メンタルなストレスはたいてい人間関係によるストレスです。
仕事の場合、人間関係はそう簡単に放り出して逃げ出すことはできません。
フィジカルなストレスというのは、「暑い」とか「重い」とかいう、肉体に掛かる負荷のことです。
登山はフィジカルなストレスの掛かるレジャーです。
人間は2つ以上の痛みを同時に痛がることができないそうです。
ひどい頭痛のときに「むこうずね」を思い切りどこかにぶつけても、たいして痛くないそうです。痛感中枢にとっては頭痛のほうが大事で、それどころではないのだそうです。
多くの人は山に行くと仕事のストレスを忘れられると言います。
むしろ仕事のストレスを忘れるために山に登るという人もたくさんいます。
おそらく人間は2つ以上のストレスを同時に感じることができないのでしょう。
メンタルなストレスは鍛えることが難しいと言われます。
思想や哲学の領域だからかもしれません。
フィジカルなストレスは誰にでも鍛えられます。
肉体に負荷を掛けると、学問の有無に関わらず肉体は必ず強化されるからです。
肉体的なストレス耐性が強化されると、論理的にはメンタルなストレスは相対的に小さなものになってゆくはずです。
理屈の上ではそうですが、残念ながらフィジカルやメンタルを幾ら鍛えても、現実には上司や会社の言うことには逆らえません。
人間関係によるストレスは、たいていの場合何かを鍛えればどうにかなるというものではないからです。
山でも、鍛えてもどうにもならないということはたくさんあります。
人間は熊には勝てませんし、ハチに刺されたら腫れあがります。
転んだら怪我をしますし、落石に撃たれたら死にます。
人間関係によるストレスというのは、ハチや熊や落石のようなものなのかもしれません。
いつ遭遇するか分からないけれど、知恵を使ってできるだけ避けるしかない。
上司は言葉の通じない熊、会社は石が落ちてくる崖。
人生も、五体満足なまま下山したいものです。