真田の里で忍者に会おう。(角間山、湯ノ丸山、烏帽子岳)
- GPS
- 10:53
- 距離
- 21.8km
- 登り
- 1,903m
- 下り
- 1,891m
コースタイム
(行程22.6km/11時間)
天候 | 曇り時々雨 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2010年06月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
上田菅平ICから国道144号で横沢まで北進し、県道4号を少し戻ると角間渓谷への看板が左手に出てきます。(真田の交差点で曲がって町を走るのも良いですが、横沢へ行くのがシンプルでわかりやすいです。) 駐車場: 岩屋観音から林道側に5台程度あり。 バス: 上田駅から菅平線、渋沢線で横沢下車(上田から30分/700円)その後、徒歩で30分ほどです。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
・角間渓谷から角間峠へのルートは土石流により道が無くなっていますので、完全なバリエーションルートです。 ・角間山への道に2箇所ほど泥濘がたまっている箇所があります。すぐにわかりますが、案外深いので注意が必要です。 ・湯ノ丸山から烏帽子岳への下りは急なガレですので慎重に下る必要があります。 ・烏帽子岳から角間渓谷への下りはマーカーや道標はしっかりありますが、前半(1766基準点付近まで)笹がひどく足元が見えません。また、本原への下りと間違う可能性がありますので注意が必要です。後半は樹林帯の中で足元は確認しやすいつづら折れになります。 ・その他、周辺情報はこちらが詳しいです。 http://www.mtlabs.co.jp/shinshu/hike/kakuma.htm |
写真
感想
角間山、湯ノ丸山、烏帽子山は地蔵峠、鹿沢温泉からのアクセスもよく、花の名所でもある人気スポットです。特に6月から7月にかけてはレンゲツツジが見ごろとなり、お祭りも行われます。
しかし、西側にある角間渓谷からのルートは辿る人が少なく、情報がほとんどありません。聞けば角間渓谷は真田十勇士の猿飛佐助が修行した場所とのこと。おそらく秘密の忍者修行スポットがあるため、情報操作されているに違いありません。昔から忍者には興味があるものの修行には興味がなかったため、この歳になるまで忍者になりそびれていました。しかし今回ならば山に行くだけで忍者に会えるかもしれません。そう考えるとなんだかワクワクです。
角間の集落を抜け、秘湯として有名という論理的に難解な温泉宿 岩屋館を過ぎるとすぐ左手に岩屋観音への階段が見えます。駐車スペースには車もなく、角間川を渡る風だけが吹いています。
準備体操をし林道へ向かいます。入口の看板によると角間峠への道は土砂崩れによって使えないとのこと。うーん、予想はしてましたが本格的にバリエーションルートを通る必要がありそうです。しかもツキノワグマが出るとのこと。忍者には会いたいですがツキノワグマには会いたくありません。
大きく南東へ折れる1129地点付近まで、広々とした林道を歩きます。ところどころ道の真ん中に赤いリボンの付いた針金が刺さっています。忍者の暗号でしょうか。1129地点すぐに堰堤が連続して出てきます。上流から流されてきた土砂や木々がせり出していて越えるためには大きく巻く必要がありそうです。と、左岸にまたしても赤いリボンが。巻き道の入口を示しているようです。最近の忍者は巻き道も用意してくれているのでしょうか。ありがとう忍者。
しかし、巻き道は予想外に狭くバランス感覚が試される箇所が何箇所かありました。さすが忍者、巻き道ですら修行しているようです。
堰堤を越えしばらく川原を歩きますが、堆積した大量の土砂や倒木が行く手をはばみます。そのうえ、岩がせり出すような箇所では川を渡る以外になく、予想外に水量の多い川をジャンプで何度も渡りこします。このあたりの忍者は麻を植えず、川を何度も渡り、倒木を飛び越えることで修行をしているに違いありません。忍者でない私はゼーゼーいいながら川を渡り、たまに渡りそこね、倒木と土砂をよじ登り、時に滑り落ちつつ進みます。
大きく蛇行する箇所を越え、川原が開けたところでようやく最初の目標地点である角間川の分岐点に到着です。ここからは東へ川沿いに進み、角間峠へ向かいます。最初は並行して走る涸れた沢を登ってゆきますが、すぐに大量の笹に囲まれました。腰まである笹をラッセルし、見えない足元を探りながら進みます。
右岸側に岩壁がせり出してきたため左岸側に大きく巻くように渡りこします。20mほど高度を稼ぎつつ進むと、行く手が大きく崩れて地肌が露出しています。仕方がないので手前側で沢に降りれそうな箇所を探しますが、笹の草つきのため足場が安定しません。危険なので巻き始めの地点近くまで戻ることにします。
結局、先ほどの土砂崩れを避けるため、右岸へ登り、大きく巻きながら進むことにしました。右岸を登ってゆくと、笹がやや薄く、黄色く枯れたラインがジグザクと走っています。忍者の通り道でしょうか。不明瞭なためしょっちゅうショートカットしてしまいますが、ところどころに昔の道標が残っています。
1720m付近を巻いていると、突如行く手に小さな岩峰が現れました。台座の上に石碑で藻載せているかのようです。近くで確認したかったのですが、切り立った尾根の先端だったため、怖くなりスゴスゴと引き返します。
笹薮をひたすらゼーゼーとこいでいると、急に平坦になり、笹薮の向こうにあずまやの屋根が見えました。角間峠です!!
