北岳バットレス 念願の!? 4尾根

過去天気図(気象庁) | 2013年09月の天気図 |
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計画書
(更新時刻:2013/09/13 13:54) |
感想
2010年。未だヴァリエーションを始めたばかりの頃、一番最初に目標としたのがこの4尾根でした。
そしてバットレスに向けて練習を積んでいるそんな最中、2010年の10月に上部の岸壁が崩壊しました。
アレから3年・・・。
もう登る事も難しいのかとさえ思っていたが、次第に4尾根を登れる事が分かり計画する事に成った。
9/20 深夜
登戸周辺を22:00に出発し、コンビニに立ち寄りながら芦安駐車場に辿り着くが、
駐車場での車の多さに唖然とする。
駐車場入り口には、「満車」の文字が掛かっている。
が、ウロウロ探すと第3駐車場に入れる事が出来た。今夜は車中泊。
久々2マンのhtokさんと一杯飲もうとするが、お疲れのご様子。。。早々に就寝。
9/21 初日
人が多いので早めにバスに乗るか悩んだが、今日は御池小屋まで2時間ほど。
急ぐ必要も無いので、6時くらいにノコノコ起きる。
準備をしてバス停に行くと凄い人。。。タクシーの方が早いとの事。30分くらい待つとタクシーが来る。
久々の広河原。少し秋の気配を感じながら、サンダルを履いたまま広河原山荘へ向かう。
5分程で広河原山荘に到着。トイレや水汲み等の準備を行い。出発。
少し歩くと御池小屋への急登が続く、1回だけ休憩を入れて御池小屋へ到着。久々の登りで汗が出た。
未だ午前中と言うのにアチコチにテントが見える。。。やはり、人の多さを実感する。
テントを小屋前の小丘奥に張る。
不要なモノをデポし、少し休憩を取った後に偵察に出掛ける。
今回はB沢から登り、cガリーをトラバースするつもりだったが、
L学講師の方から5尾根を登った方が安定しているとアドバイスを貰う。
と言う事で、dガリー側の5尾根支稜と下部岸壁の偵察に向かう。
小屋から15分で二俣。バットレスが良く見えるので、しばらく尾根やルートをアレコレ傍観する。
しばらく進とヒドゥンガリーが有り、そこからB沢迄が果てしなく長い、、、
既に高度も2500mくらい有るので空気も薄い、、、30分くらい掛けてB沢(涸沢)に到着した。
今回は、C,D沢の合間の尾根部を登るので、もう少し上に行くと水の流れてるC沢に到着。
D沢は直ぐ隣に有った。D沢を一旦越えつつもバットレス側を見ると踏み後がある。
一旦、踏み後に入るとD沢を渡り、C沢を右下に見ながら登る尾根が出て来る。
道は極めて明瞭だが歩き難く、勾配もそれなりに有るので辛い。
草の根や枝をガシガシ掴みつつ喘ぎながら登る。
しばらく登ると一旦開けた草付きに出る。ピラミッドフェースが「これでもか」と
言わんばかりに天に向けて突き上げており、しばらくは ぼーっと眺める。
良く見ると下部に人が居るらしい。
今から登る2パーティーと1パーティーは偵察らしい。
明日登る5尾根を登るらしく、しばらく傍観する。
ピラミッドフェース・十字クラック・dガリー大滝を一通り眺め、
取り付易そうな5尾根から登る事にした。
来た道を戻る途中に4パーティー程、偵察らしい人達とすれ違う。。。
色々なルートの下見には行ったが、ココ迄すれ違いで合うのも珍しい。
明日の人の多さを少し匂わせ始めた。
その後、テン場に戻ると開いた口が塞がらない。。。テントがギッシリと立てられており、
御池小屋でテン泊するのは初めてだが、恐らく異常な賑わい方の様だ。
小屋の目の前では、L学のメンバーが大宴会を開いており、我々も混ぜて貰う。
情報交換する中に明日の出発時間を聞くと2:30に出発するとの事。
自分達もその時間に出ようかと考えたが、宴会中も続々とクライマーらしき人達が上がって来る。
早くも自分の中では警告が出ており、取付きまで1時間30分も掛かる為、
1:30起床の2:30出発とした。
テントに帰ると明日の身支度を調え、夕食を取り、早々に寝る事にした。
未だ寝るには早いが、明日の朝一を目指すなら妥協は許されなかった。
9/22 二日目
予定通り朝1:30に起きる。
