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Yamareco

記録ID: 3780558
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ハイキング
東海

【奥美濃】釈迦嶺 東尾根 (三等・名無洞 経由)

2021年11月23日(火) [日帰り]
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GPS
--:--
距離
15.4km
登り
1,166m
下り
1,165m

コースタイム

日帰り
山行
9:30
休憩
0:00
合計
9:30
6:50
50
駐車地
7:40
7:40
10
道谷への下降点(林道塚線と冠山線の分岐)
7:50
7:50
60
東尾根取りつき
8:50
8:50
240
△784.8 三等・名無洞
12:50
12:50
70
14:00
14:00
140
16:20
駐車地
天候 小雨 → 標高700mより上では雪
過去天気図(気象庁) 2021年11月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
林道塚線が冬季通行止めのため,赤谷と才の谷の出合付近に駐車。林道塚線が通行止めでなければ,林道塚線から林道冠山線が分岐する地点に広場があるので,そこに駐車するとよい(目の前が道谷への下降点)。
コース状況/
危険箇所等
※ 後日,積雪期に釈迦嶺東尾根を再訪しました。こちらの記録のほうが,山頂東側のブナの森の規模が分かりやすいと思います。
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-6427671.html

【釈迦嶺東尾根】
・ 過去に皆伐に近い伐採を受けた釈迦嶺にあって,もしかしたら伐採を免れているかもしれないと期待して取りついた東尾根だが,残念ながらこの尾根も伐採されてしまっているようで,あまり良い森が残っているとは言い難く,藪も濃いため,おすすめできるかは微妙なライン。ただし,山頂直下の東側の緩斜面には,大きなブナを主体とした素晴らしい森が残存している。
・ 東尾根取りつきから△784.8m(三等・名無洞)までは概ね藪は薄く歩きやすい。しかしその先からシャクナゲや背の高い笹を主体とした濃い藪が始まり,P980までは結構つらい藪漕ぎになる。P980を越えると,南側が皆伐斜面となり笹原が広がって,尾根上は獣道が明瞭になり歩きやすくなる。山頂直下も笹と灌木の藪に覆われているが,それほどではない。

