硫黄岳 風に試され、風に救われる



- GPS
- 05:02
- 距離
- 10.8km
- 登り
- 939m
- 下り
- 941m
コースタイム
天候 | 曇りのち晴 暴風 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2025年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
予約できる山小屋 |
オーレン小屋
|
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
Tシャツ
ソフトシェル
ズボン
靴下
グローブ
防寒着
雨具
日よけ帽子
靴
ザック
昼ご飯
行動食
非常食
飲料
レジャーシート
地図
コンパス
計画書
ヘッドランプ
予備電池
GPS
筆記用具
ファーストエイドキット
日焼け止め
保険証写
携帯
時計
サングラス
タオル
ツェルト
ストック
|
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感想
午前2時半、深夜の中央道は混雑もなく、快適そのもの。途中で買い物を済ませ、登山口の駐車場に5時過ぎ到着。車は数台のみで、思ったよりも静かな朝だ。
空は黒い雲に覆われていたが、幸い雨の気配はない。沢の流れ、鳥の声、虫の音、そして風の音だけが響く。どうやら今日は風が強そうだ。
道はよく整備されており歩きやすい。むしろ駐車場までの林道が一番の難所に思えるほど。
やがて苔むした森に包まれると、八ヶ岳らしい柔らかい空気に変わる。オーレン小屋を過ぎ、夏沢峠へ。そこから先は森林限界を越え、風の直撃を受ける。濡れた体が冷えきらぬうちに小屋の陰でジャケットを着込み出発。
樹林帯を出た途端、猛烈な風が西から吹きつけてきた。体を煽る風は20m/sほどか。ジャンプならとっくに中止するレベルだ。岩影で息を整えながら、少しずつ前へ。雲は横殴りに斜面に沿って流れ、体が持っていかれる。広い道なので恐怖感は薄いが、それでも歩みは遅くなる。
最後のケルンが見えてくると、「もうすぐ山頂だ」。風に押されながらたどり着いた硫黄岳の頂は、晴れ渡った空の下、雲が谷から噴き上がり阿弥陀岳や赤岳を覆い隠しては、また姿を現す。その一瞬一瞬が生き物のようで飽きなかった。しかし体はすっかり冷え切り、横岳まで進む予定はあっさり取りやめ。赤岩方面へと下り始めた。
山頂を少し降ると、嘘のように風は和らぎ、ついには完全な無風に。人々が快適そうに登ってくる。朝の暴風を浴びた私たちは、ジャケットに包まれたまま奇妙な姿に見えただろう。自然の気まぐれを肌で味わった。だが、それもまた山の一面。
オーレン小屋で休憩し、駐車場に戻る頃には空に青空が広がっていた。逆に言えばあのタイミングで出発できたこと自体が幸運だったのだろう。
下山後は温泉へ。その道すがら、偶然「八ヶ岳ガーデンプロジェクト」という花畑に出会った。八ヶ岳を背景に咲き乱れる色とりどりの花々。風と雲に翻弄された後のこの光景は、まるでご褒美のように感じられた。
風に試され、風に救われる。
そんな一日だった。
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