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Yamareco

記録ID: 21803
全員に公開
無雪期ピークハント/縦走
白馬・鹿島槍・五竜

白馬岳 2932m

2004年07月09日(金) 〜 2004年07月10日(土)
 - 拍手

コースタイム

白馬尻―葱平―頂上宿舎―白馬山荘―頂上宿舎(泊)


天候 曇り、雷雨
過去天気図(気象庁) 2004年07月の天気図
コース状況/
危険箇所等
白馬岳(2932m) ‘04、7/9(金)〜7/12(月)

7/9(金) 千歳−松本―JR松本−白馬−猿倉−白馬尻(泊)


7/10(土)白馬尻―葱平―頂上宿舎―白馬山荘―頂上宿舎(泊)


7/119(日)頂上宿舎―葱平―白馬尻−猿倉−白馬―松本(泊)


7/12(月)ホテルー松本城―JR松本−松本空港―千歳―札幌

白馬山荘まで行ったが、雷のため引き返した。
飛行機の窓から写した雲。綺麗ではあるが大気は不安定であることを示している。上空は真っ青だ。波長の長い光は通過し、短い光は散乱するから。
飛行機の窓から写した雲。綺麗ではあるが大気は不安定であることを示している。上空は真っ青だ。波長の長い光は通過し、短い光は散乱するから。
JR大糸線白馬(はくば)駅。
JR大糸線白馬(はくば)駅。
この川の少し上流から大雪渓が始まる。雪渓の雪解け水を集めて、地響きを立てて流れていた。
「砂州貫いて大雪渓の 雪融けの
 水滔々と 地響き立てて 」
この川の少し上流から大雪渓が始まる。雪渓の雪解け水を集めて、地響きを立てて流れていた。
「砂州貫いて大雪渓の 雪融けの
 水滔々と 地響き立てて 」
オダマキ。
白馬尻付近で,キヌガサソウが最盛期だった。
白馬尻付近で,キヌガサソウが最盛期だった。
キヌガサソウのアップ。
キヌガサソウのアップ。
キヌガサソウ。
2017年07月09日 07:50撮影 by  SH-21 , OLYMPUS IMAGING CORP.
7/9 7:50
キヌガサソウ。
白馬尻でこの看板(?)が歓迎してくれる。
白馬尻でこの看板(?)が歓迎してくれる。
大雪渓を見上げる。
大雪渓は、行けども行けども、という感じ。
大雪渓は、行けども行けども、という感じ。
大雪渓を登りきった所で、振り返って見た。雪渓に人の列が続いている。
雪渓の曲線も見応えがあった。ただし、これに沿って石が転がり落ちてくるので要注意。
「のろのろと 大雪渓に 人続く
 葱平(ねぶかっぴら)より振り返り見る」
 
大雪渓を登りきった所で、振り返って見た。雪渓に人の列が続いている。
雪渓の曲線も見応えがあった。ただし、これに沿って石が転がり落ちてくるので要注意。
「のろのろと 大雪渓に 人続く
 葱平(ねぶかっぴら)より振り返り見る」
 
雪渓の上部・葱平(ねぶかっぴら)のお花畑。
雪渓の上部・葱平(ねぶかっぴら)のお花畑。
避難小屋。隣の巨石に押しつぶされそう。
避難小屋。隣の巨石に押しつぶされそう。
はるか稜線に村営頂上宿舎が見えた。
はるか稜線に村営頂上宿舎が見えた。
コバイケイソウ。「高山植物の貴婦人」と言われている。
コバイケイソウ。「高山植物の貴婦人」と言われている。
村営頂上宿舎。ガスに覆われているが、左上の尾根が縦走路で、白馬三山の杓子岳、鑓ヶ岳へ、更に行くと唐松岳、五龍岳、鹿島槍ヶ岳へと続いている。
鑓ヶ岳へ縦走して、鑓温泉を通って猿倉へ降りる予定だったが悪天候のため断念、大雪渓を降りることとなった。
村営頂上宿舎。ガスに覆われているが、左上の尾根が縦走路で、白馬三山の杓子岳、鑓ヶ岳へ、更に行くと唐松岳、五龍岳、鹿島槍ヶ岳へと続いている。
鑓ヶ岳へ縦走して、鑓温泉を通って猿倉へ降りる予定だったが悪天候のため断念、大雪渓を降りることとなった。
村営頂上宿舎の部屋。
松本城。姫路城、彦根城、犬山城とともに四つの国宝城郭のひとつ。


