〔東京ぶらぶら散歩〕はけの散歩道
東京都
178_tomo
sima4448
koya4698
体力度について
- GPS
- 06:10
- 距離
- 10.1km
- 登り
- 41m
- 下り
- 28m
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標高グラフを拡大コースタイム
- 山行
- 6:14
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 6:14
| 天候 | 曇り |
|---|---|
| 過去天気図（気象庁） | 2015年10月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関：
電車
帰り：JR国分寺駅 |
写真
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感想
『土地の人はなぜそこが「ハケ」と呼ばれるかを知らない』 大岡昇平著「武蔵野婦人」より
小金井を中心に、東西に走っている15〜20mの段丘崖（はけ、国分寺崖線）は、5万年から1万年前に、多摩川の浸食作用によって作られた斜面地で、その距離は武蔵村山付近から世田谷区まで25kmにわたる。風情ある階段や坂が多く、また明治末から昭和にかけて、実業家などが、崖線の高低差と湧水を利用した回遊式庭園を施した別邸を建設し、その名残りが今は公園となっていることから、ぶらぶらと散歩を楽しむのに適した散策路が続いている。
曇り空ではあるが、秋らしい穏やかな気配を感じながら、のんびりと歩き出す。西武鉄道多摩川線の新小金井駅からほどなくして、小さくたたずむ店と出会う。〔握飯屋〕だ。散歩の途中で握り飯を頬張る姿を想像したら素通りはできない。この店では十種類程の具材からお好みのものをリクエストすると、その場で飯を握り始める。手渡された握り飯は温かく、冷めないうちに食べねばなるまいと思う。
多摩湖線沿いを南下し、二枚橋の坂を下っていくと野川沿いに出る。一帯は都立武蔵野公園だ。園内およそ800本あるというソメイヨシノを中心とした桜の木やレンギョウなど春の花見が見所だろうが、イチョウやトウカエデなど広葉樹が色付く秋の紅葉も見逃せまい。ちょうど中央線の東小金井駅を挟んで1.5kmほど南にこの武蔵野公園が、1.5kmほど北には都立小金井公園がある。小金井公園は、前を流れる玉川上水に沿う五日市街道を数kmほど西に行けば拙宅があることから、これまで何度となく遊びに行ったが、この武蔵野公園へ立ち寄ったのは今日が初めてだ。
野川沿いをぶらぶら歩いていくと、公園で楽しげにバーベキューの支度をするグループの傍らへ、野川からカルガモの一家がひょっこりと現れて日向ぼっこをしている光景が微笑ましい。小金井新橋まで歩くと、調整池の向こうにグリーンベルト（林の帯）が屏風のように立ち並んで続いている姿を眺めるに、水の力、つまり湧水から溢れる水の豊富さが、都内にこれだけのオアシスを創ってくれているのだなあと実感する。
ここからは街路に入るので、野川べりに腰掛けて握り飯を食べる。まだ温かい。小ぶりだが具がしっかりと詰まっていて食べ応えがあった。
はけ沿いに住宅路を西へぶらぶら。金蔵院から坂を登り、小金井街道の前原坂上交差点を西へ。弁車の坂の入口にある滄浪泉園を見学。今なおこんこんと湧く清水をたたえた池は、うっそうとした樹林の暗がりの中で神秘的だ。
新小金井街道を越え貫井南町に入る。貫井神社を参拝。しばし神域のお池で、鯉や亀を眺めて過ごす。
くらぼね坂を渡り、国分寺市まで来た。湧水の水路と野川本流が合流する不動橋を渡るとお鷹の道だ。〔お鷹の道〕とは、江戸時代の寛延元年（1748）この辺りが尾張徳川家の 御鷹場に指定されたことから、鷹狩の折にはこの道筋を行き来したことに由来するらしい。この東元町3丁目は、当部Kさんの生まれ育った地元。そのKさんが〔肉の丸愛〕の里芋コロッケをご馳走してくれた。農家で出荷されない里芋を使ったコロッケは、濃厚で美味しい。〔国分寺ブランド〕に選定されている一品だ。
真福寺公園からは、採れたて野菜の直売所が点在する。名水百選に選ばれた国分寺崖線下の湧水群のひとつ、真姿の池へ。名の由来となる伝説もいくつかあるらしい。そして武蔵国分寺の楼門を過ぎ、仁王門をくぐると、いよいよ薬師堂だ。今日は年に一度のご開帳日。木造の薬師如来坐像は国の重要文化財で、平安から鎌倉時代の作といわれている。
お参りを済ませ、武蔵国分寺公園に入る。この公園もまた、〔はけ〕によってもたらされた武蔵野の自然が感じられる公園だ。西元地区と泉地区をむすぶふれあい橋の上から多喜窪通りを東に見ると、晴れていればスカイツリーが見えるらしい。武蔵の池でつがいのカルガモや鯉を眺めて過ごす。今日は水畔でぼうっとすることが多い。そろそろ小腹が空いてきたので、蕎麦屋にでも寄ろうか。
多喜窪通り沿いの〔潮〕の暖簾をくぐる。まず瓶ビールで喉を潤し、水茄子の糖漬、蕎麦味噌、カワハギの刺身、小鰯のから煮、牛タンなどをツマミに、菊正宗の熱燗で人心地がつく。最後は鴨汁そばで胃袋を満足させた。
JR西国分寺駅前からほどなく歩くと姿見の池だ。現在の府中街道とほぼ同じ道筋にあたる東山道武蔵野路や鎌倉上道の宿場町であった恋ヶ窪の遊女達が、朝な夕なに自らの姿を映して見ていた ことから、〔姿見の池〕と呼ばれるようになったと言い伝えられている。
姿見の池遊歩道を東へ歩いていく。やがて日立製作所中央研究所の敷地脇まで来ると、沢のような水音が聞こえてくる。野川の水源のひとつでもある〔大池〕に結びつく水流であろう。坂を上るとJR国分寺駅が見えてくる。〔だんごの輪島〕で土産の団子を買い、国分寺駅に着いて散歩を終えた。
〔感想〕
秋も暮れかける頃に、姿を見せ始める鴨に、今日は何度も出会った。
はけの散歩道は、湧水源の道だった。かつては〔水口八十八箇所〕と呼ばれるくらい多くの湧水源があったが、近年は都市化などの影響により、段々と少なくなっているという。
滄浪泉園も殿ヶ谷戸庭園も、かつて住民の反対運動のおかげで、かろうじて自然破壊からその一画を免れている。豊かな自然を生み、育む、希少な湧水源を何とか守り抜いてほしいと思う。でないと、一年で一番散歩に出掛けたくなるこの時期に、鴨にも出会えない...。
「葦の葉に 夕霧立ちて 鴨が音の 寒き夕し 汝をば偲はむ」（万葉集）
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