高尾山北面支尾根4 気になる踏み跡道(非一般道)


- GPS
- 05:57
- 距離
- 7.6km
- 登り
- 396m
- 下り
- 401m
コースタイム
- 山行
- 5:19
- 休憩
- 0:40
- 合計
- 5:59
今回は気になっていたいくつかの踏み跡道を歩いてみるというマニアックな山行。興味のない方には退屈なので悪しからず。あくまでも自分用の備忘録です。
山道を歩いていると脇にそれる踏み跡道がついつい気になって記憶するくせがある。下山後もしばしば思い出し、次に山行計画を立てるとき、それに引きずられることになる。
今回取り上げたのは、①「高尾山ちか道」の途中から分岐し、蛇滝林道終端へつながる踏み跡道の踏査、②蛇滝林道から高尾天満宮西の沢へ降る尾根(天満宮西尾根)を下降し、前回間違えた、尾根への取り付き部の確認(尾根を往復)、③前記②の尾根の蛇滝林道より上の部分の踏査、そして④蛇滝道場下の沢に合流する、P522から発する小さな沢の踏査を行った。
【詳細】
①の踏み跡は金毘羅台から北へ伸びた尾根を下降中に一度横切った経験があるだけで、金毘羅台への尾根道の途中からの分岐点は見たことがなかったので、登りながら、まずそれを探した。しかし、地形図とみんなの足跡から推測する分岐点付近には平らなテラス状の尾根があるはずだがそれは見当たらず、行き過ぎて金毘羅台近くまで進んでしまった。GPSで位置を確認しながら戻ると、分岐点は見つかったが、尾根は痩せており、テラス状の地形は辺りに確認できなかった。地形図の信ぴょう性に疑問が生じた。今どきの地形図でこんなことがあるのだろうか。
とりあえず踏み跡道に入ったが、蛇滝林道へのトラバース路の痕跡は薄く、迷ってしまった。仕方なく、強引に尾根道(既知)に合流し、尾根を下降し、トラバース路との交叉部に出た。そこから先ほどの、踏み跡に入る分岐点方向へトラバース路をたどり、迷い始めの地点を確認した。迷ったのは分岐点に近いところだと判明し、がっかり。再びトラバース路を戻り、さらに蛇滝林道へトラバースを続けた。崩落個所が複数あったが、順調に林道へ出ることができた。沢を渡るところは滑る急斜面であり、その後も林道まで急傾斜の下降が続いた。
②の蛇滝林道からの降りはよく踏まれた道である。薬王院の主要な古参道であるといわれるだけのことはある。ただ、急傾斜なので誰もが登れた参道だったとは思えない。
本日は、高尾天満宮西尾根への取り付き部の確認であったが、天満宮西の沢から左岸を数メートル登ったところでほぼ直角に左折する、藪で隠れた見通しのきかないポイントが見落とされやすい、ということが分かった。前回はそこを直進したため、正規ルートではない尾根筋を強引に登らざるを得なかった。正規のルートは尾根からはほんの数メートル東を並走していることが今回わかったが、尾根からは見えないので合流するまで気づかなかった。
③前記②の尾根道は蛇滝林道の崖で中断されるが、林道(1980年ごろ建設)がなかったころの道がいま崖上でどうなっているか気になっていた。林道から見上げる尾根筋のやや右手に見つかった崖の登り口から、しばらくの間は明瞭な踏み跡がブッシュの中を続くが、ブッシュを抜けて落ち葉におおわれるとどこでも歩けるためフィックスした踏み跡が消える。尾根筋ば小石混じりの下草のない、いかにも昔使われましたと言わんばかりの堂々とした道が真っ直ぐ続くことが確認できた。しかし、林道下に比べると最近の使用頻度ははるかに低い。とりあえず確認ができたので、後の予定に時間を残すため、少し登ったところで引き返した。
④本日の最終目的である、蛇滝コース沿いの沢に流れ込む枝沢の右岸に、登山道から見える踏み跡が気になっていた。露岩には靴で摩耗したような跡が見えるので、奥まで続いているという匂いがする。これは行けそうだと直感した。
また、以前、行者道場直下の本流の沢の西側の尾根をよじ登った折りに、P522の少し手前で北側の沢(地形図上は今回の沢のはず)が尾根道に接近した辺り(ほとんど詰めの部分)で沢をトラバースする踏み跡を見たことがあった。今回の沢の踏み跡はそのときの踏み跡に続くものと期待される。