・なお,一般ルートの付いている西尾根〜ウソ越は,踏み跡は概ね明瞭でピンクテープがベタ張りになっており,歩行には全く問題ない(夏場はどうか分かりませんが…)。
既に冬季通行止めとなった林道塚線を歩いて上がり,高倉峠に向かう林道塚線と冠山線が分岐する箇所に到着。ここがちょうど本日の道谷への下降点だ。
既に冬季通行止めとなった林道塚線を歩いて上がり,高倉峠に向かう林道塚線と冠山線が分岐する箇所に到着。ここがちょうど本日の道谷への下降点だ。
道路を外れて斜面を道谷へと下降。傾斜はそれほどでもなく問題なく下れる。
道路を外れて斜面を道谷へと下降。傾斜はそれほどでもなく問題なく下れる。
斜面を下りながら,対岸にそびえる釈迦嶺東尾根を見上げる。
斜面を下りながら,対岸にそびえる釈迦嶺東尾根を見上げる。
道谷に降り立った。渡渉は膝程度の水深で容易。
道谷に降り立った。渡渉は膝程度の水深で容易。
釈迦嶺東尾根に取りつき,登っていく。最初は傾斜は急だが,手掛かりの灌木が豊富なので楽。藪っぽさはほとんど感じない。
釈迦嶺東尾根に取りつき,登っていく。最初は傾斜は急だが,手掛かりの灌木が豊富なので楽。藪っぽさはほとんど感じない。
散り残った紅葉。
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散り残った紅葉。
傾斜が緩み,はっきりした尾根に乗った。藪はほとんどなく,歩きやすい。
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傾斜が緩み,はっきりした尾根に乗った。藪はほとんどなく,歩きやすい。
ブナの森だが,びっくりするような大木があるわけでもなく,坦々と登っていく。
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ブナの森だが,びっくりするような大木があるわけでもなく,坦々と登っていく。
不思議な形に折れ曲がったブナ。
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不思議な形に折れ曲がったブナ。
標高を上げていくと,小雨が雪に変わり始めた。今年初めての雪に,まさか釈迦嶺で会うとは…。
標高を上げていくと,小雨が雪に変わり始めた。今年初めての雪に,まさか釈迦嶺で会うとは…。
もうすぐ△784.8(三等・名無洞)というところで,シャクナゲが出てくるが,右側斜面を迂回して特に問題なく通過。
もうすぐ△784.8(三等・名無洞)というところで,シャクナゲが出てくるが,右側斜面を迂回して特に問題なく通過。
△784.8m,三等・名無洞の三角点に到着。名前が面白いので,一度来てみたかった三角点だ。おそらく,付近に名無洞と呼ばれている沢があるのだと思うが,「名無」という「名前」の沢なんて,なんかヤヤコシくて面白い。
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△784.8m,三等・名無洞の三角点に到着。名前が面白いので,一度来てみたかった三角点だ。おそらく,付近に名無洞と呼ばれている沢があるのだと思うが,「名無」という「名前」の沢なんて,なんかヤヤコシくて面白い。
名無洞の周囲の様子。特にピーク感のない,特別な感慨が湧いてくるかというとそうでもない空間だ。
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名無洞の周囲の様子。特にピーク感のない,特別な感慨が湧いてくるかというとそうでもない空間だ。
三等・名無洞を後にして,釈迦嶺に向けて西進。しばらくは歩きやすいブナの尾根が続くが…
三等・名無洞を後にして,釈迦嶺に向けて西進。しばらくは歩きやすいブナの尾根が続くが…
じきに笹と灌木の濃いめの藪に包まれ始める。
じきに笹と灌木の濃いめの藪に包まれ始める。
あー,シャクナゲまで出てきちゃった…。
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あー,シャクナゲまで出てきちゃった…。
おっと,青空が。ミゾレが降ったと思ったら日が差したりして,目まぐるしい天気だ。秋と冬が押し合い圧し合いしているような。
おっと,青空が。ミゾレが降ったと思ったら日が差したりして,目まぐるしい天気だ。秋と冬が押し合い圧し合いしているような。
赤谷の深い谷間を隔てて,おととい登った千回沢山と,その北尾根が見える。今日はあちらも冷たいミゾレだろう。
赤谷の深い谷間を隔てて,おととい登った千回沢山と,その北尾根が見える。今日はあちらも冷たいミゾレだろう。
若干ましな区間もあるものの…
若干ましな区間もあるものの…
そのうち尾根上は重厚な藪に覆われてしまった。灌木が絡み合ったような,一番手に負えないタイプの藪だ。
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そのうち尾根上は重厚な藪に覆われてしまった。灌木が絡み合ったような,一番手に負えないタイプの藪だ。
山腹トラバースで藪を避けようとするが,あいにく左右の斜面ともかなり切り立っており,それも難しい。仕方なく尾根芯の激藪に突っ込み,人間知恵の輪のような状態でもどかしい前進を続ける。
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山腹トラバースで藪を避けようとするが,あいにく左右の斜面ともかなり切り立っており,それも難しい。仕方なく尾根芯の激藪に突っ込み,人間知恵の輪のような状態でもどかしい前進を続ける。
林道が届いていないので,もしかしたら良い森が残っているかも…と期待していた東尾根だが,残念ながら伐採を受けてしまっているようで,ところどころ大きな切り株が目についた。藪が濃いのも,伐採のせいだろう。
林道が届いていないので,もしかしたら良い森が残っているかも…と期待していた東尾根だが,残念ながら伐採を受けてしまっているようで,ところどころ大きな切り株が目についた。藪が濃いのも,伐採のせいだろう。
急に視界が開け,打ち続く東尾根の向こうに,釈迦嶺の姿が見えた。南側斜面は過去の皆伐で一面の笹原となっている。ここまで時を経てしまうと,この皆伐斜面も,自然な風景の一部のように見えてしまう。
