オートルート2015(前半3日 シャモニからプラフェリまで 1/3)
コースタイム
4月4日 Grands MontetsからArgentière
8:00 ガイド組合オフィス集合。
10:30 グラモンテ滑り出し
12:30 アルゼンチエール小屋
4月5日 ArgentiéreからTrient
6:00 出発
10:00 シャルドネのコル
13:40 サレイナの窓
16:30 トリアン小屋
シャルドネのコルからサレイナの窓の間で救助に伴う時間が含まれている。
4月6日 Trient小屋 から Prafleuri小屋
6:00 出発
8:30 コル・デスカンディー
9:30 シャンペからバルビエスキー場へ向け出発。移動時間は40分ほど
12:30 コルド・ショーへ向けスキー場から出発
15:00 ロザ・ブランシュのふもと到着
16:30 プラフェリ小屋到着
天候 | 4/4雪、4/5、6快晴 |
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過去天気図(気象庁) | 2015年04月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス 自家用車
ケーブルカー(ロープウェイ/リフト) 飛行機
シャモニからグランモンテまではガイドの車、グランモンテ頂上までケーブルカー |
コース状況/ 危険箇所等 |
クレバスのリスクについてはかなり注意される。基本的に氷河の上では両方のスキーを同時に外すことは許されない。この習慣がないのでつい外してしまいガイドから何度か注意された。 |
その他周辺情報 | フランス、スイス、イタリアの山小屋はどこも清潔で快適(除くナカムリ小屋のトイレ)。食事も必ず前菜、メイン、デザートと出る。水、酒類は自己負担。 |
写真
装備
個人装備 |
スキー Dynafit Cho Oyu 174cm
スキン Coltex Whizee
ビンディング G3 Onyx ブレーキレス
モンベルリーシュコード
ブーツ Scarpa Maestrale
スキーアイゼン ブンリンオリジナル
ストック
ビーコン Mammut Element
ショベル BCA B1-EXT
プローブ Lifelink Carbon
クランポン BDネーベ
ピッケル 現地レンタル
ザック Dynafit Speed Expedition 45+
ハーネス DMM+安全環付きカラビナ
日除けシェード&キャップ
ビーニー Mammut
ゴーグル Uvex
サングラス Uvex
バラクラバ
ネックゲータ
アウタージャケット Millet Axon Pro Jkt
アウターパンツ Millet
インナージャケット Mammutウィンドストッパー
ミドルウェア上 Finetrackメリノスピンサーモ
ミドルウェア上 Mammut ジップの長袖
アンダーウェア上 Finetrack スキンメッシュ半袖
アンダーウェア上 Finetrack スキンメッシュ長袖
ダウンウェア代用品 Finetrack ポリゴン2UL
グローブ 厚 モンベル かなり古い3レイヤーのもの
グローブ 薄 Finetrackフラッドラッシュパワーメッシュ
BD 薄手フリースグローブ
腰用コルセット 慢性腰痛持ちなので
アンダーパンツ CXーW冬用 行動時用
アンダーパンツ スキータイツ 部屋着だが寒ければ着ようと思っていた
パンツ ユニクロ1
靴下 スマートウール レース用薄手 2
靴下 Finetrack フラッドラッシュスキンメッシュ
その他携行品<br />ヘッドランプ PETZL
ハイドレーション プラティパス2L
ハイドレーションチューブ
チューブインシュレーションカバー
ライナーシーツ ドイター製
日焼け止めクリーム&White Balm
救急用品
リペアキット 針金
テープ
細引きだけ
小型万能ナイフ
コンパス
Googleで印刷した地形図
メガネ
コンタクトレンズ
消毒用アルコールジェル
目薬
ティッシュ
歯磨き用品
ビオレさらさらパウダーシート3
タオル Finetrackナノタオル
オプション
アミノバイタルプロ12本
スニッカーズ3本
三ツ矢サイダーキャンディ20個
カメラ Nikon Coolpix S9700 予備バッテリー2
カメラケース Mountain Magic
ボイスレコーダー 多分小屋で時間を持て余すし音楽でも聞こうと持っていったもの
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共同装備 |
