鳥海山 スノーブリッジを渡る
- GPS
- 10:30
- 距離
- 16.5km
- 登り
- 1,739m
- 下り
- 1,739m
コースタイム
6:51 鳳来山
7:22 一本杉
8:52 滝ノ小屋
12:10 外輪
12:53 新山
14:43 滝ノ小屋
16:35 下山
天候 | 晴れ、風強いものの下山途中にほぼ無風に |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2013年04月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
危険箇所 鳳来山からブナ林に入るまでの間は細尾根と急な登りがあります。 今の時期は雪の崩壊に注意が必要です。急な登りはキックステップで登れますがザラメの為崩れやすいです。 不安な場合は左側の木や笹を使って登るのもひとつだと思います。 これからの時期はここの場所は踏み抜きが発生します。今回は大丈夫でしたが慎重に。 滝ノ小屋から外輪。1700m付近から氷が硬くなってきます。 まだこの時期はアイゼン、ピッケルがあれば安心です。 外輪から新山の間。氷、硬い雪が多いです。アイゼン、ピッケルは必須。 登山ポスト 家族旅行村では見つけられませんでしたが鳥海山荘のロビーにポストがあります。 温泉 鳥海山荘、晴れているときは露天風呂からの眺めが○ |
写真
感想
あと少しで冬季閉鎖の道路も開通。今年は登ることなく終わりそうと思っていた鳳来山、滝ノ小屋経由での鳥海山登山。
しかしチャンスがやってきた。
4月22日、天気は晴れの予報。これは向かうしかない。
3:30に家を出発、5:30過ぎに家族旅行村到着。ガスがかかって近くの山も見えない。当然鳥海山はそこにあるのかすらわからない。
とりあえず準備を始め6時過ぎ、いよいよ登山開始。
鳳来山までの序盤戦は昨年の反省から装備にいれたスノーシューを装着。ヒールリフターであまり足に負担をかけずに登っていく。
6:51鳳来山到着。ガスが濃くなっている・・・。ここで登山中止かと思い始める。
今からなら別の予定を立てても十分楽しめる。ただガスはこれから晴れるもの。
もう少し先に行って様子を見ることにする。
ここから少し先のブナ林までは危険箇所、短いものの細尾根に急登、踏み抜きがある。幸い雪が多いのか踏み抜きはせず、細尾根は慎重に通過。急登は蹴り込みで登りきった。この急登去年は壁だった。ピッケルを使って登ったので今回はやさしくなっている。ただやさしいといっても下りを考えると気が重くなる。
ブナ林に入る。少し入ったところで注意して周りを眺めてみる。すると道が見えた。道は雪の下で見えないが木々の間隔が他よりも微妙に空いている。それが続いており道に見えた。自分は夏道を知らないので合っているかどうかわからないがそのまま進む。すると一本杉に到着。昨年は見つけられなかったものだ。確かに杉の木一本だけ生えている。写真を一枚。
ガスは相変わらず濃いままだ。このまま終了かなと思うものの、昨年この林で正しいルートを通っているのかわからず心細くなったのを思い出した。あの時は朝のトレースが融けてしまいいつのものかわからなくなっていた。地図では東西両側が急傾斜になっているのでわからなくなったらどちらかを歩けば問題ないのか確認するため東よりにコースをとる。地図の通り東側にルートをとれば大丈夫だった。
林をぬけると先ほどよりも陽の光が強くなっている。ここまで来たのだから滝ノ小屋までは行ってみようかなと思い歩いていくと、ガスが一気に晴れた。前方には白く輝いている外輪が見える。自分のなかの迷いも一気に晴れた。
チャレンジだ!!
