いろは滝から上部へ遡行し尾根下降

- GPS
- 03:45
- 距離
- 2.5km
- 登り
- 234m
- 下り
- 248m
コースタイム
- 山行
- 3:35
- 休憩
- 0:10
- 合計
- 3:45
天候 | 晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2025年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
その他周辺情報 | エーガイヤ千種♨ |
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
ズボン
靴下
グローブ
防寒着
雨具
靴
ザック
昼ご飯
飲料
レジャーシート
地図(地形図)
コンパス
笛
ヘッドランプ
GPS
ファーストエイドキット
保険証
携帯
時計
サングラス
カメラ
シュリンゲ
ヘルメット
地下足袋
わらじ
|
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感想
遡行する時に嫌なことは何かといえば、第一に水が臭う、第二に水が汚い、である。さらに堰堤越えを繰り返す、も加えたいところだ。この三拍子そろった沢は六甲山域にたくさんある。反対に、この三条件が該当しない沢は比較的近いところで兵庫、鳥取、岡山三県境に多い。一方、この好ましい山域については情報が少ない。こうした山域については「ローカル」岳人のブログは大いに参考になる。そんな中浮上してきたのが、千種町河呂の「いろは滝」だった。いろは滝は、兵庫県側から後山(岡山県最高峰)に登る一般的ルートとなっている板馬見渓谷が千種川に合流する「松ノ木公園」の少し南に出合を持つ谷にある。その一番下の滝は、何度となく車で通っている県道72号の脇に落ちていて、県道から眺められるというが、今日まで全く気付かずにいた。最初、この一番下の滝の名が「いろは滝」なのだと思ったが、どうやらそうではなく、この沢にかかるという48個(いろはの文字数)の滝を合わせて「いろは滝」と称しているらしい。この沢の名は?と思ったが、こうしてみると沢自体が「いろは滝」なのかも、ということで、タイトルは「いろは滝」としている。要するにたくさんの滝を擁する沢、というわけなのだが、一方、渓谷愛好家のナンバリングではfall numberはF1-F4、つまり、滝の数は四つとなっているようなのだ。実際、どうなのか、数はともかくどんな沢なのか、登ってみる。
いつものように中国道を山崎ICで降り、波賀町まで北上後、鳥が乢トンネルを抜けて千種に入り、県道72号を右折する。右側に注意して走行すると、あった!「いろは滝」の石板の向こうに、10mくらいの滝が落下している。一旦、松ノ木公園まで行ってトイレを借り、わずかに戻った休憩所の駐車スペースに車を置いてまずは地下足袋に履き替える。さっき見つけた石板のところまで、少し車道を下っていく。道路脇の滝、なかなか立派な姿をしている。が、わらじもまだつけておらず、エンジンがかからぬ状態でろくに検討することもなく、左を巻きあがって滝上に出た。ここがサンショウやエンジュの藪で、asakinuの両腕からは早くも血が滲んだのだった。この滝(F1だな)の上には古い仕事道が等高線に沿って走っている。滝上でわらじを湿らせ、足ごしらえを済ませると、俄然、沢モードになって水流に突入だ。
谷幅が狭く小さな沢と思ったがそれなりの水量を維持して傾斜もある。小滝と思えば小滝ともいえる小さな岩棚の上を水が流下する。やがて眼前に7mほどの滝らしい滝(F2だな)が大きめの釜を伴って現れた。左壁には苔の生えたぼこぼこがあり、水線にもギザギザが見えるので、左から登れそうである。釜をへつって滝下に達し、ここから水流左のホールドを使ってasakinuが直登するが、濡れたフェースは滑りやすく、わらじのフリクションを過信せずにホールドをしっかりつかんで越える。続くkinuasaは左壁と斜面のコンタクトラインを選んで直登する。「心の支え」にasakinuはシュリンゲを下ろして備える。滝上に出たのち、下降する際のために周囲を物色すると、滝の左岸側に巻道があった。