松本城。姫路城、彦根城、犬山城とともに四つの国宝城郭のひとつ。


松本城の濠と建物。
松本城の濠と建物。

感想

7/9(金)札幌は低い雲が垂れ込めて今にも降りだしそうだ。去年の槍ケ岳を思い出し、心は重い。飛行機が松本に近づくと、雲が切れて、入道雲が綺麗だ。松本に降り立つと、むっとする暑さだ。電車が白馬に近づくと、空が厚い雲に覆われてきた。白馬の駅前からタクシーで猿倉へ。この頃から遠くで雷が鳴りだした。
猿倉荘で白馬尻山荘への届け物を頼まれ、急に降りだすかも知れないから、その時は引き返してきなさい、との注意。雷鳴は近づいてくる様子。
道の右下の川は、水量豊富で、大地を震わすような響きが聞こえてくる。

 白馬尻大雪渓の雪融の 水滔々と地響きたてて

ほぼ予定通り7時に白馬尻山荘に着く。食堂では十数人の泊り客が夕食中だ。おそくなるので夕食はいい、と連絡していたので、すぐ部屋へ。4畳半ぐらいの1区画に1人、ゆったりと休めそうだ。途中、食べながら来たのですぐ寝る準備。
歯を磨きに外の水場に行くと、何時の間にか雨が降りだしていた。部屋に帰って身体を拭いているといきなりの雷。続いて大地が裂けるかと思うほどの雷だ。そして屋根のトタンに穴があくかと思う大粒の雨か霰か。子どもの頃の島根での夏の夕立を思い出す。
こんな雷は北海道では経験できない。
雷なのだから、明日は晴れる、と祈りつつ寝る。夜中に目が醒めてトイレへ。なんと空は一面の星、下弦の月も冴えている。シメシメともう一眠り。

7/10(土) 5時半起床。大も2回すっきり出して、朝食代わりのおにぎりを受け取って6:20出発。ゴーロの道を登ると間もなく雪渓である。踏み跡にスプーンカットがあり、雪も緩んでいるのでアイゼンはつけなくてもよさそうだ。
初めは緩やかだが、段々急になっていく。すぐ上100mぐらいの所に10人ぐらいのパーテイ、そのまた上に、小さく点々と5,6人。後ろからも点々と続いている。
斜面は急になったり、少し緩くなったり。そして上の方は何処まで続いているのか見当も付かない。耐えて、一歩一歩、黙々と、である。さすが日本三大雪渓の1つである。
左側の崖では石が転がり落ちている。そう云えば雪渓のいたる所、大小の石がゴロゴロしている。落石に注意である。ストックにもたれて小休止。座れないのが辛いところだ。
雪渓の終点らしい所が見えて来た。
上から冷たい風が吹き降りて来る。登りなのに、汗は全くかかない。
8:45 雪渓の終点へ。土を踏んでホッとする。振り返れば、右から枝雪渓が颯爽たる曲線を描いて合流している。本流は遥か麓まで、そしてそのほぼ中央に1本の線、それに沿って人が続々と登ってくる。

