「pasocom終焉の地」は回避 / 茅ヶ岳東稜ルート敗退


- GPS
- 03:15
- 距離
- 7.6km
- 登り
- 556m
- 下り
- 556m
コースタイム
09:40 観音峠(茅ヶ岳登山道口)に到着(標高1370m)
09:50 NTT電波塔横を通過
09:55 最初の鎖場
10:00 第2鎖場
10:05 船首岩下部到着
10:30 第3鎖場(長い)
10:45 (注)の大岩通過。この先で撤退決定。帰路に向かう(標高1550m)
11:10 第3鎖場(長い)
11:25 船首岩上部到着
11:45 観音峠(登山道口)到着
12:25 駐車場所に帰還
天候 | 天気/ 快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2012年02月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
上福沢で「県営林道観音峠大野山線」に入る。国道から合計約30分で観音峠に到着する。 観音峠の林道分岐点のすぐ東に駐車スペースがある。 今回は路面状況からここまで行けず、約2km手前の路肩に駐車。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
[林道観音峠大野山線] 「ビッグホーンオートキャンプ場」を過ぎ、「ノースランド・キャンパーズ・ビレッジ」の手前で杉林に入ると突然に路面が凍結している。 四輪駆動は必須。スタッドレスならなお安心。 その先途中にゲートがあるが、おそらく施錠はしていない。(注意喚起のため閉鎖に見せている?) [観音峠〜第2鎖場] 雪はそれほど深くなく、トレースもあり快適に歩ける。鎖も短いので困難はない。 [第2鎖場〜船首岩] やせ尾根は慎重に歩く。ロープは手放せない。船首岩は女性には登れないかも。 木の根や岩を頼りによじ登る場面も多くなる。 [船首岩〜第3鎖場] 岩登りは少ないが、斜面のトラバースでは道巾わずか20cmほどで積雪が多いので素直には通れない。手がかりもない。 むしろ道を外れて樹林を横断した方が安全なくらい。 なお、全行程で鎖、岩登り多く、アイゼンは返って面倒か。 [最終コンビニ] 敷島の「西町交差点」(十字路)より約600mほど北にある「上町交差点」の角にセブンイレブン。 [日帰り入浴] 敷島に「神明温泉 志麻の湯(市営)」 http://yamanashikotsu.co.jp/kai-onsen/shima.htm [写真] 下の写真はすべて地図上に撮影ポイントが落としてあります。写真番号と合わせてご覧下さい。 |
写真
感想
せっかく天気はいいという予報ながら、まだ先週「ツルネ」の疲労が残る感じなので、ここは自宅の山みたいな「茅ヶ岳」でも行ってみるか、と出かけました。
ただ、一般的な深田公園からの南ルートでは面白くない。昨秋歩いたもののデジカメのバッテリー上がりで記録が残せなかった観音峠からの「東稜ルート」を再訪してみることにしました。
茅ヶ岳ですから、まさか雪が深いなどと言うことはないだろうし、東斜面だから日当たりよく気持ちいいプチ山行きができるだろうと期待していました。甘かった・・・。
車を走らせていくと観音峠の手前林道で最初のアクシデント発生。
車(四駆)の車輪が滑ってこれ以上上がれなくなりました。どうも四駆切り替えスイッチが不良のよう。
仕方ないので車は路肩に駐車して徒歩で観音峠を目指します。
距離約2kmほどなので30分で峠に到着です。
さっそく登山道に進行!。雪はそこそこありますが想定内の量です。
NTT電波塔の脇を歩き、下り斜面を過ぎるまでは一向に標高が上がりません。
道標のある鞍部が起点みたいなものです。
登り始めるとさっそく大岩とそれに取り付く鎖場出現。大岩と言ってもさほどではなく難なく越えて進みます。
二つ目の鎖を上がると、すばらしく狭い「やせ尾根」に出ます。
雪が載り、いかにも滑りやすそうな様相を見るとわずかに恐怖心も生まれます。
備え付けられたロープにしっかりつかまって約50m程の距離をそろそろと進みます。私はここを「平均台」と名付けたいくらいでした。
ここを過ぎるとすぐに今度は岩肌に赤ペンキで矢印のある大岩に出会います。見上げれば、なるほどその名の通りの尖った「船首岩」でした。
ここは鎖ではなく露出した木の根を階段のように踏み台にして腕力で登っていきます。木の根や地面には雪がたっぷり載っていて結構怖いものがありました。
「船首岩」の先端は切り立っており眺望が利くようですが、積雪もありとてもそこに近づく気にはなりません。
船首岩の上はまたやせ尾根状態ですが、「平均台」ほどではなく安心しながらも慎重に歩を進めます。
やせ尾根の途中では八ヶ岳が絶景でした。
