利尻山東北稜(厳冬期)



- GPS
- 56:00
- 距離
- 16.5km
- 登り
- 1,708m
- 下り
- 1,705m
コースタイム
9:18 10m,アフトロマナイ林道発
11:20 300m,尾根取り付き
14:00 •1003コル着
16:20 コル南斜面に雪洞幕営C1
12/30(日)
5:00 C1発
6:54-7:44 1320m,懸垂ポイント誤り
8:31-9:29 1500m,門登攀
10:00 1550m,窓岩雪庇崩壊し滑落
13:15 1550m,救助終了
15:30-15:42 1720m,利尻山ピーク
17:07 1230m,長官小屋C2
12/31(月)
5:47 C2発
9:10 210m,野営場
9:45 50m,林道除雪終点
10:15 フェリーターミナル
天候 | 12/29 晴れ 12/30 曇り、風あり夕方から強くなる。 12/31 曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2012年12月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス 自家用車
船
|
コース状況/ 危険箇所等 |
東北稜入山は、フェリーターミナル前から出ているバスを利用してアフトロマナイ林道の入り口がある「石崎」で降ります。アフトロマナイ川工事のため標高150-200mほどまで除雪が入っています。タクシー通行可。 取り付き尾根までは笹ブッシュもさほど気にならない。雪の状態は良かった。 長官小屋は二階が出ていて分かります。 |
写真
感想
北海道の山を楽しんでいる身として、何となく目標としていたことがある。それは雪のある利尻のバリエーションルートを越えて頂上に立つということであった。12'年末機会が巡り東北稜から挑戦した。厳冬期の利尻そう甘くはなかった。
12/28
先輩が迎えにきてくれて夜遅くに札幌を出発した。すぐ日が変わり、徹夜運転となる。
12/29
高速を使うが、吹雪と睡魔がやばい、途中休憩を入れながら交代で慎重に運転した。もし事故を起こせばその時点で利尻への挑戦権が剥奪されるのでヒヤヒヤする。なんとか夜通し運転で6:50発のフェリーの一時間前に稚内に着き、一便に間に合った。フェリー乗り場でパッキング。年末意外に乗船客が多い、帰省客のようだ。今から山に向かうと聞くと皆びっくりしていた。29日の予報では、30-1/1まで吹雪の予報だったので、こんな日に山に入るなんて考えられないだろう。僕も考えたくない。しかし、時間は限られているのでとりあえず入山するしかない。後のことは、山に入ってから考えて判断することにする。
フェリーは結構揺れるが、移動の疲れで船内では爆睡した。フェリーターミナル前から出ているバスに乗る。ここでも多くの島民が心配してくれた。手話で心配してくれたおばあちゃんが印象的。アフトロマナイ林道の入り口がある「石崎」で下車。780円也。アフトロマナイ川の工事のため尾根取り付きまでの林道半分くらい除雪が入っていた。僕らに遅れて除雪終点で一台のタクシーに乗った男女2人組が現れた。彼らも東北稜から利尻を目指すそうだ。なんか頼もしい助っ人というか仲間を得たようだ。まぁ後にとても重要人物になったわけだが。林道途中では明日からの悪天予報で東稜を引き返し下山してきた2パーティとすれ違った。撤退を決めたパーティといまから入山する我々...。なんか複雑な気分である。
C300で右岸林道から尾根に取り付いた。わかんラッセルはすね程度で雪の状態は良く快適に高度をあげれた。•726からはどーんと格好いい利尻が現れた。少しガスはかかっていたが、青空にギザギザな稜線と岩壁が映える。まるで海外の山に来ているみたいだ。後続パーティと交代しながらラッセルしたのでこの日はいっきに•1003コルまであげた。コルの南側の雪庇に大きな雪洞を掘った。海と山を見渡せる最高のロケーションの幕営となった。
12/30
下界で見た予報だと吹雪であったが、少なくとも午前中は天気がもちそうだったので早起きしてヘッドライトをつけて出発。•1003からすぐに稜線は細くなる。コルでてすぐのポコは左巻き。ヘッドライトと少しの月明かりが頼りなのであまりルートが把握できない。上を行けそうもないリッジは、巻いたが足下がよく見えなず急に段差が出てきたりするのでとても緊張した。
C1320
