恐怖!熊との格闘 白神岳


- GPS
- 05:26
- 距離
- 13.2km
- 登り
- 1,129m
- 下り
- 1,089m
コースタイム
6:12 黒崎登山口
6:35 二股分岐
7:27 マテ山三角点
8:41 大峰分岐
8:58-9:50 白神岳三角点
10:03 大峰分岐
11:33 黒崎登山口
天候 | 曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2010年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
登山口駐車場は30台以上の駐車が可能。 さらに立派な休憩所とトイレ有り。 駐車場より5分ほど登った登山口に登山ポスト有り。 登山道は良く整備されていますが、頂上付近は腰の高さの笹薮漕ぎが多数有り。 そして大峰分岐にて体長が1.3mほどのツキノワ熊の成獣が出没し襲われました。登山される方は十分に注意して下さい。熊鈴は携行していましたが、効果は無かったようです。単独行は避けた方が良いと思われます。それでも行かれる方は、戦う覚悟を決めてそれなりの装備にて行って下さい。 |
写真
感想
週末はあまり良い天候では無い予報。
しかし何とか山には登りたいと思い、近場で天気予報が悪くないと思われる場所を探したところ、世界自然遺産に登録されている白神岳が見つかりました。
早速準備をし、前日夜移動で現地に向かいました。
駐車場には2時過ぎに到着し、すぐにクルマで仮眠を取りました。
5時頃に起床し、登山準備をゆっくりと行います。
理由は熊の目撃情報が多いとのことで一番乗りは避け、4人目に登山口を通りました。
天候は曇りでしたが、標高が1,000mを超えた辺りからは花も見られ、また時折雲間から日本海を望むことも出来て上々の登山に思われました。
そして白神岳三角点に到着し、先行していた登山者2人と少し登山話をしました。
その後、2人は下山して行きました。
ゆっくりと朝食を取りながら休憩をし、9:50に下山開始しました。
そして大峰分岐に差し掛かった10:03・・・
東側の笹薮からガサガサと音が聞こえました。
(大峰分岐の写真の後ろに見える笹薮が正にその場所)
そしてすぐに「フォッ」「フォッ」を呼気を吐くような声が聞こえ始めました。
徐々に大きくなり・・・
ついに笹薮から熊がこちらに向けて飛びかかって来ました。
体長が1.3m(頭胴長)ほどの成獣です。
すぐに身構えて受身を取りました。
まず左手首を噛まれ、顔面を爪で引っ掻かれました。凄まじいパワー。
そして取っ組み合ったまま笹薮に押し出しましたが、そのまま数mほど笹薮の緩い傾斜を転がり落ちました。
その後自分は熊に乗り上がられた格好になったので、熊の鼻先めがけて数回蹴り上げました。
すると何とか熊を1mほど先に蹴り飛ばすことに成功。
ところが、すぐに体勢を立て直した熊が笹薮内で自由に動くことの出来ない自分めがけて再び乗り掛かってきました。
何とか気持ちを持ち直し、再び鼻先めがけて何度も蹴り上げました。
また熊を蹴り飛ばして離れることが出来ました。
そして今度は笹薮の見えないところまで後退させることが出来ました。
まだ威嚇の声は続いています。
すぐに立ち上がり、滑る笹の上を何とか笹に掴まりながら登り、登山道まで戻りました。
熊と遭遇してから1分後でした。
そこから走って登山道を150mほど下り、後ろから追いかけられていないことが分かったので一旦止まりました。
引っ掻かれた顔と噛まれた左手首からの出血により、自分は全身血まみれになっていました。
持っていた水で手と顔を洗い、テーピングで止血などの応急処置を行いました。
頂上から近く世界自然遺産の核心区域から僅か数百メートルのこの辺では携帯電話は圏外・・・連絡も出来ません。
(しかも自分の携帯電話は登山口からすでに圏外)
そのうちに下から登山者のおばさんが登ってきました。
顔面の止血を手伝って貰いました。
全ての応急処置に掛かった時間はおよそ15分。
その後、一刻も早く病院にたどり着けるように頑張って高速下山を開始。
結構な数の登山者の方とすれ違いました。20人以上はいたと思います。
その都度、熊が出没したことを説明し注意を喚起しました。
しかし話を聞いて引き返した登山者は皆無・・・。
そして30分ほど下ったところで登山道の草刈り作業の為に登っている作業員の方々に出会いました。
そのうちの一人の方の電話が辛うじて通じたので、救急車を呼んで貰うことが出来ました。
再び救急車が来ることの出来る登山口を目指して高速下山を続けます。
そして11:21に登山道を登って来て頂いた救急隊員の方々に出会うことが出来ました。
応急手当の状態を見て貰ったところ、出血は止まっているようなのでそのまま一緒に下山し、11:33に登山口に到着しました。
そこから救急車に1時間弱揺られ秋田県能代市内の救急病院に搬送されました。