急に視界が開け,打ち続く東尾根の向こうに,釈迦嶺の姿が見えた。南側斜面は過去の皆伐で一面の笹原となっている。ここまで時を経てしまうと,この皆伐斜面も,自然な風景の一部のように見えてしまう。
北側の金草岳あたりの眺め。雪が降ったり晴れ間が見えたり,本当に慌ただしい天気だ。
北側の金草岳あたりの眺め。雪が降ったり晴れ間が見えたり,本当に慌ただしい天気だ。
P980mを過ぎると,尾根上も広い笹原となり,獣道が明瞭になって大分歩きやすくなる。
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P980mを過ぎると,尾根上も広い笹原となり,獣道が明瞭になって大分歩きやすくなる。
笹原なので景色はいいが,皆伐によるものなので,素直に喜べない。写真は雪で白くなった千回沢山の稜線(かなり白く見えるが,実際は地面に薄く積もっているだけなので,恐らく根雪にはならないだろう)。
笹原なので景色はいいが,皆伐によるものなので,素直に喜べない。写真は雪で白くなった千回沢山の稜線(かなり白く見えるが,実際は地面に薄く積もっているだけなので,恐らく根雪にはならないだろう)。
笹原の向こうに,釈迦嶺の黒い山頂が近づいてくる。
笹原の向こうに,釈迦嶺の黒い山頂が近づいてくる。
山頂直下の緩斜面に入ると,ようやくブナの森が復活。
山頂直下の緩斜面に入ると,ようやくブナの森が復活。
なかなか太いブナも見受けられる。山頂直下の東側は,唯一,伐採を免れたのだろう。
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なかなか太いブナも見受けられる。山頂直下の東側は,唯一,伐採を免れたのだろう。
素晴らしいブナの森。たぶん,皆伐に遭う前は,釈迦嶺全山が,このようなブナの森に包まれていたのだろう。
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素晴らしいブナの森。たぶん,皆伐に遭う前は,釈迦嶺全山が,このようなブナの森に包まれていたのだろう。
森がきれいなのはいいが,この頃になると結構雪が強まってきて,笹の上に雪が積もり始めた。薄く雪が載った笹の藪漕ぎほど辛いものはない。藪目が乱れてかき分けにくくなるし,なにより冷たいし…。ひいひい言いながら高みを目指していくと…
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森がきれいなのはいいが,この頃になると結構雪が強まってきて,笹の上に雪が積もり始めた。薄く雪が載った笹の藪漕ぎほど辛いものはない。藪目が乱れてかき分けにくくなるし,なにより冷たいし…。ひいひい言いながら高みを目指していくと…
釈迦嶺山頂に到着。積雪は3センチほど。
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釈迦嶺山頂に到着。積雪は3センチほど。
思ったより積もったなぁ。もうしばらくは溶けたり積もったりを繰り返して,やがて真っ白な雪山になっていくのだろう。
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思ったより積もったなぁ。もうしばらくは溶けたり積もったりを繰り返して,やがて真っ白な雪山になっていくのだろう。
当初の予定では東尾根をピストンするか,途中の適当な枝尾根から北側の道谷に降りるつもりだったのだが,ここまで雪が降ってしまうと,藪尾根を戻るのはさすがにためらわれる。そこで下山は西尾根の一般ルートでウソ越に降りることにした。この状況だと,ベタ張りのピンクテープにありがたみを感じてしまう。
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当初の予定では東尾根をピストンするか,途中の適当な枝尾根から北側の道谷に降りるつもりだったのだが,ここまで雪が降ってしまうと,藪尾根を戻るのはさすがにためらわれる。そこで下山は西尾根の一般ルートでウソ越に降りることにした。この状況だと,ベタ張りのピンクテープにありがたみを感じてしまう。
ウソ越に着地。先ほどまでの白い世界が(文字通り)ウソのようなアスファルトの峠だ。この標高では,雪は雨に変わってしまうようだ。ウソ越や高倉峠が分厚い雪に包まれるのは,まだ先になりそうだ。
ウソ越に着地。先ほどまでの白い世界が(文字通り)ウソのようなアスファルトの峠だ。この標高では,雪は雨に変わってしまうようだ。ウソ越や高倉峠が分厚い雪に包まれるのは,まだ先になりそうだ。
雪でうっすらと白くなった釈迦嶺を見上げながら,長い林道を帰途についた。
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雪でうっすらと白くなった釈迦嶺を見上げながら,長い林道を帰途についた。
ところで…林道を下っていく途中,道谷の枝谷にかなり大きな滝がかかっているのを発見。これは気になる…。
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ところで…林道を下っていく途中,道谷の枝谷にかなり大きな滝がかかっているのを発見。これは気になる…。
【おまけ】某年2月に福井県側から高倉峠を越えて釈迦嶺に登った時の写真。釈迦嶺は伐採のせいで樹木が少ないので,積雪期は幸か不幸かすっきりした美しい雪稜に変貌する。
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【おまけ】某年2月に福井県側から高倉峠を越えて釈迦嶺に登った時の写真。釈迦嶺は伐採のせいで樹木が少ないので,積雪期は幸か不幸かすっきりした美しい雪稜に変貌する。
【おまけ】もう一枚,同じ日の写真。背後は越美国境の笹ヶ峰から壁小屋丸にかけて。あと1,2か月もすれば,こんな銀世界のパノラマが広がるだろう。
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【おまけ】もう一枚,同じ日の写真。背後は越美国境の笹ヶ峰から壁小屋丸にかけて。あと1,2か月もすれば,こんな銀世界のパノラマが広がるだろう。