お客はピクニック用の食料を分担して運ぶ
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感想
4月4日 曇りのち雪 Grands MontetsからArgentière (当初計画はAlbert 1er)
朝から予報通り雨。8時にガイド組合オフィスに集合。そこでガイドとツアーメンバーとの顔合わせになった。参加者はスイス人夫妻1組、フランス人夫妻1組、ベルギー人女性1人に私である。ガイドのトムは27歳でかなりのイケメン。トムは直ぐに荷物チェック。荷物チェックが終わると、行動食のスナックが各自に支給される。2日分にしても結構な分量だ。さらにトムが中型のサツマイモほどあるフランスのソーセージ、スシソンを二本寄こした。更にバゲット一本をザックに押し込む。
Grante Montesまで行くと雨は止んだ。トムはテレキャビン終点まで行って状態を見るという。上がると徐々にガスが薄くなり視界は改善する。ゲレンデスキーヤーはArgentière氷河方面に向けてどんどん滑っている。今日は Passonのコル越えは止めにして、Argentière小屋までである。ガイドの後について滑り出す。ガイドは必ず自分のトレースの後を追うように指示する。ゲレンデスキーヤーは途中から左の方へ巻いてゲレンデに戻るが、我々はそのままArgentière氷河まで降り、そこから緩やかな登りを1時間半ほど歩くとArgentière小屋に到着した。今日の行動はここまででまだ12:30だ。3時くらいからトムがビーコンサーチの練習を小屋脇で行った。それで今日の行動はすべて終了。
小屋は広く快適。Argentière氷河右岸に少しせり出したように作られているので、視界がよければ対岸のles Droites, les Courtesから氷河まで見渡せるようになっている。食事も前菜、主菜、デザートと出て美味しい。天候は夜半になっても雪で、明日Chardonnet氷河を登りコルを越えるのか、危険なら下山してChampexに車で移動するかは明日状況を見て決めるという。天気は明日から晴天が続く予報なのでこれで下山は残念だ。
4月5日 晴れ ArgentiéreからTrient (予定はMontfort)
6時出発。6時出発といっても欧州はすでにサマータイムに入っているので、日本の感覚では5時である。まだ真っ暗に近いが、視界は良く天候は良さそうだ。Chardonnet氷河に取り付きさえすればChampexまで一気に行けるだろう。右岸側から取り付くことになったが、雪崩の危険のため各人の距離は50m確保、1つのラインには1人ずつ、危険箇所はガイドが動き出すタイミングを指示していた。取り付きの急な部分を越えると斜度は緩やかになり、雪崩の危険は減少するが、それでも氷河の両脇の急峻な岩峰からは小規模なシャワー状の雪崩は発生した。パーティは一旦集合して軽く休憩した後、再び歩き始める。この頃には今日の天候が良好であることが確信できたし、ここまで来たので、最初の2日をスキップされる可能性は完全に無くなりオートルート完走の可能性はかなり高いと確信した(というのは甘かった、という事態が発生する)
Chardonnetのコルは狭く、スイス側はかなり急峻なクーロワールになっている。このクーロワールはガイドがロープを出して客を1人1人をロワーダウンする。ガイドは最後にソロで降りてくる。ロープ解除したところから少しだけパウダーを滑ることができるが、Saleinaの窓へ向けて緩やかな下りのトレースを辿りそこからはまた緩やかな登りになる。ところがベルギー人女性がロワーダウン中に膝を痛め、ツアーから離脱、ヘリで救助することになる。トムは無線で救助を要請しているが、次第に雲が上がってきて視界が無くなり救助できず、Saleinaの窓の下まで歩くことになる。幸い少し標高を上げると視界が開けてきた。トムは知り合いのガイドに私たちを任せ、私たちはSaleinaの窓まで登った。そうしていると、ヘリが飛来してあっという間に救助していった。この時点で2時間程度は救助に時間を費やしていたので、当初計画のMontfort小屋まで今日中に行くことは不可能になった。Verbierのリフトに乗りMontfor小屋に行くためにはChampexに遅くとも14:30までには降りていなければならない。