手慣れた感じで、二人とも食事とトイレを済ませ、トイレ前に2:30に集合&出発した。
空を見ると一面の星空。今日の天気は約束された様なモノ。
しかし寒気が入ってくるので、昼から崩れる予報。ナントか午前中には抜け切りたい。
テン場を見渡すとアチコチの灯りが見える。
L学組みのテントに「先に行く」と声を掛けつつ出発した。
昨日の偵察と月明かりで何の心配も無く登れるが、少しお腹の様子がイマイチ。
先にhtokさんに行って貰い、草付きでトイレを済ませる。
後ろから数パーティーのヘッデンの明かりが見えている事も有り、少し焦りながら用を足す。
予定通り4:00に取付きへ到着。
先に行ったhtokさんは準備をしていた。
もうお互いに腐る程やってきた手順だ。余り言葉は要らない。
4:30登攀開始
<5尾根支稜>
1p kyp ・左上ランペから五尾根支稜のリッジ。 体感+2級程度 特に何の問題も無い。
2p htok ・更にリッジを登る。 体感+3級程度 朝一と言うかヘッデン登攀だと少し難しく感じる。
3p kyp ・更にリッジ上部。出口は簡単。 体感3〜+2級程度 上部は簡単。
朝日で明るく成るまで待機。更にトイレへ行く・・・。
4p kyp ・Dガリー左壁の凹状を登る。 体感3+級程度 少しランナーアウトするが、たまにカムで支点を取る。
<4尾根へ迂回>
5p htok ・本来は終了点からコンテ→右壁の支点でビレイし崩壊地を右に回り込むのだが下部に居るクライマーが気に成り細かく切る。
6p kyp ・崩壊地を超えつつ4尾根下部に取付こうとするが次の終了点が見えず一旦崩壊地から3m先で切る。
7p htok ・更に右上して終了点を確保。
<4尾根下部岩壁>
8p kyp ・4尾根下部の出だしを登る。 体感+4級程度 クラック部を登攀。結構楽しい。本来の1p目は継続していると思われる。
9p htok ・頭上のハング下を右に少し回り込み。やや下降しながらも左上する。 体感4級程度 支点構築が鍵。
10p kyp ・10mほど登るとビレイ点があるので短く切る。
11p htok ・頭上のかぶりぎみのリッジ
12p kyp ・4尾根下部の取付きまでのフェース。 体感3級程度 簡単な登りだが、テラスがやや広いのでコールが下へ届き難い。
<4尾根上部岩壁 通常トポに載るのはココから>
13p htok ・4尾根上部の第一核心。 体感-5級程度 下部クラックからフェースに移る。
14p kyp ・簡単なフェースを登る。 体感3級程度
15p htok ・白い岩のクラック。 体感+3級程度
16p kyp ・記憶に無いほど短い。 体感?級程度
17p htok ・フェースからリッジに成りその先に懸垂支点がある。 体感4級程度 ココが元マッチ箱。
18p htok ・htokさん側の方が下降し易いので、懸垂をして貰う。15mくらい。
19p kyp ・上まで届きそうに無いので途中で切る。 体感-4級程度
20p htok ・2箇所終了点が有るので取り敢えず終了点まで登る。 体感-4級程度
<新4尾根ルート→城塞ハング>
21p kyp ・崩壊した箇所を掴みながらトラバース。 体感+3級程度 終了点が1つしか無いのでハーケンを打ち込む。
22p htok ・新4尾根の一応最大核心部。 体感+4級程度 三ツ峠の観音ルートやクーロワール程度のフリー登攀が出来ないなら、
大人しく左脇のハイマツ帯を登りましょう。と言うかそれ以下の人は来ちゃ駄目でしょ・・・。身体が安定したら、外に身体を出す。
11:30登攀終了
幾ら檄込み&日の出まで待機が有るとは言え7時間は掛かり過ぎかも。。。
終了点の更に上に3テンが張れる程のスペースが有り、そこで全装備解除とした。
最終pをビレイしている時に後続のL学メンバーがマッチ箱手前の岩場に見え、手を振って応えた。
そのメンバーとは、北岳の頂上で落ち合う事に成っているが、
頂上は寒そうなので少しでも風が避けれるココで待つ事にした。
最初は今か今かと待っていたが、1時間経っても2時間経っても登って来ない。
そして、、、4時間後にさっきのメンバーとは違うメンバーが登って来た・・・。