滝の小屋までは新たに積もった雪が時々ペースを乱す。週末の雪だろう、スノーシューでもけっこう沈むところがある。今回は履いてきて正解だった。
外輪までのルートを考えながら滝ノ小屋を目指す。
8:52滝ノ小屋到着。小屋の周りにはまだ雪の壁が残っており風に運ばれてきた雪が上部から降り注いでくる。この時期にめずらしい光景だ。写真を撮る。
小屋の中をのぞいてみたかったが時間がないので近くで小休憩。
小屋の周りは雪面が今までと違って凍っている。気温で解けだしているものの吹いてくる風がそうさせているようだ。
9:03外輪へアタック開始。ここからが本番だ。自分の予定では3時間で外輪まで到着しないとタイムオーバー。新山はあきらめないといけない。
河原宿小屋へ向かう斜面をトラバースし外輪のふもとから一気に登ることにした。
距離をかけずに出来るだけ傾斜の緩やかなところを選んで登るルート。
昨年は湯ノ台道方面にしばらく歩いてから登ったが、今回のほうがよさそうだ。
スノーシューをデポしてアイゼンで行こうか迷ったもののそのまま使用することにする。
外輪のふもとに着く。見上げるとその高さと傾斜に圧倒される。行けるのだろうかと思うものの気合を入れて登り始める。地面は氷と雪のミックスだ。氷は陽が当たり融けてきて歩くと表面が割れる状態。雪は硬く横縞のように積もっている。意外に高さもありそこはかなり歩きにくい。しっかりとグリップする氷のほうを登っていく。なかなかな傾斜のため足がきつい。すぐに止まりながらの登りとなる。風も強い。近くを飛んでいたイヌワシもこの風でかなり苦労しているように見える。
登り始めて1時間と15分。ここでの休憩でトラブル。地図を出そうとしたその時、ポカリスエットのペットボトルがザックから落ちた。手を伸ばすもののつかむ事が出来ず斜面を滑り落ちて行ってしまった。止まってほしいと願うものの積もった雪を乗り越えてどんどん小さくなっていく。このまま見えなくなるのかと思い見ていると雪に阻まれて止まった。さてどうしようか。取りに行くには微妙な距離。ザックにはテルモスにお湯800ml、予備として水500mlはある水分としては間に合うと思うが塩分を考えると・・・。少し考え救出しに行くことにした。結局これで休憩で回復した体力を使ってしまった。場所がなかったとはいえザックを谷側に置いたのがいけなかった。またひとつ勉強!
気を取り直して先に進むもまだまだ続く斜面を見ると登りきれないと思い始める。
足元も場所によっては硬い氷になってきた。立ち止まりながらの登りが続く。
休憩場所を探すがなかなかよさそうな所が見つからない。良さそうだと思い近づくと風を防げなかったり、微妙な傾斜になっていたり。さっきの事もあるから傾斜にはちょっと過敏だ。
岩場の端に平らな所を見つけ休憩する。ここで滝ノ小屋から引っ張って使っていたスノーシュー、ストックからアイゼン、ピッケルにスイッチ。
そういえばアイゼンもピッケルもザックには付けているけど今季初の実践投入だ。
ん〜、やはり滝ノ小屋から着けるべきだったね・・・。
足元の感覚の違いに違和感を覚えながらも登っていく。しばらくして時計を見ると標高1998mを表示している。2000mにしてカメラを取り出す。が、また見ると2002mになっている。ここは2m下って2000mを撮影するべき所なんだろうけれど、もはやそれをしようとする気力がない。とりあえず2002mの写真を撮る。11時15分、タイムリミットまであと45分。
外輪まではあと少しなのだがなかなか進まない。そこに見えながらも一気には行けずに休憩をとる。今回はピッケルで自分の所だけ平らにしてすわった。
遠くの景色を眺めているともうここで良いなと思ってしまう。外輪と同じくらいの高さまで来たんだから。充分やったと。
時計を見ると12:00近く。タイムオーバー・・・。
しかし外輪までに届かずに撤退となれば昨年と何も変わらない。
せめて外輪には立ちたい。そう思い、あと少し行くことにした。
少しでも傾斜がゆるい所を見て登る。あと少しと思っているとその先にまた雪が見えた。参ってしまった・・・。その雪を目指して登っていく。すると、前方の視界が開けた。向こうに山が見える。新山だ。外輪に到達したんだ!!
