つどいの沢(左俣右沢)/谷太郎川水系/丹沢
- GPS
- --:--
- 距離
- 10.5km
- 登り
- 907m
- 下り
- 894m
コースタイム
天候 | 曇り時々晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2016年03月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
写真
感想
夏は蛭の巣窟となる谷太郎川水系は、そろそろシーズンオフ。
今日は気温も高く、ヒルも活動を始めたらしい。今回、実害なしだが、一人、蛭に吸い付かれた。
つどいの沢は不動沢の出合は、林道からは、注意していないと見落としてしまう。以前は、標識や東屋があったらしいが、今は取り壊されており、めぼしい目印はない。そんなアプローチと沢の短さから、当然ながら入渓者も少なく、記録もほとんど見られない。
ただ、谷太郎川の左岸、すなわち三峰山側の支流は、どの支流も、「表丹沢」らしからぬ深みのある渓相が展開していて、今回の『つどいの沢』も、短いけれど、噛み応えのある沢であった。
今回は、流程も短いこともあって、メンバー間で沢でのロープワークを確認しながら遡行した。右俣の記録はいくつか見られるので、左俣を選択した。右俣の方が明るい渓相ではあるが、どちらかというと、左俣の方が本流と考えられる。
左俣に入り、560m付近の二俣を右沢に進むと、苔が生えたスラブ上の小滝が連続する。どれも滑りやすく、ツッパリ、ステミングで突破する。
小滝を超えると、前衛を持った涸滝が見える。前衛に涸滝が二つあり、それぞれ5m程度で容易に越せるが、その先の640m付近に、20メートルの涸滝が壁のように聳えている。基部から見た感じは傾斜も、それほどという感じではなく、左右どちらからも攀れそうだが、そんな簡単には行かないぜ、というオーラを発している。沢は往々にして簡単そうに見える滝や巻が極めて厄介なものだ。
見回すと、右手のクラック状が、立木もあり、支点も取れそうなので、そちらを行くこととする。少し登ったところのクラックの上下2か所に、リンクカムを固め取りにねじ込み中間支点を取り、脆い礫岩をステミング気味に体を持ち上げる。岩の上に深く積もった落ち葉を払い、かぶった土砂に沢靴を蹴りこんでステップを確保し、高度をあげるが、上部の岩がハング気味になっていて、ホールド、スタンスとも不安定で、せりあがることが出来ず、やむを得ず、右手にトラバースする。
トラバース上に、30センチ弱の浮石があり、落とさないように慎重にトラバースすることを心がける。しかし、石の上部を距離を取って通過したときに、斜面の土砂が小さく崩れ、それとともに下部の石を巻き込んで落石を起こしてしまった。石は斜面を跳ねて、基部で待機する4人の背後に落ちたが、斜面を跳ねるときに割れた破片が、ビレーヤーの額に当たり、かなりの出血となってしまった。
基部にいるその他のメンバーはベテラン二人と、医学部の学生であったので、落ち着いた連携で、止血処置を行ってくれたが、出血に加え、頭痛もあるとのことなので、しばらくの間、待機することにした。時刻は12時15分頃であった。
この間、下降撤退か、上部に抜けきるか、思案したが、下降支点がなく、すでに沢の上部に来ていることから、稜線に抜けることがベターであると判断し、会の山行責任者に状況を報告し(幸いドコモの携帯が通じた)、状況によっては稜線上での救助要請を行う可能性もあることから、最寄警察の連絡先も確認した。この間、いろいろな想定が駆け巡った。
止血後、本人に状況を確認すると、幸いに頭痛も軽減して、動けるようなので、稜線に上がることにする。予定では沢の左岸か右岸の尾根を下降する予定であったが、万一に備え、一般道を下ることに変更した。
ベテランのメンバーに介助をお願いし、ロープで、引き上げ気味に涸滝を登り、その後の支尾根の上部までロープで確保しつつ、稜線の境界尾根に抜けたのは14時40分。七沢山を経由し、広沢寺駐車場に戻ったのは17時20分。なんとか、日没前に所属会への下山連絡をすることが出来た。
下山後、診察で、CT検査等で異常なしとのことで、まだ、経過を見なければいけないが、本当に安心した。
(現段階での見解と反省点)
●ビレイヤーのビレー位置について、CLとして、もっと気を使ってアドバイスを行うべきであった。
●落石の危険があったため、落ちるかもしれないと、基部のメンバーに声をかけてはいたが、どっち方向に避けて欲しいと指示をすることはしなかった。言うとしても一般的かつ曖昧な指示になってしまう(石の落下方向は避けて等)という感覚があった。どうしたほうが良かったのか、現段階では判断が難しい。
●トラバースルートは、そこしかなく、落石を避けることは難しかったと思う。
●落石の避け方のセオリーがあるかどうかは、不勉強でわからない。岩肌に近づいたほうがベターというが、咄嗟の瞬間にどこまでできるか…?
●地元警察の連絡先を控えておらず、会責任者に確認・メールをしてもらった。控えておくべきであると痛感した。
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