そんな考えでこの沢に入ったのだが、意に反し、踏み跡は不鮮明となり、あちこちに逡巡したような踏み跡らしきものが散見されるようになった。どこを歩くべきか悩んだが、もっともらしい踏み跡に従って歩くと沢に出た。沢沿いの石伝いの道はおぼろ気となり、対岸には踏み跡らしきものが見え、どうしたものかとしばし考えた。対岸の道も探ってみたが希望は見えない。沢のはるか奥にはP522あたりの稜線が見上げる高さでそびえている。帰りの電車の予約時間までには駅に戻らねばならない。いろいろ悩むうちに、もう戻るしかないと判断した。
下降路は同じルートを取る気がしないので、トラバース路を蛇滝方向にまわり、舗装の登山道が下に見えるあたりで、強引に下降した。幸い誰も通らなかったので注目されずに済んだ。
結局、この沢を詰めるルートは、残念ながら、自分の技量では不明に終わった。
以上が今回の山行の顛末である。無理をしなくてよかった。
荷物:6.5kg 歩数:17000
天候 | 快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2021年11月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車
高尾山口駅 ー(高尾山号2号 15時15分発)→ 京王新宿駅 |
コース状況/ 危険箇所等 |
上記①〜④は非一般道なので、一般道における以上に自己責任で。②以外は荒れた部分・危険個所が多く、どなたにもおすすめできるものではありません。 ①は高尾山ちか道(落合から金毘羅台への尾根道)の途中から一般道を外れる踏み跡。使用頻度がかなり低いので自然に戻りつつあり、迷いやすい(事実迷った)。急斜面のトラバース部はザレて滑りやすいところが続く。崩落部には小さな迂回路がついており、利用者は皆無ではない。 ②蛇滝林道から高尾天満宮へ下る尾根(七曲尾根?)のルートは明瞭であるが、部分的に急傾斜である。下降の場合は迷いにくいと思われるが、登りの場合、沢の渡渉点から左岸斜面を数メートル登った地点で、尾根の手前をほぼ直角に左折するポイントでは、直進方向の踏み跡が目立つため直進しがち。前回はここで間違えた。 ③蛇滝林道から上の七曲尾根(?)を登る場合、登り口をクリアーした直後の踏み跡は明瞭だが、少し開けたところで不明瞭になる。ここは尾根を目指せば問題ない。しかし、降る場合は崖直前でブッシュに入るところの踏み跡が見つけにくいので、崖から数メートル手前で左にルートをとり、踏み跡を探すとよい。 ④蛇滝口登山道の道場下の沢に西から流れ込む沢の右岸の踏み跡は登るにつれ、不明瞭となる。傾斜が急で足場が悪いのでルーファイに注意が必要。今回はトラバース路で到達した谷底から、時間の関係で引き返した。 |
写真
後日追記:これもトラバース道へつながるのか? いや、標高と地形図からすると高すぎ、尾根っぽい。しかし、そもそも地形図が怪しいのだから何とも言えない。歩いてみるしかない。
装備
個人装備 |
25Lザック
カッパ上
綿パン
コンプシャツ・タイツ
パイルソックス
ミッドカットシューズ
ゴム引き手袋
カメラ
スマホ+ヤマレコMAP
補助バッテリー
カップ麺
チョコレート
ナッツ
湯
水
ガスライター
メット
スリング
カラビナ
エイト環
6mmおよび4mmザイル(各20m)
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感想
◎この【感想】はこれからゆっくり追記するつもりです。
踏み跡オタクとして気になっていた4つの道を、気が済むところまで歩いた。ガイドブックにない道には情報が希薄なので、踏み込んでみてその場で判断しなければならないことが多い。
最初に「高尾山ちか道」から分岐した蛇滝林道終端へ続く道は、入り口が分かりづらかった。いまでも等高線が間違って描かれているとしか思えない。でもそこしかないという確信のもとに踏み跡に踏み込んだ。しかしすぐ踏み跡を見失い、かつて歩いたことのある道から逆にたどって迷い始めの地点を確認せざるを得なかった。まだまだルーファイ技術が伴っていないと痛感した。
正しい踏み跡を南東にたどると、風化により傾斜したステップ面が滑りやすかった。ここで妙なことに気づいた。左が谷側となる道なので、当然左足が谷寄りになり、滑りそうになると左足で踏ん張ることになる。この歩き方が続くと足元に大きな不安を感じた。ところが、同じ道を逆方向に戻る際は右足で踏ん張ることになる。不思議なことに、この歩き方だと先ほど感じた不安感がまったくないのだ。これは一体どういうことなのか・・・?
