記録ID: 31636
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積雪期ピークハント/縦走
槍・穂高・乗鞍
北アルプス立山駅→弥陀ヶ原→室堂→立山→スゴ乗越→薬師岳→太郎平小屋→黒部五郎岳→西鎌尾根→槍ヶ岳→大喰西尾根→新穂高温泉
1993年03月18日(木) 〜
1993年03月30日(火)
コース状況/ 危険箇所等 |
北アルプス立山駅→弥陀ヶ原→室堂→立山→スゴ乗越→薬師岳→太郎平小屋→黒部五郎岳→西鎌尾根→槍ヶ岳→大喰西尾根→新穂高温泉 1993/3/18〜30(10-3) L:銭谷竜一(3) AL:小倉憲悟(3) M:石崎啓之(3)、日下出(3) 3/18 快晴のち霧小雪 立山駅(6:30)→美女平駅(7:30-8:30)→弥陀ヶ原標高1780m∩1 (14:30) ケーブルカー線路横の階段をシートラで登る。いきなりの重荷でこの登りはかなり堪える。トンネルの中は暗く,所々ガチガチに凍っている。美女平で燕から単独縦走してきた人と会う。除雪は前日から始まったそうで,結構期待できるとのこと。早速重いザックをスキーに乗せ橇にするが完全な除雪ではないのですぐこけてしまう。仕方なく延々と歩く。弥陀ヶ原に入ったあたりから樹林限界を越え天気も悪くなり視界がどのくらいあるか判らなくなる。道は圧雪してあるし100-150mごとにポールがあるので歩けることは歩けるので歩く。ポールは積雪4-6mをさしているので泊まるところは何とでもなる。いい加減疲れたところで掘り下げイグルーをつくって寝る。 3/19 霧のち曇時々晴れ ∩1 (6:05)→室堂Ω2 (10:30) 追分小屋はほぼ埋没している。圧雪も弥陀ヶ原ホテルまでなのであとはポール沿いにスキーで歩く。ホテル周辺は少し木が生えているが室堂への台地はやはり真っ白。この重荷では足も遅く体力だけが取り柄のMもばててしまい室堂で行動打ち切り。積雪は6m以上。吹きだまりは雪洞を掘るのにはちょうどよい。 3/20 曇のち晴れのち霧 Ω2 (6:00)→一ノ越C3(7:20-8:00/9:45)⊃雄山(8:50-9:30) 朝のガスは濃くないが,目標物がないのであまり見通しがたたない。遠くよりむしろ目の前の斜面がわかりにくい。沢型の側面は結構傾斜があって深く見える。左岸側から一ノ越へ行く。アタック装備に変えて雄山へ。両側の岩が露出している所を岩の間を縫うようにいく。荷物は軽くても高度のせいか息が切れる。雄山の神社でM2人とも日和ったのでリーダースタッフ2人で大汝山へ空身でポン。東側にはかなり大きな雪庇が出ているが雪の様子ですぐ判断できる。西側の岩峰の基部を行くところは氷化していたら怖そうだが今回は楽勝。片道15分位で…今山行の最高点にたつ。下りも途中からシリセードであっという間に小屋に帰るが再びガスが出てきたのでこれでやめる。 3/21 快晴(-15℃) C3(6:30)→五色ヶ原山荘C4 (12:30) 小屋からすぐシートラ。龍王の登りで雷鳥を見かける。3mぐらいに近づいても逃げる気配はなくつい,「美味しそう…」などと考えてしまう。重荷のシートラなのでピーク直下でネグる。下りはがけマークのすぐ北くらいを岩の間を見つけながら下る。小石がアイゼンに引っかかり鬱陶しい。鬼岳も登りは簡単で下りは岩峰の間を縫うようにバックステップを繰り返す。最後の急斜面はフカフカ30cm位バックステップする。雪の状態によってはザイルも欲しくなるかもしれない。もう一度獅子岳に登るのはかなり堪える。膝下くらいのラッセルなので時間がかかった。下りは特に何もない。降り口と広い斜面で一度バックステップしたくらい。ガラ峠からの上りでスキーに変えるががちがちの斜面で敗退し引っ張って上がる。五色ヶ原は一面まっ白。ヒュッテの吹きだまりは5mはあったが入り口は開いていて今日も小屋泊まり。風のない午後のバカンスを楽しむ。 3/22 曇のち晴れのち快晴(-10℃) C4 (6:00)→越中沢岳(8:00)→スゴ小屋C5 (12:40) 朝はあまりぱっとしない天気だったが,越中沢岳に着いたらまた晴れた。