ラスダシャン、シミエン国立公園(エチオピア)
- GPS
- 125:39
- 距離
- 103km
- 登り
- 6,817m
- 下り
- 6,032m
コースタイム
- 山行
- 7:00
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 7:00
- 山行
- 5:41
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 5:41
- 山行
- 5:56
- 休憩
- 0:48
- 合計
- 6:44
- 山行
- 7:15
- 休憩
- 0:14
- 合計
- 7:29
- 山行
- 10:00
- 休憩
- 0:20
- 合計
- 10:20
- 山行
- 7:06
- 休憩
- 0:34
- 合計
- 7:40
過去天気図(気象庁) | 2014年12月の天気図 |
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アクセス |
写真
感想
シミエン国立公園に行って、エチオピア最高峰ラスダシャンを登ってきた。
【手配】
極力安く行きたかったので、ゴンダール市内の旅行会社を数件回って、情報収集をした。各社で尋ねたのは、主に下記2点。
Q: ラスダシャンへ向かうグループはないか?(あった場合、一緒に参加させてもらうことは可能か?)
A: ない。途中のイメットゴーゴーへトレッキングをするグループはあり、合流可能らしい。
Q: 1人でラスダシャンへのトレッキングを手配した場合、どのくらいの費用がかかるのか?
A: (詳しい金額は失念したが)700〜800USD位の価格を提示され、ロンプラ掲載の費用と比較して、「高っ」と思った記憶がある。
そして、旅行会社から揃って言われたのは、景観的には、イミットゴーゴーなど、トレッキング前半部がハイライトであり、ラスダシャンに行ったとしても、日数が余計にかかるだけで、ラスダシャンへ登頂したという自己満足以外の特別な+αの楽しみはないという。トレッキングを終えた今考えてみても、これは全くもって妥当な指摘である。ただ、私にとっては、エチオピア最高峰を踏むという自己満足も、今回の旅において、同じくらい重要なことであった。ゴンダールで、他のグループに交じるなど、安くラスダシャンへの山行の手配をすることはできないことがわかったので、シミエン国立公園の入り口であるデバルクへ向かい、現地で全てのアレンジをすることにした。
翌朝、ゴンダールからデバルクへバスで移動し、シミエン国立公園の事務所の前で降ろしてもらった。事務所の中にはスタッフがいたので、希望の行程を伝え、山行に必要な物の手配をしてもらった。今回、雇ったのは、スカウト、コック、ミュール使い、ミュール×1匹。スカウト以外は、雇わずに行くことも可能だが、1週間分の食料や火器全てを自分で運ぶのは辛いし、食事を作る手間も面倒なので、コックとミュール使いも雇った。ちなみに、彼らを雇うための1日当たりの料金は、2013年6月発行のLonely Planet エチオピア編によれば、スカウトが75ブル、コックが120ブル、ミュール使いが70ブル、ミュール が60ブルとなっていたが、私の訪問時点(2014年12月)で既に情報は古くなっており、それぞれ2倍以上に跳ね上がっていた。
今回、山行前にデバルクで手配したものは下記の通り。
国立公園への入園料
スカウト ✕ 8日分
コック ✕ 8日分
ミュール使い ✕ 8日分
荷役用のミュール ✕1匹 ✕ 8日分
山行中の食料
火器のレンタル
復路の車での送迎(チェンネック→デバルク)
今回の山行は6日間の日程であるが、スカウトなどの費用が8日分となっているのは、山行後に、私以外の現地人スタッフはChennekからDebarkまで歩いて戻らなければいけないので、その日数も考慮してのことである。
食料は、トレッキング前にDebarkの街で買い込むことになる。私は、コックに買い物リストを作ってもらい、必要ないものは切り捨てながら、極力コストを抑えようと努力をした。それでも、6日分以上の食料ということで、結構値が張った記憶がある。
人件費が上がったこともあり、なんだかんだで、最終的に約15,000ブル(当時のレートで750USD位かな?)かかってしまった。500USDもあれば、余裕で行けるだろうとタカをくくっていたので、想定以上の費用が嵩んでしまったことにビックリ。これなら、ゴンダールの旅行会社で手配してしまった方が楽で良かったかも…と思ってしまった。
【1日目】
一連の手配を終えた後、デバルクを出発し、この日の目的地であるサンカバールへ向かう。デバルクの外れからトレイルに入り、少しずつ標高をあげていき、標高3,000mを超えたBuyit Rasという地域で再度車道に合流する。この辺りから、(行ったことないけど)グランドキャニオンのような、壮大な景色が楽しめるようになり、旅の初っ端から大感動。
距離的には、初日にも関わらず、他の日と比較して長めの距離(20km以上)を、いきなり歩かなければならなかった。朝出発したのが、かなり遅かったこともあり、到着は18時近くになってしまった。
【2日目】
この日はサンカバールからギーチに向けて、少しずつ標高を上げていく。初日には見れなかったゲラダヒヒの群れにも遭遇することができ、嬉かった。(その後、ゲラダヒヒとは何回も遭遇することになるので、次第にどうでもよくなっていったが…w)この日に強く実感したこととしては、思った以上に多くの人がこの地域で暮らしているということだ。現地に来る前は、シミエン国立公園は辺境の地であるというイメージを勝手に持っており、デバルクを過ぎれば、ずっと人里離れた辺境の地を行くことになるのだろうと思っていた。しかしながら、この日の道中では、放牧をする人に出会ったり、ギーチの集落を通ったり、現地の人々の生活の風景を垣間見ることが多く、そうした認識を改めざるをえなかった。(後日訪れるチロレバなんて、結構大きな村だし)
