金峰山(草枕の旅：本妙寺から河内まで）

2023年06月26日(月) [日帰り]

• GPS: 04:30
• 距離: 15.1km
• 登り: 780m
• 下り: 659m

コースタイム

日帰り

• 山行: 3:58
• 休憩: 0:25
• 合計: 4:23

7:10 スタート地点（本妙寺前）
8:33 8:33 鎌研坂入口
8:50 8:52 峠の茶屋
9:25 9:35 サルすべり登山口
10:17 10:30 金峰山
11:04 11:04 大将陣三に行く歩道出合
11:33 ゴール地点（岩戸観音バス停）

天候

曇り後小雨後曇り

アクセス

(行き)バスで「桜町バスターミナル」から「本妙寺前」まで
(帰り)バス停「岩戸観音入口」から「桜町バスターミナル」まで

コース状況／危険箇所等

＊最初の「草枕の道」(標高131m)は長年整備されておらず狭く廃道に近い。いったん車道に出て少し歩いてから始まる2番目の「草枕の道」は広く歩きやすい。
＊「サルすべり」は非常に急傾斜だが慎重に登れば問題ない。途中でこの傾斜がつらくなったら6合目と8合目の2ヶ所に傾斜の緩い巻き道と交差する場所があるので安心して自分の脚力を試せば良い。
＊金峰山頂上から岩戸観音に下る道はきちんと整備されていて良い山路である。

写真

6/26 6:52

今日は9時まで曇り、それ以降小雨との予報なので、できる限り早めに登り始める事にし、桜町バスターミナルから6:55始発の柿原行きに乗る。このバスターミナルは大改装されてものすごく近代的で機能的な建物になっていた。

6/25 12:46

本妙寺の門が見えてきた。この辺り一帯は2016(平成28)年4月の熊本地震で方々が崩壊し、未だに修復中である。

6/26 7:10

(7:10) (標高5m) 「本妙寺前」に着いた。天気は曇り。バス道の左側道の階段を降りる。

6/26 7:19

車道沿いに行き、「花園」バス停から斜め右の脇道に入った。

6/26 7:21

本妙寺境内の墓地に入り、車は通らず良いルートのように思えたが、道が複雑で他人の家の庭に入って引き返したりして結局最初の車道を行く事にした。

6/26 7:33

この車道は「峠の茶屋」を経由して「河内温泉」に行くバス道である。「小山田」というバス停で本妙寺から下りてくる道と交差する地点で別れ「島崎(七)」方向の道に入った。

6/26 7:39

しばらく大型車の通らない静かな道を歩く。

6/26 7:53

しばらく行くと再び大型車が通る車道に出てきた。「荒尾団地前」バス停を通る。道はゆっくりした登り坂で通勤や通学の自転車が気持ちよさそうに下ってくる。行きは良いが帰りは大変だろう。

6/26 8:03

(8:03) (79m) 道の右側に「草枕の道」の道標があり、右折して細い通りに入る。

6/26 8:08

しばらく行くと階段があり、人が一人通れるくらいの狭い道があった。

6/26 8:11

少し行くと再び車道に出た。

6/26 8:14

(8:14) (130m) しばらく登って行くと左手に再び「草枕の道」の道標が出てきたので左折して山路に入る。

6/26 8:17

道標の傍らには「ここは鎌研(カマトギ)坂です」の道標が折れて置かれていた。ここが私が中学生の夏休み、キャンプ道具を担いで喘ぎながら登っていた坂かと思うと懐かしい。

6/26 8:19

道は最初は普通の山路のようだった。

6/26 8:22

しかし、長年の間手入れもされず、利用者も少なかったせいか、竹が生い茂り廃道に近くなっていた。せっかく昔の思い出に浸りながら歩こうと思っていたのに蜘蛛の巣を払ったりヤブをかき分けたり気忙しく歩く。

