西伊豆トレッキング☆燈明ヶ崎〜今山ルート
静岡県
山猫
体力度について
- GPS
- 05:57
- 距離
- 19.6km
- 登り
- 818m
- 下り
- 791m
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標高グラフを拡大コースタイム
- 山行
- 6:28
- 休憩
- 0:13
- 合計
- 6:41
| 天候 | 晴れ |
|---|---|
| 過去天気図（気象庁） | 2021年04月の天気図 |
| アクセス |
三島より東海バスにて堂ヶ島へ 今山コースの起点の浦上より仁科車庫まではバスにて移動 |
| コース状況／ 危険箇所等 |
網屋崎への下降路は尾根を直進しないように注意が必要 |
写真
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遠くで海に突き出た鋭鋒は烏帽子山、その左手に高通山
干潮時のみに陸繋島となる珍しい現象らしい
近くに見えるが湾を回りこむので時間がかかる
安良里湾の向こうに夕陽を浴びて輝く黄金崎
彼方の恋人岬の上に富士山が大きく眺望できるらしいが・・・
感想
西伊豆トレッキングコースは断崖や奇岩の続く西伊豆の海岸に沿ってアップダウンを繰り返しながら歩くコースである。その中でも景観の素晴らしさに関しては、この燈明ヶ崎コースは白眉らしい。
三島駅に到着すると、南口を出てすぐ右手にある東海バスの案内所で二日間有効の乗り放題切符を\3990で購入する。まもなく松崎行きの特急バスが来ると、バスに乗り込んだのは私の他に一人の中年女性だけであった。ここからは2時間近い長旅となる。
土肥峠を越えて土肥に向かって緩やかに下降し始めると、前方に駿河湾を見下ろしながら新緑の雄大な景色が広がるようになる。
土肥を過ぎるといくつものトンネルを抜けるバイパスが通じている。このルートにより堂ヶ島へのアプローチはかなり短縮されたことだろう。
当初、バスを途中の安良里で降りて予約した民宿まで遊歩道を歩いて南下することを考えたが、まずは堂ヶ島の民宿に向かうことにする。というのもこの日は堂ヶ島のすぐ北にある三四郎島にトンボロが見られるからだ。
トンボロとは干潮時に島との間に砂嘴が現れ、陸繋島となる現象のことだが、干潮時といってもその水位は日によって異なるので、この現象が現れる日は限られる。今日の干潮の時刻は13時なので、その前後およそ時間に砂嘴が現れるらしい。
堂ヶ島の民宿に荷物を預ける。海岸沿いを歩くと紺碧の海が非常に美しい。透明度も高そうだ。
まもなく西伊豆の町長選と町議会選があるらしく、選挙カーが立候補者の名前を拡声器で連呼しながら走り回っている。
まずは堂ヶ島の遊歩道から歩き始める。遊歩道の展望地からは南に断崖が続く海岸線を眺望する。展望地の北側に回り込むと本日の第一のお目当て、砂嘴で繋がった島が見える。三四郎島は手前から伝兵衛島・中ノ島・沖ノ瀬島・高島の四つの島からなり、見る角度により三つに見えたり四つに見えたりするのでこの名前が付けられたらしい。
遊歩道を進むと山中の窪地にたどり着く。窪地の中央部にはポカリと大きな穴が空いており、穴から下には海が見える。天窓洞と呼ばれるところで、断崖の中の洞窟の天井部が長年の浸食により穴が空いたらしい。
堂ヶ島を後にするといよいよトンボロのある瀬浜海岸に降りる。平日でも意外と観光客が訪れているようだ。ゴロゴロとした歩きにくい石の上を歩き、伝兵衛島に渡る。島を裏側に回り込むと純白のドレスを着た女性と花束を持ったタキシードの男性、それからカメラを抱えた男性がいる。近くで結婚したばかりカップルが訪れていたようだ。
伝兵衛島の先、中ノ島までも岩場でほとんど繋がっているが、一箇所2mほどの幅の溝が先に進むことを阻む。
トンボロを後にするといよいよ田子入口から西伊豆遊歩道に入る。
浮島海岸、ここにもいくつか温泉民宿があるようだが、非常に寂れた雰囲気だ。夏の間には海水浴客も訪れるのだろうか。海岸にたどり着くと、その左手に陸繋島が現れた。
