海金剛・城ヶ崎


過去天気図(気象庁) | 2013年11月の天気図 |
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7282.xls
計画書
(更新時刻:2013/11/19 13:53) |
写真
1日目のスーパーレインは貸切(たぶん海金剛を貸切)。
2日目のスーパートリトンも貸切(スーパーレインに2パーティいて海金剛全体で自分らを含めて3パーティ入っていた)
感想
会の人から「海金剛どうでした?」と意外と多く聞かれるのでけっこう海金剛は関心が高いみたい、ということで感想を書きとめておくことにしました。初級者の感想にすぎないので、この感想を頼りに計画をされても全く責任は持てません。
●宿泊
雲見オートキャンプ場は非常に整備の行きとどいた気持ちのよさそうなキャンプ場です。お風呂場もあります。松崎町から車で15分というところでしょうか。管理棟前に1日500円で駐車可能です。
自分らは「道の駅?花の三聖苑伊豆松崎」に車中泊しました。こちらも「かじかの湯」もあり便利です。
また、松崎町は思っていたよりも大きな町でした。食事、お店、コンビニとたくさんあるので、買い出しに困ることはなさそうです。
●アプローチ
海金剛へのアプローチの道は、オートキャンプ場から100mから200mくらい道を下っていくとあります。電信柱が目印。踏み跡がしっかりしており、そうそう迷うことはないと思います。30分ほどの歩きで海金剛下部にでます。アプローチ道で装備を身に着けるような広い場所はなく、最後で懸垂下降で降りる(クライムダウンも可だとは思います)ので、キャンプ場でハーネスを付けてロープは取り出しやすいようにしておいたほうが良いかもしれません。
西伊豆は関東の感覚からすると亜熱帯のジャングルです。踏み跡はしっかりしていますが、道は若干ワイルドです。さらに11月のこの時期、7、8頭のイノシシの集団に出くわしました。ウリボウもいたので、突進されないか、刺激しないようにと緊張しました。
懸垂下降で降りると、スーパートリトンなどのある海金剛左岩壁(西面)にでます。スーパーレインのある正面壁(南面)はそこからぐるっとまわりこんで5分ほどのところにあります。
●スーパーレイン、スーパートリトン両方について
ビレイポイントはところどころボルトの場所もありますが、木やブッシュでビレイするところが多いです。ギアアンカーの場合もあるので、カムは多めに持っていったほうがよいでしょう。
途中、ランナー用の残置支点は一切なくすべてNPです。木やブッシュも頻繁に支点として使うので、スリングは多めに持ったほうが良いと思います。今回2人で120cmから240cmを6本ほどありましたが、もう少し欲しいなと思ったことも。
カムはキャメロットだと#.3から#3が2セット、#4が1つあるとおおむねOKと思われます。
ナッツとマイクロカムも使用すると安心です。ただこれはランアウトは気にならない人やビレイ点のバックアップは最小限でよいなど、安全面におおらかな人には必要ないかもしれません。私の場合は贅沢にボールナッツも使って安心感第一でいきました。
岩ははがれやすかったり割れ目が広がりやすいものもあるので、カムのセットではテスティングはガンガンしたほうが良いと思います。ただその結果落石を発生させることもあるので、まずはがれたり割れたりしないところにセットするのが前提ですが。
岩にチョックストーン風に挟まっている石を使ってその石と岩の隙間に細いカムで決めることは厳禁と思います。テスティング程度の加重では大丈夫でも、落ちたら開いてカムは抜けると思います。
どちらのルートも景色は最高です。ただ単調なので連日だと飽きてしまいます。どちらかのルートだけで十分だったかな。。このルートは快晴の日に登るべきでしょう。ルート自体がすごく楽しいルートというわけでは無いので、天気が良くない日だと何のために来たのかわからないと思います。
●スーパーレイン
8時半頃取付、11時半頃終了点でした。ずっと日が当たって暖かい、というより暑かったです。温泉地らしく、ワレメに手を差し込むと一部生暖かい湯気が出ていました。
岩はだいたいしっかりしていますが、ときどき浮石やはがれそうなフレークがあります。それでもスーパートリトンと比べると格段に安定しています。ルート自体もわかりやすく、体感10aくらいのクラック(ただしオフィズスあり)が続きます。あまりに素直なルートすぎて各ルートの印象が残らなかったですが、すっきりしているので人気ルートなのもわかります。
トップが10aオンサイト、セカンドがトップロープで10aくらいを登れればスムーズに行けるのではないかと思います。
人気ルートゆえに、「クラックでもなんでも人工でも抜けるよ!」なんて山屋さんの後ろについてしまったりなどしたら、たぶん途中で時間切れ撤退する羽目になりそうですので、先頭で取り付くのが核心でしょう。安定しているとはいっても不用意な行動では落石が必ず起こると思いますので、その意味でも先頭に居たほうが良いと思います。
●スーパートリトン
8時ころ取付、13時半頃上部城塞下で終了でした。こちらはずっと日陰で、登っている最中は暑く、ビレイ中は寒かったです。
