行者還岳南1486mピーク・奥駈道出合の間を周回
- GPS
- 04:30
- 距離
- 8.3km
- 登り
- 649m
- 下り
- 704m
コースタイム
- 山行
- 4:57
- 休憩
- 0:11
- 合計
- 5:08
天候 | 快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2021年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
問題になる箇所なし |
その他周辺情報 | 入之波温泉山鳩湯 |
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
Tシャツ
ズボン
靴下
グローブ
防寒着
雨具
日よけ帽子
靴
ザック
昼ご飯
非常食
飲料
レジャーシート
地図(地形図)
コンパス
笛
計画書
ヘッドランプ
予備電池
GPS
筆記用具
ガイド地図(ブック)
ファーストエイドキット
日焼け止め
保険証
携帯
時計
サングラス
タオル
ストック
カメラ
シュリンゲ
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感想
ここ数週間というもの、天気が安定せず行き先は近場の山が続いていたが、ようやく晴天間違いなしの週末が来た。満を持して大峯を目指す。予定から2週間も遅れてしまったが、行者還岳のキレンゲショウマを見に行くという計画である。ついでに、未踏区間として残っている「90番分岐ー奥駆道出合」を歩いてみようと思う。年に一度は訪ねている入之波温泉に運よく宿が取れたので、余裕の行程である。
気合で6時前には家を出て、90番ポストに着いたのは9時ちょっと前、すでに路肩の広い部分はおおかた車が止められていて、かろうじて駐車場所を確保する。期待通り、天気は上々、久々の大峯に思わず気が急く。ほぼ同時に到着した二人組が先に出発していたが、最初の急登部分でその姿を捕捉する。すぐに抜き去るが、その時点でルートを外していることに気づく。先行者がいると、ついその後を追ってしまうのが人情だ。追い抜きざまに軌道修正を開始して尾根上へと斜上し、ルートに復帰する。それから一登りすると目前に日本岳、小普賢岳、大普賢岳の顕著なピークが並び立つ景観が広がって、タイタン広場に達しつつあることを知る。以前登った時には天気が悪く、まるで景色が見えなかったので、この眺めは新鮮な感動を与えてくれた。
さて、”タイタン尾根”に乗って左手、木の幹に「登山道→」の大きな表示が目に入る。しかしここはちょっと我慢してもう一歩直進し、林道跡にまず立つことが肝要だ。さもないと、あの有名なこのルートの象徴的存在であるタイタン号に気づかずに過ぎてしまいかねない。そんなことになろうものなら、何のために登ったのかわからないから!? ここからは、林道跡の漫歩が始まる。ブナの大木とミツバツツジの中をルンルンで進めば、ところどころで大普賢の三兄弟を眺めることができる。
実は今日の隠れたミッションが間もなく開始されようとしていた。ヤマレコの地図を見ると、この少し上からほぼ等高線に沿って北へ辿ったトレースがわずかな距離ながら残されているのだ。これは誰かが秘密の花園を訪ねた軌跡なのではないか?? そう閃いた私はひそかにこのトレースをトレースしようともくろんでいるのだ。その分岐点に立ってみると、そこには古い林道跡が現在の登山ルートから逸れて林内へと続いていた。ははー、これだな。とほくそ笑んで、さっそく踏み込んでみる。林道跡はむしろやや降り加減に伸びており、その周囲は完全に植林の暗い世界となっている。ヤマレコのトレースの終着点まで辿ってみたものの、秘密の花園など何もないのであった。要するにあのトレースは単なるルート間違いの跡だった、というのが私の下した最終結論である。実に馬鹿げた探検であった。気分転換に登山道手前まで戻って昼食とする。ここの部分、私のログには入れていない。
この付近からは、下生えにミヤコザサが広がるようになり、主稜線間近を知らせる。大普賢三兄弟が再び堂々たる姿で視界に迫り、その手前に岩を鎧のようにまとった行者還岳が座している。そして緑に輝く奥駆道の稜線は目前にある。タイタンルートは本当、楽ちんだ。ほんの数歩軽く登って奥駆道に乗ると、正面に弥山の伸びやかな山頂とその左に端正な三角錐の八経ヶ岳が初めて姿を見せる。最初はてっぺんを雲に隠していたこの二山も、奥駆道を行くうちにその全容を顕す。明るい草地には紫のトリカブトの花が咲き誇っている。そして大理石の散らばる小ピークを越すと、目的の1486mピークはすぐそこである。右手に鹿よけのネットを施した区画がある。少なくともこの中にはキレンゲショウマがある筈なのだが、目を凝らして見ても全くないのだ。さらに周囲に目を走らせながらピークまで進む。やっぱりない。折り返してルートよりも東側の斜面を進んでみるも、それらしき姿を認めることはできなかった。シカの食害によって近頃はその数が激減しているようだし、時期的にも花が終わってしまったとしても不思議ではない。致し方ない。来年にかけよう。剣山にはまだ群落があった(それを見た時は蕾のみ)から、リベンジは四国路にて、ということに。
再び気分を切り替えて、奥駆道の未踏区間のログつなぎの旅を始めることにする。先のタイタン尾根派生点まで戻り、さらに弥山方向へと奥駆道を辿る。ここではトレランの数人に抜かれる。確かに奥駆道は乗ってしまえば起伏が少なくよく踏まれているからトレランには向いているだろうが、ここまでトレラン軍団が来ているというのはちょっと予想外だった。左手には大台ケ原が延々と伸びている。右手には鉄山のとんがり帽子の尾根と、その階段の頂点に立つ弥山、八経ヶ岳が終始目を楽しませてくれる。一ノ垰を過ぎると弥山は視野から外れ、かわって山上が岳が均整の取れた姿を見せるようになる。それにしても抜けるような青空に山々は映える。道はピークをかわして北斜面をトラバースするようになり、これを巻き終えて稜線に乗ると間もなく出合の見慣れた風景が眼の前に飛び込んできた。こうして今日のログつなぎキャンペーンは目標達成となった。
すぐに踵を返して先ほどの一ノ垰まで戻り、ここから北に小尾根を辿って行者還トンネル東口へと向かう。この尾根は右手が終始檜の植林帯で薄暗く、これといった見せ場もないパッとしない道が続く。急な小尾根を下ったのち、標識に従ってトラバース道に入り、林道に降り立つ。林道を左に登り加減に進めば正面にトンネル入り口が見えてくる。ここから90番ポストまで、舗装道路をゆるりゆるりと下ってゆく。それにしても、よくまあ、こんな急斜面に国道をつけたものだ。午後になっても青空の威力は衰えることを知らない。好天に恵まれ、大峯の眺めを存分に堪能した山行だった。
その後、入之波温泉のあの怒涛の源泉かけ流しを一年ぶりに浴びる。日帰り入浴者の雑踏はこれまで見たこともない凄まじさだったが、泊りの我々は彼らが引いた後、ひっそりと静まり返った露天風呂を独り占めだ。露天風呂の真下は小さな沢で、ここから、源泉が運んだ堆積物の扇状地の上を温泉水が絶えず湖にとうとうと流れ込んでいる。ここに来るといつも青森の古遠部温泉を思い出す。どちらも、忘れえない素晴らしい温泉である。
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