12:10外輪に到着。周りの景色と新山を写真におさめる。もしかすると新山まで行けるかもしれない。そう思い外輪を急いで歩いていく。途中ザックをデポ。岩陰の雪をピッケルで削るがなかなか思うように削れてくれない。時間がかかったが平らにしてザックを置く。ポカリスエットの件があるからね。平らじゃないと!
外輪を歩きながら新山、七高山の方を見て驚く。かなりの高さでスノーブリッジが架かっている。渡れるだろうか。急いで近くまで向かう。夏道の外輪からの下降点を過ぎると下りられそうな所が見つかった。そこは道のようになってスノーブリッジまでつながっているものの途中2ヶ所道が切れていて数メートルだが斜面というより壁をトラバースしないといけない。アイゼンとピッケルで行けそうが・・・。
氷の道を進みいよいよトラバース。アイゼンの前爪とピッケルを突き刺して慎重に行く。ピッケルが外れにくく苦労したもののスノーブリッジまで到着。今日はまだ誰も歩いていないようだ。少し眺めた後その橋を渡る。ここも両側が斜面なので気をつけて進む。渡りきった後を眺め、いよいよ最後の登り、とここで足が攣りそうになる。あと一息、足を軽くマッサージして山頂へ。最後はアイゼン、ピッケルでの登り。それを登りついに到着!!
12:53鳥海山山頂。ヘトヘトだ。まず山頂にピッケルを立て撮影。操作が悪かったのかピント表示がされずにシャッターが切れたのだが、家で確認すると遠くの景色にピントが合っていた・・・。タイマーで自分撮りをしたものも周りが白とびしていた。がんばった山行であったが・・・。
山頂に到着してものんびりしてはいられない。早く下山しないと。昨年は外輪の途中から駐車場まで3時間以上かかっている。ここからだとプラス1時間以上は必要とすると17時過ぎに下山完了となる。樹林帯を通るので早めに暗くなるだろう。
千蛇谷にはスキーヤーはいるものの徒歩で帰る人は見当たらない。彼らはあっという間に下るから全く心配ないだろうね。
13:00下山開始。帰りもスノーブリッジを渡り外輪へと戻る。ここから見ると先ほどの道がバルコニーに見える。バルコニー3つが壁で区切られているそんな感じだ。
雪の橋に氷のバルコニー、何だかファンタジーの世界にいるような気分になる。
帰りのトラバースも無事に通過出来、外輪へ戻る。
本来なら七高山、御室にも行きたかったが帰ることが優先になってしまい行かずじまいとなってしまった。結果からするともっとゆっくりしても良かったので残念だった。
外輪でスノーボードを背負ってきた二人組と短い会話をして先を急ぐ。
帰りは湯ノ台道の手前辺りを下りる。できるだけ緩い傾斜の所を選んで下るつもりだからだ。行者岳を過ぎてから外輪を外れ下りにかかる。
選んだルートは雪が横縞になる感じで積もっていた。一面真っ白に見えたが近づくと凸凹だ。美しい縞模様を作り出している雪を撮影して先へ。外輪の下りは無事に終えることが出来た。
14:40滝ノ小屋近くまで来た所で休憩。久々に平らな所で思いっきり座って休んだ。
ここでアイゼンをスノーシューにチェンジ。
15:00下山再開。今回は自分のトレースがしっかり残っている。
よく見ると誰かがトレースを踏んで登ってきていた。トレースはずっと自分のものをなぞっているようだ。使ってもらえるなんてうれしいものだ。林の中で遠回りしてしまったのは申し訳ないけど・・・。
林をぬけると鳳来山への細尾根。行きは登りだが帰りは下り。斜面の脇の笹をつかんで下りる。一番の急登だったところまでくる。さすがにこの下りは嫌な感じだ。
すると自分のトレースをたどってきていた足跡がその斜面を回避して横の斜面をトラバースしているのに気がつく。こっちのほうがやさしいのかなと思い行ってみるが・・・よっぽどひやひやしたよ。