呼吸を整えるため写真タイムにしてパチパチとやります。予定時刻を1時間もオーバーしていますが、角間山のほう花が多いはず、ということで急いで角間山へ向かうことにします。角間山の登山道はまったく忍者の気配もなく、笹薮の中のレンゲツツジを堪能できます。自分でも驚くほど足が軽く、気がついたら角間山山頂についていました。実は意識が朦朧としていて覚えていないだけかもしれませんが。
角間山山頂からは四阿山の雄大な裾野、バラギ湖などが見渡せました。本当であれば、ここで朝食としゃれ込みたいところですが、時間がないので行動食をリスのようにほうばりながら下ります。
峠を再度通過し、湯ノ丸山へ上り始めます。予想よりも急な傾斜にすぐに息が上がります。そのたびに写真タイムになるのでなかなか時間が短縮できません。そのうえ三角点を発見してパチパチとやっているうちに、山頂がわにはどんどんとガスが。。気がつくと、山頂がかすむような状態となってしまい、まったく視界がありません。霧隠才蔵の仕業か。仕方がないので、防寒をした上で昼ごはんにします。
サーモスのお湯とカップ麺をすすっているうちに、何とか道に迷わずにすみそうな程度に霧が薄くなってきました。
しかし、湯ノ丸山と烏帽子岳をつなぐ路はガレの続く急な下りで、下りの苦手な私は自然進みが遅くなります。飛龍溶岩流れの術でも使えれば楽なのですが、修行をしていないので使えません。地道にくだります。と、鞍で下ばえを刈っている方がいらっしゃいました。なんていい忍者なのでしょう。感謝しながら烏帽子山への巻き道を登ります。30分ほどかかって南側尾根に出ると、雨は降り続いているものの、周囲にかかっていたガスが晴れてきました。先ほどまで霧に隠れていた湯の丸山もよく見えます。遠く上田の市街などが見渡せるようになり、写真に収めます。徐々に強くなる風に押され、出発から8時間近くかけようやく烏帽子岳山頂に到着しました。あとはひたすら下るだけです。
角間温泉への看板を見つけ、地図から目標とする1766m地点を出し、そちらを確認します。が、一面の笹の原が見えるだけです。いやな予感がします。慎重にガレた斜面を下ると、わずかに踏み痕とマーカーテープが残る笹原に到着です。ああ、やっぱりここなんだ。。
角間峠までの道と異なり、いたるところにテープがありまれに看板や人の足跡もあるなど、整備され使用されている形跡はあるのですが、いかんせん笹が濃すぎます。広くてわかりずらい太尾根をひたすらマーカーと地図を頼りに進みます。しかしこのマーカー、わざとかどうか不明ですがレンゲツツジ色です。たまに見間違えてあらぬ方向へ進みかけたりします。こんなところでも忍者は修行しているに違いありません。
と、それまでの笹薮から一段高い丘の上の樹林帯を抜ける道に入りました。ここが1766m付近に違いありません。看板も出てきました。ここからは、沢を目指してはっきりしない北尾根を下りてゆかねばならないのです。慎重を期してストックを伸ばし、足元を探りながら笹薮を掻き分け進みます。徐々に笹の丈が低くなりつづら折れの道となり、やがて暗い樹林帯へと入りました。足元はだいぶ暗くなりましたが、笹も無くなりつづら折れで傾斜も緩やかなため、進む速度は上がります。せっかく伸ばしたのでストックも使い降りてゆきます。途中、何箇所か道を見失いかけましたが、その共通点はすべて樹林帯から一瞬明るいほうへ出る位置で、大抵木の枝が行く手を阻む上、笹薮の中を突っ切る形になるところだったりと、沢の上部へ出るころにはだいぶ忍者の罠も見分けられるようになっていました。沢筋の道を下り、沢の高さまで降りてきました。沢向こうの岸を登り越すと林の向こうに広い川原が見えてきます。朝に通過した角間川の分岐点です!
ここからは朝すでに越えてきた修行場です。道もわかり、ジャンプの精度も増している今となっては恐れるに足りないはずですが、なぜか体にキレがありません。
やむを得ず、非常用のチョコレートを切り崩すことにします。大体600m進むごとに2個ずつ食べてゆけば到着までにすべて食べつくしてしまうことも無いはずです。ということでまずは最初の2個を。うーん、甘い、おいしい!
こんなことだけでかなりお手軽に回復し、行動速度が上がります。先ほどの分岐点ですでに16時近かったため、日の長い季節とはいえあと一時間以内には下りきらねばなりません。可能な限り走れるところは走り、川原を駆け抜けます。朝には苦労した巻き道も楽々クリアーしました。今なら変移抜刀霞切りや四本しめじの術も使えるかもしれない!と有頂天になっていましたが、何のことは無くストックがあるためバランスがとりやすくなっていただけでした。
結局その後1時間ほど川原と林道をチョコをほおばりつつ歩き、駐車場に着いたのは行動限界時刻と考えていた17時でした。
・忍者には会えないままでしたが、きっと忍者はこのような山林で修行したに違いない!と考えるだけでも楽しく、笹薮こぎという苦行のなか、気を紛らわすのには最適でした。
・行動食を3食と昼食を持っていっていましたが、行動時間を読み間違えたため非常食も摂ることとなってしまいました。計画についてもう少し余裕を持たせる必要があったようです。
・実は靴(SPORTIVA TRANGO S EVO GTX)のテストも兼ねていましたが、予想以上に足になじみ、ガレでも比較的安心して下ることができました。また、濡れにも強くジャンプ失敗時には何度か助けられました。
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子どもの頃、家族同伴のハイキングで、角間渓谷から烏帽子岳に登る沢を登り、稜線直下のガレ場で断念して引きかえし、宿への帰着が遅れ、捜索隊が出る遭難騒ぎとなったことがあります。
もう一度、あの道を行って、今度はちゃんと走破してみようかと思い、探していたら、このレポにたどり着きました。
結構、大変な道になっているようで、躊躇しています。
貴重なレポありがとうございます。
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