【3日目】
風景的には、この日が今回の旅の核心部といえるだろう。イメットゴーゴーとイナティを経て、チェンネックへ向かった。この2つのビューポイントからの景色は本当に素晴らしく、ここだけ訪れて帰る旅行者が多いのも納得。
【4日目】
チェンネックからブワヒット峠、チロレバの村を経て、アンビコへ向かうのが4日目の行程。チェンネックから、ブワヒット峠まで600m近く登って、標高を4,200mまで上げたあと、チロレバとアンビコの中間地点にある川までひたすら下りが続き、最終的には2,900m弱まで標高を下げる。その後、アンビコまで、再度200m近く登り返しという行程。
途中立ち寄ったチロレバの村は、想像していた以上に栄えている印象で驚いた。
【5日目】
朝4時頃、アンビコのキャンプ地を出発し、暗闇の中、ラスダシャン山頂を目指す。道は基本的に1本調子の登りで、急なところは特になかった。驚いたのは、ラスダシャンの山頂の結構近くまで、車道が通じていたこと。想像以上にこの地域の開発は進んでいるようだ。
ラスダシャンへはアンビコから5時間程度で到着。標高は4,500mあるが、既に日が昇っていることもあり、寒さは全く感じなかった。山頂からの景色は、事前にゴンダールの旅行会社からも指摘されていた通り、イメットゴーゴーやイナティほどではなく、単純に景色だけを求めるなら、わざわざここに来る意味はあまりないと思った。それでもエチオピア最高峰を踏めたという充実感は大きく、個人的には来て良かったと思った。
【6日目】
トレッキング最終日。アンビコからブワヒット山の山頂を踏んでチェンネックへ向かう。ブワヒットの山頂を踏む以外は、基本的に4日目の逆ルート。アンビコとチロレバの中間地点の川で、一旦標高2,900m弱まで下ったあと、標高4,400mのブワヒット山までひたすら登りが続く。
この日のハイライトとしては、ブワヒット山周辺で、野生のアイベックスを複数頭見れたことだろうか。
チェンネック到着後、同行していたコックが体調不良を訴え、車をヒッチして、デバルクへ先に帰っていった。
【7日目】
手配をしていた車が、チェンネックに私を迎えに来た。デバルクからチェンネックまで3日間かけた道のりだったが、車ではたったの2時間程度だった。
この日のハイライトはデバルクでの出来事だった。バスターミナルに到着し、車のドアを開けるなり、バスの客引きが群がってきて、鬼気迫る表情で、私のバッグの取り合いを始めた。彼らにとっては、私のバッグを自分の車の荷台に載せることが、私を乗客として獲得することと同義なのである。突然の出来事に、私は、自分のバッグが引きちぎられてしまうのではないかと、ただオロオロしてすることしかできなかった。一銭でも多く稼ぎたいというのは分からなくはないが、人の都合は完全無視で、個々人の目先のわずかな利益のためだけに繰り広げられる、この馬鹿げた争いには、ただただ呆れるしかなかった。それに興じる客引きの姿は文明社会に生きる人間というよりも、よりプリミティブな世界で生きる獣と表現するほうが、しっくりくるものがある。はっきり言って、社会的動物としては、今回の山行で見かけたゲラダヒヒの群れの方が、よっぽど洗練された生き方をしているのは間違いない。
コメント
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xlybzrさん。はじめまして。
ふとしたことからラスダシャンのレコが目に留まり、懐かしくて熟読してしまいました。
私は23年前に行きました。当時はデジカメも無く、現地では手に入れづらいフィルムを温存しながらの旅行でしたので手元の写真は少なかったので、xlybzrさんの写真を見ながら当時を思い出していました。
驚いたのは「車道、キャンプ場、コーラを売っている商店」など当時は考えられなかったものが出来上がっていることです。チロレバも草ぶきの民家が点在する程度の場所だったのですが車道開通とともに急発展したのでしょうか。
どんどん観光開発されているのですね。
当時、デバルクを出たらとにかく何もなかったですので・・・。
デバルクを出発する前に、ガイド氏は物々交換用にコーヒー豆とかキャンディーとか大量に買い込んでましたし、実際にミチビニあたりの村で鶏を手に入れるときは現金は意味がなくデバルクから持ち込んだ物資で交換交渉してくれていましたし・・・。
なんか不思議な気分です。
私が行ったときは、ラスダシャン頂上は登攀技術が必要とのことで行かせてもらえず手前の7m低い所まででしたがxlybzrさんは行くことが出来たのでしょうか。
何はともあれ詳細なレコ、ありがとうございました。
malembeさん
コメントありがとうございました。90年代前半にラスダシャンに行かれた方の話を以前に聞いたことがあるのですが、malembeさんのコメントの通り、本当に何もなかったみたいですよね。現在と比べて、色々と不便な部分はあったとは思いますが、当時の開発に晒される前の状況を体験されているのは、個人的に非常に羨ましいです。
ラスダシャンのピーク手前には、ご指摘の通り、岩場の登攀がありました。ただ、足場や手がかりはしっかりあり、そこまで難易度が高いものだとは思いません。実際に私自身もクライミングの専門的な知識、技能はなく、乾徳山や黒戸尾根、西黒尾根など一般的な登山コースの鎖場の経験しかありませんが、独力で三点支持をしながら、問題なくピークまで登ることができました。23年前と現在とでは、その辺も、もしかしたら整備されてたりしたのかもしれませんね。
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