 のろのろと人影続く大雪渓 ねぶかっ平より振り返り見る

朝は晴れていたのに曇ってきて、上の方はガスがかかってきた。
葱平の急なガラ場を喘いで、小雪渓をトラバース、非難小屋があって、少し登ると、遥か上の尾根に頂上宿舎が見える。
道端に咲く綺麗な花々を愛でながら一頑張りで頂上宿舎に着く。
部屋は2階に上がってすぐ「浅間」だ。
部屋の中は、通路を挟んで両側に12ずつの布団、それが上下2段、計48。
1つの布団は幅が広く、小さな枕が3つずつ置いてある。
混む時には、1つの布団に3人ずつ詰められるようだ。今週末の3連休はそのようになるらしい。
部屋には2人連れの若者と外に若者1人、全く空いている。
布団を拡げて、背筋を伸ばす。頭が少し重い。脈拍も少し速い。軽い高山病か。
去年、槍や穂高に行った時は、3000mを越えても何でもなかった。ここはまだせいぜい2800mだからそんなはずはないのだが、身体だだるく余り動きたくない。
今日は、あと頂上まで往復するだけ、空身だから1時間半で十分だ。少し休もう。
結果的にはこの2時間がいけなかったのだ。
13:30頂上目指して出発。なんとした事だ、上の白馬山荘への中間点ぐらいで、いきなりの雷、同時に大粒の雨。凸部を避け、凹部に伏せる。雷の合間を縫って前進、伏せて、また前進。やっと白馬山荘に到着。玄関で雨宿りさせてもらう。
玄関には大きな薪ストーブが据えられ、宿泊客が受付をしたり、濡れた雨具を干したりで、混雑している。
少し気が引けたが、僕も雨具とザックカバーを干しながら、待機させてもらう。
去年槍に登った時は、雨具の防水性能が落ちていて、下まで濡れて大変だった。あの後自分で防水加工したので、今回はその点は大丈夫だ。
1時間ぐらいも待ったろうか、雷は遠のいて、雨も小降りになった。出発しようか。外に出てみると、下から黒い雲が湧き上がっている。山荘の人に聞くと「保障は出来ない」と。
あと標高差100m、普通に登って15分だが、諦め、明朝の再チャレンジを期し、頂上宿舎へ降りて行った。(白馬山荘の方が頂上宿舎より頂上に近い)
夕食まで、隣接のレストラン兼休憩所で雨具を干しながら、陽太郎と結梨にはがきを書いて投函。
夕食はバイキング(これがこの山荘の自慢)、しかし食欲は余り無い。
宿泊客は50人ぐらいだ。ちなみに、白馬山荘は300人ぐらいらしい。
部屋に帰り、今日は汗もかかなかったので、着たきり雀で布団にもぐる。
夜中に目が醒めてトイレへ。外は相変わらずの雨だ。