F2を越えても小滝は続く。周囲は一貫してスギの植林で、沢を東に向かって登っているため、陽射しは乏しく、実に涼しい。水流付近にはいくらか広葉樹が残っているのがありがたい。ふと頭を上げると、前方に大きな滝(F3)が落ち口から一気に滝壺に水を噴き出している。直登困難な15mくらいの直瀑で、見ごたえがある。この滝は右手から巻く。滝の右壁の細いラインを落ち口に小さく巻く踏み跡があるが、途中、足場が悪い。万全を期して、右壁の岩盤の外側の緩斜面を通って巻くことにする。こちらも、さしたる無駄はなく滝上に出られた。
滝上は傾斜が緩むが、小滝は続く。しばらく進むと、前段の小滝を伴って二条になって落下する堂々たる滝(F4、15m)が目に入ってきた。その景観はなかなか迫力があり、神々しくさえある。と同時に、緊張感がみなぎってきた。うーん、しばし瀑心の様子を観察する。右の一条は水勢強く傾斜もあって困難だろう。左の一条は途中にテラスがあり、水流が少なめでホールドとなる凸凹を認める。そこでasakinuは左を直登する。ホールドは程よい間隔で得られるが滑りやすいので、フリクションの効きを確かめながら、速やかに登っていく。落差がそれなりにあるので、慎重かつ迅速な行動が要求される。滝上に出ると立派な巻道が右岸についていた。kinuasaはこの巻道を辿る。kinuasaによれば、滝下には石碑が立っていたといい、写真から「元大森神社鎮座地」と知った。宍粟の観光案内には、この沢の最大の滝は幅10m、落差15mとあり、水量の多い時には左右の二条の滝が一体となってこの幅になるものかと推察するのだった。いずれにせよ、このF4の滝こそ、この沢の盟主であると言えそうだ。
滝上は二俣となり、今日は左俣に入ってみる。左股入ってすぐに4mくらいの斜瀑があり、水線左を登る。巻きも左である。水量は減って、谷はまだまだ奥に延びるが、雰囲気は源頭近しである。一旦、開けたところに出て陽射しがあり、むしろこの「暖かさ」がありがたいという贅沢!ここで昼飯とする。
休憩後、上流側直ぐにところにある黒光りして一部ハングした滝の様子をうかがう。左壁ぎりぎりのところを狙えば、やや逆層ぎみながら越えられると判断してasakinuが取り付く。すると、左手でつかんだでっぱりがぽろっと取れてしまった。もしや、と思い、左足で岩の出っ張りを軽くけると、これもぽろっと取れて落下した。この滝は危ない、ということで左を巻く。岩盤にはイワタバコが幾株も付いていたが、花はほとんど終わっていた。滝上に出ると、上部に向かって黒い岩盤が続いており、水が滲出する雰囲気があった。すぐ上から若い自然林となっているようで、興味は持てるが暑さが襲ってくるだろうし、下降が困難になって下山時に相当のアルバイトが要求される恐れがある。今日はここで引き返すとする。
林業作業者の踏み跡を辿ってF4の巻き道に降り、さらに薄い踏み跡を辿って下ると、明瞭な山道が山腹を巻いてついているのに気づいた。地形図にある破線道と思われるが、その位置は実際のものと少しずれている。わらじを外してこの山道を辿る。途中、F3が飛沫をあげてごうごうと落下する様子が眺められた。このまま行くと破線道通りの場合、駐車地のかなり南に降りてしまう。そう思っていると、山道が尾根端を回り込むところで、尾根上を下る踏み跡を見つけた。これに入って降りきると、県道72号に出たが、フェンスが越えられない。フェンスの山側の踏み跡を少しばかり辿ってみると、ぴったり「いろは滝」の石板の左岸側に出ることができた。
久しぶりに、ある程度落差のある滝を直登して充足感を覚えた我々である。この沢、かつて登ったどなたかがF1-F4とカウントした滝以外にも多くの滝を擁しており、名実ともに「いろは滝」と思った次第である。
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