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Yamareco

仙丈ヶ岳(せんじょうがだけ)

人気は指折り「南アルプスの女王」


仙丈ヶ岳は南アルプスの北に位置する山で、標高は3033mです。
日本百名山の一座であり、山容は大きく緩やかです。隣に聳える甲斐駒ヶ岳は男性的な鋭い姿で、これとよく比べられ女性らしい山とされています。また、高山植物が豊かであることも相まり「南アルプスの女王」と謳われています。
スケールの大きな南アルプスにおいては、日帰り登山が可能で危険箇所も少ないことから、同エリアの中では人気を博しています。

"仙丈ヶ岳(左)と甲斐駒ヶ岳(右)"
"仙丈ヶ岳(左)と甲斐駒ヶ岳(右)"

かつて、長野県の伊那(いな)地方では「前山」と呼ばれていたそうです。これは甲斐駒ヶ岳の前衛にあることを指しています。
一方で、江戸時代の書物「甲斐国志」の記載から、山梨県の甲斐地方では「千丈ヶ岳」の名で通っていたようです。
"千丈"は長さを表し、山がとても高いことの比喩として考えられています。ただし、1000丈はおよそ3030m(1丈≒3.0303m)で、奇しくもこの山の標高に近い値です。別の説によると、山頂部にある谷の広さを例えた"千畳"から転じたとしています。どちらにしろ、山の雄大さを物語っています。

カールとお花畑の美景

"小仙丈沢カール"
"小仙丈沢カール"

仙丈ヶ岳は4つの頂稜「馬ノ背尾根」「仙塩尾根」「小仙丈尾根」「地蔵尾根」を持っており、特に仙塩尾根は長大で、南の塩見岳へと続いています。
また尾根と尾根の間には、スプーンで抉ったかのような半円形の谷が見られます。これは氷河の浸食によりできる「カール」という地形で、仙丈ヶ岳は「藪沢カール」「大仙丈沢カール」「小仙丈沢カール」の3つを擁しています。

"センジョウアザミ"
"センジョウアザミ"

仙丈ヶ岳は花の百名山の一座であり、広大なカールとお花畑が優美な山岳風景を作り出します。様々な種類の高山植物を愛でられますが、"仙丈"を冠するセンジョウアザミは南アルプスだけに見られる固有種です。
また、ライチョウに出会える山でもあります。

日本の高峰トップ3を望む

"山頂"
"山頂"

山頂はザレ場で、所々に大きな岩が露出しています。

"山頂より:富士山(左)、北岳(中央)、間ノ岳(右)を望む"
"山頂より:富士山(左)、北岳(中央)、間ノ岳(右)を望む"

近くは力強い姿の鋸岳や甲斐駒ヶ岳、長く伸びた仙塩尾根などを望みます。また富士山と北岳、そして間ノ岳と、日本の山の標高第1位から3位が並ぶ様は見どころです。
北アルプス、中央アルプス、八ヶ岳も思い切り眺めることができます。

"山頂より:藪沢カールを望む"
"山頂より:藪沢カールを望む"

藪沢カールを見下ろすと、仙丈小屋がぽつんと建っています。

南アルプス開拓の父・竹澤長衛

"北沢峠:竹澤長衛翁レリーフ"
"北沢峠:竹澤長衛翁レリーフ"

仙丈ヶ岳を語る上で欠かせない人物が竹澤長衛(たけざわちょうえ:1889-1958年)で、彼は大正から昭和にかけて活躍した山案内人の草分け的存在です。より安全に登山ができるよう北沢長衛小屋(現在の南アルプス市長衛小屋)を設置し、訪れる人々に山の素晴らしさを伝え続けました。また、南アルプス北部の登山道を5本開拓するなど、自然と登山者を守ることに生涯を賭けて尽力しました。

"北沢峠:長衛小屋"
"北沢峠:長衛小屋"

長衛小屋のある北沢峠では毎年「長衛祭」が催され、竹澤長衛の功績を称えると共に、安全登山が祈願されています。

北沢峠から目指す

"モデルコース(北沢峠〜仙丈ヶ岳)"
"モデルコース(北沢峠〜仙丈ヶ岳)"

