和名倉山(奥秩父主稜線の奥に鎮座する孤高の名山)
- GPS
- 10:09
- 距離
- 21.0km
- 登り
- 1,356m
- 下り
- 1,351m
コースタイム
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2012年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
復路も同じルートで帰還したが、早朝の往路約2時間半のところ、夕方から夜にかけての復路も3時間10分で走ることができた。 中央道上り線で小仏峠の大渋滞が発生いている時に上野原あたりで下りると、下道もとんでもないことになっているが多いが、更に手前の勝沼で下り柳沢峠経由で青梅街道で帰還するのも手かも知れない。 但し、多摩川上流域は東京都民の奥座敷であり、普段山道を走りなれていないドライバーも多いので、運転は疲れる。今回も小生の前を走っていた車。妙なタイミングでブレーキをかけ、アクセルを開けるタイミングも遅く、後ろに着いていて非常に走りにくかった。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
登山口から山の神土までは倅と二人でなら御袋の車椅子を押しながらでも登れそうな道。(勿論、そんなことはするつもりもなし、人様にお薦めする気も毛頭無い。) 山の神土から和名倉山までも、歩行の一歩一歩に危険を感じるような場所はない。但し、ロングルートであるので疲労がたまると、注意力も御散漫になるので何でもない処でも危険な道になる。 山の神土からリンノ峰までの南東側トラバース面は路肩が崩れやすそう。 西仙波から吹上の頭までは所々岩嶺があるが、とりわけ危険はないと思う。但し、この一帯、ゲジゲジが多く、踏みつけるのも忍びなく、何処に足を付こうが躊躇することもある。 吹上を過ぎてから山頂までは、確かに道が判りずらい。良く見れば道は付いているのだが、キョロキョロウロウロすることも何度かあった。 コース全域において、道標は余り期待できない。 |
写真
感想
将監峠の北方に、奥秩父主稜線から外れて和名倉山(白石山)がある。昭文社の地図でコースタイムを合計すると、三の瀬からの最短ルートピストンでも11:05、登路で将監小屋に立ち寄ると11:40のルートになる。
同じ地図にある雲取山に鴨沢からピストンするとコースタイム合計は8:50になる。従って、将監小屋に立ち寄らなくても雲取山に鴨沢口からピストンするよりも2時間以上長いことになる。途中の小屋は登山口から2:20の将監小屋しかないことを考えると、実質的には日帰りの様なものであり、前から気にはなっていたが、二の足を踏んでいた。
カシミールで沿面距離と累積標高差を分析してみたら、沿面距離20.513km、累積標高差1501mになる。
雲取山への鴨沢口からのピストンは沿面距離23.285km、累積標高差1851mである。
小生のカシミールは10mメッシュの標高データを組み込んでいるので、細かくプロットすればかなり正確なデータが得られるはずであるが、累積標高と沿面距離だけでは雲取山よりは大分軽いことになる。
勿論、雲取山は人気の山であるので、登山道はきちんと整備されており、歩き難い個所や迷う個所は皆無と言って良い。一方、和名倉山は山の神土から先はメジャーとはいえないので、整備状況は良く判らないが、距離と累積標高だけからは、決して行かれない山ではないと判断し、行ってみることにした。
東京中野を出発し、途中留浦の駐車場でトイレ休憩を入れて2時間半で現地到着。車を駐車場に留めて民宿シャクナゲの周りをうろついたが、起きている気配が無いので料金は帰りに払うことにして、身支度を整えて、登山開始。
登山口には車止めのチェーンがあり、将監小屋に向かう車であろうか、軽トラックがゲートを開けて登って行った。
登山道を歩き始めて直ぐ、左手に遭難者報知のポスターを見かけた。「74歳男性が9月4日に甲斐犬を連れて和名倉山に向かったまま帰還せず」とのこと。
山を歩く者としては気の重くなるポスターであるが、今回の小生の山行に拘わることになろうとは、この時点では全く予想もしなかった。