3時間半ほど掛けて、手首・内膝・顔を消毒・縫合して貰い、その後4日間の入院で退院することが出来ました。
足蹴りによる格闘が功を奏したのか、幸いにも軽症ですんだようです。
この程度で済んで本当に運が良かったのだと思います。
いずれにしても、間違いなく生涯で一番の恐怖体験となりました。
コメント
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クマはめったに襲ってこないと思っていますが、こうなってしまうと戦うしかないですね。よくまあ逆襲までして。
この夏はこのあたりで何人かくせの悪いクマにあっているようですね。悪いクマのいる山は当分近づかないようにしたいものです。
貴重な記録をありがとうございました。
nakamuさんはその後も山登りを続けているようで一安心です。
>yoneyamaさま
コメントありがとうございます。
少しでも参考になればと思い、山行からだいぶ過ぎてしまいましたがアップしました。
何とか山登りは復活しましたが、精神的なダメージが大きく、低山には殆ど近づけない状態です。
また単独山行も出来ずにいます。
ホントに気を付けて山を楽しんで下さい。
大変遅いコメントで済みません。
はじめまして、弘前のcitrusです。
岩木山・白神で検索して見ていました。
そうしたら、nakamuさんのこの山行記録をみて仰天
本当に怖い思いをしましたね。
心中お察しいたします。
コメントありがとうございます。
本当に怖かったです。
青森や岩手にはまだまだ沢山登りたい山があるのですが・・・熊出没の恐れのある山には全く近づけなくて困っています。
お互いに気を付けて登山を楽しみましょう。
7月の中頃に、白神岳で3日に岩手から来た単独行の男性が熊に襲われ自力で下山し救急車で運ばれた。
という情報を頂いていました。
話によると、その男性は熊に威嚇されて「うぅぅ」と
唸り返したため襲われた。と聞きましたが本当ですか?
そうそう、つい先日もその話をしている人がいて、襲われた方は、顔が半分なくなっていた。
と話が大きくなっていましたよ。
私も単独行しますが、今年はあちこちで熊情報が多く
単独の時は、登る山も考えますね。
一度、人を襲った熊は再度襲う可能性が高いそうです。
これからの時期、冬眠前の熊にも注意ですね。
それにしても、命に別状がなくてよかったですね。
コメントありがとうございます。
話はドンドン大きくなるものですね・・・
自分の顔の怪我ですが、襲われた直後にすれ違った登山者のほとんどが、「転んだんですか?」と質問してくるくらいの軽傷でした。
7月で笹薮となると、タケノコを食べに来ていたのだと思います。
熊が唸っていたということは、人間の気配を感じたから威嚇したのだと思います。
それに対して唸り返すということは、熊からすると威嚇されたことになります。
そうすると、動物の本能として戦わなければならなくなりますよね。
当然、襲ってきます。小熊連れならなおさらです。
でも、その山によって熊の性格的なものも違いますからなんともいえないのですが・・
白神山地内での熊打ちは禁止されているので、たちの悪い熊はいるかもしれないですね。
まして、笹薮の中にいては人の気配に気づくのが遅くなったり
風があったり風向きによって気が付かなかったりすることもあるので
気づいたら近くに人間がいた!ってこともあるし。
そうなると、熊はパニックになってしまい無我夢中で襲って来るんですね。
乗鞍岳の熊も、人間の気配を感じで逃げてきたのはいいけど
そこにたくさんの人間がいてパニックになって襲ったんだと思いますよ。
でも、白神山地の熊は、たちの悪いのがいるようです。
またぎがいるような山の熊は、人間を非常に恐れているので
近くにいるときでも人の気配を感じると、地面にへばりつくように隠れて動かないそうです。
そして、じっと人間が通り過ぎるのを待っているみたいですよ。
ツキノワグマの本をいろいろ読んでみると、熊の生態や性格がみえてきますよ。
顔の怪我、転んだと勘違いされるくらいだったのですね。
顔半分なかった・・と聞いたときは驚いたけど、そんな状態で下山できるのかな?
と疑問にも思っていましたよ。
きっと、私にその話をしたかたも熊には十分気をつけるように・・
ってことで、大げさに話したのでしょうね。
でも、熊に襲われた方とこうして話が出来るのが不思議で
大事に至らなくて本当によかったな・・と思っています。
昔、大型犬に左下腕を噛まれた事があって13針縫ったことがあります。
そのときは、一部腕の筋肉まで到達していて、1年も手の痺れがとれませんでした。
そのことを思うと、熊に襲われたときの恐怖は物凄いものだったということが分かります。
お互いに、気をつけて山を楽しみましょうね。
貴重なご意見ありがとうございます。
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