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この古びた建物の主。
私達はお客様としてここへ来ている。
一足先に私達がこの建物の中に案内された。落ち着いた佇まいのインテリアはシンプルで座り心地の良い良質なソファだった。
ほどなく〇〇県知事が入ってこられた。長身で髭を蓄えた５０代くらいの落ち着いているがにこやかなジェントルマン。
ボンジュール ようこそ〇〇県へ と言っていたはずだが、詳しくは理解できず残念。
我々が名刺を渡すと、ちょっと待ってくださいと言い、良質な紙にさらさらと名前を書いてくれた。
この国の元駐日大使が同行してくれていたので あとはそのやり取りを聞いているばかりだが。
知事は 良く響く低音で
ウイﾂ……
ウイﾂ……
そして トレビアン…… ✨
大学でフランス語の先生が トレビアンというような言葉はほとんど使わず セボンですから と言っていたのにこれはどういうことか。
しかし 私は この美しい響きに一発で落ちてしまった。
フランス語の優雅さを理解できた。
この後 屋外で我々がプレゼントしたものを使って一緒に作業をしたのですが、にわか雨が降ってきました。その時 同行の叔母さまが自分のスカーフを知事の頭に はらり とおかぶせになられました。
これには一同びっくり。
知事もびっくり。 目の玉がまん丸になっていました。
しかし、知事はこのピンチを ほっかむりスタイルでコミカルに切り返す。
そして一同 大笑い。
叔母さまも、知事もなかなかやるな。
堅苦しくない楽しい友好活動でした。
知事も 日本に親しみを持ってくれたのではと思いました。
（２０１９年の話）
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