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Yamareco

記録ID: 799359
全員に公開
無雪期ピークハント/縦走
アフリカ

ラスダシャン、シミエン国立公園(エチオピア)

2014年12月22日(月) 〜 2014年12月27日(土)
 - 拍手
体力度
10
2〜3泊以上が適当
GPS
125:39
距離
103km
登り
6,817m
下り
6,032m
歩くペース
標準
0.91.0
ヤマレコの計画機能「らくルート」の標準コースタイムを「1.0」としたときの倍率です。

コースタイム

1日目
山行
7:00
休憩
0:00
合計
7:00
4:50
420
Debark
11:50
Sankaber
2日目
山行
5:41
休憩
0:00
合計
5:41
2:26
341
Sankaber
8:07
Geech
3日目
山行
5:56
休憩
0:48
合計
6:44
2:18
94
Geech
3:52
4:06
146
Imet Gogo
6:32
7:06
116
Inatye
9:02
Chennek
4日目
山行
7:15
休憩
0:14
合計
7:29
2:04
297
Chennek
7:01
7:15
138
Chiro Leba
9:33
Ambiko
5日目
山行
10:00
休憩
0:20
合計
10:20
21:58
322
Ambiko
3:20
3:40
278
Ras Dejen
8:18
Ambiko
6日目
山行
7:06
休憩
0:34
合計
7:40
1:15
110
Ambiko
3:05
3:20
218
Chiro Leba
6:58
7:17
98
Ras Bwahit
8:55
Chennek
過去天気図(気象庁) 2014年12月の天気図
アクセス
デバルクにあるシミエン国立公園の事務所。ここで、今回の山行の手配をする。
デバルクにあるシミエン国立公園の事務所。ここで、今回の山行の手配をする。
スカウト、コック、ミュール使いを雇った後、デバルクの商店で買い出しをする。コックに買い物リストを作ってもらい、いらないものは、極力買わないようにした。
スカウト、コック、ミュール使いを雇った後、デバルクの商店で買い出しをする。コックに買い物リストを作ってもらい、いらないものは、極力買わないようにした。
デバルクを出ると、川沿いのトレイル。
デバルクを出ると、川沿いのトレイル。
今回、一緒に歩くことになったスカウト。
今回、一緒に歩くことになったスカウト。
荷物を運ぶミュール?ロバ?馬?区別がつかない…
荷物を運ぶミュール?ロバ?馬?区別がつかない…
大分標高が上がってきた。
大分標高が上がってきた。
標高3,000m超まで登ってくると、車道と合流する。
標高3,000m超まで登ってくると、車道と合流する。
初日から、こんな雄大な景色を楽しめる。これこそ、シミエン国立公園の醍醐味。
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初日から、こんな雄大な景色を楽しめる。これこそ、シミエン国立公園の醍醐味。
サンカバールのキャンプ場。中央の緑の小屋は煮炊きに使われ、トレッカーはテントに寝泊まりする。
サンカバールのキャンプ場。中央の緑の小屋は煮炊きに使われ、トレッカーはテントに寝泊まりする。
サンカバールのキャンプ場の水場。
サンカバールのキャンプ場の水場。
サンカバールから少し行ったところで。
サンカバールから少し行ったところで。
野生のゲラダヒヒ。今回の山行では、何回も大群に遭遇したので、あまりレア感がないw
野生のゲラダヒヒ。今回の山行では、何回も大群に遭遇したので、あまりレア感がないw
川で休憩。
放牧の風景。
牛も放牧されている。
牛も放牧されている。
ロバだかミュールだか知らないが、大量の荷物を運ばされている。奥では農作業をする人々。
ロバだかミュールだか知らないが、大量の荷物を運ばされている。奥では農作業をする人々。
ギーチの集落。
ギーチのキャンプ場に行く手前に、商店があった。ここでコーラを買って飲む。山行後のコーラは美味しい。
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ギーチのキャンプ場に行く手前に、商店があった。ここでコーラを買って飲む。山行後のコーラは美味しい。
一定方向に強風が吹くのか、木が変な形に生えていた。
一定方向に強風が吹くのか、木が変な形に生えていた。
ギーチのキャンプ場に到着。
ギーチのキャンプ場に到着。
