記録ID: 296210
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ハイキング
四国
廃道の滝群と坑内線路が残る鉱山跡(津越の滝と千町鉱山)
2013年05月06日(月) [日帰り]

- GPS
- 02:10
- 距離
- 3.0km
- 登り
- 225m
- 下り
- 221m
コースタイム
[津越の滝]
回遊半時間ほど。
[千町鉱山跡]
作業車道入口(10分)土佐街道の峠(13分)レールの残る坑道(30分) 作業車道入口
回遊半時間ほど。
[千町鉱山跡]
作業車道入口(10分)土佐街道の峠(13分)レールの残る坑道(30分) 作業車道入口
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2013年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
アクセス [津越の滝] 松山自動車道西条ICを降りると、国道11号を左折。飯岡交差点からは南側の方の11号を西進する。そして加茂川橋西袂から国道194号に左折する。 中野丙で船形橋を南に渡り、続いて船形小橋を渡った先の五差路で標識を見て、津越の滝方向に左折する。後は津越の滝駐車場まで標識が案内してくれる。 [千町鉱山跡] 前述の五差路から西進し、国道194号に再び出ると南下する。荒川2号河ケ平に至ると、「藤之石・千町」の道路標識が出ているので、それに従い左折する。 左下に誓願寺を見てから、最初の左ヘアピンカーブ南側に駐車する。そこは私道の作業車道の入口でもあるので、邪魔にならないように。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
桜や古代遺跡で有名な西条市の八堂山から南に二つ目の谷、津越谷川の400mほどの区間に、三瀑の滝が懸かっているが、これを総称して津越の滝という。戦前は「奥武丈の滝」と呼ばれていた景勝地で、回遊遊歩道もあったが、’04年の台風で遊歩道の箇所が崩壊、以後、最初の滝から奥は通行禁止となったまま今日に至っている。しかし実際は、登山や沢登り経験者であれば、崩壊箇所はクリアできるだろう。 千町(せんじょう)鉱山跡は、津越の滝より南に直線距離で3.5kmほどの、標高360m前後の千町地区の山中にある。主に大正年間に採掘されており、鉱石は坑道からトロッコで索道場に運び、索道で八之川に降ろし、そこから国道194号の前身である日本窒素肥料馬車軌道(昭和3年に「加茂土工森林組合馬車軌道」となる)により、現在の船形の五差路西まで輸送され、そこで荷車の馬車に積み替えられていた。 この鉱山跡の特筆すべき点は、今でも一番大きな坑道内部にトロッコ・レールが残っている点や、内部にU字支洞等がある点だろう。教育委員会に照会すると、坑道は一本のみ、ということだったが、他に三本の坑道を発見、入洞した。 [津越の滝] 遊歩道沿いの最初の部分の津越谷川は、コンクリート護岸で且つ、高速道の高架下を通るため、景観が悪いが、二本の高架を抜けると川床や周囲の景観が一変する。東岸の石灰岩盤には、横に三つのポットホールのような横穴が開いており、川筋が南向きに変わり、川幅が狭まると最初の滝、鮎返りの滝が現れる。落差は3mしかなく、滝壺は泉のような雰囲気である。 かつて遊歩道は鮎返りの滝を左下に過ぎると橋で対岸に一旦渡り、二番目の滝、雌滝の手前で再び橋で渡り直していたが、二本の橋はいずれも台風で流失している。が、川床の石伝いに遡り、南岸の遊歩道跡に取付くことは造作ない(一般観光客は造作あるが)。 雌滝は二段、落差10mの滝だが、一段目の落下地点右側には、かなり大きなポットホールが出来ている。このことから、かつて水量は今の倍ほどあったことが分かる。何千年、何万年という歳月をかけ、飛瀑が岩盤を抉っていったのである。 遊歩道は滝の天辺部上を走っているので、滝が落下する様を見下ろすことができる。 三番目の滝、雄滝は津越最大の瀑布で、落差は20mある。