いろいろなトポでルートが今一つはっきりしないですが、今回は「日本マルチピッチフリークライミングルート図集」のルートに従います。
ルートは岩がもろいです。浮石は多く、フレークやホールドがはがれるものがあります。落石を起こさないように、ロープを浮石にひっかけないように、全体的に岩を押さえるようにと、神経を使います。ブッシュを突っ切ったり、フリーマルチというよりは完全に日本的バリエーションルートです。ブッシュや岩角などでロープの流れが悪いところが多いので、ロープの引き上げに力を使って疲れます。ピッチを短く切ればよいのですが、切るのに都合のよいところばかりでもありません。というわけで、残念ながら登攀以外のところに神経と体力を使って、個人的にはあまり気持ちよく登れた感じがしませんでした。
基部は上からの落石がすべて集中する場所です。平らな岩の上などに荷物を置いておくと、帰ってきたら石の直撃を受けていたということはありそうです。残置の荷物は岩陰に置いた方が良いと思います。
0P目、取付きの岩の基部にあがるところはがれがれでかなり悪いです。トップにはロープの意味はあまりありませんが、セカンド以降の人にはロープで確保したほうがよいかもしれません。
1P目は、いろいろなルート取りがあると思いますが、今回は大きなフレークをトラバースするルートをとりました。朝一には怖いです。途中ランナーも取りにくく、またフォローをビレイする時にはトラバースする部分が見えませんので、フォローもリード並み(以上?)に怖いと思います。怖さだけでいうと、全ピッチ中で一番怖いです。htoku体感で10a。トポには5.9とありますが、こわさだけでいえば11aくらいです。。
2P、3P目は正規ルートではないブッシュを登りました。正規のルートの出だしは見えていたのですが、直上したほうが簡単そうでショートカットできそうに見えたため。ここではまりました。ブッシュの中での登攀で落ちる危険はないのですが、いやらしい岩、木をくぐったりまたいだりと苦労して時間をロスしました。ロープが木で屈曲するので、ロープの引き上げは重労働です。最終的に逆S字のクラックの直下に出ましたが、正規ルートの方がおそらく楽だったと思われます。ただ正規ルートで行っても、あまりすっきりしないようなので、どっちもどっちなのかもしれません。
4P目がおそらく核心の逆S字(逆くの字)クラック。フィンガークラックですが、クラックにジャミングして行こうと思ったら、土と草でクラックが埋まっていて掘り返している間に疲労してテンションしてしまいました。最終的にA0して乗りあがって超えました。クラックは半分埋まっていて、クラック登りにこだわっては登れないかもです。クラックで登ろうとすると体感で10c。あとから聞いたら右上するクラックの1mくらい上にあるガバを使ってクラックに立ち上がって登るそう。たぶんあらかじめムーブをわかっていれば10aくらいなのかな。昔のトポには10cと書いていますが、もしかしたら昔はクラックが掃除されていてフィンガージャムだけでつなげたのかもしれません。
そこから上はピッチの切り方次第で、棚状が上部城塞下まで続きます。フィストサイズのクラック(体感10b、トポでは5.8)、ダブルクラック(体感10a、トポでは5.7)とクラックらしいクラックが続きます。
全体的にグレーディングが辛い(そうとう辛い)ように感じました。トポのグレードを信じていくとひどい目を見るような気がします。
全体的にはトップがクラック10cオンサイト、セカンドがクラック10a/bくらいをトップロープでオンサイトノーテンで行けるくらいなら問題なくスムーズに登攀できるように思います。フリーのルート中心の人にはちょっとワイルドすぎるかも。
●下降
登攀後の下降は基本的にはどちらもスーパーレイン側からになると思います。
風が強いので、ロープを投げると流されてあらぬ方向へいきブッシュに引っかかって苦労します。ロープを繰り出しながら懸垂下降したほうが良いと思います。ただし懸垂中もブッシュをくぐったりするのでやはりロープが引っ掛かりますが・・。
ダブルロープ50m連結で懸垂下降4ピッチほどです。短く切ることもできます。ぎりぎりまで距離を出していった場合、50mぎりぎりになってロープの伸びで支点に届く場所もありますので、末端の結び目は必須です。
基本がクラックなので回収は細心の注意が必要です。またブッシュが多いので、とにかくロープの流れは重いです。ごぼうで握ってそのままでは引けないので、タイブロックなどあれば使うなどして体重をかけて引かないと回収できないくらいです。力が無い人だと、たぶんスタックしたと勘違いするのでは。力のない人の場合、ピッチを短く切らないとロープの回収が困難になるかもしれません。とにかく重労働。
ロープがスタックしたわけでもなく、特にロープが引っ掛かったわけでもありませんが、回収や諸々含めて、下降だけで2時間を要しました。撤退の時間は早めの設定が吉と思います。
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