3日目朝。ギーチからイメットゴーゴーに向かって、草原の中のトレイルを行く。
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3日目朝。ギーチからイメットゴーゴーに向かって、草原の中のトレイルを行く。
イメットゴーゴーに到着。歩いてきた道を振り返る。
イメットゴーゴーに到着。歩いてきた道を振り返る。
イメットゴーゴーからの眺め。風景的には、間違いなく、今回の山行の核心部。
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イメットゴーゴーからの眺め。風景的には、間違いなく、今回の山行の核心部。
同じくイメットゴーゴーからの眺め。
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同じくイメットゴーゴーからの眺め。
イメットゴーゴーからの眺めを楽しんだ後は、イナティというビューポイントへ向かう。イメットゴーゴー方面を振り返ると、凄い絶壁が…あんな場所にいたのか。
イメットゴーゴーからの眺めを楽しんだ後は、イナティというビューポイントへ向かう。イメットゴーゴー方面を振り返ると、凄い絶壁が…あんな場所にいたのか。
イナティへのトレイル。トレイルは広くしっかりしているので、落ちることはないだろう。
イナティへのトレイル。トレイルは広くしっかりしているので、落ちることはないだろう。
イメットゴーゴーを振り返る。
イメットゴーゴーを振り返る。
トレイルの途中に座り込んで、こんな感じで民芸品とかを売ろうとする現地人に、たまに遭遇する。
トレイルの途中に座り込んで、こんな感じで民芸品とかを売ろうとする現地人に、たまに遭遇する。
イナティに到着。ここも素晴らしい眺め。
イナティに到着。ここも素晴らしい眺め。
イナティからの眺め。
イナティからの眺め。
イナティからの眺め。
イナティからの眺め。
イナティで休憩後、チェンネックに向かって出発。開放感のあるトレイルが続く。
イナティで休憩後、チェンネックに向かって出発。開放感のあるトレイルが続く。
下の方に集落が見える。
下の方に集落が見える。
急斜面をトラバースしていく。
急斜面をトラバースしていく。
チェンネック手前に、これまた切り立った岩壁が。
チェンネック手前に、これまた切り立った岩壁が。
相変わらず素晴らしい眺め。
相変わらず素晴らしい眺め。
チェンネックのキャンプ場が見えてきた。
チェンネックのキャンプ場が見えてきた。
チェンネック付近からの眺め。
チェンネック付近からの眺め。
チェンネックのキャンプ場。
チェンネックのキャンプ場。
荷物運びのミュール達。
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荷物運びのミュール達。
チェンネック付近。こんなところでも、車道がしっかり整備され、電気が来ている。
チェンネック付近。こんなところでも、車道がしっかり整備され、電気が来ている。
チェンネック方面を振り返る。
チェンネック方面を振り返る。
ブワヒット峠からの眺め。
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ブワヒット峠からの眺め。
ブワヒット峠で休憩するスカウト。
ブワヒット峠で休憩するスカウト。
チロレバ方面へ続くワインディングロード。
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チロレバ方面へ続くワインディングロード。
チロレバの村が見えてきた。(中央右)
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チロレバの村が見えてきた。(中央右)
ブワヒット峠を下ったところで、昼食休憩。荷物運びのミュールに追い抜かれる。
ブワヒット峠を下ったところで、昼食休憩。荷物運びのミュールに追い抜かれる。
チロレバも近くなってきたところで、車道と合流。ボロボロのバスが走ってきた。いすゞ製。
チロレバも近くなってきたところで、車道と合流。ボロボロのバスが走ってきた。いすゞ製。
チロレバの村に到着。これまでの集落とは、ケタ違いの規模。
チロレバの村に到着。これまでの集落とは、ケタ違いの規模。
チロレバで現地人にジロジロ見られるw 東アジアからモンゴロイドが来てたら、そりゃあ珍しがるよね。
チロレバで現地人にジロジロ見られるw 東アジアからモンゴロイドが来てたら、そりゃあ珍しがるよね。
チロレバの村を過ぎた後、どんどん標高を下げていく。
チロレバの村を過ぎた後、どんどん標高を下げていく。
