谷川岳 西黒尾根~天神尾根

コースタイム
- 山行
- 3:20
- 休憩
- 6:15
- 合計
- 9:35
- 山行
- 9:20
- 休憩
- 0:20
- 合計
- 9:40
天候 | 吹雪きのち曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2017年02月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
写真
感想
1日目
谷川岳登山指導センターにはまだ誰もいなかったがすぐに背の高い若い男性が車で来た。「山入るんですか。やめたほうがいいんじゃないですか」と言われた。確かに雪の降り方は吹雪だし、前夜から降った雪もかなり積もっているだろう。「雪崩が心配ですかね」と聞くと「西黒尾根自体は雪崩れることはないと思う。でも昨日は雨で今日はこの降雪。何かの拍子に雪崩れてもおかしくはない。山に行く、行かないの判断は任せますが」と返された。Oさんが「今日は奥まで進まないで、無理せず森林限界くらいで穴掘ります」と言った。指導センターが登山口ではなく、西黒尾根の登山口はもっと車道を上がったところと思われる。指導センターは地形図の「776」だろう。指導センター向かって右側に車一台分ほどのスペースがある。そこでワカンを装着。後方に足跡が見えた。歩く尾根と送電線が交わるところにコンパスを合わせて登る。車道には吹き溜まりができていて車道と分かった。斜面は急登だった。腰ラッセル。しかも雪重め。尾根に上がるまできつかった。樹林の上に雪庇が見えた。長大だ。さらに急になってやっと鉄塔が見えた。鉄塔がある尾根に上がる三十分ほど前に風が弱くなって、空が明るくなってきた気がした。明日は晴れると言うOさんのスマホの山の天気予報なので、もう良くなったのかと思った。尾根に上がるとそんなことはない。強風、雪、視界不良にもなってきた。尾根は広かった。傾斜はそれほどでもなかったと思う。吹き溜まりの雪の上がり下がりがめんどうくさい。強風も煩わしい。樹林帯でもなんか疎林で風は強い。とにかくこの天候では森林限界より上には上がれない。左側に雪庇がどこまでも巨大に発達している。このままでは雪洞を掘る所がないと思いながら高度1140m付近に雪庇が切れたところを見つけた。予想ではもう少し上がって高度1259m付近の広めの尾根にも目をつけていたが、Oさんと早めに泊ろうということになった。この先、雪庇がどうなっているか分からない。それにしても風、雪とも猛烈。でも掘る。入山前に古い岳人を読んでいたら雪洞の掘り方が特集されていて、入り口を二人並んで掘って、入り口にブロックを積んで、奥まで掘ればそれほど奥まで進まなくていいので、労力が少なくてすむということだった。実践してみたが、ブロックを積んで、屋根を作れなかった。したがってその後、普通に身長分以上奥まで掘り進んだ。おかげで入り口が大きくなってしまって、ツエルトで塞ぐ時に少し苦労した。内側に四本のストックで突っ張ってツエルトが下がらないようにした。入ってしまうとそれなりに暖かい。ダウンを着ていろいろ準備。ストーブを点けずにいると寒くなってMSRを出す。板の上で予熱するとガソリンが漏れて板の上で炎が上がり、雪の上に裏返して消火。危ない。マットの上ならすぐに燃えていたのではないか。やがて安定して飲み。食事。酒は明日登って下山できると予想。ていうか時間余して二人で持ってきたもの全部飲んでしまう。18時にはシュラフに入る。外の音は何もない。明日は好天の予報だ。夜中は寒くはなく、意外と眠ることができた。22時、Oさんが起きだした。息苦しいと言った。ツエルトが雪で覆われていた。僕がヤッケ着て外に出て除雪した。風はやや吹いていた。星がひとつ見えた。2時にも目が覚めてOさんが除雪した。22時よりは雪は少なかった。降り方も少しだった。少しずつ好天になっているようだった。
2日目