6/26 8:28

(8:28) (188m) ようやく車道に出てきた。

6/26 8:32

数分歩くと再び「草枕の道」の道標が出てきた。この山路は幅が広く整備されているようである。天水町の漱石館まで13.4kmの道標があった。

6/26 8:33

(8:33)「鎌研坂」と彫られた石もあり、ここから正式の「鎌研坂」が始まるらしい。

6/26 8:37

道は広くて歩きやすく傾斜も緩やかである。中学生の時に何故あんなに辛かったのだろう？荷物が重くて暑かったからだろうか？

6/26 8:41

階段が出てバス道に出てきた。

6/26 8:43

(8:43) (281m) ここが鎌研坂の終着地点らしい。河内温泉に行くバスルートの「鎌研」のバス停があった。

6/26 8:47

バス道から左手の道に入る。

6/26 8:49

紫陽花に囲まれた「峠の茶屋」が出てきた。

6/26 8:50

(8:50) (280m) ここは夏目漱石の「草枕」に出て来る「鳥越の峠の茶屋」を1989(平成元)年再建したものである。

6/26 8:51

昔の旅人は峠にたどり着き、ホッとしてお茶を飲んだ事であろう。

6/26 8:51

漱石ゆかりの品々が展示されている。

6/26 8:52

茶屋の外はちょうど紫陽花が真っ盛り。

6/26 8:52

古井戸のある峠の茶屋跡に向かう。

6/26 8:53

今も使えそうな井戸が残っていた。

6/26 8:55

ここは不知火海沿岸の河内(天水)から熊本に行く道の峠になっている。しかし、金峰山に登るにはこの分岐点を左方に行かねばならない。

6/26 8:58

立派に舗装された車道を上って行く。

6/26 8:58

見事に手入れされた棚田があった。つくばの私の家の近くではどんどん耕作放棄地が増えているのに、ここでは手間のかかるこのような地形の田んぼを未だに維持している事に敬服する。

6/26 9:03

道には所々愛嬌のある道標があった。中学生だった頃の記憶では峠の茶屋からサルすべりまでは直ぐ近くに思っていたが、距離にして2km、標高差130m登らねばならない。

6/26 9:24

むかしは大将陣にキャンプサイトがあり、大勢でキャンプファイヤーをやり、最後に「遠き山に日は落ちて」と歌いながら消えゆく火を見守ったものだ。それ以来ドボルザークの「新世界」を聞くと昔のこの場所を思い出す。ところが今やその面影は全く無くなった。

6/26 9:25

(9:25) (393m) 「サルすべり」登山口。立派な公衆トイレがある。

6/26 9:26

「金峰山神社」の鳥居。

6/26 9:27

傍らに立てられていた案内板によると、この山には「日本アルプスの父」と言われるウェストンが1890(明治23)年、深田久弥が1962(昭和37)年に登って頂上からの景色を褒めている。熊本に生まれた者として何となく嬉しくなった。

6/26 9:38

金峰山頂上への道は「サルすべり」と呼ばれている直登ルートと、そのルートに6合目と8合目で交差しながら緩やかに登って行く山路、その他に舗装されている車道がある。私は当然「サルすべり」の直登ルートを選んだ。

6/26 10:00

この道は昔はえらく急に思えていたものだが、それは山の経験不足から来るもので、実際は大した傾斜では無かったのだろうと思っていたが、色々な山を経験して来た現在の私でもこの傾斜は急である。傾斜が52.8％と言うのは角度にして28度である。

6/26 10:07

「サルすべり」の直登ルートには6合目と8合目に緩やかな勾配で登る巻き道との交差点があり、急勾配の道がきついと思えば巻き道に切り替えられるようになっている。

6/26 10:12

この階段を登れば頂上である。

6/26 10:14

頂上まで車道があった。足の不自由な人でも頂上まで登り、熊本市の展望を見ることが出来るのは有り難い事だ。しかし今日はこの頃から雨風が強くなり、遠望が全く効かなくなった。

6/26 10:15

人里近くにある山には恒例のように登頂回数を競う習慣がある。この山にも1万回以上も登っている人がいるのには驚いた。

6/26 10:16

NHKの通信設備のある建物があった。ここの大きなアンテナは熊本市内からもよく見える。

6/26 10:16

金峰山神社の頂上の鳥居。

6/26 10:17

神社の社務所があり、平日にも関わらず人がいた。

6/26 10:17

(10:17) (665.2m) 頂上の本殿である。「サルすべり」登山口にあったウェストンの説明には彼は熊本から頂上まで2時間45分で登ったとの事だが私はここまで3時間7分かかっている。当時の道の整備状況を考えると健脚である。