チロレバとチェンネックの間の渡渉ポイント。2,900m弱まで標高を下げるが、この後、また登り返し…
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チロレバとチェンネックの間の渡渉ポイント。2,900m弱まで標高を下げるが、この後、また登り返し…
トレイルに生えたサボテン。
トレイルに生えたサボテン。
午後3時過ぎにアンビコの集落に到着。
午後3時過ぎにアンビコの集落に到着。
アンビコにあるキリスト教会。
アンビコにあるキリスト教会。
アンビコのキャンプ場。ここで英気を養って、翌朝のピークハントに備える。
アンビコのキャンプ場。ここで英気を養って、翌朝のピークハントに備える。
ラスダシャン登頂に向け、AM4時前に出発をするが、途中で日の出を迎える。
ラスダシャン登頂に向け、AM4時前に出発をするが、途中で日の出を迎える。
ラスダシャンの山頂が見えてきた。
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ラスダシャンの山頂が見えてきた。
ラスダシャン登頂。山頂には石の標識がある。
ラスダシャン登頂。山頂には石の標識がある。
ラスダシャン山頂にて。手前が私の雇ったスカウト。後ろ2人は、同じタイミングで登頂したフランス人グループの雇ったスカウト。
ラスダシャン山頂にて。手前が私の雇ったスカウト。後ろ2人は、同じタイミングで登頂したフランス人グループの雇ったスカウト。
ラスダシャンからの眺め。
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ラスダシャンからの眺め。
ラスダシャンからアンビコへ戻る道。ラスダシャン山頂の近くまで、車道があってビックリ。
ラスダシャンからアンビコへ戻る道。ラスダシャン山頂の近くまで、車道があってビックリ。
行きは真っ暗闇で何も見えなかったが、アンビコ付近は民家が点在していて、里山の雰囲気。
行きは真っ暗闇で何も見えなかったが、アンビコ付近は民家が点在していて、里山の雰囲気。
農作業をする人々。
農作業をする人々。
トレッキング最終日。アンビコから渡渉ポイントまでひたすら下り、そこからチロレバまで再度登り返し…
トレッキング最終日。アンビコから渡渉ポイントまでひたすら下り、そこからチロレバまで再度登り返し…
チロレバに戻ってきた。ああ、文明のかほりが…
チロレバに戻ってきた。ああ、文明のかほりが…
チロレバの商店、物質的には結構豊かなのかな?ラスダシャン登頂祝いにコーラを買って飲みますた。
チロレバの商店、物質的には結構豊かなのかな?ラスダシャン登頂祝いにコーラを買って飲みますた。
チロレバの茶店でインジェラ。独特の酸味から、好き嫌いが分かれるインジェラだけど、悪くはない感じ。
チロレバの茶店でインジェラ。独特の酸味から、好き嫌いが分かれるインジェラだけど、悪くはない感じ。
チロレバの後、ブワヒット山の山頂をへて、チェンネックに戻るので、往路とは違う道をいく。
チロレバの後、ブワヒット山の山頂をへて、チェンネックに戻るので、往路とは違う道をいく。
ブワヒット山の山頂が前方に見える。
ブワヒット山の山頂が前方に見える。
ブワヒット山への道中、羊などが放牧されていた。
ブワヒット山への道中、羊などが放牧されていた。
チロレバの村がすっかり小さくなった。大分登ってきたことを実感。
チロレバの村がすっかり小さくなった。大分登ってきたことを実感。
ブワヒット山の山頂まではあと少し。
ブワヒット山の山頂まではあと少し。
ブワヒット山の山頂の手前で、野生のアイベックス♂を発見。角が立派だ。
ブワヒット山の山頂の手前で、野生のアイベックス♂を発見。角が立派だ。
近くの岩場に、メスと思しきアイベックスも発見。
近くの岩場に、メスと思しきアイベックスも発見。
ブワヒット山頂。ケルンがある。
ブワヒット山頂。ケルンがある。
ブワヒット山からの眺め。
ブワヒット山からの眺め。
ブワヒット山からの眺め。
ブワヒット山からの眺め。
ブワヒット山から下りてきたところで、別のアイベックスのオスを発見。昨日までは全然見かけなかったのに…ブワヒット山付近にはアイベックスが多いのだろうか?
ブワヒット山から下りてきたところで、別のアイベックスのオスを発見。昨日までは全然見かけなかったのに…ブワヒット山付近にはアイベックスが多いのだろうか?
チェンネックに行く途中で、現地人で満載のトラックに追い抜かれる。
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チェンネックに行く途中で、現地人で満載のトラックに追い抜かれる。