思い当たる節は、30年近く昔、鈴鹿で大きな落石を足に受け、左足首のすぐ上を骨折したことだ。その影響だと思うが、左の片足立ちがいまだに不安定だ。多分そのことが左下がりの傾斜面で左足で滑りを踏ん張るときの不安感の原因なのではないかと想像する。と同時に、傾斜面を歩くときは、谷側の足が体のバランスを取るのに大きな役割を果たしていることにも気づいた。左右対称の足でないからこその気づきだ。蛇滝林道までのトラバース路は右が谷なので、安心して歩くことができた。今後、大きなステップで遠くの足場に踏み出す必要があるようなときなど、私は右足を頼りにすべきだということを知った。
甲州道中(=旧甲州街道、南浅川に沿って小仏峠を越える)と高尾山薬王院の尾根道(1号路)を結ぶ伊能忠敬が測量したルートが伊能図に記されているが、傾斜が急なため精度が悪く、そのルートがどこであるかよくわからない。それをこの目で確かめるべくこの山域に立ち入ったが、そこには良い雰囲気が残っているので興味津々だ。ただし登行ルートは傾斜がきつく、一歩一歩の感触を楽しむ趣味がなければ苦痛が先行するだけだ。ここは何度訪れても飽きることはない。
今回はこの山域で最もしっかり道として残る、高尾天満宮の西の尾根の蛇滝林道から上の部分に分け入ることも目的の一つであった。そこには期待通り、明瞭な旧道が続いていることを確認できた。ただ、尾根の一部は道の中央に一列に植林されていたのには驚いた。でも、年月をかけて踏み固められた旧道は砂利混じりで草におおわれることもなく、ひっそりと往時をしのばせる。急がず、じっくりと一歩一歩を楽しんで歩きたい道だ。今回は1号路までの大半を次回以降のお楽しみとして残し、引き返した。落ち着いた雰囲気がいつでもすぐ思い出せる。
蛇滝コースの道場下からP522に至る沢沿いの道は、時間的余裕をもって再挑戦したい。台風などで荒れ放題と見えるが、ルートは続いているとみた。気になる踏み跡リストに残ったままだ。
今までもそうであったが、今回はとくにこだわりの山行であった。こんなことは一人山行でなければできない。計画段階で誰かの顔を思い浮かべれば思い通りにはならない。場合によっては協調も必要だが、山は一人が基本である。山と一対一で向かい合い、自分とも向かい合う。誰に気遣うでもなく思いのままに行動し、考える。とみに個人的な行為だと思う。
ある山岳会では、基本は単独行であり、安全登山の技術訓練や懇親のために集まるという。
今回の山行では概ね、それなりの結果に納得した。最後は慎重な撤退をしたので予定より早めに下山し、余裕をもって整理運動がてら、ストレッチしつつ里道を歩いた。紅葉が秋の陽にまぶしかった。
さて、つぎはどこで何をしようか。
コメント
この記録に関連する登山ルート
この場所を通る登山ルートは、まだ登録されていません。
ルートを登録する
高尾山北面の詳細な探索の一環ですね。頭が下がります。
左足で踏ん張る時の不安感についての考察も勉強になりました。ルートを見分ける感覚もそうですが、自分の身体や心についてもセンサーを磨いていきたいですね。
単独行を基本とする山岳会が身近にあったら、私も入りたいです
コメントありがとうございます。
足が弱ってきたので行動範囲が狭められ、標高差が300〜400mまでの脱出が容易な山域で、しかもこのご時世なので密にならない交通機関を使うという縛りの中での、せめてものこだわりの発露です。狭い範囲で何度も山行を繰り返せば、結果的にどうしても詳細にならざるを得ません。高尾山という、もっと自然を保全すべき山域で、私のようなことをする人が増えれば自然が痛むので、こういう自己満足の記録を載せることに後ろめたさを感じており、思いは複雑です。kamadamさんのように、回復力のある山域で縦横に歩くことが出来たらと、うらやましい限りです。
