朝日連峰 荒川中俣沢
- GPS
- 36:06
- 距離
- 25.6km
- 登り
- 2,360m
- 下り
- 2,354m
コースタイム
- 山行
- 7:46
- 休憩
- 0:13
- 合計
- 7:59
- 山行
- 12:50
- 休憩
- 0:28
- 合計
- 13:18
天候 | 1日目 雨 2日目 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2023年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
その他周辺情報 | 荒川ラーメン魂 あしら 道の駅関川 |
写真
感想
yoshikitoと朝日の銘渓へ。
東北を代表する沢登りエリアのひとつである朝日連峰。その主脈、大朝日岳に詰めあげる沢である荒川。
中俣沢はその中でも登攀的な沢とされ、銘渓62選でも「名山には銘渓あり」と言わしめる沢だと評されている。
沢登り対象として厳しいと言われる朝日の沢、遡行グレードとしても5級の沢。行きたい気持ちはとてもあり、憧れはあったが、なかなか計画出来ずにいた。
2年前に中俣沢よりも少しだけグレードがマイルドぽい東俣沢を計画したが、その時は怪我で流れ、休みや仕事、仕上がり具合の問題でその後再計画出来ていなかったが、今年は改めて計画することができた。結果的にはそこまで追い込まれることもなく、2年レベル上げしたからこそ今回のようなコンディションでも遡行ができたのではないかと思う。
自分は金曜が会社休みだったので、yoshikitoに休み合わせてもらい、今回は4連休に。行程としては2泊3日予定だったので、一日を予備日兼移動日とする。
当初は金曜の天気が悪くなかったので、金曜から入って、日曜下山しようと思っていたが、金曜朝に現地着くと大雨。この連休は天気予報がコロコロ変わりすぎてなにを信用したらよいのやら状態。
一応、土曜は多少は降られるが大雨ではない、日曜〜月曜午前までは晴れそうとのことで、土曜から入渓することとした。
・1日目
3:30起床。5:00前に登山口へ。
予報に反して雨が降り始めた。2時間ほど雨止むのを待ち出発。
入渓点の大玉沢出合までは1時間ほどの平行移動。途中の吊り橋が怖すぎる。
大玉沢出合で入渓し、しばらくは河原歩き。雨が降っていた割には増水はあまりしていなさそう。
途中、泳ぎが必要となる淵が出てきたが、右岸から巻道がついており、簡単に巻けた。
その後、曲沢手前あたりで釣り人とかち合う。話してみると「絶対に先行しないで!!」とのことだったので、しょうがなく2時間ぐらい待つ。この後、どれくらい時間がかかるかもわからないので、もっと待たされるなら釣り人敗退か?と思ったが、釣れずに諦めたようで先に行かせてくれた。
行けることにはなったもののまた雨も降りだし、メンタル的にはなかなかに重いままとりあえず進む。
そこから最初のイベントは曲滝。思ったより大きく、しかも綺麗だ。右岸からロープ出しつつ巻き登りになる。途中垂壁4mが厳しいとの情報だったが、残置がありすぎるくらいあり、ムーブ的にも難しくなかったのでさっさと抜ける。落ち口には簡単に降りられる。
そこからさらに歩くと綾滝。こちらも優美で綺麗な滝。ロープ出して、右壁から取り付き、流心をくぐって左壁に抜ける。こちらも難しいところなく抜けられる。
その後は3段15mの滝、右岸から巻きにかかるが、バンドまでの登りが悪くて時間がかかる。2pロープ出しつつなんとか上がり、滝上へクライムダウン。後で調べると巻きのラインは豊野さんたちと同じラインを行ってしまったようだが、他パーティはもっと戻ってさらに緩傾斜部分から巻いているようだ。
巻き終わると15:00、最低限着きたいところまでは来れたこと、この後の大滝の巻きを始めてしまうとかなり時間かかることが予測されたので、今回は西俣沢出合にて行動を打ち切ることに。
暗くなる前くらいに雨も上がり、意外と薪もあり、盛大に焚き火を楽しむことができた。
・2日目
4:00起床、5:45出発。快晴、最高。
さっそく大滝を覗いてから、巻きにかかる。傾斜強めの左岸から樹林帯に向かってひたすら這い上がっていく。微妙に悪い箇所もあり、ロープも出しつつ登っていく。樹林帯に入ってからはトラバースを続け、ルンゼを超えたあたりで懸垂2ピッチして、ルンゼ内に下りるイメージで下りる。懸垂下降点が合っていたのかいまいち分からなかった。
下りたところで東俣沢・中俣沢出合となる。絶好のビバーグ適地となっていた。
小休憩して、中俣沢へ入る。
少し河原歩いてから、ゴルジュ帯に入り、怒涛の滝登りパートが始まる。始めの方の4mCSは左側から空荷で突破。その後もちょうど登れるぐらいの滝がどんどん続き、とても楽しく登れる。どんどん登っていくと、20m滝、これは登れなさそうだったので、左岸のルンゼの滝を登り、元の沢に復帰しようとするが、ルンゼを登りすぎてしまったのか、巻き下りがとても悪く、懸垂できるような支点も見当たらなかったので、いやらしかった。なんとか河原状に降り立ち、少し歩くと右俣に入る。ここからもさらに滝登りが続く。
入口の2段滝は右岸からまとめて巻くが、出だしのルンゼが悪い。少し登ったら草付きトラバースして落口へ。その後は登れるぐらいの滝が続く。10m滝はロープ出してyoshikitoリード。最後の8mチムニー滝はロープレスで内部をバックアンドフットでズリズリ上がって抜ける。