感想

シミエン国立公園に行って、エチオピア最高峰ラスダシャンを登ってきた。

【手配】
極力安く行きたかったので、ゴンダール市内の旅行会社を数件回って、情報収集をした。各社で尋ねたのは、主に下記2点。

Q: ラスダシャンへ向かうグループはないか?(あった場合、一緒に参加させてもらうことは可能か?)
A: ない。途中のイメットゴーゴーへトレッキングをするグループはあり、合流可能らしい。

Q: 1人でラスダシャンへのトレッキングを手配した場合、どのくらいの費用がかかるのか?
A: (詳しい金額は失念したが)700〜800USD位の価格を提示され、ロンプラ掲載の費用と比較して、「高っ」と思った記憶がある。

そして、旅行会社から揃って言われたのは、景観的には、イミットゴーゴーなど、トレッキング前半部がハイライトであり、ラスダシャンに行ったとしても、日数が余計にかかるだけで、ラスダシャンへ登頂したという自己満足以外の特別な+αの楽しみはないという。トレッキングを終えた今考えてみても、これは全くもって妥当な指摘である。ただ、私にとっては、エチオピア最高峰を踏むという自己満足も、今回の旅において、同じくらい重要なことであった。ゴンダールで、他のグループに交じるなど、安くラスダシャンへの山行の手配をすることはできないことがわかったので、シミエン国立公園の入り口であるデバルクへ向かい、現地で全てのアレンジをすることにした。

翌朝、ゴンダールからデバルクへバスで移動し、シミエン国立公園の事務所の前で降ろしてもらった。事務所の中にはスタッフがいたので、希望の行程を伝え、山行に必要な物の手配をしてもらった。今回、雇ったのは、スカウト、コック、ミュール使い、ミュール×1匹。スカウト以外は、雇わずに行くことも可能だが、1週間分の食料や火器全てを自分で運ぶのは辛いし、食事を作る手間も面倒なので、コックとミュール使いも雇った。ちなみに、彼らを雇うための1日当たりの料金は、2013年6月発行のLonely Planet エチオピア編によれば、スカウトが75ブル、コックが120ブル、ミュール使いが70ブル、ミュール が60ブルとなっていたが、私の訪問時点(2014年12月)で既に情報は古くなっており、それぞれ2倍以上に跳ね上がっていた。

今回、山行前にデバルクで手配したものは下記の通り。

国立公園への入園料
スカウト ✕ 8日分
コック ✕ 8日分
ミュール使い ✕ 8日分
荷役用のミュール ✕1匹 ✕ 8日分
山行中の食料
火器のレンタル
復路の車での送迎(チェンネック→デバルク)

今回の山行は6日間の日程であるが、スカウトなどの費用が8日分となっているのは、山行後に、私以外の現地人スタッフはChennekからDebarkまで歩いて戻らなければいけないので、その日数も考慮してのことである。

食料は、トレッキング前にDebarkの街で買い込むことになる。私は、コックに買い物リストを作ってもらい、必要ないものは切り捨てながら、極力コストを抑えようと努力をした。それでも、6日分以上の食料ということで、結構値が張った記憶がある。

人件費が上がったこともあり、なんだかんだで、最終的に約15,000ブル(当時のレートで750USD位かな?)かかってしまった。500USDもあれば、余裕で行けるだろうとタカをくくっていたので、想定以上の費用が嵩んでしまったことにビックリ。これなら、ゴンダールの旅行会社で手配してしまった方が楽で良かったかも…と思ってしまった。

【1日目】
一連の手配を終えた後、デバルクを出発し、この日の目的地であるサンカバールへ向かう。デバルクの外れからトレイルに入り、少しずつ標高をあげていき、標高3,000mを超えたBuyit Rasという地域で再度車道に合流する。この辺りから、(行ったことないけど)グランドキャニオンのような、壮大な景色が楽しめるようになり、旅の初っ端から大感動。

