記録ID: 31640
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積雪期ピークハント/縦走
日高山脈
農屋→ペテガリ小屋→ペテガリ岳→ヤオロマップ岳→コイカクシュ札内岳→夏尾根→ピョウタンの滝
1994年03月19日(土) 〜
1994年03月30日(水)

コース状況/ 危険箇所等 |
農屋→ペテガリ小屋→ペテガリ岳→ヤオロマップ岳→コイカクシュ札内岳→夏尾根→ピョウタンの滝 3/19-30(8-4) L:石崎啓之(4)AL:清水徹(4)M:長阪昭憲(2)、邊見悟(2) 3/19 ペテガリ小屋C1 林道は途中までヒッチ。タクシー降りた地点から小屋まで32km。1日で歩ける距離ではない。この林道は雪崩より落石が怖い?除雪は東の沢ダムまで。 3/20 曇一時雪 C1(7:00)→標高1050mポコ(10:40-11:00)→1293手前C2雪洞(13:30) 噂通り、樹林内雪庇は侮れじ。落ちたらやばい所もある。スキー脱いだのは一度だけ。1050mポコはカンバ帯であるから、夏テントでは厳しいかもしれない。重荷でへばって1293手前に穴を掘る。 3/21 晴のち曇一時雪 C2(6:00)→西のコル(9:30)→ペテガリ岳C3(13:40) 相変わらず西尾根はだるい。コルからは一気に樹林限界へ。昨夜の新雪(20cm)の下はクラストしていて、スキーを捨てる。ねじが凍っていて回収に手間取る。Mはついに断念。スキーを担いでいく。ワッパでピークまで。 ピーク直下に雪洞を試みるも失敗。横着者の掘り下げイグルーは、掘り下げすぎで崩壊する。月夜にヘッドライト、イグルーに冬テント、昨冬のコイカクを思い出すにつけ、涙する。寒気の流入で日中一時雪。 3/22 晴 C3(10:00)→CカールのコルC4雪洞(13:40) 「ペテガリの下りは、行けばわかる」という京大の記述があるが、なるほど、なるほど、なぁるほど。細い尾根に雪庇がでており、かなりきわどいルート取りを強いられる。ペテガリに南から上がる尾根も難しいという噂だが、こちらもねちょねちょ両面雪庇で鼻血ブーといった感じ。真っ白なので天気を選ぶ必要あり。Cカールまで気が抜けない。今日は休養のつもりだっただけに疲れた。 3/23 C4(5:50)→ルベツネ西峰(6:40)→ルベツネ東峰(7:00)→C4=C5(9:00) 低気圧の前面でのっこしをかますつもりが、影響は思いのほか早く、西峰ですでに1839m峰にどんよりと雲がかかる。のっこしを諦め、空身で偵察。ルベツネの下りは見た感じ簡単そう。しかし、1599はやけに遠くに見える。 3/24 雪・強風 停滞C5=C6 台湾坊主を含め、三つの低気圧が本道に終結しつつある。夕方には、雪がやむというがはたしてどうか。とにかくも、雪洞の天井がへこんで穴があいたので、北北西へ進路をとり、2mほど進む。掘った雪で天井のへこんだ所を埋めて完成。僅かながら先へ進んだので、「これは停滞ではない」といういう意識がパーティー内に芽生える。台湾坊主は、まさに浦河沖を通過。十勝地方は10年ぶりの大雪だという。 3/25 雪・強風 停滞C6=C7 朝、外に出てみるも、糞をするのもシビアな天気。朝寝をして、ラジオを聴いていると、冬型は明日には緩み、明後日は移動高で晴天という予報あり。これは、ハイベルトになって、一気に行けるかもという能天気な読み。 3/26 晴 C7(6:00)→ルベツネ岳(7:00-15)→1599C8イグルー(12:20) 今日のっこさねば、日程がシビア。穴から飛び出すと、晴れた、晴れた、晴れましたよーん。L自ら犬ころのように喜んだ。 昨日の冬型で、雪は吹き飛んでおり、稜線は快調。ザックも軽い。ルベツネの下りは、見た目どおり簡単。岩稜も全て上を行く。ポコを登り返す所から雪庇が大きくなる。下り始めて、雪庇が小規模に崩壊したので、手堅くりんご畑へ突進。横着はしないことだ。 1599ピークにイグルー。雪庇を削っておったてた。ちなみに、最低コル付近からワッパ。50−100m刻みでビーコンして歩く。 3/27 晴のち雪・強風 C8(6:00)→1569(8:30)→ヤオロマップ岳登り始めC9(9:40) 天気図では、高気圧が来ましたよーんという感じで、当然朝は晴。しかし、天気予報は日本海に弱い谷があるなどとほざく。気にせず出発。 1569までは、まあまあ快調。途中ワッパを履くも、雪が硬いのですぐ脱ぐ。脱ぐとズボズボで埒あかない。1569へ着く頃からお天気下り坂。この先、気も狂わんばかりのバリズボにはまっている間に、天気がどんどん悪くなる。 ヤオロの登りに差しかかる頃、ちょうど雪庇が切れているところがある。ツェルトにもぐってしばし相談。気圧配置がどうなったかわからないので、穴を掘りながら様子を見る。ラジオでは弱い谷の通過とのこと。穴が完成する頃には、かなり天気が荒れてきた。 3/28 雪・強風 停滞C9=C10 大陸に大きな低気圧が生じ、前線を伴い発達しながら接近中。雪洞の薄い壁は青白く光り、我等はその底で口もきかず、深海魚のように寝入る。唯、ラジオばかりが鳴りつづける。かくして、感性は粗野となり、様式化された思考だけが時計仕掛けのようにカチカチと動いていく。この頃より、「39より脱出」という危機感がパーティーを取り巻く。 3/29 晴・強風 C10(8:00)→ヤオロマップ岳(9:30)→コイカクシュ札内岳(11:30)→夏尾根末端C11(14:45) 久々に寝坊。更にストーブも不調とあって、出発は大幅に遅れる。 やや風はあるが晴れている。午後、真冬並みの寒気が入るらしい。ヤオロマップ岳ピーク周辺は、局地的に風が強い。問題のナナシ沢の吹き上げは大したこともない。 ヤオロ〜コイカク間は、ハイマツが密集している。一瞬地図読みを疑ったほど。それでも時間よみどおり、コイカクに着いた頃から風も強まったよう。惜しげもなく主稜線を後にする。夏尾根を転げ落ち末端へ。たき火をしようという矢先、雪が降ってきたので、早々にテントへ。 3/30 曇 C11(6:00)→林道(10:30) コイカク沢は、ズボズボの膝ラッセル。大したデブリもない。ラッセル用にザックを1つ軽くして交替でラッセルをしていく。トンネル工事の作業道がコイカク沢に入っている。 作業のおやじ達とその車の前で、意味ありげに腰を落ち着け、荷をまとめていると、案の定、車に乗せてくれた。宿舎で風呂までごちそうになる。例によって、蓄大の方に出迎えていただき、仲良くはげ天へGO。 |
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