四国の照葉樹林巡り4日間��★室戸岬編★異形のシオギク×ノジギクを憂う
高知県
翔亀
体力度について
- GPS
- 03:55
- 距離
- 6.5km
- 登り
- 236m
- 下り
- 232m
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標高グラフを拡大コースタイム
- 山行
- 3:05
- 休憩
- 0:43
- 合計
- 3:48
| 天候 | 1日目から3日目 晴れ。暑い。 4日目 曇り時々雨 |
|---|---|
| 過去天気図（気象庁） | 2023年12月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関：
電車 バス
始発の新幹線で西明石へ。西明石8:45-8:53舞子・高速舞子9:10-(JR四国バス・阿波エクスプレス神戸号)-10:33徳島11:30-(JR牟岐線)-13:02日和佐 ■大岩-恵比寿洞-第23番札所薬王寺(長距離自然歩道「四国のみち」白砂と海亀のみちコース) 日和佐17:05-(JR牟岐線)-17:51阿波海南 泊)生本旅館 2日目(12/9) ��海部〜宍喰編 ■明現神社-愛吾山-那佐展望所-鈴ヶ峰 -竹ヶ島-海の駅東洋町(「四国のみち」洋々と広がる松原のみちコース、水床探求のみちコース、甲浦ポンカンのみちコースをつなぐ) 海の駅東洋町17:19-(阿佐海岸鉄道DMV・バス)-17:24道の駅宍喰温泉 泊)HOTEL RIVIERA ししくい 天然温泉あり 3日目(12/10) 早朝 浄福寺裏山(海陽町津波避難所)に登って宍喰駅へ 宍喰駅8:23-(阿佐海岸鉄道DMV・列車/バス)-8:35海の駅東洋町 ------------今回はここから-------- ��室戸岬編 海の駅東洋町9:33-10:17 ジオパークセンター10:19-10:26大師前BS(高知東部バス) ■室戸岬-御厨人窟-第24番札所最御崎寺 室戸岬BS14:59-15:59奈半里(なはり)16:03-(くろしお鉄道)-17:25高知 泊)高知駅のビジネスホテル ------------今回はここまで、以下続く---- 4日目(12/11) �げＯ家湘臺� ■横浪半島の第36番札所青龍寺と奥の院(不動明王) 高知から岡山経由で帰宅 ★四国みぎした55フリーきっぷ利用(3日間 徳島駅-高知駅間フリー 5800円) |
| コース状況／ 危険箇所等 |
〇室戸岬遊歩道 東側の乱礁遊歩道はよく整備された舗装道。西側は同様な整備がされていたようだが、かなり荒れていてアコウなどにより薮化・森林化していて脱出するのに苦労した。 〇最御崎寺登山口〜最御崎寺 よく整備された参道 〇他は車道 |
写真
四国3日目は室戸岬。海の駅東洋町からバスで1時間弱かかる。この間、ずっと森が海岸に迫り集落はたまにしかない。お遍路もこのあたりは大変そうだ。室戸世界ジオパークセンターでバスを乗り換える。
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よく見ると、白い花弁が出ている。これはシオギクとノジギクの交雑のようだ。本来、室戸岬には分布していないノジギク(高知県足摺岬〜愛媛県)が植えられたため、遺伝子汚染を引き起こしたと問題となっているという。
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総苞外片は内片より短いのでリュウノウギクではなさそうだ。自生しているはずのないノジギクのようだ。(シオギクとの交雑かもしれない)
1
ツルソバは伊豆半島以西の海岸に分布するというが、室戸岬では1990年までは自生していなかったらしく、大繁殖が問題になっているという。
1
おっ、これはミゾソバか。アキノウナギツカミかママコノシリヌグイか。いずれもツルソバと同じイヌダテ属で9月の赤城山で悩んだ覚えがある。
1
五来重さんの説によると、ここが昔は虚空蔵菩薩があり求聞持法窟だという。つまり、空海が求聞持法を修したのはこの洞穴。「明星来影す」という空海が悟りを開き、明星が口の中に飛び込むという神秘体験の場はここだというわけだ。
3
クワズイモだ。芋の部分が地上に出ている。しかし名前の通り毒があり食べられない。空海が食べさせてくれと村人に頼んだのに、食えない芋だと断わられたので、食べられないように変わってしまったという。四国南部、九州南部以南。
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このあたりは社叢林としてスダジイやタブノキが残されているという。しかし今日は海岸のさまざまな花に満腹して探索せずに先に進んだ。
1
奈半里(なはり)からは鉄道がある。ごめん・なはり線、3セクの土佐くろしお鉄道だ。(1922年に四国循環鉄道となる高知県と徳島県を結ぶ阿佐線として計画されたが、未だ奈半利・甲浦間は未開通)
