剣山系縦走2泊3日:1日目(垢離取 ~ 一ノ森 ~ 剣山)



- GPS
- 08:17
- 距離
- 8.5km
- 登り
- 1,624m
- 下り
- 453m
コースタイム
過去天気図(気象庁) | 2020年07月の天気図 |
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アクセス |
写真
感想
徳島県住み山好きの夢、剣山縦走。
多くの場合はそれぞれの麓をつなぐバスもあって便利といういう理由から(おそらく)、剣山から三嶺、またはその逆のルートを指す。
ただ、そのルートだと少し距離的に物足りないのと、私達は剣山へはリフトのある見ノ越からではなく、修験の道・垢離取から登りたかった。そして何より大問題は、当時はコロナ禍真っ盛り、三嶺の麓・名頃と見ノ越をつなぐ「ぐるっと剣山登山バス」は運行休止になっていた。
自家用車1台しかない私達にとって、一番問題なのは、縦走を終えた後、どうやってスタート地点、もしくはどこであろうと駐車している場所にもどるか、だった。
とにかく剣山系は、つるぎや三好の中心街から恐ろしく遠い。そして徳島の山奥への公共交通手段は、関東近辺の人や甲信越の人気の山々を楽しんでいる人たちからは想像もつかないほど、無い。なぜなら公共交通機関が立ち行かないほどとにかく人口が少ないからだ。徳島は徳島市中心部に住んでいる人たち以外は、自家用車がなければ行きていけない場所なのだ。
四国の山は低いが、登山口までたどりつく難易度の高さは日本アルプスや富士山よりも遥か遥かに高い。
縦走のルートや準備を考えるよりも何倍もの長い時間を、登山口までのアクセス方法に費やし、ありとあらゆる三好とつるぎのローカルバスや列車のスケジュール、バス停の位置を調べて、遂に最適解を見出したのだった。この時点で縦走の達成感の半分ぐらいの感激は使ってしまった。
登山開始の前夜に、あらかじめ美馬市脇町のビジネスホテル「MATSUKA」に宿泊。実は自宅からでも垢離取まで車で3時間程度で来れるのだが、早朝から歩き始めるには自宅を夜明け前に出なければならず、歩き出す前に疲れ果ててしまいそうだったので、近場に泊まっておくことを選んだ。
垢離取の橋の前の駐車スペースに車を停め、いざ出発。明後日ここに戻って来るまで、どうか無事でいてくれと祈る気持ちで我が車を後に残して歩き始めた。
もちろん、駐禁チケットが取られるとかレッカーなどは心配していない。ここらの場所はたぶん車が数日放置してあったって、多分誰も気が付かない。それよりも落石や、鹿やら猪やら猿やらのせいで車に何かあったらどうしよう、の方がよっぽどリアルな不安、それが徳島。
2泊3日、初日の今夜は剣山ヒュッテ泊だが、明日の夜は避難小屋泊なのでテント以外のキャンプ道具一式が入ったザックは重い。そして垢離取から剣山本宮剣神社までの直登が最初からとてもきつい。
ただ、神社を過ぎてからは、緑の苔と巨木が美しい道を、ゆるゆるととても楽しく登り、一ノ森ヒュッテに到着。殉職の碑付近からは、有名な剣山から次郎笈への美しい稜線が晴れた空にくっきりと見えた。もちろんここまで他に誰も登山者には会わなかった。
頂上ヒュッテに到着した後、宿泊する部屋に荷物を置き、食堂でカレーとラーメンをオーダーして昼食をとった。
夕方までまだまだ時間があるので、深い霧の中を刀掛けの松まで下りて、苔の美しい行場巡りコースを一回りした。シーズンになればキレンゲショウマが咲く場所だ。途中、登山道のまんなかに、黒いテン?の子供がヒョッコリ現れ、私達を道案内するように、一定の距離を保ちながらヒョイヒョイと飛び跳ねるように進んでいく。脇の草むらの中などに全く逃げ隠れしようとしないのが不思議だった。
巨神兵のサイズが通り抜けられるか心配だった不動の岩屋も、無事内部に入って戻ってこれた。
剣山ヒュッテのこの日の宿泊者は私達と他にソロの男性一人のみ。そもそもコロナ禍のこの時期に、宿泊受け入れを続けてくれていたこと自体が本当に感謝だった。
こんな誰がどう考えても登山者も宿泊者も少ないに決まっているこの日に、なぜかローカールテレビの取材班がヒュッテに来ていた。コロナ禍が県内の観光・宿泊施設に与える大打撃を取材していたようだ。
ソロの男性は夕食をオーダーしていなかったようで、食堂で立派な夕食の定食を食べているのは私達のみ。取材班としては、他に選択肢がなかっただろうが、そうでなくとも外国人観光客が消えたコロナ禍の日本でいきなり徳島の山小屋で夕食をぱくついている超巨大サイズのオランダ人がいたのだ。その見た目のインパクトに撮影クルーは大喜びで、日本語が話せない巨神兵の代わりに私が短いインタビューに答えた姿は、翌日の夕方のニュースで早々に徳島全土の人々が目撃することとなった。徳島において某徳島ローカル紙とローカルTVに出る(載る)というのは、徳島県民全員に知れ渡ると言っても過言ではない。(いや、マジで)
もちろん、私達の知人友人の80%以上を占める高齢者層は、これらの熱心な購読者・視聴者であり、この後しばらく「見たで」と声をかけられ続けるのであった。
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