燕岳
- GPS
- 24:20
- 距離
- 15.0km
- 登り
- 1,776m
- 下り
- 1,776m
コースタイム
- 山行
- 4:05
- 休憩
- 2:40
- 合計
- 6:45
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2023年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
安曇野の里から定期バス |
その他周辺情報 | ・中房温泉 湯原の湯 ・そば処 上條 ・穂高神社 ・大王わさび農場 |
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
ソフトシェル
ズボン
靴下
防寒着
雨具
日よけ帽子
靴
ザック
サブザック
昼ご飯
行動食
非常食
飲料
計画書
ヘッドランプ
GPS
ファーストエイドキット
常備薬
日焼け止め
携帯
時計
ストック
カメラ
|
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感想
◆ 大規模山小屋経営の極致・ハブ&スポークの山岳物流網とスケーラブルな運営組織
燕山荘グループは日本屈指の規模を持つ山小屋グループです
このことを今回の山行で改めて強く感じました
金曜日、前日に天候不良のため完了できなかったヘリ荷揚げが長時間おこなわれていました
合戦小屋では10時前頃から登山者へ向けて「あと10分ほどでヘリが来て砂埃が強くなるので、休憩される方は小屋の内側へ移動してください」という案内があり、じきに荷揚げがスタートしました
合戦小屋までケーブル輸送で細かく物資を移動して高単価なヘリ輸送の距離をなるべく減らす、というアプローチを採っているようです
登山者からすると休憩スポット 夏はスイカ・春秋はおしるこの合戦小屋ですが、その正体は燕山荘という大規模物資消費地を支える物流拠点であり非常に重要な施設だとわかります
当日の主要な荷は秋〜冬の山で欠かせない大量の軽油(灯油)とプロパンガスボンベです
これらの重量物を近距離輸送で済ませられることにはメリットが多く、ヘリ輸送会社との良好な関係維持・交渉力確保の両面でも有利と考えられます
たとえば、今回撮影した写真では200Lドラム缶を一回の輸送につき3本あげているのを確認できました
缶本体が20-30kg、中身の軽油(灯油)が160kgでトータル185kgほど、
荷揚げに使用されていた東邦航空所有エアバスヘリAS350の吊り上げ時積載重量は500-750kgなので
4本積むと相当カツカツゆえにヘリ側も安全面・ヘリ操縦難易度の面で従事可能者が限られて渋い、など考えると3本積みが妥当なのでしょう
合戦小屋のケーブルキャリーの耐荷重量も気になるところですが
こちらの荷室寸法は約1.1m立方あり、今回見た限りでは空状態の鋼製50kg型LPガスボンベ(約37kg)を4本同時に下ろしていたので少なくとも実用重量が160kg以上だとわかります
これは80〜100%充填状態のドラム缶を揚げるのに十分な性能です
よくできた輸送システムです
さらに、燕山荘グループならではの輸送パターンも確認できました
ヘリ荷揚げでは荷送り側・荷受け側・輸送者の連携によりタイミングをうまくあわせてタイムロスを低減することが重要となります
ハイペースで重量物を荷揚げしていくと荷受け側のヘリポートが物資で埋まっていき、最悪の場合は置き場所が無くなってヘリを待たせることになります
さらに くだりのヘリを空荷で飛ばすよりは上で不要になった空のガスボンベやドラム缶・トイレカートリッジを下ろしたいので管理難易度が上がります
バッファ管理には人手が必要ですが、後述するようにフルメンバー状態の小屋ではないのでヘリポートから物資を退避させるスピードが間に合わないタイミングも出てきます
どうするのだろう、と思っていたら途中でヘリが数回燕山荘ではなく大天荘への輸送を挟んでいて驚きました
合戦小屋から燕山荘へのヘリ補給を手配する一環として大天荘への補給も確保できる、そしてそれは燕山荘側を限られた人数でオペレーションする上でも役立つ
合戦小屋をハブとして複数拠点へ効率的に物資を補給する、これはFedExが生んだハブ&スポークそのもので、他の山小屋にはなかなか真似のできないスケールメリットだといえます
組織のスケーラブルさという面も少し考えてみます
今回の下山は土曜の朝で、過去の別時期に訪れた際の下山渋滞に割とトラウマがあったので登山道が空いているうちはサクサク降りていきました
中房温泉〜燕山荘は東沢乗越ルート(利用者がとても少ない)を除いて一本道なので、タイミングによっては同日のほぼ全ての登山者とすれ違うことになります
今回くだっていてすれ違った中に10名超の団体は無し、ソロ〜5名ぐらいのグループが30ぐらい、推計80名ほど
我々の下山後、9時頃までに登っていく人が20-30名ほど(途中で温泉休憩を挟んだので人数は推測)
その後にすれ違った2便のバスもそこそこ埋まっていたので約30名
トータル140名ほどでしょうか
コロナ禍以降、燕山荘のトータル収容人数は従来の650名の約半分と公表されており、約325名です(個室の入りなどピークは400名ほどなのでは、と思いますが)
10/10のスタッフブログで夏季スタッフの下山を見送った旨が書かれており、すでに燕山荘の運営体制は夏山から秋山へ移行しています
時期によって不在という赤沼オーナーのアルプホルン演奏を聴けるか五分五分なので楽しみにしていたのですが、あいにくオーナー不在でした
10/8のヤマレコで赤沼オーナーのホルン演奏写真を確認できる一方で10/12のレコで不在という記載を見つけられます
オーナーの下山も夏山終わりのタイミングなのかもしれません
もっとも、10/12に発見されたテント場での遺体に関連して同日急遽下山された可能性はあります
ともかく、約325名の夏山枠をフルに回せるメンバーではなくなっているので営業規模を一定縮小しているには違いありません
土曜の予約枠はすべて埋まっていたようで縦走者を含めて160-200名がキャップなのではないかと思います
ネットに上がっている写真からの推測ですが
COVID-19前の650名収容時:スタッフ25名?
2022年?約325名収容時:スタッフ17名?
2023年秋山:スタッフ7-10名?
という体制だと考えると組織のスケーラブルさも相当なものです
燕山荘100年を超え、館内の談話室に貼られた年表にも令和が付け足されていました
山小屋経営を突き詰めるとここまで到達できるのか、と大変勉強になりました
もともと初心者向け初北アルプスとして計画していたが、行く予定だった初心者が体調不良によりDNSに。とはいえ、時期的天気的にもシーズンラストとなるので、初心者ではない2名でのんびり行くことに。
穂高駅前駐車場は定期バスのバス停がなくなったので、田淵行男記念館の駐車場を利用して安曇野の里から始発バスに乗車。この日の1便はバス2台で運行となった。
ここ数年このコースを登っているのでサクサク登り、合戦小屋で温かい汁物を頼む。ひんやりするものの風も無く、動くと結構暑い。ペースはやや早め、3時間半弱で燕山荘に到着。秋天で雲は高くいい天気。去年は槍が微妙に隠れていたが、今年はきれいに見えた。
去年一昨年と燕山荘を通過して、大天荘と大天井ヒュッテまで行っていたので数年ぶりの燕山荘泊。金曜日とはいえ、燕山荘はかなりの賑わいで夕食は2回転。オーナー不在で山の講話が無かったのは残念...部屋はコロナ後になって3畳を3名というのがMAXのようで、1名ごとにロールカーテンで仕切れるようにもなっていた。
下山時刻が早かったので、気になっていた穂高神社に行ってみた。大王わさび農場にも寄ってみたけど、どちらも「ブラタモリで紹介されました」ポスターが集客に役に立っているらしい
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