鳶山から五色ヶ原へと越中沢岳と鳶山へのコルまではスキーで滑り降りたら気持ちの良さそうな斜面。越中沢岳ピークは雪洞可。少し先までスキーで行くが1m位の段差をスキーはいたまま下りたMは西側へ後ろ向きにスキーが滑り出して冷や汗をかいてた。その先シートラで下りたところは1箇所岩峰があり東側の斜面を10m位トラバースして捲く。・2431の下りで「ツボで大丈夫」とスキーを手に持って下りたMが滑落。5m位で自力で立ってスキーも失わなかったが,シートラして現場へ行こうとしたリーダーもハイ松の穴にはまり前方一回転して10m程滑落しピッケルストップで止まる。どうもなんでもない所で緊張が緩む所があるようだ。コルからスキーでだるい斜面を登る。ポコの上部はでかい雪のうねりがウネウネしている。スキーを脱いで乗り越えなければならないので面倒くさい。東側には大きな雪庇が出ている。この辺りはかなり大きいタンネが生えている筈だが先端しか雪の上に出ていない。スゴ小屋のあるところで先についたALが探し回っていたが何て事はない。休んでいる君のけつの下にあるのだよ。この入り口を掘り出すよりはまだ雪洞を掘った方が早い。 3/23 快晴(-13℃) C5 (6:00)→薬師岳(10:00)→太郎平小屋C6 (12:30) 高気圧ベルトで朝からスカ天。誰かが持っているだろうと皆が思っていたため日焼け止めが無く肌が痛いし疲れもたまっているので1回くらい停滞したいものだ。標高2600mでシートラしたが北薬師まではスキーで行けるだろう。シートラしたあたりから黒部側に雪庇が出ている。広い稜線だと思ってポクポク歩いていると雪庇の間に落ち込むので西側の岩の出ているところを歩く。ここから雪庇が始まるとすると幅15m近くになる所もあるだろう。稜線は傾斜もアップダウンもなく楽な筈だが連日の重荷+シートラの行動で足取りは重い。薬師からは数多くのトレースがついていて小屋に続いているのがわかる。標高 2800mぐらいからスキーを履くが未熟な我々はシールスキーで稲妻を描くしかない。休憩所からシールを外すが今度は滑りが良すぎて重荷ではやっぱり華麗に曲がることはできない。太郎平小屋は冬季小屋として開いているので労せず入れる。午後は例によってバカンス。 3/24 雨風のち霧 C6=C7 昼間に低気圧が通過するので朝から停滞。10:00頃から雨が降り出す。 3/25 風雪のち霧のち曇のち晴れ C7=C8 午前中はまだ低気圧の影響が残る。前日の雨でシールが凍ってしまった。 3/26 曇のち晴れ時々曇 C8 (7:30)→黒部五郎岳(11:45-12:15)→五郎小屋C9(13:15) 二日に渡るグータラ生活のせいか寝坊してしまう。シールもまだ凍っていて雪面も一昨日の雨のせいでガチガチになっているが広くて緩い斜面なのでスキーを履いていく。1人引っ張っていたMも途中でスキーを履いた。こういうときにシールを着けているとはいえ滑るのはちょっと怖いが,尾根も広いことだし稲妻ターンとボーゲンで下る。黒部五郎の標高2500m位まで履く。雪がもっと腐っていたらもっと上がっただろう。2停滞で休養もとったし荷物も減ったが足は重く,ピークで皆へろへろになってしまった。下りはカール沿いに標高2500m位まで雪庇が大きく出ているが雪面で容易に判断できる。標高2500m からスキーを履く。しかしもともと技術が無い上に疲れているこのパーティは直滑降と稲妻ターンしかできないのであった。この小屋も冬季小屋が使用可。狭いけど温かくていい小屋だった。 3/27 快晴時々風 C9(7:15)→双六小屋C10 (10:30-40) 今日も移動高気圧。小屋の裏手の斜面は雪が締まっているが特に登りにくいことはない。雪崩の心配も無いだろう。上部は所々クラストしている。三俣蓮華まで来ると槍がぐっと近くに見える。・2854の少し先でシートラを解除して双六をネグる。少し固いがリーダーとメンバーは大斜滑降で行く。ALともう1人のMはシートラのまま。双六小屋の裏の斜面の沢型はデブリらしきものも見え,雪崩の警戒が必要な場所だろう。