鳥海山――心字雪渓と静寂の草原
- GPS
- --:--
- 距離
- 16.0km
- 登り
- 1,418m
- 下り
- 1,400m
コースタイム
小屋手前の車道終点(6時51分着、7時26分発)
→滝ノ小屋(7時39分)→河原宿小屋(8時12分)→心字雪渓下部
(8時19分着、食、同39分発)→外輪山の稜線・伏拝岳の西側鞍部
→伏拝岳の分岐・アザミ坂下降点(9時56分着、10時02分発)→
行者岳の分岐点(10時22分)→御本社→鳥海山・新山山頂(10時
39分着、同52分発)
御本社小屋(11時02分着、同05分発)→千蛇谷→七五三掛(11
時51分、食)→小田ヶ原(12時23分)→鳥海湖・大平道との分岐
(12時41分)→千畳ヶ原・万助道との分岐(13時12分)→草
原・湿原の中をトラバース→河原宿(14時13分着、同20分発)→
滝ノ小屋→車道終点・登山口(15時02分着、同10分発)
→酒田IC→山形道・東北道→福島市(18時45分着)
天候 | うす曇 |
---|---|
アクセス | |
コース状況/ 危険箇所等 |
郷里の福島市からの往復で鳥海山に登ってきました。日本海からせりあがる、のびやかな山容、豊富な残雪と花、何より東北地方で2番めに高く、飛行機からは何度か姿を眺めていた鳥海山。憧れの山の一つです。 鳥海山の登山口は、西側の 1)象潟口の鉾立(1120メートル)と、 2)吹浦口の大平(1100メートル) がよく使われています。 私は、山頂へ南側から登る、 3)湯ノ台口を選びました。 標高1284メートルの滝ノ小屋近くまで車道が伸びていて、山頂に一番近いことと、「心字雪渓」の登高が目当てでした。 |
写真
感想
8月5日、福島市を朝3時30分に出発、東北道・山形道を走りました。酒田市からは、国道7号と344号を通り、湯ノ台温泉(鳥海山荘)を経由して、車道終点まで上がりました(6時51分着)。すでに20台ほどの車が、車道の脇に停めてあります。200メートルほどもどったところには、30台分ほどの駐車場もありました。
7時28分、出発。登りだしてすぐの沢を架設の橋で渡り、10分足らずで、滝ノ小屋に出ました。車道を上がってくる途中、立派な滝(白糸の滝?)が左手に見えました。小屋は、その名前をとったのでしょうか。石と太い角材を使った、なかなか雰囲気のいい造りです。 標高は、1284メートル。もう6合めまで来てしまいました。周囲は、灌木と根曲がり竹などが密生し、すでに高山帯の景観です。
滝ノ小屋からは、湯ノ台口からの歴史のある登山道と合流し、八丁坂 の急登にかかります。坂の登り口で登山道が二股になっており、私は右手の沢沿いコースが花が多いと予想して、右折を選びました。すぐに水勢が強い沢のそばに出て、小さな雪渓脇を登るようになりました。草むらには、ニッコウキスゲが今季2輪めの花に移行しだしたところ。この花の色は、ほんとうに鮮やかな、美しい黄色です。ハクサンフウロも現れてきました。
沢を離れ、左手に回り込むと、火山岩が敷きつめられた原っぱを登るようになり、先に分かれた登山道と合流します。急登をひと登り。見上げると、上部の外輪山の雲が晴れて、緑色の稜線が見えはじめました。山肌に、幾筋もの雪渓が白く光っています。
高台に登りきると、高原のような空間に出ました。沢のほとりに立つのが、河原宿の小屋(1555メートル、7合目)です。石ころだらけの河原地形の両岸は、草むらになっていて、ここにもニッコウキスゲが群生しています。
前方に心地雪渓と思える大きな雪田が見えます。この雪渓登りを楽しみしてきたので、そのまま河原を縦断して、雪渓の下部まで進みました。
8時19分、心字雪渓(下部の大雪渓)着。
30人ほどの登山者が休んでいました。私は、家から大事に持ってきた大きな桃を、雪渓の雪解け水にひたしました。上部の雪渓と稜線は、雲の中に見え隠れしています。おにぎりを頬張りながら、大雪渓を前景にして、何度もカメラのシャッターを切りました。桃が冷えると、つぎはこれにかぶりつきました。甘くて、冷たくて、外輪山まで上がる元気をもらった気がしました。