その後は鳳来山を経由して再び林の中へ斜面でひやひやするものの無事に下山
16:35駐車場到着。下りは3時間半ちょっと。登りの半分だった。
再チャレンジで登ることの出来た鳥海山、あと少し行くことで素晴らしい眺めを見ることが出来ました。冬季通行止めの解除ももうすぐ。次回は今回と違い山頂でゆっくりしたいものであります。
コメント
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ハードな山行でしたね。
登り始めのガスった天候では、難しい判断の連続だったと思います。
晴れても厳しい雪の鳥海山、何度か経験しないと山頂に立てそうもないような気がしますね^^;。
今回も詳細なレコで参考にする人が多いのではないでしょうか。
お疲れ様でした!。
httさん、こんばんは。
今回はハードでした。体力も時間も。時間は結果的に大丈夫だったのですが。余裕がない時間が多すぎてちゃんとした写真が撮れていないのが残念です。
今回のガスはそれほど問題ではなかったのですが、1年前の鳥海山でガスで心配な思いをしたことがあったので
どうしようか迷ったところではありました。
今回は天候にも雪面の状態も恵まれたので運がよかったと思います。なかなか簡単には登らせてくれない山だと自分も思います。
レコを参考にしてくれる人がいるといいのですが、下手な文章で長いので改善しないといけませんね。しかも山行時間以上に時間がかかっていたりして・・・。
スノーブリッジ、まだこんなあるんですね
もうすっかり溶けてるかと思っていたので驚きました。
スノーブリッジまでのトラバース、なかなかスリリングだったのではないでしょうか?
去年、自分も同じ所から下降を開始したのですが、あのトラバースは緊張した記憶があります。
それを乗り越えての登頂、感慨深いものがあったと思います。
山頂の写真がボケてしまったのは、ちょっと心残りだったかもしれませんが、
きっとこれは、また次回来い、という大物忌神の思し召しでしょう
次回はのんびりと、鳥海山登山を楽しんできて下さい
ありがとうございます。
なんとか登頂できました
ありましたよ、スノーブリッジ!!
鳳来山周辺や滝ノ小屋周辺を歩いてみて感じたのですが
去年と比べると雪が残っている気がします。
なのでスノーブリッジもあの高さで残っていたんだと思います。
スノーブリッジへの下降はLuskeさんのレコを参考にさせてもらいました。入り口がすぐに見つかったので違う所かなとも思ったのですが同じでしたね。
トラバースはスリリングでした。
アイゼンとピッケルが上手く刺さってくれて通過できましたが、これがもっとガチガチだったら歯が立たずに滑り落ちていたかもしれません。
橋を渡るときは何ともいえない気分でした。
山頂では疲れていたのか、帰りを気にしすぎたのかあまり感動を味わっていなかった気がします。
もったいない・・・。
その分、今味わっていますけどね
写真を撮り直さないといけないので雪が解けないうちに登らないといけません。それが思し召しとなればなおさらです
そのときにまだスノーブリッジが残っているといいなと思います。
Luskeさんとコメントのやり取りをさせてもらったのが1年前に自分が鳥海山で登頂を断念したことがきっかけでした。その時のLuskeさんのコメントのタイトルが、
ナイス チャレンジ! でした。
失敗したのにこんな言葉をかけてもらえた事がうれしかったのを覚えています。
このコメントがなければ自分には無理だとあきらめて再度登ろうとは考えなかったと思います。そして自分を少し前向きにもしてくれた言葉でもあります。
随分遅くなりましたがお礼をさせてください。
ありがとうございました。
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