高ドッキョウ 〜年末三日連続富士見山行2020第2日〜
- GPS
- 06:35
- 距離
- 14.0km
- 登り
- 1,245m
- 下り
- 1,239m
コースタイム
天候 | 雨のち曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2020年12月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
樽峠からの下山時、西に転ずる分岐点を過ぎ、地理院地図に掲載されている廃道を進まぬよう留意。 |
その他周辺情報 | トヨタレンタカー ホテルアソシア静岡店 接客、車両、料金に大満足。また利用したい。 |
写真
感想
(前日の続き)
静岡駅前のホテルには15時前に到着したが、部屋に通してくれた。室内は予想を上回る設えで、40時間の滞在が快適であることを確信した。翌日に備え、目の前のレンタカー店で車を借りる。エコノミークラス、48時間、スタッドレスタイヤ、三島店返却を指定していた。実に丁寧で臨機応変な対応をしてくれた。やはり静岡の女性は、
それはともかく、いよいよその店に向かう。もう何度目だろうか。いつもの席でいつもの品を注文する。聞けば年内は今日まで。幸運に恵まれた。桜えびそばと静岡おでんを味わいながら、今日一日、全て計画どおり進んだことに満足していた。
目覚めると予報どおり雨が降っていた。午前6時、ホテルを出て駐車場に向かう。予報どおりであれば10時過ぎには雨は上がる。しばらくは我慢の時間、北東の登山口を目指して車を走らせた。
夜は明けたが、冷たい雨が覇気に水を差す。幸い、雪には成っていなかった。県道終点に車を止め、登山靴に履き替え、雨具を装着する。出発、いきなり進む道を誤った。茶畑の真ん中で慌てて引き返す。
気を取り直して登山口から沢沿いの道を登り始めた。近年の嵐のため、かなり荒れている。慎重に歩を進めた。右岸に渡渉したのち、枯れた支流を分ける。ほどなく道は沢から離れ、巻き気味に尾根を上るようになり、やがて急勾配の九十九折の途中、崩落個所に遭遇する。しばらく上部を観察すると、辛うじて踏み跡を見つけられた。そこから東進すると樽峠に到着する。
ほぼ予定どおりに峠を出発し、ひたすら稜線を西に進む。高ドッキョウまでは幾つかのピークを越えてゆかねばならない。二日目だが、昨晩の十分な休養を経て、体力は有り余っている。快調に足を運ぶことができた。
雨は上がった。9時半、ほぼ予報どおりである。風は強いが、それもやがて止むだろう。徐々に勾配は勢いを増す。ストックを頼りに少し足早に登ってゆくと、山頂に到達した。10時半、ほぼ計画どおりである。
富士山を隠す雲を見つめながら、パンをかじった。時折、日が差し、青空が現れ始めた。コーヒーを淹れる気には成れず、食後15分ばかりボーっとしていた。
往路を引き返しながら後半戦を考えていた。富士山が見えなければ平治の段に行っても仕方がない。前方に見えるそれが、下山の誘惑を仕掛けてくる。思えばこの頃から気が抜け始めていたのだろう。
木の根に引っ掛け、ストックを破損させてしまった。2本に慣れていると1本では想像以上に心もとない。速度を落とし、雨上がりの道を慎重に進んだ。青空は広がり、予定どおり東へ登り返すことを考えたが、人間、一旦楽な道を選ぶとなかなか厳しき道に戻れない。峠到達後、迷わず右折した。
登山時悩んだ個所を難なく通過し、軽くなった心と共に沢状の道を下りて行った。往きに気付かなかった水場で喉を潤し、そのまま沢を進む。いつしか道は道で無くなっていた。突然、落差7、8メートルほどの「滝」が現れた。勿論枯れ沢ゆえ水は流れていない。「滝」を迂回すれば何とかなるだろう。このとき、安易かつ思いあがった考えに支配されていた。
数分後、迂回したはずが、「崖」の縁で進退窮まっていた。幸いストックは1本、畳めば何とか両手を使える。木の根を掴み、岩に指を掛け、足元の危うさを補いながら、その途方もなく長い10メートルを横ばいで恐る恐る進む。登山道ではないのだ。足の置き場所を誤れば終わってしまう。この歳になって初めて転落の恐怖を覚えた。無事の帰着を心から祈った。
その後、30メートルほどのトラバースを終え、緩斜面を沢に向かって下りた。一刻も早くその場を離れたかった。しばらく進んでから振り返り、ようやく写真を撮ることができた。何の変哲もない枯れ沢の姿があった。
その後、沢を進むことを止め、尾根越しに本流を目指した。崩れやすい山肌を、樹木の助けを借りながら右往左往しつつ正規のルートに近づく。全くもって情けない。クマが見ていたらきっとため息をついただろう。あーあ。
登山道に戻り、呆然と立ち尽くし、己の愚かさを恥じた。もし、平治の段を往復した後であったら日没近く、暗がりの中、ここまで辿り着けなかったかもしれない。無心に、逃げるように登山口に向かった。
山中、誰にも会わなかった。車を目の前にして気が付いた。きっと、迷い、沢を下降するという初歩的なミスをするとは誰も思うまい。戒めなければならない。バックミラーに顔を映した。(、、、つづく)
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