2
感想
「四国の照葉樹林巡り4日間�◆�海部〜宍喰編★ヤッコソウの森とは」の続きです。
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-6295261.html
四国3日目は、徳島県から室戸岬を経由して高知市まで行くので、いわば移動日。観光コースといってもよい。室戸岬は、空海が悟りを開いた「明星来影す」の神秘体験の場と、岬の先端を見てみたかった。第24番札所の最御崎寺は、例によって社叢林が本来の照葉樹林のようだったのでせっかくなので登ってみたことと、ルートの途中だったので室戸岬の西側の遊歩道を組み入れてみたことが、観光っぽくない部分か。
<12月なのに花盛りだった室戸岬>
しかし意外にも、室戸岬の海岸が花盛りで、文字通り四季の花を楽しむことができた。12月というのに、秋の花だけでなく、春〜夏に咲く花も咲いていたのである。アゼトウナやシオギク、ハマアザミ、ハマナデシコといった花期より少し遅い花だけでなく、ハマユウ、ハマダイコン、テリハノイバラといった花期を大きく外れた海岸特有の花たち。さらに、普通の山野ではありふれているママコノシリヌグイやカタバミまでも咲いていたのには驚いた(両者の花期は長いけど普通は12月にまでは咲いていない)。海岸だからなのか、室戸岬だからこそなのか。暖かいためというのは間違いなかろう。昼間の気温は関東とそう変わらない感じだが、年間の最低気温が違うのだろう。
こういう気温的には好条件だからこそ、人の手による移入植物(外来+他地域)の問題が顕在化しているのかもしれない。
<異形のシオギク×ノジギク>
シオギクは徳島県東端の蒲生田岬から太平洋岸に沿って高知県物部川までの海岸に分布する。第1日目の徳島県日和佐でも見かけたし(←�‘�和佐編)、室戸岬でもたくさん咲いていた。地域限定の固有種は個体数が多いものだが、その例に漏れないと思った。しかし、室戸岬のシオギクはほとんどがノジギクとの交雑だという。
ノジギクも分布が限られていて、本州（兵庫、広島、山口）、九州（大分〜鹿児島）と四国の高知県足摺岬から愛媛県佐田岬までの海岸である。つまり、シオギクとノジギクは四国の東側と西側で完全に棲み分けているのである。
ところが、室戸岬には自生していないノジギクが、人為的に観光用だったのか趣味だったのかわからないが栽培された。もともとキク科キク属は雑種をつくりやすいといい、室戸岬はシオギクとノジギクの雑種ばかりになってしまったという。まさに遺伝子汚染だ。両種は自然界で長い時間をかけて近接地で棲み分けていただけに、人為による影響が大きく出たのであろう。
シオギクは舌状花を欠く黄色い筒状花のみの花。ノジギクは白い舌状花をもちその端正な姿から「野菊の女王」と呼ばれる。これが交雑して、短い白い舌状花をもつバランスの悪い異形の野菊になってしまうのである。(写真参照)
他にも室戸岬では、ウチワサボテンといった外来種やツルソバといった移入種の大繁殖が既存種を駆逐してしまうと問題になっていて、ノジギクともども防除活動が行われているという。観光地化による自然環境への影響が如実に現れているわけだ。これまであまり意識していなかったが、海岸は、岩場が多く内陸地とは異なる気候であり、海岸ならではの限られた種による独時の植生をもつ。その意味では高山植物と(冷暖が逆になるが)同様に貴重なものであろう。
現に、黄色い筒状花だけをもつシオギクは、高山植物のイワイチンとそっくりであるが、両種は近縁で、かつて全土に分布していたのが、高山に追いやられてイワイチンに、海岸に追いやられてシオギク(またはイソギク)に進化したといわれている。
海岸植生の室戸岬はそれだけに人為に対して脆弱なのだろう。外来・移入植物にはひとたまりもない。
こうして、四国の照葉樹林巡りの3日目は、図らずも花巡りとなった。12月では花には到底遅すぎると思っていたので、思わぬ幸運である。おかげで、最御崎寺の社叢林の照葉樹林(スダジイ、タブノキ林)は、満腹して素通りしてしまったのだった。翌日は最終日、そもそも今回の旅の引き金となった横浪半島に行く。�い愨海�ます。
(参考文献)
・「名勝室戸岬 天然記念物室戸岬 亜熱帯性樹林および海岸植物群落保存活用計画」(2019年 室戸市)
https://www.city.muroto.kochi.jp/pages/page0606.php
・五来重『四国遍路の寺』上下(1996年,2009年 角川ソフィア文庫)
以下、「四国の照葉樹林巡り4日間�ぁ�横浪半島編★青龍寺奥の院の奇跡?!」に続く。
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-6273012.html
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