起きてみると雪洞内は意外と暖かかった。シュラフが濡れていた。天井から水滴が落ちていた。外は静かだった。入り口ツエルトには雪は積もっていなかった。MSRは雪の上で予熱をして、安定してから板に上げた。準備して外に出ると朝焼けがきれいだった。よーし、今日は山頂落とすぞ。気合が入った。積雪はものすごかった。ワカン装着で出発。尾根に上がると積雪は雪洞のところほどではなかった。空は快晴。進むと、結果論だが高度1259m付近に雪庇がなく、雪洞は掘ることができた。高度を上げるに従い、展望もすばらしいものになってきた。トマノ耳、オキノ耳も見えた。マチガ沢、一ノ倉沢も格好いい。今日下山予定のスキー場リフトも見える。ずっと遠くに富士山。やがて急傾斜になって岩っぽいところが見えた。どうせこの先付けることになるので、岩っぽいところに上がる前にアイゼンに交換した。少し上がると鎖が見えた。ラクダの背はナイフエッジだ。蒲田富士を思わせる。左に寄らずに、右斜面を滑落しないように慎重に歩く。一度大きく降りてその後は長い、急な斜面を登る。次第に雪が深くなってくる。いずれ雪面は硬くなるだろうと思っていたがいつになっても深い雪。腰ラッセルだ。ザンゲ岩手前は、しかも急斜面。ひどいものだった。Oさんと二十歩で交代しながら進んだ。ザンゲ岩から広い尾根に上がる手前には風も出てきて、地吹雪。前方視界を遮られる。Oさんの眼鏡レンズが凍ってしまって見えない。好天の時間はもう終わりかと心配した。上方の雪庇の切れ目が二つ。向かって右側は左側に比べて雪庇が大きかったので、崩壊を心配し左側を狙って上がった。やっとラッセルが終わった。広い斜面だ。高度1800m付近でラッセルは予想していなかったのでとても苦しく感じた。トマノ耳はもうすぐと思っていたが、そうでもなかった。またまた一部深いラッセルがあった。道標を見てから快晴の山頂に二人で登頂。おめでとう。写真とってオキノ耳へ。感激だ。ここも写真とって戻る。もしかして日本海も見えた。肩ノ小屋に立ち寄り休憩。入り口の上の屋根にエビの尻尾がすごい。入り口から見える県境の稜線がかっこいい。天神尾根を下山。あまり目立たないが沼田山岳会の細い竹が雪面に刺してあった。下山の天神尾根は、高度1550m付近以外雪面硬く歩きやすかった。僕たちが登った西黒尾根が対岸に展望。こうして見るとラクダの背の前後が急だ。どんどん下がる。下方に、登ってくる人が見えた。熊穴沢避難小屋の少し上方で登山者二人、ボーダー二人とすれ違った。登山者は若年だった。大学生かと聞くと、先頭の赤いヤッケの人が社会人で後方が大学生と言った。数回登っていると言って「この時季だとまだ雪がしまっていないことが多い」と言った。三月ころが硬くなるそうだ。できれば今日山頂に行って肩ノ小屋に泊りたいと続けた。明日は天気が崩れる予報だものね。その先は足跡が硬くて歩きやすかった。ボーダーとたくさんすれ違った。みんな西黒沢を滑走するそうだ。雪崩れそうで危険に思えるが。スキー場がだいぶ近くなった高度1441m付近で会ったボーダーのグループの中のチャンネーと話した。青森から来たといったら、岩手の出身と言った。20日(月)夜から21日(火)朝までに降った雪は四十五cm。21日(火)から22日(水)までに降った雪は六十cm。今朝22日(水)の朝は放射冷却で冷え込む予報だったが、それほど冷えなかった。と情報を聞いた。月火水の降雪量はすごかったね。スキー場に入ると、ゴンドラ手前で単独女性登山者が降りてきて、僕たちに追いついた。話せば朝九時に登山指導センター出発。途中から僕たちの足跡があってびっくりした。その足跡を踏んでトマノ耳まで。時間を見てオキノ耳には行かなかった。下山して今追いついた。と言った。すごい。鉄人的。仕事が水曜日と日曜日の週休二日でどうしても今日帰る。長野出身。山岳会には属さず、いつも単独行。ゴンドラでOさんと二人で降りる。下にボーダーが滑走しているのが見えた。車に着いたらなんか寒い。さて、少し片付けて、登山指導センターに下山報告して、沼田警察署に電話して下山報告、谷川岳ベースプラザ立体駐車場にお礼を言ってから帰る。
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