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Yamareco

記録ID: 72250
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無雪期ピークハント/縦走
甲信越

剣岳

2009年09月28日(月) 〜 2010年07月28日(水)
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コースタイム

行程:
9月24日 快晴
 清里(6:40)〜小淵沢IC(7:00)〜扇沢(8:30 9:00)〜室堂(10:10 10:15)〜雷鳥沢(10:40)〜奥大日岳(12:00 12:15)〜雷鳥沢分岐(13:00)〜剣御前(13:55)〜剣山荘(14:35) 泊
9月25日 快晴
 剣山荘(5:35)〜剣岳(7:05 7:15))〜剣山荘(8:35 8:45)〜剣御前(9:40 9:55)〜室堂(11:05 11:15)〜扇沢(13:18)〜清里(15:30)
天候 晴れ
過去天気図(気象庁) 2009年09月の天気図
アクセス
利用交通機関:
バス 自家用車 ケーブルカー(ロープウェイ/リフト)

感想

山行後記:
2006年の9月に計画したが雨のため断念したために剣岳がひとつだけ取り残されていた。連休の疲れが残り少し不安があったが天候も安定しているため思いっきり計画した。初日は扇沢からのバスが7時30分始発のため私がどう頑張ってもここから剣岳を日帰りするには無理である。のんびりと車で扇沢に向かいトロリーバスとゴンドラを乗継で室堂に到着。大勢の一般観光客の中を登山口まで向かうのは少し気恥ずかしくもある。

観光客の喧騒も消え間もなく雷鳥沢に到着する。このまま剣山荘に向かうには早すぎるし快晴の日和なので急に思い立ち奥大日岳を往復しようと進路を左に取る。ナナカマドやチングルマなどの高山植物たちの草紅葉が真赤に染まり美しい光景を見せている。今回は一泊二日のためザックも軽いので室堂一帯に拡がる紅葉を眺めながらホイホイと高度を稼ぐ。行きかう人も少なく楽しい散歩道となる。雷鳥沢分岐から尾根道をとり剣御前に向かう。時折、ライチョウの親子がコケモモやガンコウランなどの実を啄んでいる姿が見られる。今のうちに厳しい冬に備えてたくさん栄養を蓄えなければならないので私の姿などお構いなく至近距離で動き回っていた。

間もなく剣御前に到着。目の前に難攻不落のような岩山が聳えったっている。剣沢に一気に下りると今夜の宿の剣山荘。2007年に新築されたばかりなので何もかもが新品でこんな山小屋で過ごすことは初めてである。気持ちよく一夜を過ごせたのは良かったのだが15時頃に小屋で知り合ったもの同士が談笑していたところ20代と思われる若者がいきなり「うるせい!しずかにしろ!?????」と罵声を浴びせた。所謂切れた状態と思えた。年配の登山者なので確かに声が大きいので少々煩いことは否めないことだがいきなりどなり散らす態度に恐ろしさを感じた。この若者は翌朝の4時頃にも部屋の中でザックのパッキングの音が煩いと「うるせい!しずかにしろ!部屋の外でやれ」と大声を発した。私はこの声で目覚めた。

大自然の山々が持つ寛容さ、優しさ、包容力が人間の持つ邪悪な心を浄化してくれる力があると私は信じて50年ほど山登りを続けています。下界では些細なことで切れた状態の老若男女が犯罪を繰り返しています。稀ではありますが最近は切れる人が山に登り始めたように思います。私は今回は若者に穏やかに言葉を掛けましたが次回からは身に降りかかる災難を恐れて言葉を掛けることを躊躇せざるをえないように思いました。間もなく山でも些細なことで犯罪が発生するのではないかと私は危惧しています。

この日剣山荘に宿泊した登山者は60人余りのようだった。早朝3時過ぎから次々とヘッドランプの明かりで剣岳に向かったようだ。朝食をとった人は私を含め30人ほどだった。約半数が夜明けを待たずに出発したようだ。私は夜明けを待ちゆっくりと朝食を頂き5時35分に出発。鎖場での時間待ちを心配したがほとんど問題はなく1〜2回少し待つ場面があったが順調に高度を稼ぐ。前剣も難なく通過。平蔵のコルでタテバイの鎖場で5名のグループが登っていたのでここで唯一の休憩をし水分を得る。

一般の他の山の登山ルートよりも直登ルートが多く鎖が固定されている分だけ早く登ることが可能である(混雑していない状態)。私が予想した様な特段危険な個所もなく慎重に注意深く鎖と岩を確保しながらゆっくりと登れば難しい山ではないように思った。後立山の「不帰嶮」の方が鎖場も多く長い区間で緊張を強いられるように思った。山荘で仲良くなった人たちも朝食を取らずにお弁当を作ってもらい暗いうちに出発したようだ次々に「おはようございます」と声をかけながら追い抜く。

やや広い岩だらけの山頂に無事に7時05分到着。5〜6名の先着者がいた。山荘でよく話をしていた単独行者も山頂にいて3時45分に出発したとのこと。彼が語るには山頂まで下りの登山者には会っていないと言う。(登山道と下山道が異なる所がある)近くにいた若い女性の単独行者が本日の最初の登頂者のようだ。私は慎重にのんびりと歩を進め登ってきたが先行するすべての登山者に追いついたことになる。9月上旬に縦走した後立山の白馬岳、鑓ヶ岳、唐松岳、五竜岳、鹿島槍ヶ岳、爺ヶ岳が目の前に聳える。槍ヶ岳、穂高連峰、裏銀座コースの山々。遠くには富士山、八ヶ岳、南アルプスの山々も見渡せる。秋空は深く澄み渡り時が止まったかのように剣岳は静寂に包まれた。

バナナ、プチトマト、水羊羹を胃に流し込み下山とする。山は登るときより下山の方が危険が多い。鎖場やガレ場を慎重に下りる。カニのヨコバイでは先日ご夫婦で下山中に奥様がバランスを失い転落死をされたばかりだ「ご冥福」をお祈りし合掌した。今年は剣岳の映画が上映され登山者も多いようだ。時間的には難しい山ではないが鎖場や垂直に近い岸壁が多いので国内では難易度が高い山の一つであることは間違いなく安易に考えないように願っています。

澄み渡った秋空と紅葉と気高く聳える剣岳に感謝しながら帰途に着いた。
 

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