未舗装林道を暫く登ると将監小屋に向かう林道と七つ石尾根が分岐するが、周辺に道標らしきものは無く、うっかりしていると将監小屋に向かってしまうので、最短距離を行きたい方は注意を要す。勿論、将監小屋を経由しても多少の時間延長でいけるので問題は少ない。
七つ石尾根を登っていると、写真解説でも指摘した地図に無い道があり、小生はぼんやりしていてそっちへ入ってしまった。出会った山林管理の方によると一度下って将監に登り返すことになるらしい。添付地図を拡大すると、約100m程右に進んでから引き返した様子がわかるので、御手持ちの地図に印を付けるか、GPSルート上にウェィポイントを付けていただくと宜しいかと思われる。
牛王院平付近で一般登山者とは思えない同じ服装の数名が甲斐犬を連れている。それとなく尋ねると、先ほどのポスターの遭難者が連れていた甲斐犬が昨日発見され、犬を先頭に捜索をしているとのこと。どうも犬が戻ってきた足跡を拾いながら歩いているらしい。
彼らの先を歩いてしまうと犬の足跡を消してしまう危険性があるので、捜索隊と同じペースで歩くことになった。
さすがに山岳救助隊、犬の足跡を拾いながらでもそこそこのペースで歩くので、思った程のペースダウンとはならなかった。途中、何か手伝うことはあるかと2度ばかり尋ねたが、2度とも「けっこうです」とのお応え。三顧の礼を尽くすのも逆にしつこいかと思われたので、三度目は尋ねなかった。
今回の山行は久しぶりに好天に恵まれたが、捜索隊と同道している間は、とても晴れ晴れとした気分にはなれなかった。
西仙波と東仙波の中間で犬が左手の崖を下り、彼らもそれに従って下りて行ったので、彼らと別れ、一人で歩を進めた。途中で後ろの方で大声が聞こえ、写真休みでも彼らが追いかけてこなくなったので発見したかと思ったが、どうもそうではなかったらしい。
和名倉山に向かう道筋は見晴らしの良い縦走路であるが、それも吹上の頭を過ぎるあたりまでで、後は殺伐とした林の中を歩き続けることになる。又、この頃になると道中が長丁場ということもあり、歩くのにも飽きてくる。登山は必ずしも○○岳や××山を最終到着点とする義理がある訳でもないので、初めから吹上の頭や東仙波辺りを最終到達点としてプランニングをすれば、この素晴らしい縦走路はより多くの人に門戸を広げることになるであろう。実際、和名倉山山頂は、そこを目的地としたから行ってきたというだけで、全く何といううことのない場所であった。
帰路に着くと、最近の山行の恒例になってしまっているが、左大腿四頭筋が又も攣ってしまった。どうも癖になるらしい。芍薬甘草湯を服用して痙攣は直ぐに治まったが、どうしてもおっかなびっくりになってしまう。何とか完治療法は無いものだろうか。
東仙波の傍まで帰ると前方でどなり声がする。「どうかしたか」と小生もどなり返して先を急ぐと、先ほどの捜索隊であった。まだ、見つからないらしい。
早く発見されるように念じながら下山し、駐車代金を払いに民宿シャクナゲを訪ねると話し好きの愛想の良い女将さんが出てきた。駐車料金を払い、看板にあった手打ち蕎麦を食べられるかと尋ねると、食事は今日は出せないとのこと。
さもありなん。量がまとまらねば蕎麦など打っていられない。大して空腹という訳でもなく、地元に多少はお金を落とさなければ申し訳ないとの思いからの注文であったので駐車料金だけ払って車に戻る。帰り支度をしていると、気の毒にと思ったのか女将さんがやってきて「お腹すいてるの」と尋ねられた。
うっかり腹が減っているなどと言おうものなら、却って恐縮する事態になりそうな感じがしたので、お礼を述べて民宿を後にした。
さて三の瀬から最短ルートで和名倉山をピストンした際の距離感であるが、少なくとも鴨沢口から雲取山をピストンするよりも長く感じることは絶対無いと思う。
従って、雲取山を日帰りできる人ならば、少なくとも体力的には問題なくこなせると思う。道が判りにくいのも吹上の頭の先からであるので、その辺りを最終到着点とした山行計画とすれば、6時間位のコースタイムをこなせる人ならば、あの稜線の景色を堪能できる。
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