その後は滝も無くなりひたすらルンゼを詰めていく。振り返ると朝日連峰の山々と登ってきた谷が見えてとても素敵。最後は激ヤブと笹ヤブを少しこいで登山道に出る。14:00登山道抜け。
時間も早いのでその後はひたすら下山する。長くて、汗もかきまくりのしんどい下山だったが、19時頃には下山完了。暗くなってから、吊り橋を渡るのがマジで怖かった。
なんとか1泊2日でやり切れてかなりのやってやった感、満足感でいっぱい。
小国には温泉や飲食店が見当たらないので、関川まで移動して、温泉、メシを済ませて人心地ついた。いやー、おつかれさまでしたー。
その後は意外と2人とも元気だったので夜通し運転して横浜に帰った。
・総評
ここ近年で一番くらいの会心の山行でした。yoshikitoとは大きい沢やれるだろう、やりたいなと思っていたけど、やっといいクオリティの山行ができて良かった。
3年前の岩魚止沢の時も朝日の沢は素晴らしいなと思ったが、今回も期待に外れず、さらに良かった。
朝日連峰のたおやかで深い山々に切れ込んだ大きなスケールの谷。下から上まで大きくて見栄えのする滝が連続し、中俣沢に入ってからの怒涛の滝登りは爽快で楽しい。高巻きは基本危険度高めだが、そういった厳しさもまたひとつのスパイスということで。
まさに「名山には銘渓ありと言わしめる沢」そのものであり、自信をもって他の人に推したいルートでした。
最近自分がやりたい沢の方向性とはなんだろうなと少し悶々としていたが、今回の山行でスケールが大きく、その山域のすばらしさが感じられる沢登りが好きだと再認識した。巻きや岩登りを駆使して、いかにその谷の弱点を突いてその谷を下から上まで登りきるか。悪い登攀もできるような実力はつけつつ、それが目的ではないので弱点をうまくつく、実力・眼を養うことが重要だなと思う。
とにかく、良い山行ができました。
yoshikito、本当にありがとう!またよろしく!
朝日の沢は3年前の朝日俣沢以来。その翌年に中俣沢よりは少し容易と言われている東俣沢を計画したが、流れてしまい今に至る。当時は、東俣沢でもかなりの不安とそれでも行ってみたい気持ちの間で、流れたことに一部安心感があった記憶がある。その後、2年間で遡行本数はさらに増え、クライミング能力も向上、それに伴い自信が付いてきたので、今年こそはと1グレード上げた中俣沢へ向かうことになった。自信が付いたと言っても、初めての5級沢。ここは本場、朝日の沢だ。3日分の生活道具とロープ、ガチャを20Lザックに押し込んだ。実際、荷物大きいと荷揚連発するだろうし、高巻きはさらにシビアで苦労しただろうと思う。
山形には金曜日朝着。休みは4日間取れていたので、内3日で遡行するつもりであったが天気が安定しない。天候不安定な中、グレード・エリア共に経験の少ない沢を遡行するのは大きな心配があったが、エスケープ含めいろいろと話した結果、土曜日に早朝入渓で可能な限り標高を上げることで最終的に意見が一致した。
さて、土曜日の朝。5時出発しようと駐車場到着するも雨が降り出した。出発する気が起こらず車で待機。7時に上がったので不安はあるが行動を始めた。怖い吊橋を含む登山道を経て、荒川へ入渓。途中で釣人待ち(内心、行かせてよ。。とは思ったが)で2時間弱の昼寝。その後、曲滝や綾滝あたりが悪くて時間がかかり過ぎるのなら撤退かなと思いつつ、進んだが以外にすんなり登ることができた。トイ状に時間がかかってしまったので、増水したらどうしようもないが大雨にはならそうなので西俣沢出合で幕営とした。雨はずっと降ったり止んだりしていたが、夕食時にはやみ、焚き火を楽しむことができた。明日に備えて早めに就寝。寝袋を持ってこなかったので、エマージェンシーテントを持ってきてもらったのが助かった。
2日目の日曜日。夜間にそれなりの雨が降ったらしく、薪は濡れていたが再着火。朝食を取って6時に出発。大滝の高巻きが終わると二俣。広くて平坦暖かく、薪も豊富で素晴らしいテン場だ。できることならここで泊まりたかった。ここがエスケープの最終判断ポイントになるが、天気が良いと気分も良くなるもので、昨日のネガティブさはなくなり、朝日避難小屋泊も超えて下山までいけるでしょうというくらいの気持ちで中俣沢へ足を進めた。。過去ログでは前半の荒川本流部分に比べて、中俣沢の記載が少ないような気がするが、実際には中俣沢のほうがより面白さ、綺麗さ、厳しさが詰まっているように感じた。両岸立ったゴルジュの中に次から次に10m台の滝が出てくるし、奇跡的な繋がりで気持ちよく登れるものが多い。しかし、高巻きは本当に悪かった。久しぶりに選択肢がなく、どうすんのこれといった感じ。下山後に振り返ってもベストなルートはなかなか思いつかない。幾つもの滝を越えて、最後のイベントであるチムニー滝をずり上がるとゴルジュが終わり、あとはほぼ安全地帯なので一安心。登山道までの藪漕ぎが思っていたよりも大変だったが、14時に避難小屋。まだ早いので下山することにしたが、きつかった。気温が高いわけではなかったがどういう分けか汗だくで、汲んできた1Lの水を全て消費してギリギリで駐車場着。
久しぶりに不安と期待、驚きに満ちた完全燃焼な山行、朝日俣から継続してこの二人で踏破できたのは嬉しいかぎり。
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