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山頂付近から何らかの事情で滑落。標高差800mを一気に滑り落ちたようです。
死因は低体温。
遭難の原因は本人しか判りませんが、捜索する立場からの視点で今回の事案をまとめてみたいと思います。
以下、時系列で。
・金曜日 Aは職場の同僚に、週末は山に行こうと思っていることを話す。
・月曜日 Aが出勤せず。携帯に電話するも、コール音は鳴るものの、応答なし。
午前中何度も電話するが、応答しない。
おかしいと思い、単身赴任先の自宅を訪問。
管理人に合鍵で開けてもらうも、本人不在。
家族や心当たりに電話するも、情報なし。
この時点で、山で遭難したのではないかと強く推測。
警察に捜索願を出す。
警察から携帯電話の所在がX山登山口近辺の基地局周辺と判明。
しかし、基地局からのカバーエリアは半径5キロと広大であり、
携帯電話を本人が所持しているとの確信もなし。
・火曜日 ご家族が防犯カメラの映像を確認する作業に取り掛かる。
自動車を保有していないこと、レンタカーを借りた形跡がないことから、
自宅の最寄りの駅の映像から調査。早朝に駅に来たことが判明。
次にターミナル駅の防犯カメラでAを確認。
X山の最寄り駅の防犯カメラでAを確認。
(ここまでで数日経過)
・金曜日 バスの車内防犯カメラの映像から、X山の登山口で下車するAを確認。
・土曜日 X山山頂付近でAの登山道具を一般登山者が発見し警察に連絡。
・日曜日 県警ヘリの捜索の結果、X山山麓のアイスバーン上でAを発見。収容。
今回、Aの携帯電話が圏内にあったことから、下車駅や山域が絞り込めたため、駅やバスの防犯カメラで追跡する効率が良かったものの、それでも丸5日間かかっています。Aの奥様は毎日、防犯カメラの映像を見続けたのです。その時の奥様の気持ちを察すると胸が痛みます。
今回の事故を経験して、山に行くときには家族や職場に自分の行動計画を伝えていくことの重要さを改めて痛感しました。
もし、捜索しても見つからなければ、死亡したかどうか確認できません。そうすると、生命保険は下りないし、職場も長期の無断欠勤となり、免職になる可能性もあります。私も有志で捜索隊を結成しようかと考えていました。
遭難した本人は、自分の判断ミスを命をもって償っているので、それでいいのかもしれませんが、残された家族、職場の仲間に大きな負担をかけることになります。山に行くときには、登山届はもちろん、家族や職場に計画を伝えておきましょう。
ちなみに、私は今回のことを契機に「ココヘリ」に加入しました。自分が助かる足しになるかもしれないと言うより、残された人にかかる迷惑を最小限にするためにです。
※写真は相方が先日調達したGOROの登山靴で、記事の内容とは関係ありません。
私もココヘリに入会しました。
まあ老人のお守りみたいな「安心材料ですが」
この遭難も、死因は低体温ですから、早期に遭難に気づき、ココヘリ加入していれば、もしかしたら生還の可能性もあったかも・・とか、考えてしまいます。
特に単独山行の方は、持つべきアイテムだと思います。
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