お客のスイス人が携帯でどこかに連絡を取っている。それは今日宿泊することになるTrient小屋の予約であった。Saleinaの窓を越え、Trient Plateauを横切り少し登った所にある。2日目で未だTrient小屋である。この時点でオートルート完走に黄色信号が点灯した。7日間使えるなら問題ないが、私は4/9の下山後、10日に帰国便を予約していたので、日程延長はできない。この時点でArolla終了になるのか、という考えがよぎった。ただまだ2日目である。どこかで巻けば、キャッチアップも可能だと思っていた。
Trient小屋も快適かつテラスからの眺めは素晴らしい。目の前にはTrient Plateauが広がりその先にAiguilles Doréesという岩峰群が広がっている。特に夜明け前の景色は見事であった。
4月6日 快晴 (Trient小屋 から Prafleuri小屋)
今日はまずChampexまで下り、Verbierまで移動、VerbierからPrafleuri小屋までである。Prafleuri小屋まで行けるのか疑問に感じたが、トムは大丈夫だと言う。6:00に出発し、Col des Escandiesまで下降する。このコルは50mくらいの高さだが急な斜面で、凍結していたので登るためにはクランポン、アイスアックスが必要だった。トムがソロで登りロープを出し我々を確保する。Col des EscandiesからChampexに向けては上部にパウダーが残っていてかなり楽しむことができた。
Champex から大型のタクシーに乗りVerbierまで移動する。移動時間は40分ほど。Verbierのテレキャビンやリフトを乗り継ぎ登高開始点まで移動する。登高開始時点で12:30である。ここからCol de la Chaux, Col de Momin, Rosa Blancheと緩やかな登りと下りが継続する。この道中では昨日超えたCol de ChardonnetやTrient Plateauが遥かに見える。RosaBlancheのふもと到着は15:00。本来ならピークハントするのだが、メンバーの体力や時間を考慮しピークまでは行かない。だが目の前にはまだパウダーが残っているので私はトムにちょっと登って滑りたいんだけど、とリクエストすると、肩の下付近からならいい、と許可がでた。トムと私とフランス人男性が肩の下まで登り短い距離ではあったがパウダーランを楽しむ。
RosaBlancheからPrafleuri小屋までのGlacier de Prafleuriへの着地に失敗した軽飛行機がつんのっめていた。けが人はいなかったようだ。小屋前の斜面もパウダーランができる良い斜面であった。小屋到着16:30。小屋到着後しばらくすると、ヘリが飛んできたので外を見ると例の軽飛行機をつり下げてどこかへ運んでいった。Prafleuri小屋も快適。この小屋には有料シャワーがあったようだ。
遅れを挽回するには明日、2日分、Vignnets小屋までを行くのではないかと思っていたが、それだとかなりの強行軍になる。トムは明日はDix小屋までで、5日目、6日目のルートを一部変更するという。5日目はイタリアのNacamuli小屋に宿泊すると言うが、私の持ってきた地図の範囲の外にあり場所もよくわからなかった。
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外人はとにかくよく食べる。アルゼンチエール小屋まで大した距離ではないのだが、私の運んだソーセージ2つと小振りのクリスマスケーキサイズのチーズの塊、バケット2本が紅茶とともに7人の胃袋に昼食で消えてしまった。
ヘリによる救助について。このときの救助は、視界がよく、着陸場所も広く平坦だったので、ヘリがSaleinaの窓を飛び越えて飛来し、救助して再び視界から消えるまで、3分ほどの早業であった。
以下はTrient小屋に入ってからガイドのトムから聞いた話である。
私 どこと交信していたの?
ト 専用の無線機があり、あの地点からだとフランス、スイス、イタリアの全ての救助チームと交信できていた。
私 日本ではヘリ救助費用は基本政府負担だけど、安易な救助要請に対して批判もある。こちらではどうなの?
ト そうした批判が出ることは理解できる。フランスの救助費用も原則政府負担だが、ヘリ救助の必要が無いにもかかわらずに使ったと見なされる場合には費用を請求される。ただ、本当に救助が必要な状態だったのか、そうでなかったのかの判断は難しい。
イタリア、スイスでは救助費用は実費請求される。従ってきちんとした保険に加入しておく必要がある。どのくらい請求されるかは知らない。
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