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Yamareco

記録ID: 2325585
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沢登り
奥多摩・高尾

「ワサビ沢」を遡行。シドケが原で白花延齢草を愛でる

2006年05月02日(火) [日帰り]
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tanigawa その他1人
GPS
--:--
距離
7.1km
登り
244m
下り
340m
天候 晴れ。
過去天気図(気象庁) 2006年05月の天気図
アクセス
利用交通機関:
電車
奥多摩は山菜の、沢がおもしろい。小規模の沢は、ゆったりあそべます。ワサビとシドケが群落をつくる。
2006年05月04日 11:50撮影 by  Canon EOS 20D, Canon
1
5/4 11:50
奥多摩は山菜の、沢がおもしろい。小規模の沢は、ゆったりあそべます。ワサビとシドケが群落をつくる。
春は登山道よりも、やさしい沢が楽しめる。
2006年05月04日 12:02撮影 by  Canon EOS 20D, Canon
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春は登山道よりも、やさしい沢が楽しめる。
軽い難所をやり過ごすだけで、人に会わない、静かな探索ができます。
2006年05月04日 12:12撮影 by  Canon EOS 20D, Canon
5/4 12:12
軽い難所をやり過ごすだけで、人に会わない、静かな探索ができます。
シロバナのエンレイソウの群落。
2006年05月04日 12:34撮影 by  Canon EOS 20D, Canon
5/4 12:34
シロバナのエンレイソウの群落。
撮影機器:

感想


 春の連休の1日を使って、ガイドブックに記録のない、奥多摩の沢を登ってきま した。
 遡行の対象になっていない沢だからでしょうか。小さな沢ではないのに、名前がき ちんと付いていません。私は、「ワサビ沢」という愛称で呼んできました。
 このワサビ沢の沢の源頭は、山道を経由して入ることができ、花と野草が種類が豊富な とっておきの場所です。私は、春から初秋にかけての花の撮影で、何度も通ってきまし た。源頭部には、野生化したワサビや、シドケなどが密度濃く生育 しています。シドケは関東をふくめて、あまり知られていない山菜のため、この沢に 山菜をもとめて入る人はほとんどいません。山道から見ると、ヤブがものすごい沢の ため、沢を歩く人でも尻込みしてしまうせいもあるかもしれません。

 
 このワサビ沢を遡行するには、林道を使って標高500メートル余りの 場所から入渓することができます。源頭の山道まで、行程は正味約3時間。下りは山腹を たどる山道を1時間余り下降して、取り付き点にもどります。
 この沢についての情報はほとんどありませんが、地図から大きな滝やむずかしい淵 はないと想定できたので、カミさんと2人で挑戦することにしました。
 2人で沢に入るのは、一昨年夏の、上越・朝日岳のナルミズ沢いらいのこと。今回は ザイルは不要ですが、沢遡行の足固めはしっかり行い、ヘルメットやシュリンゲもいざ という場所では使用する用意をしてきました。


  人が入った形跡があったのは、下流部にあるワサビ田までの間でした。この区間は 水流幅が4メートルから5メートルくらい。どうもこの沢は、渓流魚がいないために、釣 り人も入り込まない様子です。淵や小滝を高まきする場所でも、踏み跡の形跡がまったく なし。浮石だらけの高まきや、ヤブが連続し、中流部のV字谷では、足場に苦労させられ ました。それがまた、ちょっと新鮮。冒険心をそそられました。

 その上部で水流幅が3メートルから2メートルほどに小さくなってくると、今度 は高まきの場合も、沢床をすすむ場合も、密生したヤブをこぐことになります。野 イバラのほか、クマイチゴの豪壮なヤブは手ごわく、下半身はトゲあとだらけにな りました。私は中型ザックにしっかり装備とカメラ用品を運んできたので、斜めに 這うクマイチゴの強靭な、トゲだらけの枝に、何度もザックがつっかえて、難儀し ました。

 中流部まできても、ずいぶん昔に放棄され、河原状となった小さなワサビ田跡がと ころどころにあります。両側からヤブで狭められてまっているものの、ワサビの小さ な葉や株が点在していました。
 この沢は、田の跡形もない源頭部にまでワサビが生育しています。おそ らく、昔の人がこの沢の相当な源頭部にまで、後々の開拓の用意も 考えて、ワサビの苗を移植していたのでしょう。苗を要所に植えつけておけば、あとで ワサビ田を設ける際にも、苗の確保が楽なはずです。ワサビの種子が自分で沢を登るはずがないこと を考えると、この沢の源頭部にまで野生化したワサビが生き抜いてきた理由は、このこと以外 に考えられません。ともかく、自然に生息してきたワサビが生育しているにしては、 ここ「ワサビ沢」の野生ワサビの生息密度は、濃すぎます。


 大石が堆積する地帯をなんどか抜けながら、高度を上げていくと、水流幅は2 メートル前後に細くなり、源頭が近づいたことを教えてくれます。

 そこまで登りあがったところで、小広い沢床に上がりつきました。シロバナノ エンレイソウが幾つもの群落をつくって、咲き競っていました。カンアオイ、山 菜のシドケ(モミジガサ)、そして野生化したワサビも、人知れずという言葉が そのままに、沢床の一角にいっぱい群生していました。
 日はまだ高い春の午後です。私たちは、エンレイソウの花の傍ら でザックを背からおろし、あたりの眺めを楽しんだあと、こんどは ゆっくりと撮影にひたりました。


 同じ一帯にワサビとシドケが、こんなにもたくさん共生しているのを見ると、こ の2つの山菜は、生息条件がとっても似ているのだなと感じさせられました。水辺 や時に流水が洗うような場所にはワサビが、そして沢床から駆け上がるような急斜面 にはシドケが、ともに生き抜いていました。
 この沢には、ヨブスマソウの1種も、けっこう濃く分布しています。奥多摩の 手付かずの自然の生態が、いまも残されている一帯といえるでしょう。
 期待を超えるほどの、その美しい沢床を後にして、さらに30分ほどの 遡行とヤブこぎを続けて、私たちは目的の源頭部にたどりつきました。3時間半 の行動時間でした。
 下降する山道では、ウワミズザクラ、卯の花、スミレ(マンジョリカ)、稚児百合 などの花を眺め、はるか下方にたどってきたワサビ沢の谷を見下ろして、穏やかな 春の奥多摩の雰囲気に包まれて、歩いてきました。

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