陸繋砂州の左手にはニョキニョキと海から突き出しような岩塔が並んでいる。火山岩頸と呼ばれるもので、かつては地中から噴き出したマグマの痕跡で、「火山の根」とも呼ばれるものらしい。マグマの周囲の柔らかい地面が海蝕により削り取られ、硬いマグマのみが残った結果でこのような岩塔が形成されたようだ。
浮島海岸に沿って小さな入江を歩くと、静かな海岸に突如として選挙カーが訪れる。ここから先は遊歩道となり海岸の右手の断崖の上に登ってゆく。断崖から海に突き出た小さな突端に踏み跡が続いているので突端に向かう。右手には浮島海岸から海に突き出た島、左手にはこれから辿る燈明ヶ崎へと続く迫力のある岩壁が続く。
さらにその先の岩礁に向かって下降してみる。岩礁はフジツボで覆われているので普段は海中にあるのだろうが、干潮のために岩礁が海から現れたのだろう。
遊歩道に戻ると岩壁の上を歩くことになり、鬱蒼とした常緑はほとんど見えない。ウバメガシや椿の樹林を歩いて展望地に飛び出す。
燈明ヶ崎というらしい。展望地に燈明堂という、沖合を航行する船に陸地を知らせるために
地元の人が夜通し詰めて燈明を灯したという灯台の役割を果たしたらしい。
北側には尊之島とこれから辿る予定の今山が目に入る。近くに見えるが、ここからは入り組ん田子の港湾を大きく回り込まなければならないので時間がかかる。
燈明ヶ崎から山を降りるとまもなく静かな海岸にたどり着く。田子の港湾に沿って歩き始めると、小さな入江の奥には錆びついた造船所の廃墟が現れる。海沿いには鉄格子で塞がれた洞窟が現れる。
洞窟は太平洋戦争の末期、敵艦に魚雷を抱いて体当たりする特攻艇「震洋」を格納するために掘削したものらしい。特攻艇はベニヤ板で作られたものらしく、およそ現実的な戦法とは思えないのだが、意外なところに戦争の狂気の爪痕を見るような気がした。
田子の市街に入ると再び多くの選挙カーが所狭しと走り回っている。市街を過ぎて今山の遊歩道に入るとしばらくは舗装路が続く。やがてアロエ畑を過ぎると山道に入る。道沿いの石垣がかつてはこの地域の生活道であった歴史を物語る。
今山の北側に回り込むと富士山の展望所の案内標のある好展望地となり、黄金崎が見える。その彼方の恋人岬の上に富士山を大きく眺望することが出来るらしいが、残念ながらこの日は富士山の方角はすっかり雲の中だ。
時間は16 時33分。このまま遊歩道を辿っても次の16時41分のバスには間に合わないので、網屋崎まで下降することにする。安良里の湾に突き出した岬であるが、ここにはかつてイルカ漁が盛んに行われた時の網小屋があったらしい。
岬へと下降する尾根はウバメガシの大樹が立ち並ぶ独特の雰囲気の尾根だ。薄い踏み跡を辿って尾根を歩いていると気がついたら断崖絶壁の上に出てしまう。岬に向かうには尾根を途中で右に曲がらなければならないところを直進してしまったようだ。すぐ右手の斜面を下降して海に面した堰堤の上に出たのはいいが、その上にフェンスが設けられている。なんとかフェンスの海側を通過する。
岬には確かにかつての網小屋の跡と思われる石垣の廃屋跡がある。数年前までは趣のある茅葺き屋根の小屋があったようなのだが、茅葺き屋根は失くなってしまったらしい。浦守神社のみがかつての人々の営みを偲ぶよすがとなっていた。岬の近くの入江には安良里から舗装路があり、漁船が多く繋がれていたが、舗装路の終点にはフェンスが設けられており、道路に出ることが出来ない。再び山道に戻るしかないが、気がついたら次の17時41分のバスにも間に合うか厳しい時間になってしまっていた。最後は山道をひたすら走り、浦上バス停を目指す。バス停に到着したのはバスの到着予定の1分前だった。
バスは予定よりかなり遅れてバス停に到着する。バスの車内は地元の高校生でほぼ満員であった。バスを仁科車庫で降りると近くの安城岬を訪ねる。夕陽はとうに沈んだ後であったが、空にはわずかに残照が残っていた。
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