ここで用の無くなったスキーを解体し,風が出てくるまで昼寝を楽しむ。 3/28 晴れ風のち曇風のち雪風強し C10 (5:30)→槍肩の小屋C11(9:50-10:10/12:15)⊃槍ヶ岳(10:30-45) 低気圧の前面ではあったが,樅沢岳まで行って西鎌と弓折からのエスケープルートの様子と空模様を見て考えることにして早出する。前日解体できなかった人だけシートラ。弓折岳まではスキーで簡単に行ける程尾根も広くなく,鏡平まで下る斜面もまっ白でだだっ広い斜面のようだ。西鎌尾根は「根」の字の手前ぐらいまで歩くのに何の問題もない。樅沢岳の下りが少々急な位か。雪庇は主に北側に出ていて大きいものはやはり大きいが雪庇の切れ目に亀裂が入っていて判りやすい時にはクレバスみたいなものもあった。南側はだいぶ雪が溶けていて夏道の上に雪が残っているだけ,というような所も数カ所あった。「根」の字付近から岩峰が出てきて上の細いところを歩いたり基部を捲いたり小さなルンゼを行ったりといった具合だったがそれほど難しくない。中崎尾根は岩峰から降りてしばらく急な雪面が続く感じにみえた。核心の岩峰は飛騨沢の向こうまでトラバースして肩まで直登する。傾斜もそんなにきつくはなく氷化したところを避けて行けば固くもなかったが,1年目を連れて行くのは大変そう。岩峰を小さく捲けたが,傾斜も少し急になるし,氷化していた。穂先に日大パーティが下っているのが見えたので小屋で待つ。天気は次第に悪くなりそうで日大パーティはすぐに降りて行ったが今日は小屋泊まりなのでザイルとシュリンゲ,ビナだけ持って出る。ほぼ夏道どおりに凍った雪面を前爪をけり込んで登る。ハシゴや鎖が見えるのでルートファインディングは楽。上りはノーザイル。下りは残置シュリンゲで懸垂下降。ザイルが風に舞う。終了点のハシゴから次のハシゴまで1P。けり込めば決まるので快調にバックステップで下る。40mいっぱい。終了点から懸垂下降20mでその下のハシゴまで。そこから岩の間を少し歩いて20mほどバックステップ。1P出した所から天気は荒れてきて2回目の懸垂下降を終えたときには視界100mを切っていたがバックステップ終わった所から小屋まで100mもないのでとっとと逃げ込む。 3/29 風雪強し C11=C12 昨日の2つ玉が発達して冬型となり猛吹雪になる。前日三時頃来た社会人は飛騨沢を降りていった。社会人恐るべし。明日の移動高は目に見えていたのでのんびり停滞。最後の酒もなくなったのでMのもってきた高山のガイドブックを見てあれを食おう,これを食おうといいつつトランプに興じる。酒ばかりでなく茶もロウソクも底を突きかけている。 3/30 晴れ C12 (6:20)→新穂高温泉(14:00-15) 見事な下山性高気圧に覆われ富士山がよく見える。穂高までの稜線は叩かれて固い。大喰西尾根上部は岩がごろごろしている。標高2800mあたりで前を歩いていたMがこけて滑落。吹きだまりで止まったがザックを谷に落としてしまう。少し下ってからALがトラバースして回収したがザックのあった辺りは雪がたまっていて雪崩が怖かったそうだ。西尾根は結構くねくねしている。下の方にはカンバがパヤパヤはえている。飛騨沢は中崎尾根からのデブリがいっぱい。前日の降雪とそれに伴う雪崩なので全然締まっていなくチン濡れラッセル。いい加減ラッセルに飽きたMは四つん這いになって泳いでいた。滝谷から先は沢も口を空けていて前日の社会人のトレースもある。日の当たる所は雪も腐ってきているので急いで下る。上部をスキーで快調に歩いていたALは今度はゲタと小さなアップダウンや捲きに悩まされ結局シートラにして大汗をかいていた。林道方面にはトレースは続いていなく,ラッセルが予見されたので川沿いに下るが,堰堤ごとにまきを強いられ時間がかかるが最後は下山パワーで下る。新穂高は目の前に錫杖がそびえ温泉もなかなかよく2週間ぶりに見るミニスカートのギャルのフトモモにMは発情し,ALはナイフを鏡にして身だしなみを整えていた。 |
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