感想

 赤谷と道谷という深い谷にぐるりと取り巻かれた釈迦嶺。その東尾根はこの二つの渓谷を限るようにとりわけ長い尾を引いていて,一度は辿ってみたい尾根だった。釈迦嶺はかつて大部分が皆伐されてしまった山なのだが,その際に造成された林道は主に山頂西側に走っていて東尾根に至る手前で途切れており,もしかしたら東尾根は伐採の憂き目に遭わずに古い森を残しているかもしれない,という淡い期待を抱いてもいた。
 結果…残念ながら,東尾根も伐採の手を免れておらず,絡み合ったシャクナゲと背丈を越える笹が続く深い藪尾根となり果ててしまっていた。しかし,山頂直下の東側の緩斜面にはブナの古木が立ち並ぶ深い森が残されており,釈迦嶺全山が太古の森に覆われていたころの面影をわずかに偲ぶことができた。
 雪がしずかに舞ったかと思うとアラレ交じりの氷雨が藪をばらばら叩いたり,その次の瞬間には雲がちぎれて暖かい日差しが差したりと,晩秋と初冬がぐるぐる乱取りしているような,目まぐるしい一日だった。稜線上の笹薮は一面に白く雪をかぶって,かき分ける指先が痛いほどに冷たかった。雪はあと何回か降ったり溶けたりを繰り返して,やがて根雪になって,次第に真っ白な雪山になっていくのだろう。頭に薄く雪を載せてお辞儀した笹を見るのは少しばかり寂しい。楽しかった沢登りや藪山の季節の終わりを告げられているような気がする。そろそろ沢足袋をしまってワカンの紐を点検しないといけない。もう来週から12月なのだ。

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コメント

お久しぶりです!
最後から3枚目の写真が気になって、夜も眠れません(笑)

https://ameblo.jp/pangani/entry-12677822920.html
これでしょうか?

https://ameblo.jp/pangani/entry-12688882546.html
それとも↑
2022/5/26 15:51
さすがもんりさん、お目が高い! 私もかなり気になってまして…。ご提示いただいたもんりさんの記録を含め、いろいろ調べてみたんですが、現地で遠望した感じではそのいずれでもなさそうで、標高670m二俣の左股に滝が掛かってるように見えたんですよねぇ。藪でかなり見通しが悪かったので、見違えだったらすみません😅
そのうち確かめに行きたいと思っている今日この頃です。
2022/5/26 19:42
わからないうちが、楽しいですよね〜
この気持ち、hillwandererさんなら、わかって頂けるはず!!
2022/5/28 13:08
わかります〜
地図やら写真やらで想像を膨らませて、最初に足を踏み入れるときのワクワク感がたまらないですよね😊
2022/5/28 21:57
プロフィール画像
ニッ にっこり シュン エッ!? ん? フフッ げらげら むぅ べー はー しくしく カーッ ふんふん ウィンク これだっ! 車 カメラ 鉛筆 消しゴム ビール 若葉マーク 音符 ハートマーク 電球/アイデア 星 パソコン メール 電話 晴れ 曇り時々晴れ 曇り 雨 雪 温泉 木 花 山 おにぎり 汗 電車 お酒 急ぐ 富士山 ピース/チョキ パンチ happy01 angry despair sad wobbly think confident coldsweats01 coldsweats02 pout gawk lovely bleah wink happy02 bearing catface crying weep delicious smile shock up down shine flair annoy sleepy sign01 sweat01 sweat02 dash note notes spa kissmark heart01 heart02 heart03 heart04 bomb punch good rock scissors paper ear eye sun cloud rain snow thunder typhoon sprinkle wave night dog cat chick penguin fish horse pig aries taurus gemini cancer leo virgo libra scorpius sagittarius capricornus aquarius pisces heart spade diamond club pc mobilephone mail phoneto mailto faxto telephone loveletter memo xmas clover tulip apple bud maple cherryblossom id key sharp one two three four five six seven eight nine zero copyright tm r-mark dollar yen free search new ok secret danger upwardright downwardleft downwardright upwardleft signaler toilet restaurant wheelchair house building postoffice hospital bank atm hotel school fuji 24hours gasstation parking empty full smoking nosmoking run baseball golf tennis soccer ski basketball motorsports cafe bar beer fastfood boutique hairsalon karaoke movie music art drama ticket camera bag book ribbon present birthday cake wine bread riceball japanesetea bottle noodle tv cd foot shoe t-shirt rouge ring crown bell slate clock newmoon moon1 moon2 moon3 train subway bullettrain car rvcar bus ship airplane bicycle yacht

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