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帰りに新津の県立植物園に寄る。何やらフェスをやっているようで結構人がいる。今まで行ったことがなかった古津八幡山古墳に行く。弥生時代の遺跡で、ここでもイベントなどあって、脱穀体験や勾玉つくりに参加し、古代へタイムトラベル。
そして最後は現代に戻り、隣接の新津美術館で開催中の藤城清治展へ。数年前に新潟県近代美術館で見た時の感動が忘れられない。今年で93歳。創作意欲は衰えず、今回の展覧会のために弥彦神社と寺泊をモチーフにした作品も制作。藤城清治といえば、「光と影の詩人」と称されるが、実物の作品群を目の前で観ると、言葉で表現できない凄さに圧倒される。ひとつひとつの作品に引き込まれ、時間が止まり、藤城ワールドを彷徨う。絵画や音楽などの芸術は、見る側・聴く側の好みやフィーリングで感動の度合いは違うが、藤城清治の作品は、誰でも理屈抜きに感動できるのではないかと思う。観る人の数の分だけ、作品の中に想い描くストーリーは異なり、それぞれの空想の世界が展開されるのだから。
童画の挿絵だけでなく、風景画も素晴らしい。筆のタッチとは繊細さが違う分、逆に風景が動き出しそうな感覚というか、活き活きとした印象を覚える。今回の展覧会で新たに感動したのは、東日本大震災の被災地で制作した作品。無機質な遺構が、藤城清治の目と手を通すと、このように命を吹き込まれるのか。童画のメルヘンの世界、モノクロからカラーへ手法が移ったことで進化した風景画の世界、藤城清治の真骨頂を観た気がする。技術的な部分だけでなく、芸術家としての思考というか哲学に触れた気がした。御年93歳。不謹慎にも10年後は作品を制作できない状況にあるかもしれないと思うと、胸にぐっと迫るものがある。この人だけは、ずっと、いや永遠に元気でいてほしい。もっともっと作品を作って、より多くの人を感動させて欲しい。
最近はスポーツ選手ばかりが国民栄誉賞候補の話題になるが、この人も十分資格があると個人的には思う。
新潟に関わる作品もあり、どんな縁だろう、何か思い入れがあるのかと思っていたら、戦時中に初めてお付き合いした女性が十日町出身のひとであるとか。その人はどちらかといえば色黒だったことが、影絵の黒い女性に繋がっているのかな、とVTRで語る93歳の藤城清治はなんとも可愛らしかった。
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