6/26 10:26

お堂は広くて新しく、風雨を凌ぐには完璧な施設である。お参りした後少し休み、雨具の上着を出して着る。頂上には10人程の登山客がいたが年配の人が多かった。

6/26 10:34

(10:30) 下山開始。下りは峠の茶屋方面には下りず、河内方面の岩戸観音に下りる。頂上の階段を下り、車道を右に少し行くと左方に「岩戸観音」へ行く山路が分岐していた。

6/26 10:44

道は良く整備されているが落ち葉が敷き詰めてあるので滑らぬよう注意して下りねばならぬ。

6/26 10:46

(10:46) (584m) 少し風雨が強くなったので山路を取らず車道を歩いている人がいたが、車道は大きく迂回しながら行くので私の取った道の方がずっと近道となる。車道を横切り再び山路に入る。

6/26 10:55

(10:55) (452m) 再び車道と出会う。

6/26 10:57

(10:57) 金峰山山頂からここまで1.3km、岩戸観音まで2.6kmの道標があった。山頂からここまで27分かかったので単純計算でいくとここから岩戸観音まで54分である。もしかしたら11時41分岩戸観音入口発の熊本市内行きのバスに間に合うかも知れないと思いスピードを上げた。

6/26 11:04

(11:04) (381m) 「大将陣三」に行く国土地理院の実線で書かれた道に来た。利用者が少なくかなり荒れている道のようであった。

6/26 11:05

簡易舗装されている道を滑らぬように注意しながら急ぐ。

6/26 11:08

前方に不知火海と河内の里が見えてきた。雨もいつしか止んでいた。

6/26 11:14

河内は「河内ミカン」で全国的に有名で、山の斜面を利用してみかん畑が広がっている。秋には黄金色で満載の景色であろう。

6/26 11:26

座禅している僧の像があり、ゆっくりと見物したかったがバスに間に合うか否かのギリギリの時間なので遠くから写真に撮って通り過ぎる。走ったり歩いたりの私なりの最大のスピードで進む。道が下りなので助かった。

6/26 11:33

(11:33) (134m) ようやく「岩戸観音入口」のバス停に着いた。11時41分のバスに間に合った！これを逃すと次は14時41分まで3時間も待たねばならぬところだった。

6/26 11:34

バスを待つ間、ようやく周りを見回す余裕が出来、頭上の交通標識を見ると、今私が下って来た所には「霊厳洞」や「五百羅漢」があるようだ。今度はレンタカーでも借りてこれらの名所に行き、ゆっくりと河内温泉に入って来よう。

撮影機器：

Galaxy A53 5G SC-53C docomo サムスン

感想

TsukubaTad

　それぞれの土地には「オラが山」がある。「オラが山」とは長い旅から帰って来てその山を見ると「故郷に帰って来たな」と実感させる山の事である。それは私が今住んでいるつくば市民にとっては筑波山であり、私の故郷である熊本市民にとっては金峰山である。
　標高500m以上の山に登る事を「登山」と言うなら私にとって金峰山が初めて登った山であり、中学時代には初めてキャンプをした場所でもある。熊本を離れてからも数回登っているが、最後に登ったのは2007年5月であった。当時は63歳のバリバリ元気であった頃であり、79歳の現在、どの程度体力が衰えたか登山時間を比べて見ると、今回は鎌研坂入口からサルすべり登山口まで52分（2007年では50分）、サルすべり登山口から頂上まで42分（同27分）であった。平地や下りなら以前とあまり遜色ない歩行スピードだが、登りのスピードは極端に落ちている。
　2007年当時の写真と比べて興味深かったのはその頃にはサルすべりの道は草地が見られたのに今回は鬱蒼と茂った森の中の道になっていた事と、2007年当時の登頂記録板に最高回数登頂者として「5,000回以上」の方が4名挙げられていたのが、今回は「10,000回以上」として1名の方がおられた事であった。