだった。
この小さな鉄塔お陰で高縄山からは270度の眺望が約束されるようだ。南東の方角には石鎚山
西側には斎灘には海岸にご飯を盛り付けたような小さな島が目に入る。伊予北条の港のすぐ沖合の鹿島だ。斎灘の南に浮かぶ中島、睦月島から左手に島影を辿ると興居島の伊予小富士が綺麗な円錐形を見せている。北東の方角に目を向けると今治の市街の左手にしまなみ海道の白い橋桁が見えている。東側には北三方ヶ森を見たいところだが、大きなNTTの電波塔のせいで東側のみ眺望はない。
俗に望海山という呼称があるが、普段は海のない街に住んでいることもあり、この望海山というジャンルに私は目が無い方である。望海山といっても海が見えればどこでもいいという訳ではなく、その魅力は沖合に浮かぶ島々の島影によるところが多い。瀬戸内海沿岸からはどこにでも島がある訳ではなく、程よい大きさの島が集中して見られるところは意外と限られている。その点、この高縄半島の西側の斎灘はその条件を満たす海域であり、その多島美を鑑賞する望海山としてはこの高縄山は最高のロケーションのように思われる。
塔の下からはバイクの音が聞こえ、もう一人の男性が山頂にたどり着いたようだ。風も冷たいのでそろそろ引き上げることにしよう。塔の下には原付バイクが停められていた。伊予北条のタクシー会社に連絡して15時に配車を依頼する。
一般的には登りより下りの方が速度が速いので当然といえば当然なのだが、同じルートをピストン往復すると下山はかなり早く感じられる。再び植林地に入ると、もう山頂部の自然林が終わってしまうのかと些か呆気なく思う。GPSを確認すると標高は830mであった。なだらかな尾根道には両脇に柔らかな草が生えており、雰囲気は悪くない。しかし、植林地の単調な景色が続くとついつい歩行の速度が速くなりがりである。
林道を横切って尾根の下部に至ると再び厚く堆積した椚の落葉の上を歩くようになる。温暖な気候のせいだろうか、尾根の下部ではまだ紅葉の盛りのようだ。ふと上を見上げると午後のコナラやケヤキの紅葉から色鮮やかな透過光がこぼれ落ちている。
後ろからかなりの勢いで近づいてくるものの気配を感じたので、何かの獣かと思って一瞬、身構える。目に入ったのはマウンテンバイクに乗って疾駆する男性の姿であった。慌てて掘割の登山道の土手に飛び退いた。向こうも登山者を想定していなかったのだろうか。「すみません」といいながら、猛スピードで下って行かれた。
山の雰囲気が静かなだけに山中でのマウンテン・バイクとの遭遇が印象的であった。とはいえ山中をバイクや自転車を駆る人たちは登山者の少ないところを探して走るのだろうが、高縄山は山頂まで舗装路が通じているのでそちらを走ってくれる方がいいのにと思ってしまう。
登山口の院内に下るとまもなくタクシーが迎えに来る。伊予北条の駅に戻ると次の普通列車までは40分ほど待たねばならない。しかも、さらにその1時間後の特急列車に伊予三島に追いつかれることになるので、伊予三島まで2時間以上、のんびりと各駅停車の旅をする。結局、京都の自宅には6時間ほど要して帰り着くことになるのだった。
瓶ヶ森や石鎚では期待した霧氷には出遭えなかったものの、伊予の山、そして山から眺める瀬戸内海の光景を満喫した三日間であった。
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私事ですが
５年前に四国８８ヶ所の歩き遍路を終えて折角丈夫になった足を維持したいと石鎚山へ、そこで見た天狗岳の紅葉と二の森・鞍瀬の頭・堂ヶ森方面の景色に魅せられて、今度は保井野から堂ヶ森へ行きました。
堂ヶ森に着いた時間がまだ早かったのでヘロヘロになりながら二の森へ、この時に見た稜線美に魅かれて、すっかり山登りにはまってしまいました。
それで、伊予の山ばかりに登っています。(笑)
高縄山は地元の山、ややこしい山には一緒に行って貰うベテランの�気気鵑亘名鬚覆里如�遠征に行かない時は週に１度はトレーニングで登っているそうです。
山頂の展望台(NTTの鉄塔横)から見る当たり前のような景色は、見る人が見ると最高のロケーション「望海山」なんですね。
そう言われればそんな気がしてきました。
眼下には瀬戸内海、後ろを振り向けば石鎚山なんて贅沢です。
改めてもう一度見に行ってみます。
堂ヶ森は下から上がって来るとかなり峻険に思われましたが、保井野分岐からは途端に優美な笹原の稜線が広がり、景色もさることながらその印象のギャップも驚きでした。同様の驚きと感動は瓶壺から山頂部の笹原に上がった時の瓶ヶ森にも、また剣山山系の牛の背でも通じるものがありました。いわゆるツンデレの山ですね。
確かに地元の方にとっては当たり前の光景が違う地方の者にとっては驚きということがよくありますね。高縄山は山頂まで車道が通じており、しかも物々しいNTTの電波塔が立っている・・・一般的には登山意欲を削ぐ条件が整っていますね。しかし多島美を眺望するという点では瀬戸内の望海山の中では屈指の部類に入るかと思います。そういえば、燧灘には島はほとんどないんですよね。
望海山の魅力は山の高さに関係なく、山と島の地理的な関係によるのだと思います。その典型が岡山の児島半島の鷲羽山と思います。ここもおよそ登山意欲の湧かない超低山ですが景勝地として名を馳せるだけのことはあるかと思いました。問題はすぐ上を通る瀬戸大橋をどう思うかですが。
今度sea1020さんが高縄山を訪れるときのご感想を楽しみにさせていただきます。
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