やっと無線が繋がり、先程のメンバーとコンタクト出来ると、どうも渋滞が酷過ぎて懸垂して降りたらしい。。。
うそおぉ(涙)
気を取り直し、今上がって来たメンバーと北岳の山頂で記念写真を撮り、
一気に御池小屋まで下山した。
その日の夜は、遅くまで盛り上がったのは、言うまでも無い。
23日
御池小屋から広河原まで一気に下山した。
★総括
今回5尾根支稜ルートを余り把握してないのはマズかった。もう少し幅広い視野でルート把握すべき。
4p目もヘッデン登攀すれば、もう少し早く取り付けた筈。
状況によっては、マッチ箱手前でも「下降する」と言う選択肢も有るという事が勉強に成った。
最終的に待ち時間が多く7時間も掛かってしまった。
もう少しパーティーを抜くとかの対処方法が取れるような力を付けたい。
初見では厳しいかも知れないけど・・・。
安全を期してピッチを多く切ったが、切り過ぎな面も有るので検討(事前のルート把握と現場判断)が必要。
しかし、やはり20pは長い、最低限「越沢10ピッチ」「三ツ峠15ピッチ」が当然の様に感じた。
人が多過ぎると楽しさも半減するのかも・・・。
4尾根取付きまでは良かったが、それ以降は楽しさ半減。翌週の谷川・南稜の方がヴァリエーションらしかった。
後日、先輩とその事を話すと「人が多過ぎたからでは?」と言う事らしい。そうなのかも。
来年は4尾根ならオールリードか、他のルートに行きたいな。
山岳ガイド松原尚之のブログ 「山について語るときに僕の語ること」の記事「北岳バットレス第4尾根 スーパートポ」の第5尾根支稜〜4尾根のライン通りに登った。
1p> 4:30 dガリー大滝取付き→5尾根支稜リッジ
2p> 5尾根支稜リッジ
3p> → dガリー下テラス(先の横断バンド、崩壊地のトラバースの場所がヘッデンでは確認できないため、ここで朝日が出るまで待つ)
横断バンド、崩壊地のトラバースの場所が特定できたので、コンテでdガリーを少し詰める
4p> dガリー → 横断バンドトラバース開始点
5p、6p、7p> 崩壊したハング下を通って斜めに上がって第4尾根主稜下部取付きまでトラバース(落石を避けるためと先の状況が分からないため細かく切った。ここでbガリーからcガリーを詰めていくパーティーに抜かれて行った)
8p>
9p>
10p>
11p>
12p>
13p> → 第4尾根主稜の取付き(前にbガリーから上がってきたパーティが5パーティ先行しているという情報。しばらく待ち。以降各ピッチで5分〜20分先行パーティが抜けるのを待つ)
14p> つるりとしたクラック、キャメ#3が決まる。キャメ#3は他でも結構使った。
15p>
16p> 白い岩のクラック、ジャミングではなくスラブ登り?
17p>
18p> → マッチ箱の頭
19p> 15mの懸垂下降(懸垂下降の支点は2か所。きれいな方は比較的新しめのスリングと残置ビナ2枚があった)
20p>
21p> → 枯れ木テラス(城塞ハング上で装備を解除するパーティが見える)
22p> 崩壊後にできたリッジと城塞ハング下のトラバース
23p> 城塞ハングのチムニー(ハイマツのビレイ点から第4尾根主稜を登る10数パーティが見える)11:30登攀具解除
・前日の下見で5尾根支稜のラインを確認しておいたので、ヘッデンでdガリー下のテラスまで上がった。4尾根の大渋滞に巻き込まれる前に4尾根に取り付けたので、この作戦が当たったと思う。
・スピード重視ならばbガリーから直接第4尾根主稜の取付きに取付くのがよいようだが、cガリーのトラバースでどのパーティーもガラガラと岩を落としていたので、避けたいような気がする。
・5尾根支稜やdガリーからの場合も、スピード重視なら第4尾根主稜下部の6pをとばしてcガリーを詰めるとだいぶ早く取付ける。が、第4尾根主稜下部の6pもちゃんとした登攀でリッジ上を行くので気持ち良いのでもったいない気がする。崩れそうな岩屑の上を詰めるより楽しいと思う。
・渋滞するとビレイ点が混むので、カムでビレイ点を作る、補強する必要があるので、カムは1セットは必要。キャメ3番は役立った。
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