尾根はすぐに岩にぶつかり、手前で尾根下に下りて岩を巻きます。
その先でついに第3の鎖場が現れました。今度のは相当長そう。上を見ても鎖が延々と続いています。
足がかりになる岩はありますが、たっぷり雪が載っているのでとても滑りそう・・・。当てにして良いのかどうか迷うところです。
鎖場下で胸に下げていたカメラをリュックにしまい、手袋を軍手に変え、呼吸を整えて鎖に取り付きます。
そして取り付いたら一気に登る!。ほとんど腕力の勝負です。鎖で足りない時は周りの石や木の根をつかみます。
とにかく両手をフリーにしないように少なくとも片手は石か木の根か木の幹か、どこかをつかむこと。万一滑っても遙か下まで落ちないようにする。それだけです。
最後に鎖は終わり、3mほどのトラロープで体を引っ張り上げました。その後、ロープを眺めて「このロープ、元通り下に垂らしたら帰りにはロープに手が届かないだろうな・・・。」と。
そこで次に上がってくる人はいないだろうという前提でロープを上に引き上げておきます。これが大正解でした。
鎖場を上がりきって歩いて行くと傾斜のない細いトラバースにさしかかりました。
道巾はどう見ても20cmちょっと。その片方の斜面はそのまま下が見えないように落ち込んでいます。
秋に来たときには何とも思わなかった場所。でも今見ると一歩滑れば遙か下まで滑り落ちるのは目に見えています。ここは歩けません。
考えて、ここは上の樹木が生えている中をたどることにします。
ここを越えたら今度はまた大岩。岩に「注」と大書きされてます。何とかよじ登ってさらに上を見れば急斜面が続いています。
息を切らせながらそれを見て5分くらい考え込みました。
「この先行けるのか?」「行けても帰れるのか?」。
しばし悄然と考えていたら斜面の脇に鉄の針金が渡されているのに気がつきました。
これがあれば何とかなる!。とそれを頼りに上を目指します。しかし数メートルで針金は終わり。その先の急斜面は何も手がかりのない急登道が延びているのでした。
それを見て「こりゃ、もう無理。この先行っても帰れなくなる。」と痛感。撤退を決意しました。
ここに「pasocom終焉の地」などと言う石碑を建てたくありません。何としても無事に帰りたい、と。
すでに何箇所か、これって帰るとき大丈夫か?、という地点を無理矢理登って来たのです。これ以上は本当に無理でした。
帰路では「注」の大岩は脇に鎖があることに気づき、こちらで降下。ところが下りた後がいけません。
また極細のトラバース雪道+奈落の谷です。やばっ。!!。
もう鎖を逆戻りする気力はありません。道に座り込んで足元の雪をかき分けます。その下の落ち葉や土も丁寧に除去。足が進めるように整地してから慎重に一歩を進みます。そうしてまた目の前の道を同じように整地する・・・。
そうして十数分かかって10mほどのトラバース道を何とか渡り終えました。
死なずに済んだ・・・、て安堵感。
しかし安心するのは全然早すぎです。
まず、上に引き上げておいたトラロープ。案の定、引き上げておいたおかげで危険な一歩を踏まずに手にすることができました。
その後も鎖、鎖。上から見ると「よくここ登って来たな」と唖然とするくらい急斜面。船首岩の脇は木の根の間から下を見ると空中に浮かんでいるように感じます。とにかく滑らないように慎重に慎重に下るだけです。
時間はあるんだ、と心に言い聞かせてゆっくり降りて行きます。
船首岩を下りたところで本当に心底ほっとしました。
「生還できた・・・。」と。
この季節、このコースは非常に危険でした。ピッケル、ザイルが要りそうですが、そこまでして茅ヶ岳に登るか?・・・。
登ってみようという方は細心の注意でどうぞ。決してお勧めはしません。
コメント
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雪のない時しか行ったことないのですが
雪があると歩きにくそう〜
「平均台」私は、片側の木に葉が茂っている時でも怖いです。
怪我なく御無事な御帰還何よりです。
いつもコメントありがとうございます。
昨秋に自分で歩いた時は観音峠からわずか1時間半で金ヶ岳に到着しているので、ちょっとなめていた部分もありました。
しかしその時のレコにも「たちまち鎖場、岩場、ロープの連続。それもかなり怖い高さや、狭さの道です。この登山道、誰かが嫌がらせか冗談でわざと難コースに設定したのでは?」
と書いたくらいですから積雪期は危険で当たり前でした。
「遭難」という文字が頭に浮かんだのは初めてです。
茅ヶ岳あたりで敗退というレコをアップするのもいかがなものか(笑いものか)という心配もしたのですが、この後登ろうという人があれば参考にしてもらいたく、あえてアップした次第です。
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