7/19(日) 5時に目が醒めるまで、昨夜8時から、こんなに眠ったのは珍しい。
頭はまだ少し重い。雨が激しく窓を叩いている。その上、今日は朝から雷だ。これでは、頂上も縦走も諦めざるを得ない。
同室の若者2人はこの嵐の中、大きなザックを背負って出て行った。
もう1人の若者は、予定は僕と同じ、杓子、鑓、鑓温泉を縦走して猿倉へ、だったが、変更して、大雪渓を下ると言う。僕も荷物を持って玄関へ。
館内放送で、これから食堂のテレビで天気予報が入る、と。今更天気予報を見ても仕様がない。頭が重いのと雷を考えると、早く低い所に行きたいのだ。
時々、雷が鳴り、雨もだが、かぜが強い。しっかり踏ん張らないと、突風に煽られそうだ。でも下りは早い。間もなく、小雪渓へ。雪の様子が昨日とは違う。表面が凍ってすべすべだ。降った雨が、強風で熱を奪われて凍ったのだろう。これは要注意だ。然も風は上から吹き降ろしている。軽アイゼンは持っていたが、役に立ちそうに無いのでつけない。
ストックを谷側にしっかり突き刺し、凹部を辿り、足場がしっかりしない所は四つん這いだ。何とか渡りきって一安心。この分だと大雪渓も心配だ。
今日はさすがに登ってくる人は少ない。すれ違ったのは2人だけだ。この向かい風の嵐の中、全く尊敬に値する。大雪渓の長いトレース上にも、人影は3つしか見えない。
いよいよ大雪渓である。雪は? 標高が下がったのに小雪渓と余り変わらない。
ツルツルだ。傾斜が緩くて、滑落ということはないから、この点は気が楽だが。
此処も、ストックを突き刺し1歩1歩慎重に。
雪渓にほぼ同時に降り立った若者、アイゼンの爪を雪面に食い込ませながら悠々と下って行く。瞬く間に、遥か下の方に小さく見える。アイゼンの威力だ。この次は絶対あれだ。軽アイゼンでなく、8本歯のがっちりしたやつだ。
中年の男性2人、女性1人とすれ違う。初心者だろう、アイゼン無しで、滑ってふらふらしている。上の小雪渓が心配だ。
雨が止み、風も弱まった。雪も上よりは緩んで、少しは歩き易くなってきた。
白馬尻山荘到着。次の猿倉発のバス時刻を確認して、小休止。
弱いながら日も射してきた。結果的には、出発を後らせた方がよかったようだ。
山荘を出ると間もなく、道端に、キヌガサソウが咲いていた。
5人、10人、2人・・・といくつかのパーテイとすれ違う。みんな嵐が止むのを待っていたのだ。猿倉の駐車場の前を通る。車がざっと数えて50台、今日降りる人、今朝登って行った人たちの車だろう。猿倉荘に着いて、小休止。
猿倉発のバス時刻を確認して、小休止。
猿倉発のバスは定刻10:15に出発。
すぐ後ろの座席に座った若者は、昨夜は白馬山荘に泊まり、6時半に出て、ヒヤヒヤしながら頂上にタッチだけして、こっちに降りてきた、と。25分で白馬到着。
次の松本行き12:30まで2時間弱。お土産を買ってしまおう。
2時間で松本到着。バス停で聞くと、明日は、美ヶ原行きのバスはない、と。
明日は、松本城だけ見学しよう。
ホテルに落ち着き、2日分の汗を流し、脚を揉む。
部屋に荷物を拡げて乾かす。ザックカバーを、昨日白馬山荘で干していた時、誰かに間違って持って行かれたため、今朝の雨でザックの中まで濡れたのだ。
朝から大が出ていないのでゆっくり踏ん張る。
すっきりした所で、買ってきた食料を摘みながら、地図を拡げて今回の山行を振りかえる。
頂上を踏めなかったのは残念だ。僕の迂闊さからだ。夏の午後、本州の山では雷があるのは常識なのだ。少し体がだるいからといってぐずぐずしていたのがいけなかったのだ。
結果論だが頂上宿舎に着いて、すぐ山頂往復すればよかったのだ。
今回は、大雪渓を登ったことで良しとし、何時か、栂池から縦走してみよう。

7/12(月) 9:30ホテルを出てバス停へ。切符売り場で聞くと、美ヶ原温泉行きに乗って市役所前で降りなさい、と。100円の切符を買ってバスに乗る。ところが、停車ボタンを押すこと、全く頭になく、気が付いたら市役所前を通過してしまった。次のバス停から歩くか? 昨日、凍った雪渓を、踏ん張りながら降りたので、脚は筋肉痛だ。このまま美ヶ原温泉まで行ってみよう。バスは美ヶ原温泉らしき所を廻って、松本へ戻るという。
そのまま乗って、市役所入り口というバス停で降りる。運転手さんに事情を話すと、用事を足さなかったのなら100円でいい、と。
そんなものかなあと、得をしたような気分で松本城へ。
時間をロスしたが、空港行きバスは12:50、ゆっくり城を見学。立派な城だ。
空港での検査だが、コルセットを着けていたので、入念に調べられた。登山靴も脱がされ、時間に余裕がなかったら大変だ。
飛行機は客席5列の小型機で結構混んでいる。予定通り1時間15分で千歳へ。
東京から、最終便で帰ることが多いが、この時間だと、身体は楽だ。

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コメント

拍手有難うございます。
流石に日本3大雪渓の1つ、登り甲斐がありました。泊まる予定の頂上山荘(「頂上」と名がついているが「白馬山荘」より少し下にある)には昼前に着いたが、ぐずぐずしていて山頂への出発が遅れて、途中雷・大雨に逢いやっとの思いで白馬山荘に着いて、雨宿り、雷はおさまったが空模様は依然怪しい。しばらく様子を見ていたが、大事をとって、あと200mだったが、登頂は諦めて「頂上山荘」へ引き返した。次の日にと思っていたが、翌朝は強い風雨で、結局登頂は諦め、大雪渓を下って行った。あと少しの所で頂上を踏むことができず、悔いの残った山である。
2017/8/24 21:44
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