距離的には、初日にも関わらず、他の日と比較して長めの距離(20km以上)を、いきなり歩かなければならなかった。朝出発したのが、かなり遅かったこともあり、到着は18時近くになってしまった。

【2日目】
この日はサンカバールからギーチに向けて、少しずつ標高を上げていく。初日には見れなかったゲラダヒヒの群れにも遭遇することができ、嬉かった。(その後、ゲラダヒヒとは何回も遭遇することになるので、次第にどうでもよくなっていったが…w)この日に強く実感したこととしては、思った以上に多くの人がこの地域で暮らしているということだ。現地に来る前は、シミエン国立公園は辺境の地であるというイメージを勝手に持っており、デバルクを過ぎれば、ずっと人里離れた辺境の地を行くことになるのだろうと思っていた。しかしながら、この日の道中では、放牧をする人に出会ったり、ギーチの集落を通ったり、現地の人々の生活の風景を垣間見ることが多く、そうした認識を改めざるをえなかった。(後日訪れるチロレバなんて、結構大きな村だし)

【3日目】
風景的には、この日が今回の旅の核心部といえるだろう。イメットゴーゴーとイナティを経て、チェンネックへ向かった。この2つのビューポイントからの景色は本当に素晴らしく、ここだけ訪れて帰る旅行者が多いのも納得。

【4日目】
チェンネックからブワヒット峠、チロレバの村を経て、アンビコへ向かうのが4日目の行程。チェンネックから、ブワヒット峠まで600m近く登って、標高を4,200mまで上げたあと、チロレバとアンビコの中間地点にある川までひたすら下りが続き、最終的には2,900m弱まで標高を下げる。その後、アンビコまで、再度200m近く登り返しという行程。

途中立ち寄ったチロレバの村は、想像していた以上に栄えている印象で驚いた。

【5日目】
朝4時頃、アンビコのキャンプ地を出発し、暗闇の中、ラスダシャン山頂を目指す。道は基本的に1本調子の登りで、急なところは特になかった。驚いたのは、ラスダシャンの山頂の結構近くまで、車道が通じていたこと。想像以上にこの地域の開発は進んでいるようだ。

ラスダシャンへはアンビコから5時間程度で到着。標高は4,500mあるが、既に日が昇っていることもあり、寒さは全く感じなかった。山頂からの景色は、事前にゴンダールの旅行会社からも指摘されていた通り、イメットゴーゴーやイナティほどではなく、単純に景色だけを求めるなら、わざわざここに来る意味はあまりないと思った。それでもエチオピア最高峰を踏めたという充実感は大きく、個人的には来て良かったと思った。

【6日目】
トレッキング最終日。アンビコからブワヒット山の山頂を踏んでチェンネックへ向かう。ブワヒットの山頂を踏む以外は、基本的に4日目の逆ルート。アンビコとチロレバの中間地点の川で、一旦標高2,900m弱まで下ったあと、標高4,400mのブワヒット山までひたすら登りが続く。

この日のハイライトとしては、ブワヒット山周辺で、野生のアイベックスを複数頭見れたことだろうか。

チェンネック到着後、同行していたコックが体調不良を訴え、車をヒッチして、デバルクへ先に帰っていった。

【7日目】
手配をしていた車が、チェンネックに私を迎えに来た。デバルクからチェンネックまで3日間かけた道のりだったが、車ではたったの2時間程度だった。

この日のハイライトはデバルクでの出来事だった。バスターミナルに到着し、車のドアを開けるなり、バスの客引きが群がってきて、鬼気迫る表情で、私のバッグの取り合いを始めた。彼らにとっては、私のバッグを自分の車の荷台に載せることが、私を乗客として獲得することと同義なのである。突然の出来事に、私は、自分のバッグが引きちぎられてしまうのではないかと、ただオロオロしてすることしかできなかった。一銭でも多く稼ぎたいというのは分からなくはないが、人の都合は完全無視で、個々人の目先のわずかな利益のためだけに繰り広げられる、この馬鹿げた争いには、ただただ呆れるしかなかった。それに興じる客引きの姿は文明社会に生きる人間というよりも、よりプリミティブな世界で生きる獣と表現するほうが、しっくりくるものがある。はっきり言って、社会的動物としては、今回の山行で見かけたゲラダヒヒの群れの方が、よっぽど洗練された生き方をしているのは間違いない。

