高取山☆城趾と五百羅漢の山へ
- GPS
- 04:09
- 距離
- 11.2km
- 登り
- 606m
- 下り
- 607m
コースタイム
天候 | 曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2019年12月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車
|
写真
感想
この日は珍しく家内からこ高取山に行ってみたいという提案があった。朝は家内が子供達を送り出してからの出発になるので登山の開始が遅くならるを得ないのだが、この山であればショート・ハイキングに手頃なコースになりそうだ。この日は近畿の北部は天気が良くなさそうであるが、奈良のあたりは好天が期待できそうだ。朝は家を出ると早速、雨が降っている。近鉄が京都を南下すると京都の北の方は雨で真っ白であるが、生駒山や葛城山の上空では青空が広がり始める。
壺阪山駅から旧家の立ち並ぶ土佐街道を歩き始める。以前からこのあたりを土佐と呼ぶ地名の由来が気になっていたが、旧街道には町名の由来を説明する案内板が建てられている。前回訪れた時には街並みの光景ばかりが気になり、この案内板を読み落としていたのだろう。それによると大和朝廷の名により賦役のために土佐の国から呼び寄せられた人々が朝廷からの帰路の支援なく止むを得ずこの地に住み着いたものだという。唯一許された自由が町名に郷里の名を冠し、望郷の念を現すことだったらしい。
宗蓮寺までは植林地の中、舗装道路を歩くことになる。宗蓮寺の門前を過ぎて山道になると雰囲気は一変する。深く削り込まれ掘割式の古道はかつては多くの人馬が往来したことだろう。古道の道幅の広さがかつての城の栄華を物語るようだ。一升坂と名付けられた坂道はここを通るために人夫の報酬に一升の米が上乗せされたことに由来するらしいが、登山道としてはそれほど急峻なものではないだろう。
登山道が尾根を登るようになると右手の谷へとトラバース気味に入っていく踏み跡に岩屋不動と書かれた案内が目に入る。石仏には目がないので、思わず寄り道をする。谷を回り込んだところに二体の不動明王と一体の小さなお地蔵様の石仏が並んでいる。
不動尊の上にも踏み跡が続いているので、登山道に合流することを踏み跡を辿ってみることにする。しばらくすると山中に忽然と幾重もの石垣が登場する。ここも高取城の前衛の櫓の後なのだろう。石垣の遺構を過ぎるとすぐに登山道に再び合流する。ここで大きな失策をしたことに後になって気がつくのだった。
まもなく先ほどのものよりもはるかに大きく立派な石垣が行く手を遮るかのように現れる。左手から石垣を回り込むと国見櫓跡まで120mとの案内がある。「国見」という言葉が眺望を期待させるが、山中には杉の植林地が続いているので、果たしてどれほどの眺望が得られるのだろうかとあまり大きな期待をせずに踏み跡を辿る。ベンチの設けられた櫓に達すると確かに杉の植林地の中からその一角だけは眺望が開け、奈良盆地を大きく俯瞰するのだった。奈良盆地の上では青空が広がっているが、その先にある筈の京都の山々は相変わらず雲の中だ。
国見櫓からは本丸まで連綿と古い石垣の遺構の遺構が続く道を辿る。いよいよ本丸に入ると壮麗な石垣が次々と現れる。山城でありながらこれほどの城郭を築いたという点に驚きを禁じ得ない。石垣の上に城が築かれていた様はいかに壮麗であったことだろうか。石垣の上や城郭の中には随所に杉の大木が目につく。
本丸の大きな石垣の上に上がると南の方角に吉野から大峰の重畳たる山並みを眺望する。雲が低いせいで大峰の山々は雲の中だ。雲の合間からこぼれ落ちる薄明光線の筋が雲の移動とともにカーテンを引くように急速に移動して行く。この高取城の上でも風の勢いが強く、肌寒く感じられる。
城を後にすると五百羅漢へと向かう。少し歩いたところで、そういえば猿石を見かけなかったことに家内が気がつく。岩屋不動から元の登山道に戻らず、踏み跡を辿って登山道へとショートカットした為にその間にあった猿石を見損ねてしまったことに思い当たる。
五百羅漢の遊歩道へと入ると斜面の大きな岩に彫りこまれた多数の天女像に目につく。あるものは横笛を吹いたり、法螺貝を吹いたりして優美な姿である。そういえば石仏の天女はなかなか見ない。
遊歩道沿いには次々と岩に彫り込まれた石仏が現れる。この五百羅漢が家内が今回の山行の目的であった。一見、単なる岩と思って通り過ぎそうな苔むした岩にも注意深く眺めると朧げながらに石仏の輪郭が浮かび上がってくる。
帰路は壺阪寺からのハイキングコースは車道歩きが長そうなので、尾根を下ることにする。1/25,000の地図上の点線を追って植林の尾根を辿ると掘割式の古道が現れる。古道は倒木で荒れに荒れているが、倒木を避けて歩いた微かな踏み跡があるようだ。
尾根上の小ピークca340mに差し掛かると杉の植林にはオクダ山と青いスプレーで書かれた樹が何本か見られる。オクダ山と呼ばれるところなのだろうか。このピークからは北西に伸びる尾根を辿るつもりであったが、途端に尾根上に現れ始めた赤テープと明瞭な道につられて西側に伸びる尾根へと誘い込まれる。
尾根を戻ると北西の尾根にも明瞭な踏み跡が続いていた。最後は植林地の中の踏み跡を忠実に辿ると、道路との間には獣避けの柵が張り巡らされている。踏み跡の先にはフェンスの中に扉があり、道路に降り立つことができた。下山路は植林地の中のルート・ファインディングに終始することになったが、思いの外、山歩きの充足感を感じるハイキングであった。
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