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Yamareco

記録ID: 23961
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山滑走
札幌近郊

無意根山スキー 新雪・深雪 <43>

1975年12月23日(火) 〜 1975年12月24日(水)
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tanigawa その他1人
GPS
32:00
距離
40.3km
登り
2,032m
下り
1,219m

コースタイム

23日 札幌(12:30)バス→定山渓(13:35〜13:45)バス→薄別登山口(13:55〜
14:25)→電光坂の取付き(16:40)→無意根尻小屋(18:15)
24日 小屋(7:40)→無意根山(9:55〜10:25)→小屋(12:15〜14:20)→電光
坂下(15:00)→薄別(15:55)→定山渓(17:10)バス→札幌
天候 降雪、晴れ、地吹雪
アクセス
コース状況/
危険箇所等
 スキーはゲレンデで滑ったこともなく、10日前に空沼岳へ出かけたのが初体験。そんな経験のまま無意根山へ向かった。

 板は、寮のなかで見付けた木製のゲレンデ・スキーを廃物利用し、絞め具はあまり聞いたことのない国産メーカーが作った「和製ジルベレッタ」。ワイヤーで絞め、かかとがちゃんと上がるものだが、耐久性に難があり、後で春香山でえらい目にあうことになった。

 23日午後、今日は無意根の小屋までという気楽な気分で、薄別登山口でバスを下りた。林道をスキーでゆっくり登高する。と、上から札幌の労山のパーティーが軽快にスキーに乗って滑降してきた。積雪は30センチほどしかないし、そのトレースを使って、ピッチをあげて小屋をめざす。

 途中、電光坂の登りで日没となり、積雪が1メートルを超した薄暗い中を、スノーブリッジを一つ越して、夕暮れの無意根尻小屋に着いた。小屋の大きな薪ストーブがありがたい。

 24日、朝はゆっくり小屋を出発。積雪は小屋付近で130センチくらいか。本来はシャンツェの尾根を左からまいて、尾根に取付き、稜線をめざすのがスキーのコースだが、われわれはルートに不慣れで夏道を途中まで登った。傾斜が増してくると雪崩が怖いので、早めに尾根へ直上する。2度とこのルートは冬には使いたくない。(小屋からいったんシャンツェの尾根を南東からまいて、尾根の南から上がるのが正規のルートと後で知った。)

 尾根に出ると積雪はとても深くて、雪が粉雪で、ラッセルが重かった。稜線まで上がると、表面が固くしまり、シュカブラにおおわれた雪原となる。雪が飛ばされてくるが、視界はある。ほどほどに強い風が西側から吹き付けてくる。

 山頂からは、3度目の登頂で、初めて後志羊蹄山が見えた。小樽から積丹、岩内へと連なる海岸線も、くっきりと見えた。

 さて、問題の下降だ。固くデコボコした頂上稜線の下降は、おっかなびっくり緩やかな雪原を移動する。そしていよいよシャンツェの尾根への下降。粉雪の膨大な堆積の斜面にまっすぐ突っ込んで行く。膝まで雪に埋まってしまうし、脚をボーゲン風に開いているので、スピードはほどほどだが、脚を並べるとぐんと加速し、片足だけが雪の深みに沈んだと思った瞬間、バランスを崩して転倒した。吾妻君はと見ると、前方で彼が転んだと思ったら、完全に雪の中に体が埋まって姿が見えない。以後、互いの転び方を笑いあったり、吾妻君の豪快な滑りに感心したり……。

 尾根の途中で見まわしたら、定山渓天狗岳が青い空に映えて、なかなかの眺めだった。

 途中から、なんとかボーゲンをマスターできて、転ぶのだけは避けながらゆっくり楽しんで下降。こんどは、尾根の末端の冬コースをたどって、小屋へと戻った。

 昼ご飯を食べ、長く休んで、薄別へ4キロメートル余りの下降。キタキツネが電光坂でお菓子をねだってきた。

 林道に出ても、まだ3キロ近い林道滑降が待っている。ここではカーブでだけボーゲンで制動をかけながら、スピード感も味わいつつ、一度も転ばずに薄別の国道までたどりついた。

 シャンツェの尾根の、あのふわふわと柔らかい雪の中での、どんな滑降で転んでもちっとも痛くない滑りと転倒が忘れられない登山となった。
http://trace.kinokoyama.net/hokkaido/muine-ski75.12.htm
無意根山の山頂で、吾妻君(左)と
無意根山の山頂で、吾妻君(左)と
シャンツェの尾根を登り、稜線の大斜面を上に見て
シャンツェの尾根を登り、稜線の大斜面を上に見て
山頂を後に、まず広い稜線を下降。西に後志羊蹄山が見え隠れしていた
山頂を後に、まず広い稜線を下降。西に後志羊蹄山が見え隠れしていた
無意根山のシャンツェの東尾根の下降。前方に定山渓天狗山
無意根山のシャンツェの東尾根の下降。前方に定山渓天狗山
電光坂を下降する私。これは2年後のツアーで
電光坂を下降する私。これは2年後のツアーで
小屋の手前の、スノーブリッジを行く。これも2年後の山行で
小屋の手前の、スノーブリッジを行く。これも2年後の山行で

感想

その後、無意根山にはスキーで何度か滑りにいった。朝日を浴びたシャンツェの尾根にとり つくときの、うれしい気持ち。太い薪が暖かく燃える小屋。頂上稜線の烈風とシュカブラ。この 山は、スキーで訪れてこそ、楽しめる山と思う。

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