一夜山〜大展望!鬼無里の鬼が一夜で造った山


- GPS
- 03:00
- 距離
- 3.8km
- 登り
- 319m
- 下り
- 307m
コースタイム
【実働】1時間20分
天候 | 快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2008年11月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
ここを左折して細い道を道なりに上がっていき、右から西岳林道が合流するT字路を左折、すぐ先のY字路を右の方に上がっていくと、程なく15台分ほどの駐車スペースのある登山口に着く。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
全行程、車が通れるだけの道幅があり段差もない。運動靴でも充分なハイキングコース。 水場、登山ポストなどはない。 鬼無里の信号三叉路を白馬方面に少し行くと、"ふるさと体験館"や"おやき"で有名な"いろは堂"があり、小腹を満たすことはできる。 さらに白馬方面へしばらく進むと、食堂のある日帰り温泉施設"鬼無里の湯"がある。 |
写真
感想
待望の秋の移動性高気圧到来ということで、手軽に登れる割に北アルプスなどの展望が素晴らしい鬼無里の一夜山にやってきた。
一夜山の名は、この山里がまだ水無瀬(みなせ)と呼ばれていた古代、時の天武天皇が信濃の水内(みのち)への遷都を計画し、棲み家を奪われてしまうとあわてた土地の鬼どもが一夜で山を築いてしまったことに由来するという。ちなみにこの地が鬼無里と呼ばれるようになったのは、遷都を邪魔されて怒った天皇が阿部比羅夫(あべのひらふ)に鬼どもを退治させ、里に鬼がいなくなってしまったからだということだ。
現在は長野市に合併されてしまった鬼無里だが、私が旧鬼無里村を知ったのはまだ名古屋に住んでいた高校時代のことだ。
当時信州では、農家などが空き部屋を受験生などの長期滞在のために民宿として安価に提供する"学生村"というシステムが各地にあった。鬼無里もその一つで、村名に惹かれた私は2年生の夏休みに初めて訪れすっかり気に入り、3年の夏休みにもまたやってきた。30代になって近くの信濃町に住むことになったのは、昔受け入れてもらった素朴な宿のご家族のこととか、興味深い数々の伝説が残る鬼無里の地の印象がきっかけと言えるかもしれない。
今でも白馬村方面に用があるときには鬼無里を経由することも多いが、一夜山自体は一時山登りから遠ざかっていたこともあり、まだ今回が2回目である。前回登ったのは5〜6年前だと思うが、そのときは崖や道路など採石場跡として剥き出しの地面が生々しかったという記憶がある。その後その上を木や草が覆い、今回は道も落ち葉で覆い尽くされていたせいか、前とはかなり印象が違っていた。だいぶ自然な感じに戻ったのは喜ばしいことである。
西岳林道から登山口へ向かう分岐で間違った方へ行き、ずいぶんガソリンと時間をロスしたが、8時15分頃登山口に到着。そこそこ広い駐車スペースにまだ他の車はない。天気は期待通りの快晴で、頂上からの大展望が楽しみだ。
ゲートから先、広い道は緩やかに静かな林の中を進む。来る途中、ラジオで今朝長野市で初結氷を観測したと伝えていたが、ここでも道端の水溜りに薄く氷が張っている。霜の降りた苔を朝の光がキラキラと輝かせて美しい。
道は西へ東へと大きく4回ほど向きを変え、東に向くと山麓にまだ紅葉を残した西岳連峰が鮮やかに目に映る。やがて右頭上に偽ピークが見える崖下を東に迂回し、5つめの折り返しで西を向くと頂上へ続く尾根の登りに入る。相変わらず広い道は尾根の南斜面寄りを通り、周りのブナやナラなどの広葉樹もほとんど葉が落ちているので日がよく通り、明るいプロムナードといった感じで楽しい。だが、等高線間隔は緩いものの、直線的に登っていく道は意外に勾配がある。
山頂まで500mの道標を過ぎて程なく道はいったん北東方向に小さく折り返し、改めて尾根に乗り直す。残り300mの標識を横目に再度折り返して一登りすると、いきなり前方に眩しく雪化粧した北アルプスが目に飛び込んできて感動する。ちょうど下から見えていた崖の上の偽ピーク辺りだと思われる。北に視線を転じると、わずかだが雨飾山・金山・焼山・火打山など頚城アルプスの山々も頭を出している。山頂がいよいよ楽しみになってくる。
登り始めて50分、到着した一夜山の頂上は禿げた頭のように丸くて広い。そこに園地のように鳥居、石祠、石碑、山頂標柱、山座同定盤、反射パネル?などが配置されている。何よりほぼ360度の展望は素晴らしいの一言。特に眼前の北アルプスは青空をバックに雪をかぶり、時間帯的にもちょうど順光となってただただ眩く神々しい。夢中であっちへこっちへとデジカメのシャッターを押し続ける。
一面の快晴で日差しは暖かく風もない。弁当はないが、最近マイブームとなっている粉末アップルティーを沸かしてまったりとする。地図を広げて山座同定したり、双眼鏡を取り出して遠くの山々を覗いたりしていると、あっという間に時間が過ぎていく。午後から仕事がなければ3時くらいまでは留まっていたい気分だ。
頂上で1時間半ほど過ごした頃、登山者が一人登ってきた。格好からしてどうも地元の人のようだ。ひとしきりの展望を見るとあまり長居はせず、先に下りていった。こちらもそろそろ時間一杯だ。11時ちょうど、後ろ髪を引かれる思いで頂上を後にする。
最初に北アルプスが見えた偽ピークのところで、先ほどの登山者がもう一人後から登ってきた登山者と話しをしていた。二人に軽く挨拶して先行する。
下りになると登りのときより勾配のきつさを実感する。幾重にも重なった落ち葉の上は滑りやすく意外に腿の筋肉を緊張させるが、段差がない分、過去の山行で爪を剥がした右足小指へのストレスはない。この点でも今日の山行に道のよい一夜山を選んだのは正解だった。
帰りは30分で下りきった。途中、山頂に向かって車が1台上がってきて驚いた。ゲートを上げて入ってきたのだから何かの作業のためなのだろうが…。
車でなくても徒歩往復1時間20分だから、私としては朝思い立ったら気軽に出掛けられ、それで満足いく展望を堪能できる嬉しい里山である。積雪期でもかなり登りやすいだろう(その気はないが…)とは思うが、冬はむしろ登山口までの道路の方が問題かもしれない。奥裾花自然園の水芭蕉が咲く頃が自分にとってはまた来る適時だと思う。その頃なら春の花という楽しみも加わるに違いない。
コメント
この記録に関連する登山ルート
この場所を通る登山ルートは、まだ登録されていません。
ルートを登録する
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する