左足の不安感の原因がはからずも見えてきて、ちょっと目からうろこでした。また、安全確保の対策も見えたのでちょっとだけ意を強くしました。得意だった下りが怖く感ずるようになった原因も同じところにあると思うので、これからリハビリしながら安全に降れるようにしたいです。
ルートファインディングはまだまだですね。このところ失敗続きなので体験を重ねながら技を磨きます。予備知識なしの実地訓練しかありませんから。
いつまで歩けるかわかりませんが、一人ならマイペースで歩けるので今後も一人山行を基本にしていきます。
単独行を基本とする山岳会はたしか松濤明の「新編 風雪のビヴァーク」を読んでいて、彼が所属した徒歩渓流会をウェブで調べていて偶然見たのですが、徒歩渓流会は超有名ですが、アクセスすると、このページは安全ではないというメッセージが出て先へ進めません。いろいろ見たのでどこの山岳会だったか記憶がぼやけています。でもこの基本姿勢は魅力的ですよね。
今後ともよろしくお願いいたします。
前便であいまいなままだった山岳会は、徒登行山岳会でした。以下に紹介があります。
https://www.togakuren.com/g-members/t385/
(東京都山岳連盟の紹介ページ)
このページには「個人山行」という表現が使われています。会のURLをアクセスするとロッククライミングなど出てきます。
山岳会のホームページ拝見しましたが、「個人山行」とは言っても、自分とはレベルが違いすぎますね。
もし仮に首都圏に住んでいたとしても、門をたたくのはちょっと二の足を踏んでしまいそうです。
こういった山岳会の方たちは、もしパーティーを組むとしても、お一人お一人が単独でも踏破できるような実力を持った人たちなのでしょうね。
山は一人が基本だとおっしゃるken13さんに同感です。
こんばんは。
山岳連盟の情報のみでHPを確認せずお知らせしてしまいすみません。
「二の足を踏んでしまいそう」は私もまったく同感です。ただ、kamadamさんのレコやご友人とのコメントのやり取りを拝読いたしますと、わたしよりずっとハイレベルなので、もしかしてと思い、申し上げるのを控えておりました。
私は山は一人が基本だと思い続けてきましたが、kamadamさんのように人とのつながりや情報交換の場としての集団があれば、そこに入りたいという気持ちもありました。しかし、会に入ることにより、やることが他にできて、山へ行く時間が割かれるのが惜しいです。得られるものは多いと思いますが、どんな人とつながりを持つかという不安もあります。
思うに、その役割はヤマレコがはからずも果たしてくれているのではないでしょうか。顔を見ることなく、合同山行もせず、ウェブページを通じて情報を共有し意見を交換することができます。人づきあいの下手な私にはうってつけです。自分のペースで関わればよいというゆるい縛りが魅力です。わたしにはヤマレコはもう緩い山岳会です。遠く離れたkamadamさんとも知己になれました。素晴らしいことです。そして、私は私のペースで山と向き合っていられます。
結論として、わたしはヤマレコで満足できる、というところにとりあえず落ち着きました。
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