8時39分、先行する登山者を追って、私も雪渓の登高にかかりました。最初は心字雪渓のうちの「大雪渓」と呼ばれる斜面です。雪は、沢筋ではなく、山肌にはりつくように残っていて、形状からすれば雪渓というよりも雪田です。大きさは、下部の部分で、長さ500メートル、幅100メートルほどでしょうか。「大雪渓」と呼ばれるのは、上部の「小雪渓」と区別しての名称になります。斜度は15度くらいで、軽くキックステップしてすすみました。
この下部の雪渓が尽きたところは、沢型の地形になっていて、左手から雪解け水が勢いよく流れ落ちていました。雪渓はかろうじて上につながって、左手上部の、別の雪田(2番めの雪田)へと伸びています。私は、ここで雪渓を離れ、正面方向にすすみ、地面にのって踏み跡を登っていきました。
2番めの雪田は、長さ200メートルほど。その雪田を左に見ながら登っていくと、踏み跡は次第に分かれ、切れ切れになり、流水が草の急斜面を流れ落ちるような場所に出ました。このあたり、湿生の高山植物が群生し、ミヤマキンポウゲやヨツバシオガマが目立ちます。
前方を見上げると、ガスでかすむなかを、子どもが大勢いる20人ほどのパーティーが登って行きます。他に明瞭な踏み跡が見当たらなかったので、私も、踏み跡を拾って、その後方に着きました。
ガスが切れたところで周囲を見渡すと、途中、私が追い抜いてきた2人パーティーが、100メートルほど右手(東側)の細い雪渓を登っているのが見えます。斜度もあって、魅力的な雪渓です。「あれれっ! あれが小雪渓で、アザミ坂の正規のルートなのかもしれない?」。前を行くパーティーの最後尾を行くリーダーらしき人に聞くと、私がいますすんでいるのは、やはり迂回ルートなんだとのこと。
「アザミ坂はきついので、外輪山の左側(西側)へ、少し回り込んでいるんです」。
最短ルートをはずれて、少し遠回りすることになり、がっかりしました。それに、アザミ坂で、チョウカイアザミなどいろんな種類のアザミを見るのも楽しみだったのです。けれど、「いま登っていくルートだって、外輪山をそれだけ長くたどることができる」と、気を取り直しました。
前を行くパーティーは、おそろしくスローペースです。子どもたちはめいめいに疲れたと言っては、しょっちゅう立ち止まります。申し訳ないけれど、先へ抜かせてもらってすすむと、すぐ前にも同じグループの子ども連れの大パーティーが、これまたゆっくり登って行きます。全体では3グループ、60人ほども、いるでしょうか。
外輪山に出て、周回ルートに入ると、伏拝岳の登りの小さな岩場で、大渋滞。いやはや、まいった。聞いてみると、山頂を経ての午後の下山は、アザミ坂から、滝ノ小屋へとか。先生と思われる皆さんや引率の方々、ご苦労様です。
9時56分、伏拝岳の頂上近くにある分岐点(アザミ坂方面との分岐)に着きました。霧が少し晴れて、岩が累々と積み重なった頂が目の前に現れました。新山山頂です。
岩は、縦に亀裂が入っていたり、並び立っているものが多くて、異様な感じ。なんだか、重力的に不安定な高まりに見えて、あの上に立つのはちょっと怖いような気さえします。
右手には、七高山のこれまた岩の頂が並んでいます。山体が崩壊して残った断層面には、噴火のたびに堆積した地層が、数えられました。
新山と、私が立っている同じ外輪山との間は、深い谷になっていて、「千蛇谷」という名前がつけられています。あとで下降のときに、この谷から見上げたら、外輪山の稜線そのものが、「崩壊しつつある崖の上の、束の間のてっぺん」といったところでした。
続きは以下に。
http://trace.kinokoyama.net/touhoku/chokai2001.htm
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