こちらも遊歩道は滝の背後に回り込んでいるが、滝の天辺に直接下りることも可能である。 対岸に渡ると左折し、津越谷川沿いを下って行くが、復路はかなりの高所の断崖上を走っており、風の通りもよく、気持ち良い。 鉄塔の手前で車道に出て、後は駐車場まで戻るのみ。 [千町鉱山跡] ヘアピンカーブから、南東に緩やかに上がる未舗装作業車道を進む。道は棚田に突き当たると向きを東向きに変え、すぐ歩道になるが、右手の縦に連なる棚田を注視して戴きたい。一ヶ所だけ、上の棚田と下の棚田との間に野良道が南に走っている箇所がある。その野良道が鉱山跡へ至る道である。 野良道は水路に突き当たると直角に東に折れ、鉄板橋で水路を渡り、樹林帯に入る。 道はほどなく、ビニールハウス下の石垣沿いを通るようになるが、石垣に達した箇所から先は、藩政期からの「土佐街道・千町道」である。地形図(西条)にも、石垣から先は破線が記載されている。 地形図の390m独立標高点が土佐街道の峠で、藩政期の石仏や近代の街道改修碑が建立されている。ここはY字路となっており、鉱山跡へは前方右に下る道を行く。以後の分岐は、四国電力の標柱を見て、7番鉄塔へと進路を取る。四国電力社は鉱山道を鉄塔巡視路として利用しているのである。 歩道終点左上に7番鉄塔が聳えている。その下の削平地が索道場跡で、滑車の一つが残置している。 そこから東に進むとすぐ鉱山最大の坑道が開口している。入口にはレールに乗ったトロッコのシャーシ部が残っている。レールは奥へ奥へと緩やかな蛇行を繰り返しながら進んでいる。 左右の岩盤の各所には支洞が掘られているが、あまり長いものはない。 天井の至る所にコウモリがぶら下がっているが、中には五匹位が固まってぶら下がっているものもある。猿饅頭、いや、蝙蝠饅頭のつもりか。 坑道は奥に進むに連れ、路面がぬかるんでくるが、もう、これ以上は長靴がないと進めない、という地点右手にはU字型支洞が掘られている。支洞内、U字のカーブ部を過ぎた左手に放置されているバケツの中にあるのはダイナマイトらしいが、皆、半分に折られているようである。 坑道を出ると、まだ作業道が続いていたので辿ってみると、すぐ左手上、地上2mほどの所にも小さな坑口が開口している。四つん這いにならないと入れないが、この日はカメラシューに取り付けるタイプのライトを使用しており、四つん這いになれないため、先に進む。 作業道終点先の谷には石積みが築かれており、違和感を覚えて左に振り返ると、砰(ズリ)があった。これがあるということは、必ずこの上に別の坑道があるはずである。 そこで砰を這い上がると、案の定、坑口があった。こちらは歩いて入洞できる。レールはなく、全長も数十メートルほどで、終点近くには放置されたどんぶりと落盤があった。落盤があった故、採掘を中断したのだろう。 外へ出ると、踏み跡が更に東上へと延びていたので辿ってみるとまた坑口が現れた。こちらは入口に石積みを築いているが、穴はさきほどの坑道より小さく、距離も短く、天井も低い。 外に出ると、東側に道らしきものは見当たらないので、西上に延びる踏み跡を辿ってみると、藪を抜け出た所は、さきほどの鉄塔上部だった。つまり、鉄塔を基点に作業道が周回しているのである。 その鉄塔上部の分岐から北の植林帯の中には、坑道がありそうにないので、引き返した。 しかしいつも洞窟や横穴壕を探訪し終えると、なぜか疲れる。これは「もし落盤して生き埋めになったらどうしよう」という不安感が精神的疲労を引き起こしているのかも知れない。が、人間、死ぬまで長生きするものである(当たり前)。 |
写真
撮影機器:
感想
津越の滝回遊は、登山初心者はやめた方が良い。
千町鉱山探訪はヘルメットとヘッドランプが必須。
索道によって降ろされた鉱石を輸送していた馬車軌道は、当初、八之川の索道場が起点だったが、後に加茂土工森林組合によって線路が川来須まで延長され、新居鉱山の鉱石も索道で川来須に降ろし、馬車軌道で輸送するようになった。
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