釣瓶岳〜武奈ヶ岳☆霧氷と新雪の稜線へサンセット・ハイク
- GPS
- 04:24
- 距離
- 10.0km
- 登り
- 1,098m
- 下り
- 1,091m
コースタイム
- 山行
- 4:17
- 休憩
- 0:07
- 合計
- 4:24
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2021年02月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
細川尾根はバリエーション・ルート |
写真
感想
朝、起きてみると京都の市内でも家々の屋根には薄雪が積もっている。雪は午前中のうちに瞬く間に消えてしまったが、おととい、昨日と二日続けて久しぶりに比良に雪が降ったところだ。午前中は雲が広がっていたが、午後には晴天が広がるとの予報を信じて北に向かう。
細川の休憩所に車を停めると栃生に向かって歩き始める。釣瓶岳に登るには細川から山頂の南に突き上げる尾根があり、ここは何度も登り降りしているのだが、稜線近くまで植林が続き、尾根の眺望の魅力という点では栃生からイクワタ峠を経由して釣瓶岳に向かう方が遥かに魅力的だ。
歩いているうちに曇り空の間から青空が徐々に広がり始めた。釣瓶岳の登山口のすぐ手前には水地蔵があり、滾々と水が湧き出ている。勿論、この水は美味である。水を汲もうとすると近くの方と思われる男性が容器を持って現れた。「登山ですか?」と聞かれるので「釣瓶岳へ」と答えると大変、驚かれる。敢えて武奈ヶ岳と答えることはやめておいた。
植林の急登を過ぎると、赤松の目立つ快適な樹林となる。尾根から右手に見える雲の中から突然、武奈ヶ岳が菅を見せる。尾根がなだらかになると迂回路→と記された木製の案内板が架けられている。
以前、比良や京都北山に甚大な被害をもたらした2018年の台風の後のこと、尾根上で登山道を塞ぐように密集した倒木に立ち往生していたところ、森の奥からチェーンソーを抱えた男性が現れ、迂回路を整備しているところだという、新たに整備されたばかりの迂回路をご案内してくださるのだった。後でyoutoushaさんと知る。
迂回路の案内板を架けられたのもyoutoushaさんだろう。頻繁にテーブのつけられた迂回路からは以前、私が立ち往生した倒木の密集地帯がすぐ右手に見える。
やがて尾根は楓、楢などの自然林の明るい樹林が続くようになる。笹峠への旧道を過ぎると間も無く尾根には平坦な台地が現れ、正面には蛇谷ヶ峰が視界に入る。ここからは左手に大きく展望が開け、蛇谷ヶ峰の彼方には野坂の山々が見える。明日、野坂山地のもう一つの武奈ヶ岳(嶽)から三重獄を周回しようと計画していたので、この尾根からこれらの山々の様子を見るという目的もあるのだった。
尾根には西陽があたって樹々が黄金色に輝いている。尾根上部には樹々は疎らで、爽快な雪稜となる。イクワタ峠の北峰に到着すると一気に高島市街の彼方に琵琶湖の北湖の展望、そして釈迦岳の展望が視界に入る。比良の山はいずれもそうだが、西側から登ると琵琶湖の展望が最初に視界に入った時の光景の開放感に感動を覚えるものだ。
そしていよいよ釣瓶岳への稜線も視界に入る。雪庇、尾根上には吹き溜まりに踏み込むといきなり膝下まで踏み込む。
釣瓶岳が近づくと尾根上に次々と山毛欅の大樹が現れる。山頂の霧氷が夕陽を浴びて輝いているのが目に入る。山毛欅の霧氷が夕陽に煌めく様はまるで黄金色の花が咲いているかのようだ。
釣瓶岳山頂の杉林を過ぎると驚く光景が待っていた。霧氷の樹林に正面から夕陽が差し込み、黄金色の光の回廊となっているのだった。この刹那だけの現象なのだろうが、通過してしまうのが勿体ないような幻想的な光景だった。
好展望の尾根はやがて武奈ヶ岳の北斜面の影の中へと入ってゆく。稜線の右手では急速に陽が傾いてゆくのがわかる。この釣瓶岳から武奈ヶ岳への尾根はそれまでよリも明らかな雪が深く、スピードが鈍る。このままでは日没の時間に間に合わないかと思い始めたところ、突然、尾根上に真新しいスノーシューのトレースが現れる。
今日、初めて出会うトレースであった。有難くトレースを拝借させて頂くと、途端にスピード・アップである。まさに山の神が救いの手を差し伸べてくれたようなものだった。
背後で釣瓶岳が燃え上がるような朱色に染まったかと思うと、瞬く間に色が褪せてゆく。山頂が近づくと、もう間も無く日没が始まるところであった。先ほどまで夕陽を浴びていた釈迦岳はすでに武奈ヶ岳の影に入ったのだろう。山肌はくすんだ藍鼠色に変わっていた。
山頂には西南稜から多くのトレースの跡がある。今日、武奈ヶ岳に登られた人達は好天を背景しにした霧氷を堪能されたことだろう。
西の空では線香花火の火の玉が小さくなってゆくように太陽は急速にその輝きを失い、最後は西の空の靄の彼方でぼんやりとした光の点へと収束して行った。さあ、下山の時だ。今日は再びトレースのない細川尾根を下ることになる。
細川尾根を最後に降ったのは昨年の正月、uriuri4211さんと釣瓶岳から周回した時であった。その時にはほとんど雪がなく、落葉の上に雪が薄く積もった状態で、非常に滑りやすく下降に難儀したことを思い出す。今回は二日で降り積もったと思えぬほど、細川尾根もやはり雪が深い。北西斜面は雪が深いのだろう。
尾根は上部では存在感のある山毛欅の大樹が次々と現れるが、一度足元が滑った際にカメラのレンズが雪に濡れてしまい、撮った写真が全てひどい状態になってしまった。自然林の下部まではなんとかヘッデンの明かりなしに下降するが、植林地に入るとさすがに林の中が暗く、ヘッデンの明かりが必要となる。夏道は斜面を左に大きくトラバースしながら下降してゆくのだが、ここは尾根を直進して下降する。植林を抜けて集落に出るとあたりはすっかり暗くなっていた。
比良の雪稜と霧氷を堪能することが出来る機会も残りわずかだろう。
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