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コメント

懐かしいです ラス ダシャン
xlybzrさん。はじめまして。

ふとしたことからラスダシャンのレコが目に留まり、懐かしくて熟読してしまいました。

私は23年前に行きました。当時はデジカメも無く、現地では手に入れづらいフィルムを温存しながらの旅行でしたので手元の写真は少なかったので、xlybzrさんの写真を見ながら当時を思い出していました。

驚いたのは「車道、キャンプ場、コーラを売っている商店」など当時は考えられなかったものが出来上がっていることです。チロレバも草ぶきの民家が点在する程度の場所だったのですが車道開通とともに急発展したのでしょうか。
どんどん観光開発されているのですね。
当時、デバルクを出たらとにかく何もなかったですので・・・。
デバルクを出発する前に、ガイド氏は物々交換用にコーヒー豆とかキャンディーとか大量に買い込んでましたし、実際にミチビニあたりの村で鶏を手に入れるときは現金は意味がなくデバルクから持ち込んだ物資で交換交渉してくれていましたし・・・。
なんか不思議な気分です。

私が行ったときは、ラスダシャン頂上は登攀技術が必要とのことで行かせてもらえず手前の7m低い所まででしたがxlybzrさんは行くことが出来たのでしょうか。

何はともあれ詳細なレコ、ありがとうございました。
2016/5/16 0:30
Re: 懐かしいです ラス ダシャン
malembeさん

コメントありがとうございました。90年代前半にラスダシャンに行かれた方の話を以前に聞いたことがあるのですが、malembeさんのコメントの通り、本当に何もなかったみたいですよね。現在と比べて、色々と不便な部分はあったとは思いますが、当時の開発に晒される前の状況を体験されているのは、個人的に非常に羨ましいです。

ラスダシャンのピーク手前には、ご指摘の通り、岩場の登攀がありました。ただ、足場や手がかりはしっかりあり、そこまで難易度が高いものだとは思いません。実際に私自身もクライミングの専門的な知識、技能はなく、乾徳山や黒戸尾根、西黒尾根など一般的な登山コースの鎖場の経験しかありませんが、独力で三点支持をしながら、問題なくピークまで登ることができました。23年前と現在とでは、その辺も、もしかしたら整備されてたりしたのかもしれませんね。
2016/5/21 19:49
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ニッ にっこり シュン エッ!? ん? フフッ げらげら むぅ べー はー しくしく カーッ ふんふん ウィンク これだっ! 車 カメラ 鉛筆 消しゴム ビール 若葉マーク 音符 ハートマーク 電球/アイデア 星 パソコン メール 電話 晴れ 曇り時々晴れ 曇り 雨 雪 温泉 木 花 山 おにぎり 汗 電車 お酒 急ぐ 富士山 ピース/チョキ パンチ happy01 angry despair sad wobbly think confident coldsweats01 coldsweats02 pout gawk lovely bleah wink happy02 bearing catface crying weep delicious smile shock up down shine flair annoy sleepy sign01 sweat01 sweat02 dash note notes spa kissmark heart01 heart02 heart03 heart04 bomb punch good rock scissors paper ear eye sun cloud rain snow thunder typhoon sprinkle wave night dog cat chick penguin fish horse pig aries taurus gemini cancer leo virgo libra scorpius sagittarius capricornus aquarius pisces heart spade diamond club pc mobilephone mail phoneto mailto faxto telephone loveletter memo xmas clover tulip apple bud maple cherryblossom id key sharp one two three four five six seven eight nine zero copyright tm r-mark dollar yen free search new ok secret danger upwardright downwardleft downwardright upwardleft signaler toilet restaurant wheelchair house building postoffice hospital bank atm hotel school fuji 24hours gasstation parking empty full smoking nosmoking run baseball golf tennis soccer ski basketball motorsports cafe bar beer fastfood boutique hairsalon karaoke movie music art drama ticket camera bag book ribbon present birthday cake wine bread riceball japanesetea bottle noodle tv cd foot shoe t-shirt rouge ring crown bell slate clock newmoon moon1 moon2 moon3 train subway bullettrain car rvcar bus ship airplane bicycle yacht

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