まだ暗い。尾根が突然切れて、崖に見えたので懸垂の準備をすることにした。支点のブッシュを掘り出し、ロープの準備をしている頃にようやく明るくなってきた。そこで、少し先を覗いてみるとなんと見えていなかった尾根が続いていた。暗くて雪と尾根の境界がはっきりしていなかったのだ。懸垂は全く必要なかった。むしろ暗いうちに降りてしまったら大変なことになっていただろう。ここで一時間弱のロス。後続パーティも追いついた。
C1500
東北稜唯一の登攀ポイント通称「門」に到着。壁が前に立ちはだかる。その上にローソク岩も微かに見えた。シングルの50mロープ1pitch。パートナーの先輩がリードしてくれた。ルンゼ状のところをダブルアックスで登る。一部アイスになっていた。ランナーはブッシュで3カ所くらいとったはず。登り切ってコルになったところで腰がらみビレイをしてくれた。
C1520
ローソク岩。左巻き。そろそろ例の懸垂ポイントだな。視界はあまりない。
C1550
両面雪庇のナイフリッジ。懸垂ポイントまだかな、とズルズルとここまで来た。尾根上はまだ続いている。僕らは懸垂ポイント先は、そこで尾根がなくなり切れていて、懸垂しないと先に進めないものだと思っていた。なので両面雪庇のナイフリッジも危険すぎるが、越えなくては懸垂ポイントにたどり着かないと思っていた。
ここで初めてロープを使う。ロープシングルで僕が確保しながら、先輩がナイフリッジを行く。僕はリッジから少し下がった一応?安定していそうな所、後ろにさがってビレイ。後続パーティーは何やら下で懸垂していた。本当はあそこなのかなぁ、おかしいなぁーと思っていた所、いきなりロープにもの凄いテンションがかかった。先輩が雪庇から落ちたのが容易に予想できた。これは現実か、夢か。必死で止める。ロープが雪に食い込みいい感じに緩衝剤となった。しばらくして大声で叫んでみるが全く応答はない。残ったロープを見ると30mくらい落ちたようだ。このままではどうしようもない。下にいた後続パーティにダメ元で助けを求めるが「あなたは私たちと一緒に行動して、あなた一人でも下山して救助要請しなさい」と..。そんな。ロープで繫がっている以上諦め切れる訳がない。
アックス二本を雪にブッサしビレイ支点として仮固定からの自己脱出を行った。これもかなり危ういが、ロープを切るよりかはましか。声の届く所まで自分が出向き、やっと意思疎通することができた。一本のロープを頼りに先輩が三時間かけて這い上がった。落ちたのがビッグウォールの経験のあった先輩だったから良かったものの自分が落ちたら本当にヤバかった。また大きかったのが最後に、なんと後続パーティがわざわざ引き返してきてくれて先輩のザックを荷揚げしてくれる手助けもあった。みなさん、懸垂ポイントは「尾根は続いているんです!!」あの両面雪庇を進もうと思ったら90%くらいの確率で落ちるでしょう。
〜頂上
何カ所か雪壁を越えて頂上へ。天気ももってくれてセーフでした。
〜長官小屋
北稜の下りも間違い易い。暗くなってきた。こんなこともあろうかと思ってGPSを持ってきていた。早く逃げよう。GPSを頼りにドンピシャで小屋を当てた。天国だ。この日の夜、小屋の外でもの凄い爆風の音がしていた。
12/31
一便のフェリーになんとか間に合わせたい。この日も早めに出発。風もすこし強い。暗いのでやはりGPS を頼りに下る。先輩、昨日の大フォールで右ひざを打撲したそうだ。つらい下りとなる。一時間弱遅れでターミナルに着き一便を逃す。さらに二便は欠航。がーん。大晦日に帰宅難民となったわけだ。なんと哀れな。どこかテントが張れそうな場所を探して島をうろうろしていると、暖かい町民が宿を提供してくれた。倉庫でよいならと泊めてくれた。しかし、ソコには、薪ストーブがありとても暖かい。さらに、「たくさん飲め~
たくさん食え〜」とビール飲み放題、つまみ、ウニ、年越しそば、もち、おにぎり、何から何まででてくる。温泉にも連れいってくれて利尻には神様がおる。
1/1
またしてもフェリー欠航。もう一日神様の家にお世話なる。
1/2
神様と、利尻に別れを告げる。とても楽しかった。
たたハプニングはあったが楽しい山旅となりました。しかも厳冬期の利尻を踏むことができて最高の年越しとなった。
コメント
この記録に関連する登山ルート
この場所を通る登山ルートは、まだ登録されていません。
ルートを登録する
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する