５年ほど前の話
夕食を食べていた時、知り合いの奥さんから突然電話がかかってきた。
沢登りに行った主人がまだ帰ってこないのだがと。
聞けば３人で大台ヶ原から白崩谷を下り東の川を登って大台ヶ原へ１泊２日で帰ってくる予定が、連絡も無くまだ帰ってこないとのことだった。
一緒に行っている人の奥さんと２人で待っているのだがどうしたらいいだろうかと。
会長には連絡しているようだったので私も会長と相談するとあの辺りは危ない場所なので夜はたぶんビバークをしているだろうから明日の朝早くから捜索に行こうと準備しているとのことだった。
しかし、私は奥さん２人では心細いだろうといつもの相棒に連絡した。２人の意見はすぐまとまった、これから行こうということになった。
取り急ぎ必要そうなものをザックに放り込んで相棒と大台ヶ原へ向かった。途中で奥さんから連絡が入った、夜の８時頃だったがまだ登っているというメールが入ったということだった。ケガとかではないらしいので一安心。もう我々が行かなくてもいいかなと思ったが、奥さんが顔を見に来てやってと言うので行くことにした。
大台ヶ原に着いたのは１０時を過ぎていた。シオカラ谷の方へ４人で降りていき、奥さん方にはシオカラ谷の橋のあたりで待っていてもらうことにして、我々は尾根を下りていく。
ホイッスルを吹きながら、耳を澄ますが何も聞こえない。私は滝見尾根を歩いたことがなかったが奥さんは歩いたことがあったので大体登ってくるルートを教えてもらっていた。
夜の山は静かでかすかな物音にも集中して聞くことができた。
ホイッスルと大声を張り上げる。そして静かに待つ。反応がなければ下へ降りていく。
何度か同じことを繰り返す。
かすかな声が聞こえたような気がしたが呼びかけても返事がない。
気のせいか。
しかし、ついに声を聞き取ることができた。声のする方へ降りてゆく。はっきりと声が聞こえるようになった。そしてちらりとヘッデンの明かりも見えた。距離は３０mほどか。我々が駆け下りてついに合流。
夜中の１時過ぎ。かなり疲れているようだが嬉しそうな顔。持ってきていたゼリーを渡すと美味しそうに食べていた。
１人ばてていたのでザックを引き取って奥様達の待っている所へ登り返す。奥様達も無事な姿を見て一安心。ゆっくりと駐車場へ登り、車に着いた頃には夜明け前となっていた。
この時の経験で遭難時にすべきことと 捜索時にすべきことの知見が得られた。
遭難した場合に
最優先にすべきことは自分の居場所とケガの有無の連絡。電話が通じない場所でもメールが飛ばせる場所があるのでそこを探す。
それがだめなら狼煙（のろし）もいいのではないかと思う。ただ火事の心配もあるので水のそばの安全な場所で。
それから歩くルートは計画通りに行動することかな。
捜索する場合は
まず直ぐ現場へ駆けつけること。
それから昼間に捜索した後、夜も続けて捜索するのも案外いいのではないかと私は思った。危険なのであまりしないのかもしれないが夜は音が聞こえやすいのと、ヘッデンの明かりが良く見えるので。
私達の初めての捜索は
無駄なくイメージ通りの場所で出会えたし（計画書通りのルート）、無事でよかったなということでしたが。
捜索に来てもらった方達は 夜中にこんな場所まで来てくれたことに感激したようでした。
昼間出会うより 夜の方が強い印象を残したのかもしれません。
コメントを編集
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する