6時間43分 8.6km
北沢峠(42分)→二合目(76分)→藪沢・小仙丈ヶ岳分岐(73分)→小仙丈ヶ岳(59分)→仙丈ヶ岳(18分)→仙丈小屋(35分)→馬ノ背ヒュッテ(12分)→藪沢小屋(18分)→藪沢・小仙丈ヶ岳分岐(41分)→二合目(29分)→北沢峠

"北沢峠:北沢峠こもれび山荘"
"北沢峠:北沢峠こもれび山荘"

北沢峠は危険箇所が少なく、最も早く登頂できる登山口としてよく選ばれています。(登山口:北沢峠
また北沢峠からは甲斐駒ヶ岳に登ることもでき、こちらも最短時間で目指すことができます。そのため、仙丈ヶ岳の下山後に北沢峠に宿泊し、翌日に甲斐駒ヶ岳を狙うという行程も支持を得ています。
北沢峠には「北沢峠こもれび山荘」と「南アルプス市長衛小屋」、やや南下した所に「大平山荘」があります。

"大滝ノ頭"
"大滝ノ頭"

出発してしばらくはコメツガやシラビソなどの針葉樹林の森です。
「大滝ノ頭」は5合目で、小仙丈ヶ岳方面と藪沢方面への分岐があります。

"6合目付近:鋸岳(左)と甲斐駒ヶ岳(右)を望む"
"6合目付近:鋸岳(左)と甲斐駒ヶ岳(右)を望む"

小仙丈ヶ岳へ向かい、急坂をしばらく登ると森林限界を越えます。
ハイマツが茂る開けた道となり、左手には北岳、振り返れば鋸岳と甲斐駒ヶ岳を望みます。

"小仙丈ヶ岳"
"小仙丈ヶ岳"

小仙丈ヶ岳は展望の良い小ピークです。向かう先に小仙丈沢カールと山頂部を捉えます。

"山頂手前"
"山頂手前"

気持ちの良い稜線歩きがしばらく続き、藪沢カールを見るようになると、間もなく山頂です。

"仙丈小屋"
"仙丈小屋"

登頂後はさらに進んで藪沢カールに下り、「仙丈小屋」に立ち寄ります。
仙丈小屋は環境保全のために自然エネルギーを積極的に活用しています。小屋前には発電のための風車が並び、トイレは循環型合併浄化槽を備えた水洗式です。
登山口 北沢峠
丹渓新道登山口
地蔵尾根駐車場
基本情報
標高 3032.56m
場所 北緯35度43分12秒, 東経138度11分00秒
カシミール3D
・仙丈ヶ岳中腹からの全周パノラマ
 https://www.miyajima.net/ebook/panorama/016/
山頂
分岐
危険個所 ★平成25年ゴールデンウィーク中、遭難1件(転倒・1名重傷)ー長野県山岳遭難防止対策協会 提供ー
展望ポイント

山の解説 - [出典:Wikipedia]

仙丈ヶ岳または仙丈岳(せんじょうがたけ・せんじょうだけ)は、長野県伊那市と山梨県南アルプス市にまたがる南アルプス国立公園内の赤石山脈の北部にある標高3,033 mの山である。
北東に小仙丈岳、南西に大仙丈岳の小ピークを従え、さらに大仙丈岳の南側には、南アルプス中部の塩見岳に至る長大な仙塩尾根が連なっている。また、尾根の間には、東側に小仙丈沢カール、北側に藪沢カール、南東側に大仙丈沢カールと三つのカール(圏谷)を擁し、山容は比較的穏やかであるが、西面は急峻で岳沢が沢登りや冬季の氷瀑登攀の対象となっている。高山植物の非常に豊富な山として知られている。男性的な山容の甲斐駒ヶ岳に比べて女性的ななだらかな山容から「南アルプスの女王」とも称されることがある。日本百名山、新日本百名山、花の百名山、新・花の百名山、山梨百名山、信州百名山に選定されている。山体は赤石層群の硬砂岩・粘板岩・チャートで構成されている

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    塩見岳から長大な仙塩尾根をたどり、仙丈ヶ岳まで縦走するルートです。 二つの百名山を繋ぐこの尾根は、南アルプスの中でも比較的登山者が少なく静かな山行を楽しめます。 ただし、行程が長く営業小屋がひとつしかないのでコースタイムと自分の体力を把握した上で歩くことが肝要です。
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